あいつは『化け物』だった。
あいつ自身は「偶然手に入れた」と言っていたが、あんな力が偶然手に入ってたまるか。
「簡易迷宮作成キット」。それが奴の手に入れた力だ。
「くっ……」
私は脂汗を浮かべて、足元の魔方陣を見ていた。
回りは普通の廊下だが、あいつはこの廊下に触れると発動する罠を幾つかつけていたらしい。
罠の内容は大体わかる。股間から黄色い液体が流れ落ちている。つまり、この罠は私に
粗相をさせる為の罠だという事だ。
「どうした、もうギブアップか?それとも自分の恥かしい秘密をずっと俺の物にしていいわけ?」
あいつはそう言って、ひらひらと腕のUSBメモリを振る。
「ふざ…けないで!」
そう言って私はさらに歩みを進める。
また魔方陣。急に足が進められる。次の魔方陣へ強制移動。ズドン股間を何かが強打した。
「あああっ!!」
三角木馬だ。ふざけた事に私の足がつかないように高く跳ね上げられている。
「うううぁ」
両手を上手く使ってさらに奥へと進む。股間がこすれて気持ち悪い。
次の罠へと入る。体に異常な衝動がおき始めた。パンツを脱ぎたい。
その気持ちに従ってパンツを脱ぐ。
脱いでから、あいつのにやけた視線に気がつく。ちくしょう。
ぽたぽたと涙が流れ落ちる。黄色いしみのついたパンツを見て、私は嫌な気分になる。
「本当に、それ渡してくれるの?」
「ああ、ここまでこれたらな」
そう言って奴はひらひらと手を振る。
私は廊下の幅を見て確認する。両手両足は届くならば……。
両手両足を壁につけて上へ登る。もうこうなったら何でもありだ。
このまま突き進もうとした時、私は両手両足に違和感を感じ始めた。
壁から離れない。幾ら動かしても脱出できない。しまった読まれていた。
「くっあっ……」
「おしいなあ、もうちょっと足が広がってたら、お○んこ見れたのに」
奴はそう言って、私の方をじろじろと見る。
「ギブアップするかい?それとも続ける?」
「続けるわよ!!」
それから一時間、私の悪戦苦闘は続いたが脱出は出来ない。
とうとう私は涙ながらにギブアップを宣言した。体を奴に支えられる。両腕両足が壁から離れる。
だらりと体力が抜け落ち奴へともたれかかった。
「疲れただろう?お風呂一緒に入ろうか」
お風呂ではどんな罠が私を待ってるのか。私は怯えた顔で奴に連れられていった。