今まさに、日は西の大地に沈もうとしている。夕暮れ時の学校は、昼間の喧騒とは程遠い不気味に静まり返った無人の場所だ。  
が、そんな場所に僅かばかりの人気があった。例えば、彼女のように。  
「うーん」  
校内の秘密の隠れ場所で目を覚まし、彼女は状態を起こして大きく伸びをする。その動きに合わせて剥き出しの乳房が大きくプルンと揺れる。  
極上の羽毛布団のような、ふかふかの寝台と毛布。材質はどちらも正体不明。純白に輝き、羽根の様に軽く、鋼の様な強靭さで織り方すら不明だ。  
その上にじかに乗っている剥き出しの丸いお尻。両腕を後に突っ張って、それをぐっと押し出す。  
寝台からスタッと着地し、全裸を本格的に大きく伸びをする。  
腰まで届く黒く長い髪、整った顔、突き出した大きめの胸の双丘、縊れた腰に、形の良い臍、その下の黒々とした痴毛、むっちりとした太腿のスラリと伸びた脚。  
流れる髪は闇の様に黒く、露出した全身の肌は染みも痣もない抜けるような白。笑みを作る唇は朱をさした様に赤い。  
「さて、今日も食事に出かけますか」  
そう、呟いて彼女は辺りを見まわす。と、気配を感じた。すぐ近くではない、この学校の建物内だ。  
「ひい、ふう、みい…」  
数は4つ。どれも人間のようだ。他に近くに気配は感じられない。  
「ふふっ。今夜の食事は決まりね」  
誰に向けるでもなく呟く。話し相手がいないと、自然独り言が多くなってしまう。  
「ここんところ、こっちの方はご無沙汰だったし。できれば若い男の子がいーなー」  
そういって、ほっそりした指を不吉な蜘蛛の様に這わせて、自分の股間に触れる。  
「さてと、まずは…」  
彼女は舌なめずりをしながら傍らの階段を上り、屋上へと向かう。  
さあ、狩りの準備の始まりだ。  
 
 

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