俺は電波女をいじめるのが趣味だ。
「私の魔法は4次元の具現化です」
「うわ、キモすぎ!」
次の瞬間、彼女は『死のう……』と思い詰めたような、最大級の泣き顔を俺に見せた。
でもすぐに『死ぬときはこいつも殺す』というような鋭い目つきで俺を見、再び口を開く。
まごう無き、電波女。
「…4次元とは3次元に時間軸を足したもので、つまり時間も空間も自在に移動できるのが私の魔法です」
「そんなことを24にもなって言ってるから処女なんだぞ」
その瞬間、彼女は崩れ落ちるようにして机に突っ伏し、小さく「死のう……」とつぶやいた。
しかしすぐに「その前に……こいつを…」ともごもごと発音し、魔女の如く殺気に溢れた瞳で俺を上目使いした。
その後、場の空気が悪くなったので、ボンバーマンDSで対戦することにした。
ぽいぽいと爆弾をタッチパネルで設置していく。
そして100戦目まで来てカンストしたころ、また彼女に電波が降りてきた。
「ねえ。9歳にしていい?」
「……寝るか」
「無視すんな。お前を9歳にしてもいいかって聞いてんだろが!」
その迫力に驚いて振り返る。
彼女は真っ直ぐ俺を睨んでいる。
電波女の目は本気であり、病的なほど輝いていた。
俺はNDSをぱたんと閉じて立ち上がり、よろよろと台所へと歩く。
「私さ、実はショタなんだ。2桁以上の男は産業廃棄物だと思ってる」
俺はそのまま玄関に足を運ぶ。
「この前、9歳のときのキミを夢に見たんだ。
すごく、すごくよくて、私、犯罪的なことをいっぱいしちゃったんだ……」
ドアノブに手を伸ばす。
全然届かない。
「そのとき、いいなって、思った。欲しいって、思った。
現実に欲しいって思ったんだ」
後ろから抱きしめられる。
俺は立ってるけど、彼女はしゃがんでいた。
「みさくらなんこつって知ってる?」
「……しらない」
「知らなくていいよ」
わけわからん。
だけど、彼女の手は俺のだぼだぼのジーンズの中にあり、
その指先は俺の未成熟な性器を弄んでいた。
「これが、欲しかったんだ……」
ぼこっ、と頭を叩かれる。
そのあと無理矢理服を脱がされる。
そして、ずりずりと引きずられて鏡の前でばんざいさせられる。
「ほら。ばんざいしちゃう、って言え」
「……はぃ?」
「ばんざいしちゃううう、きもちいすぎてばんざいしちゃう、って言えや!!」
えっ!?
今のところ、全然きもちいくないよ!?
「ばんじゃ-い、ばんじゃ-い、おちんぽみるくがびゅ-びゅ-でちゃいますうう、って言え! はいっ!」
わけわからん。
わけわからんなりにも彼女に弄ばれるおちんちんが反応してしまう。
「きもちいすぎて出ちゃう出ちゃう、って言え。甘いショタ声で言え!!」
「き、きもちいすぎて……、っていうか、弟にそんなことさせてるから24にもなって処女なんだな」
ばたり。
漫画のように彼女は仰向けに倒れた。
瞳は無限遠にフォーカスを結んでいた。
ちょっと微笑んでるようにも見えた。
そして、自分自身に問いかけるような内省的な声で、
「死のう……」と言うのだった。
俺は9歳のまま、NDSをぱくりと開き、
倒れ続けている姉にもNDSを持たせた。
そしてピクトチャットを起動し、
『お姉ちゃん、大好き』
と書いてやった。
すると姉は寝たまま、お湯にふやけたミミズのような字で、
『じゃあ、ミルクいっぱいでちゃう、って言って下さい』
と書いてきやがるのだった。
全力で無視。