月の光だけが見守る夜の海を、一人の少女が泳いでいた。
複雑に入り組んだ磯にある、秘密の洞窟に行く為だ。
その奥の潮溜まりから這い出してきたのは、彼女の何倍もある大蛸だった。
「ほら、お食べ。」
少女は、自分で捕ってきた魚や貝を与えた。
彼女は、数ヶ月前に偶然見つけたこの洞窟で、傷つき泳ぐ事が出来ずに身を潜める大蛸に出会った。
最初は怖かったが、何度も餌を与えているうちに心が通うようになった。
大蛸は、食事を終えると彼女の体をピチャピチャと触り始めた。
それは、初めて見せた彼女への愛情表現だった。
紺色の水着が、ねっとりとした粘液で汚される。
「やだっ!何するの?……ふふっ、くすぐったい……うっ……うん!」
(水着も上からでも、こんなに感じちゃうなんて。直接さわられたら、どんな感じだろう?)
「ちょっと、待って。」
彼女は水着を脱ぎ、誰にも見られたことのない美しい裸体を露にした。
目の前には、ぬるぬるした粘液に包まれた触手が蠢いている。
「いいよ……おいで。」
ドキドキしながら体を優しく愛撫される事を願った。
セックスを経験した事が無い彼女の、ちょっとした遊び心だった。
しかし、大蛸は触手を一斉に伸ばし、獲物を捕らえるが如く、一気に彼女の体を巻き包んだ。
「あっ!待って!……ううっ!……くうっ!」
いきなり全身に絡み付いてきた触手と、吸い付く無数の吸盤の感触に息が詰まりそうになった。
触手が大蛇の様に体を締め付けてくる。
「うっ……ああ。」
しかし、少しの苦しさも感じなかった。
愛しい人に強く抱き締められている感覚だった。
乳房や尻は揉みほぐされ、吸盤が体中をキスするように這い回った。
乳首が転がされると、甘い吐息を漏らさずにはいられない。
体の中心が熱くなってゆくのがわかる。
(ああ……すごい……こんなに気持ちいいなんて……もう、どうなってもかまわない。)
太腿に絡み付いた触手が両脚を左右へと広げようとした。
彼女は抗う事なく、脚を広げた。
薄桃色の花びらが満開に広がり、その中心はしっとりと蜜で濡れている。
そこに一本の触手が近づき、そっとあてがった。
ビクン!!
彼女の体が電撃を浴びたように反応した。
触手は、その表面をそっと撫で回す。
「ああっ!ああっ!」
溢れ出る蜜と触手の粘液が混ざり、糸を引きながら滴り落ちた。
そして、彼女の処女の証を傷つけない様に、ゆっくりと中へ進入してきた。
奥までたどり着くと、舐め回す様に快感のポイントを探り、反応があると執拗にその場所を攻めた。
全身に纏わり付いた触手の動きは激しさを増し、無数の吸盤が体中のあらゆる性感を刺激する。
彼女は、かつて誰一人体験した事の無い程の、極限の性的快楽に浸った。
「ああっ…いっちゃうっ…いっちゃうっ…いっちゃっ……ううっ!……ああああっ!!」
快楽という大海原で、絶頂の大波が何度も押し寄せた。
少女と大蛸とのまぐわいは、夜明けまで続いた。
少しばかりの眠りから少女は目を覚ました。
洞窟に大蛸の姿が無い事に気付くと、必死に海を探した。
そこには、悠々と泳ぐ大蛸の姿が有った。
傷が完治し、泳げるようになったのだ。
それは、別れの時でもあった。
「一年経ったら、戻って来おいで!そうしたら、もう一度私を抱いて!」
大蛸は少女の頬をそっと撫でると、故郷の海へと帰っていった。