「隆司、恵美ちゃんが遊びに来たわよ」  
という母親の声で、根室隆司の休日が始まった。時計を見ると、まだ七時半。ボンクラ  
高校生を自認する隆司にしてみれば、もうちょっと眠っていたい時間だ。ちなみに恵美  
とは隣家に住む小学五年生で、隆司を兄のように慕っている、可愛い少女である。  
 
「やっほ、お兄ちゃん。起きてた?」  
「・・・今、起きたとこ」  
「そう、ちょうどいいじゃん。マンガ喫茶に行こうよ。テレビでも見て、待っててあげるから  
さ。ねっ?」  
恵美は隆司に流し目をくれて、テレビの前へ居直った。そして、チャンネルをいくつか変  
えた所で、ちょうど始まった戦隊物の特撮番組を見始める。  
 
「お兄ちゃん、増毛戦隊フエルンジャーやってるよ。若ハゲに悩む青年たちが、養毛剤  
を頭に振りかけながら戦うんだよ」  
「そんな悲しげな番組、見たくないぞ」  
「面白いんだけどなァ・・・」  
恵美が来てしまった以上、仕方が無いと自分に言い聞かせ、隆司は着替え始めた。  
 
「あっ、女の人が捕まっちゃった!」  
番組が始まってすぐに、悪者が女性を人質に取るシーンを映し出すと、恵美は細い体を  
自ら抱きしめるような仕草をする。自分が捕われた人質にでもなった気分でいるのだろう  
か、顔つきまでもが不安そうに歪められていた。  
 
「恵美ちゃん、着替えたよ。おい、恵美ちゃん」  
着替えを終えた隆司が呼んでも、恵美はテレビの前に座ったまま、微動だにしない。番組  
は縄で戒められた人質を、フエルンジャーたちがいかにして奪い返すかを模索している所  
だった。その光景を、恵美は息を荒げて見ている。  
「おーい、恵美ちゃん」  
再び隆司は名を呼ぶが、恵美は相変わらず無反応だ。ただ時々、縄で戒められた人質の  
悲痛な表情が映し出されるたびに、体を一瞬だけ震わせていた。やはり、テレビの中にの  
めり込んでいるようだ。  
 
「・・・恵美ちゃん?」  
「はっ!お兄ちゃんか。着替え終わったの?」  
何度目かの呼びかけで、ようやく恵美は正気に返った。しかし、体操座りをしたお尻の辺り  
が気になるようで、もぞもぞと恥ずかしそうにスカートを直したりしている。いや、どちらかと  
言えば、スカートの中身をいじっているように見える。  
 
「どうしたんだい?ぼんやりして」  
「・・・」  
隆司の問いかけに、恵美は答えなかった。だが、熱っぽい視線が隆司に向けて注がれ  
ている。そして一瞬の間をおいて、恵美は小さく呟いた。  
 
「・・・ねえ、お兄ちゃん。縛られるのが好きな女の子って、変かな」  
「へ?」  
あまりに唐突な質問で、隆司は戸惑った。いや、実際の話を言えば、質問の意味が分か  
らなかった。すると恵美が自分の問いに対して、補足をした。  
「あたし・・・ちょっと変態、入ってるかも・・・実はね、あたし縛られると、なんだか興奮する  
の・・・お兄ちゃん、そういう女の子の話とか、聞いたことない?」  
「え?えええ?」  
そうは言われても返事の仕様が無い。隆司は焦った。まさか、小学五年生の少女の口か  
ら、マゾヒスティックな性癖の相談を持ちかけられるとは、思いもよらなかったからだ。  
 
「始めはね、クラスの男の子とドロ巡やってた時のことなんだけど・・・」  
ドロ巡とは、ドロボウ対巡査を略したもので、かくれんぼに似た遊びである。巡査はドロボウ  
を追い、捕らえたら監獄に放り込むという権利を持っている。そこへ仲間のドロボウが来れ  
ば、捕まっている者も逃げられるのだが、監獄には監視がついていて中々、牢破りは成功  
しない。  
 
「あたし、ドロボウ役やってて捕まったんだけど、巡査役の男の子ったら、ひどいの。あた  
しを監獄に入れて柱に縛りつけろって、他の巡査役に命令したのよ」  
恵美は頬をかあっと赤らめながら言う。そして、更に驚くべき事を言うのだ。  
 
「巡査役の男の子・・・は五人くらいいて、その時の監獄は、公園にある公民館の中だった  
んだけど、そこの柱に無理矢理、あたしを縛りつけたの。これなら逃げれないだろうとか言  
って」  
恵美の話し振りに熱が帯びてきた。気がつくと、隆司の股間は熱い血潮で満たされた男の  
せいで、隆々と盛り上がっている。  
 
「男の子たちはあたしの周りを離れなくて、にやにや見ていたの・・・だけどそのうち、男の子  
の手があたしのスカートを捲って・・・」  
「悪戯されたんだね」  
と、隆司が問うと、恵美はこくんと頷いた。  
「でも、パンツを見られただけ。それ以上は何も無かったの」  
「そ、それで・・・恵美ちゃんは、その時・・・興奮しちゃったのかい?」  
「・・・よく分からないんだけど、そんな感じ・・・かな」  
もじもじと足をばたつかせる恵美。いかにも興奮しているのだが、それをどう表していいのか  
が分からないらしく、その答えを隆司に求めている風である。  
 
「縛られて男の子たちにパンツ見られると、なんだかお股の辺りが、キューンってなった  
の。説明しづらいんだけど、弱い電気が走ったって感じ」  
「ふうむ」  
「あたし、このまま何をされるんだろうって考えると怖くなって・・・でも、どこかで何かを  
期待してた気がするの。そういうのって変かなあ・・・」  
 
恵美の説明からすると、どうやら彼女には被虐的な性癖があるようだ。だから、先ほど  
番組の中で人質となった女性に対して、気持ちがシンクロしたのであろう。特に、相手が  
悪党の類だったので、恵美は更なる被虐心を駆り立てられたに違いない。そういった性  
癖を持つ人をマゾヒストとか言うらしいが、詳しい事は隆司には分からない。  
 
「・・・お兄ちゃんは、どう思う?」  
「確か、恵美ちゃんみたいな人を、マゾって呼んでたと思う。結構、普通にいるみたいだよ」  
「そうなの?良かったァ・・・あたしだけじゃなくて」  
恵美はほっと胸をなでおろした。自分が特殊な嗜好の持ち主ではないと知り、ようやく安  
堵する。  
 
「反対に、女の人を縛ったりするのが好きなのを、サドっていうらしいよ。きっと、恵美ちゃ  
んと一緒にドロ巡やってた男の子たちは、そういうのだったんだろうね」  
「ふうん・・・ところで、お兄ちゃんはどっちなの?」  
「えっ?俺?俺は別に・・・」  
 
恵美の問いに窮する隆司。被虐者か嗜虐者かと聞かれても、今まで気に留めた事など  
無いのだから、答えられる筈が無かった。  
「あたしが思うに、お兄ちゃんはサドの方よ。いつもあたしに意地悪するから」  
「おいおい、俺がいつ恵美ちゃんに意地悪をしたっていうんだい?」  
「いつもよ。だってお兄ちゃん、いつもあたしを子ども扱いするから」  
恵美がきゅっと唇を歪め、斜に構えて見せた。日頃から兄と慕う隆司を、困らせてやりた  
いという顔つきである。  
 
「ねえ、お兄ちゃん・・・試したらどう?」  
恵美が隆司の方へ背中を向けた。無防備な少女の後姿が、少年の心を揺さぶる。  
「た、試すって?」  
「おばさん・・・さっき、出かけるって言ってたよ。今、この家にはあたしとお兄ちゃんだけ・・・」  
そう言って恵美は静かに目を閉じ、両手を後に回したのであった。  
 
時刻は朝の八時を少し回っていたが、隆司の部屋のカーテンは閉められたままだった。  
その奥で恵美は後ろ手を縛られ、ベッドの上に転がされている。  
 
「きつくない?恵美ちゃん」  
「全然。もっときつく縛られても、平気」  
着衣のままだが、恵美は後ろ手から肩、それに胸元を梱包用のナイロンテープで縛られ  
ていた。今日の彼女の装いはピンクのワンピースが一枚きりで、後は下着類だけである。  
その下着は、まばゆい白だった。  
「恵美ちゃん、パンツが見えてるよ」  
「やだァ・・・お兄ちゃんのエッチ」  
寝転がされた恵美は、乱れたワンピースの裾が直せず、女児用ショーツを露わにしてい  
た。そして、細く長い二肢を交互にばたつかせ、傍らに居る隆司の背中を蹴る。  
 
「イテテ!恵美ちゃん、蹴らないでくれ」  
「駄目よ。子供にこんな事する人は、近寄らないで」  
ふふ、と恵美が口元を歪めた。隆司を拒むふりをして、その実、誘っているのだ。  
「足癖の悪い子だ」  
「イヤ!触らないで!」  
隆司が恵美の両足を取ると、強引に左右に割ってやった。すると恵美は顔を紅潮させて、  
瞳を潤ませる。  
 
「お・・・お兄ちゃん。あたし、やっぱりマゾなんだ。変な・・・変な気持ちになってきたの」  
「そうかい。じゃあ、もっと変な気持ちにしてあげるから、立って」  
隆司はベッドから恵美を引き上げ、膝立ちになるよう命令し、己自身はその前に立ちふ  
さがった。ちょうど、恵美の顔の前に、隆司の股間が来る格好である。  
 
「恵美ちゃんは、オチンチンを見たことがあるかい?」  
「お父さんのなら・・・あッ!」  
恵美が答え終わる前に、隆司がズボンを下ろして反り返った男根を見せつけた。被虐  
趣味のある少女と同室していたためか、そこは破裂せんばかりに張り詰め、今にも血  
しぶきが噴き出しそうになっている。  
 
「どうだい?お父さんのと比べて」  
「す、すごい・・・こんなの初めて見る」  
恵美は目を細めて、眩しげに男根を見た。赤黒く、鋼で作られたような逸品だった。  
「これをしゃぶってくれないかな?」  
「えっ?そ、そんなあ・・・」  
「お願いだよ。俺、恵美ちゃんがオチンチンしゃぶる姿が見たいんだ」  
一旦は拒んだものの、恵美は何か淫らな期待感で、とろりと目を蕩けさせていた。  
異性の性器をしゃぶるという事が、きっと更なる被虐心を燃え上がらせてくれるのを、  
彼女は本能で感じ取っている。  
 
「あむ・・・」  
恵美は小さな唇で、精一杯、男根を咥え込んだ。そして上目遣いに、隆司の顔を見る。  
どうしたらいいの、とでも聞いているような顔つきだった。  
 
「咥えてるだけじゃ駄目なんだ。ちょっと、舌で舐めてごらん」  
「こう?」  
「そうそう・・・」  
恵美の舌が男根の先端を這う。もちろん手馴れている訳がないので、まるで尿道口を  
くすぐるだけの舌使いである。しかし、それでも隆司の快感は相当な物だった。  
 
「気持ち良いよ、恵美ちゃん。俺のオチンチンは美味しいかい?」  
「・・・うーん。不味くはないかな」  
「本当?普通の女の子は、こんな物、美味しいとは思わないんだけどな。やっぱり、恵  
美ちゃんはマゾの変態なんだな」  
そう言われると恵美は顔を耳まで赤くし、フルフルと頭を振った。しかし、いくら否定して  
も、身を戒められる事を望み、兄と慕う少年をここまで誘い込んだ手管は、とても小学五  
年生の物とは思えない。まさに、生来の被虐心があってこそである。  
 
「お兄ちゃん、コレ・・・いつまで舐めればいいの?」  
「俺がいいというまでさ」  
「ああ・・・あたし、またお股の辺りが、キューンってなってきた・・・」  
「いやらしい子だな」  
 
隆司は恵美の女の変化に気づいていた。このまま焦らすのもいいが、早めに引導をく  
れてやってもいいだろうと思う。だが、純潔を奪うのは早急である。まだ、少女はそこま  
で体が熟してはいないのだ。しかし、恵美自身は、更なる何かを求めて身を捩る。  
「お兄ちゃん・・・お股がジンジン痺れてきた・・・何とかしてェ・・・」  
「ようし、それじゃあ・・・」  
と、隆司は言うや否や、恵美をベッドの上へ押し倒し、ショーツを毟り取ってしまった。  
 
「何をするの、お兄ちゃん」  
「お股のしびれを取ってやるのさ」  
恵美の女はまだぴたりと閉じた二枚貝で、若草も一本すら生えていなかった。隆司は  
そこに指を当て、白磁のような処女肌をじわじわと侵していく。  
 
「あッ!いやッ!」  
恵美は未知の接触に身を強張らせた。被虐の趣味には目覚めていたが、まだそこは  
無垢なのである。まるで花のつぼみのような処女宮はぶるぶると震え、怯えるように縮  
こまっていた。そこに、隆司の指が分け入っていく。  
 
「あ・・・あ〜・・・お兄ちゃん」  
「お股のしびれはどうなった?」  
「良く、分かんないけど・・・さっきよりずっと、変な気持ちに変わった」  
「そうか」  
二枚貝を押し開き、熱っぽい処女肉の中を隆司の指は進む。途中、まだ未完成の肉襞  
の艶かしい感触に当てられ、危うく眩暈を起こしそうになったが、何とかこらえている。  
 
「・・・お兄ちゃん」  
「なんだい?」  
「・・・また、オチンチン、しゃぶらせてもらってもいい?なんだか、しゃぶりたくなってきた  
の」  
「ああ、いいよ」  
「でも・・・お股の方はやめないでね」  
「欲張りだな」  
隆司は呆れたように笑った。  
 
それからしばらく後、恵美は毎日のように隆司のもとへやって来るようになった。無論、  
どちらの親も、二人の兄妹のような関係を疑ってはいないので、何の干渉もしては来  
ない。  
 
「ああッ、お兄ちゃん・・・」  
恵美は後ろで手錠をかけられ、イモムシのように隆司の自室の床に転がっていた。  
素肌には黒いウエストニッパーだけが着けられ、まるで幼い娼婦のような姿だった。  
「お兄ちゃん、お願い。お股をいじりながら、おしゃぶりさせて・・・」  
「なんだ、もうおねだりか、恵美」  
「・・・ウン」  
「仕方ないな。ほら」  
 
隆司が恵美の顔を跨ぐと、すぐに股ぐらからぶら下がっているモノは、少女の唇で包ま  
れた。次いで、隆司の指が恵美の下半身へと伸びる。  
「ああん」  
男根を咥え込みながら、恵美は低いため息を漏らした。近ごろの恵美は、指で二枚貝  
をこじ開けられても平気になっている。と言うよりは、厳しいいたぶりが心地良くなり始め  
ているのだ。  
 
「ねえ、お兄ちゃん。いつ、これであたしの処女を奪ってくれるの?」  
ペチャぺチャと淫猥な肉音をさせながら恵美が聞くと、  
「まあ、そろそろいいかなって、思ってるんだがな」  
と、隆司はいっぱしの男を気取る風に答えた。  
 
「楽しみだなあ・・・今の指いじりより、もっと気持ち良いんでしょう?」  
「ああ。エッチ好きの恵美だったら、泣いて喜ぶかもな」  
「その時も、縛ってね。お願いよ」  
「もちろんだ」  
すっかり指で解された恵美の女肉を弄りながら、隆司は口元を歪める。ここはまだ処女  
宮だが、近く己の分身でそれを奪う算段が、彼の脳内では描かれていた。  
 
「激しく無残に奪ってやるからな、恵美」  
「うん。ああ、あたし幸せよ・・・」  
自分を戒める手錠の鎖が鳴った時、恵美は激しい絶頂を覚えていた。彼女はもう、この  
被虐の呪縛から逃れる事は出来そうに無い。それはもちろん、隆司も同じであった。  
 
おちまい  
 

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