名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:2005/09/26(月) 02:45:29 ID:IKtFekG1
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215 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:2005/09/26(月) 04:16:09 ID:a1GBt0j8
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216 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:2005/09/26(月) 08:06:45 ID:/GOgcT2o
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ピピピピピピピピピ…
パソコンのディスプレイを覗き込む一人の男。
そこには、一人の少女の画像が映し出されていた。
今日の夜中に生まれたこの少女だったが、脅威的な速度で成長している。
>>214の時点で1歳、>>215の時点で2歳、>>216の時点で3歳。
果たしてどこまで成長しするのだろうか。
この『書き込みと少女の年齢をリンクする』プログラムはどうやら成功したようだ。
あとは、このスレの住人に任せておけば今日の夜には絶世の美女に成長していることだろう。
男はそんなことを考えながら、PCの電源を落とした…
要するに218 は国家機密であるYURIプログラムをハッキングしたと思われる。
実のところを言うと私も218 の予想外の行動にはハラハラしている。
元々YURIプログラムは
京都にある国立のスパコンセンターで走らせる予定だった。我々はそのためにマザーボードを開発
し、メインプロセッサをYURIプログラムに最適化した。だが相次ぐコスト削減により、計画自体がパァに
なってしまった。
だが次の日から我々は悲しみに暮れることなく研究を始めた。我々には血と涙が溢れている。絶対に計画を
諦めるわけにはいかない。だがどうやってYURIプログラムを動かせばいいのだろうか?
YURIプログラムではマザーボードも、有機プロセッサも、全てが専用でなければいけない。汎用品では動くはずがない。
ん?いや待てよ、汎用プロセッサでも動くようにエミュレートしてはどうだろうか?さっそく取り掛かろう。
こうして我々はYURIプログラムを完成させた。汎用PCでも作動できるようにエミュレート機能を搭載したのだ。
まず‘‘アイカ’’が基本的な演算をエミュする。そしてサトミが有機部分で発生する特殊な演算をエミュする。サトミはアイカよりも
優先権をもち、感情を司るユリをコントロールする。
とまぁ色々と苦難と努力が続いたわけだが、218が人柱となってくれたから助かった。こちらも楽してデーターが取れる。
だが正確に言うと218の周辺にいる少女が影響を受ける事になる。というかその予定だ。既に218が住んでいる周辺には
YURIプログラムと連動し、変化を具現化するナノナノマシンが散布してある。このマシン、基本的には男には影響はない。
少女だけに反応する。対応地区の児童の保護者は現在休眠させて、身代わりの影武者を入れてある。だからいつ少女に
変化が起きても心配は無い。学校の先生だって、新聞記者だって、マスコミの人間だってみんな影武者だ。いわば我々は
町を丸ごと、それも合法的に乗っ取ったのだ。
223 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:2005/09/27(火) 08:06:02 ID:v6Rsdlgu
しかしながら、このYURIは常駐型のプログラムではあるのだが、少女たちの成長などの現象は
少々起きにくいと言える。
なぜなら、基本的にこの現象のキーとも言える数字は、ある匿名掲示板に数字のみを書き込まねばならないからだ。
1や2といった数字ならまだしも、18や20といった数字を単体で書き込むような人はかなり少ない。
もっとも、この掲示板にカキコするという条件も、
ごく初期のものであり、アイカやサトミが自己進化することで変わっているかもしれないが。
ふと、私はあるスレッドに気がついた。
そのスレにはレスが990ほどついていた。
しまった!
990以降は基本的に1000取り合戦が行われるが、そのときに1000などと書き込みがあったらどうする…!?
アイカが1000歳という異常な条件を許容するとは思えないが。
私はすぐにそのスレッドを開いた…。そこには…。
224 名前:意味もなく書いてみる 投稿日:2005/09/27(火) 08:17:28 ID:3EZaxTOK
22.4
「22.4」
そこにはそう書かれていた。そうか・・・・・・22. 4か 。
私は限界にまで張り詰めて擦り切れていた自分の神経を休ませる事にした。ふぅーーっ
しかし何日ぶりの休みだろうか・・・・・・・・ここ数日間はモニターの前に座りっぱなしだった
からなぁ。私は独り言を呟くとそのまま熟睡してしまった。
(佐々木君、どんな人になっているのかな?私の事を覚えててくれるかな?)
政府機関の制服に身を包んだ女はそんな不安にかられながらもエレベーターから降りて、廊下を歩き
始めた。コツコツコツ女のハイヒールの音が暗く陰湿な廊下に響き渡る。
「ええっとここかな?『最先端計算機製造部門』っと。」そうドアには張り紙がしてあった。以前は
ICカードと指紋認証がある施設にいたのだが、コスト削減で移転させられたのだ。
(・・・・。大丈夫。大丈夫。きっと覚えていてくれるはず。)
制服の女はそう心の中でそう言ってドアノブに手を掛けた。
「おはようございます!私、G・A・P社から配属された天見美由紀です!どうかよろし・・・ん?」
美由紀はようやく部屋の中の様子を飲み込めたようだ。
「誰もいないん・・・・・ですか?」
太いコードと巨大なラックが美由紀を阻みなかなか前に進めない。だが美由紀は一人の研究者を発見した。
「あっ!おはようご・・・・」
またもや美由紀は黙った。今度は口を手で押さえていた。
「お休み中だったんですね」
その人こそ美由紀の幼馴染でYURIプログラムの確信を握る佐々木だった。
車が多いはずの市街地がシーンとしている。
辺りを見回してもいつもならこれでもかというぐらいとある路上駐車が一台も無い。
何か変だ
いつもはビルの隙間で餌を貰ってにゃぁにゃぁ泣いている猫達。だが今日は一匹もいない。
何か変だ。
それどころか、いつもはゴミを漁っているカラスさえも一匹も見つからない。
何か変だ。
だが人々は何も無かったかのように普通に暮らしている。もっとも暮らしているのは「偽者」なのだが。
そう、ここはYURIプロジェクトの実験場となったレイピアシティ。四方を海に囲まれた上、巨大なメガ・フロート上に
作られた都市だ。
この都市はYURIプロジェクトを推進する上で非常に都合がいい。空中に散布したナノナノマシンは万が一海上に
流出した場合でも海の潮風で機能しなくなる。また、都市の下部(表向けはこの都市には地下は無いことになっている)
には政府の巨大な研究施設が整然と配置されている。これはメガ・フロートの内部が空洞である事の恩恵だ。
だが、自然が関与する上で「絶対」はありえない。だから佐々木らは実験の前に政府にいくつかの要望を出した。
まず、ナノナノマシンの媒体は空気なため乗り物のレイピアシティへの乗り入れを禁止した。自動車や通常仕様の航空機はナノナノマシンを
レイピアシティ以外の場所に運んでしまいかねない。さらに内燃機関を持っているものは空気を取り入れ時に内部に「証拠」が
残ってしまう可能性もある。そのような事からレイピアシティ内の民生自動車は全て別の場所に移された。
次に厄介なのは動物や昆虫だ。ナノナノマシンは一応人間の女性を対象にしているが、作用するしないは別として動物であれば体内に
取り込まれてしまう。猫や犬はペットとして飼われているため「ペット」として外部に持ち出される可能性が高い。誰かが「証拠」
を見つけ出さないためにも全ての猫や犬は保護された。
昆虫に関しては町の至る所に嫌虫薬を吊る事で解決した。「殺虫剤」でない所にこのプロジェクトを進める人達の良心が伺える。
そんなレイピアシティに自衛軍の貨物船が接岸し、何台もの軍用車両を下ろしている。この車は自衛軍の特殊仕様の電気自動車だ。
迷彩色の車体表面は特殊な塗装がされ、ナノナノマシンが付着しないようになっている。また内部には特殊フィルターを備えており、30分程度
で車内からナノナノマシンを完全に除去する事もできる。これは外部の(例えば官僚級)の人間や一般女性を運ぶときに使用される機能だ。
だが佐々木達技術者は、自分の技術を信じているのでそんな物には頼らない。
軍用車両群の最前にいるのは佐々木らが乗る車だ。
同僚A「・・・・・・・・。しっかしぃ、車一台もないのは流石に(子供に)怪しまれるんじゃないのかぁ?」
佐々木「うーん。子供らにはレイピアシステムに欠陥が見つかったと説明するように指示したが・・・・どうなのか?」
同僚B「そんな事はどうでもええわ!やっと俺らの夢が叶ったんや!その夢を確かめに来たんだからもっと盛り上げてこ!」
同僚C「子供らを実験台にするのは心が痛むが、なにせ「大陸」の奴らを武装解除するためだもんな。大統領も我々を処罰する事は
絶対にないって、誓約書まで書いたもんな。俺達の目の前で。」
女 「えっ!あの大統領が直々に?? めったに会えないあの方がぁっ!」
同僚B「姉ちゃん静かにせえやぁ!、わいは気が短いさかい。」
佐々木「美由紀さん、彼のまでは静かに。あと彼の前では大統領の話題は出さないように。」
美由紀「あ、はい。すみません!」
佐々木「・・・だから静かに・・・・声を絞って・・・・・」
美由紀が佐々木の研究室にやって来てから一週間後、「YURIプログラムの出力結果=ナノナノマシンが引き起こす変化」ということで
佐々木らは実際に現地へ視察へと向かったのだった。
佐々木らが市街地に入ってから数分もたたない内に車はゆっくりとスピードを落とした。
「ん?自動操縦プログラムに何か問題でも起きたか?」
佐々木の同僚はそう言うとノートパソコンを広げて画面を凝視し始めた。
「いや、違う。次の信号の先あたりに何かあるみたいだ」と佐々木は言った。
この自衛軍の特殊仕様車は隊員が身勝手な行動を取れないように手動では操縦できない。そのかわり佐々木達が開発したプログラムで
自動操縦されているのだ。佐々木達が車列の先頭にいるのも、そういうわけがある。
「あ、本当だ。何かが道をふさいでる。美由紀さん双眼鏡を取って。」
車の助手席に乗っている同僚が双眼鏡を持ち体を出来るだけ前かがみにしてじっと前を見てみる。
同時にほかのメンバーも体を乗り出し、それが何かを見極めようとする。
「なんだぁ、あれは? 冷蔵庫にソファーに食器棚だとぉ?」
「泥棒か?」
「まさかぁ?影武者は泥棒出来ないはずだがな。」
「まさかという事もありうるだろ。」
「自分の腕は確かだったんだが・・・」
「まぁ、君のプログラミングの腕を否定する気はないが、現にこういう事が起きてる。」
「引越しかも知れんぞ?」
「町自体が_単位の計画で動いているのに、そんな事は計画に無い」
「・・・・・・・。」
「おいよく見ると家具屋のショーウィンドウが割れているぞ!」
「なんだ!? まさか部外者が侵入したのか!」
「もう少し寄ってみよう」
「あん? んだってぇ?いきなり銃を連射してくるやもしれんやないか!」
「だがもう既に10分も時間が経過している。こんな所で時間を食っていたら変化を見のがすかも知れん」
佐々木の一言が重大だったのか、パソコンの操作で予定ルートを10メートルほど進むことにした。
『ウイーーーン』車のモーターが低く唸る。
問題の交差点に差し掛かったが特に人の気配も無かったので、佐々木達は車を降りて障害物をどかして道を
作ろうとした。
その時だった!!!!
『ガチャッ!チャッ!』
「其処のお前ら、手を上げな!上げない奴は容赦はしないからな!」冷蔵庫の陰から一人の男が飛び出てきた。
佐々木らは手を上げながら、こう言った「手を・・上げるから撃つな!だが後ろには自衛軍がいるんだぞ。
だからお前には勝ち目が無い。今のうちだビルの中にでも隠れるんだ!」
「だがそうはいかない。お前がこの計画の中心だって事はわかってんだからな!お前を人質に取ればこっちのもんさ」
やっと異常に気がついたのか自衛軍員が慌てて走ってきた。だが銃口を向けられた佐々木を見て状況が判断できたようだ。
「隊長!すみません。俺が守らなくてはいけなかったのに!」自衛軍員はそういって銃を捨てた。
謎の男はこう続けた「お前達が子供達を実験材料にしようとしているのは、もう既につかんでいる。今まさにその情報を
ネットに流してきたところだ!」
男は勝ち誇ったかのようにそう言って胸を張った。
「お前の望みは何だ!!」佐々木は叫んだ。
「子供らの解放だぁ!」男も叫んだ。
「残念だがそれは出来ない」
「ならお前をやるしかない」
「もう配布したあとなんだ」
「なにぉだ?」
「知ってるんだろ?ナノナノマシンの事だ。」
「それに、君がばら撒いた非可逆データはこの地区以外では複合化できない仕組みになってる」
「・・・・なんだとぉ」男はパソコンを片手にキーボードを打ち始めた。
佐々木はそんな隙だらけの男を尻目に銀と金のチューブが輝く銃を取り出した。
「おまえらは俺を騙したのか!!!」
男は絶叫した。が、佐々木が銃を今にも撃ちそうになっているのを見て慌てて銃を構えた。
「私は君を撃ちたくない。だから早く捕まれ!」
「くっそぅ・・・この野郎ぅ・・・」
男は最後の切り札を使った。
「佐々木っ! 俺だ。俺だよ。」
「・・君は・・・・もしや高校の時のアオキか?」
「そうだ!俺はかつての同級生が犯罪に手を染めてしまうのが許せなかったんだ!」
「そ・・・・そうか・・・・・」
「だから な? 見逃してくれよ?」
「出来ん。」
「あ?」
「無理だ。」
「私は君を撃ちたくない。だから早く捕まれ!」
「お前はクズだ、佐々木!」
その瞬間、佐々木の銃から青白い光の玉が発射された。
『バシュッ!!』
光は勢いよくアオキの体に命中すると、まばゆいばかりの閃光を発した。
「くっ、俺は死ぬのかぁ」
だが男は死ななかった。
「くそ?何なんだ今のは?」
アオキは少し小さくなったようだ。30過ぎのアオキが今は20代に見えないことも無い。
顔やおなかに付いていた醜い脂肪は消え、顔のラインが若さを取り戻し始めた。
本人は気が付いてないがこちらからでもはっきりと変化が見て取れる。
『バシュッ!!』
効果を確認した佐々木は二発以降は連射し始めた。
『バシュッ!』『バシュッ!』『バシュッ!』
光の玉を受けるたびにアオキは若返っていく。角ばっていた顔は丸くなり、広かった肩幅も
今は見る影も無いくらいに細くか弱くなってゆき、同時に身長も縮んでいった。
「おおお、おれぇ、どうし・・・・あふぅ???」
幼くなりぶかぶかの洋服に身を包まれたアオキを佐々木が抱き上げる。
「アオキ君は小さい頃は少女似のかなりヤバイ、ショッタだったからな。卒業写真を見返して
からずっと狙ってたんだけどね。」
小さくなりオジサンの記憶も失ったアオキ少年を乗せ、車は目的地である小学校へと向かった。