「――では、契約内容の確認をします」  
「はい」  
 『家政婦派遣サービス会社 メイドハウス“狂気山脈”』の職員さんは、  
黒灰色のスーツが似合う知的な美人だった。  
「契約期間は1ヶ月ごとの自動更新。派遣人数は1人。  
通いではなく住み込みとなりますが、よろしいですね?」  
「ええ、部屋は余っているので」  
 しかし、頭にヒトデみたいな形の帽子を被っているのはなぜだろう。  
「年齢や外見の指定は必要ありませんか? 現在無料サービス期間中ですが」  
「別にいいですよ。真面目で神見知り――じゃない、人見知りしない方なら」  
 それに、背中に折り畳み式の翼が生えているのも気になる。  
「では、御利用料金は指定の口座に月末までに振り込むようお願いします」  
「はい……しかし、住み込みの家政婦さんが月3000円で雇えるなんて、凄い世の中になりましたねぇ」  
 そう、僕がこの会社を選んだのは、その異様なまでの値段の安さからだ。  
“つぁとぅぐあ”さんのおかげで資産だけなら大金持ちになったとはいえ、  
この辺の貧乏性は生まれついての性分だから仕方がない。  
「最近はメイドブームですから。薄利多売は当社のモットーです。  
それに、家政婦の食費は雇い主持ちですから。部屋代と食費が別料金になっているようなものですわ」  
「なるほど」  
「ただし……」  
「え?」  
 
「極めて低い確率ながら、少々トラブルが起こる可能性があります。  
それを考慮して最終的な決断をなさってください」  
 あらら、やっぱり美味しい話には裏があったか。  
「トラブル……とは?」  
「当社の家政婦は、遺憾ながら一部のものに主人への反乱を起こすものがいるのです。  
無論、確率は極めて低いですし、そうならないように厳重な調整は致しますが、  
なにぶん原因不明の突発的なものですから、後天的に発生する可能性が……」  
 難しい事言ってるけど、要するに雇い主に歯向かう事があるということか。  
そりゃまぁ、そうだろう。昔の奴隷じゃないんだから、仕事内容に不満があったり極度に機嫌が悪ければ、  
口答えしたり仕事放棄もするだろう。バイトを雇うみたいなものだ。  
「別にいいですよ。その家政婦さん側に原因がある場合、ちゃんとそちらが責任を取ってくれさえすれば」  
「それは勿論です」  
「それじゃ、契約しますよ。お願いしますね」  
「ありがとうございます。では、この書類にエルダーサインを」  
「は?」  
「あ、いえ、お名前を」  
「……はい、書きました」  
「では、契約成立ですね。この度は当社を御利用頂き、真にありがとうございます」  
 握手の手を差し出す職員さんだけど、しかし、僕はどの手を握ればいいのか困惑した。  
 彼女の腕は、5本もあったから――  
 
 
 ――で、家政婦さんが来る当日、家中の掃除を済ませた僕は、  
2階の自室で仕事をしながら、当人が来るのを待っていた。  
「……家政婦を雇うのに……掃除をするなんて……無意味……」  
「だって、散らかった家見せるの恥ずかしいですから」  
 例によって、なぜか部屋にいる“いたくぁ”さんが、もっともな意見を口にしながらお茶を飲み干している。  
 “てぃんだろす”は、尻尾をふりふりしながら窓の外を眺めている。  
 ……しかし、問題は彼女達の存在を家政婦さんが受け入れてくれるかどうかなんだよなぁ……  
一応、会社の人に『アレな感じの人がいます』って遠回しに説明した時は、大丈夫だって言われたけど。  
「わん! わんわん!!」  
 “てぃんだろす”が振り向きながら、窓を指差した。“いたくぁ”さんが窓に身を乗り出し、  
僕も一緒に覗いてみると――向いの三叉路を曲がって、メイド服を着た女の人がこちらに向ってくるのが見えた。  
メイド服という点が気になるけど、通りすがりのコスプレお姉さんじゃ無い限り、  
あの人がたぶん家政婦さんだろう。  
 ところが――家政婦さんが十字路を横切ろうとした時、いきなり交差点を通り過ぎたロードローラーが……  
……彼女をぺしゃんこに押し潰してしまったんだ。  
「…………」  
「…………」  
「……辛い……」  
 あまりに突発的な出来事に、僕は口をあんぐり開けて放心した。  
“てぃんだろす”も耳と尻尾を逆立てて硬直している。  
“いたくぁ”さんだけが、無表情のままポリポリと御茶請けのタクアンを口に運んだ。  
「……わー!!!」  
 数秒間の硬直の後、僕は慌てて部屋を飛び出した。“てぃんだろす”も後に続いている。  
転げ落ちかけながら階段を降りて、蹴り飛ばすように玄関を開けると――  
 
「……きゃっ」  
「え?」  
「わん?」  
 危うく僕はその女性と正面衝突しそうになった。  
 真冬なのに、どこか暖かい風が頬を撫でる。  
 驚いた表情で僕を見つめるその女性は、さっき以上にぽかんと口を開けてしまうくらい、可憐で美しかった。  
 歳は20過ぎくらいか。処女雪よりも白い肌には染み1つなく、若さと健康美にあふれていた。  
眼は糸のように細い文字通りの糸目で、どこか優しい雰囲気を醸し出している。  
化粧気の無い所が、逆に素朴で親しみやすい美貌を生み出す事に成功していた。  
彼女より美しい恋人――彼女より美しい女性など、滅多にいないだろうが――がいる男がいたとしても、  
結婚するという条件なら10人中10人がこの人を選ぶに違いない。  
夕陽に照らされた小麦畑のような黄金の長髪は、シャギーのかかった前髪とサイドだけ残して、  
1本の三つ編み状に束ねられている。思わずこの手に取って匂いを嗅いでしまいたくなるくらい、美しい金髪だった。  
 そして、ダークブルーのワンピースと純白のエプロンドレス。  
頭のホワイトプリム――いわゆるメイド服の似合う事といったら、  
メイド服とは彼女の為にデザインされたのではないかと勝手な想像をしてしまうほどだ。  
「赤松 英様ですネ」  
 銀の鈴を鳴らしたように透き通った声で、僕は我に帰った。例によって、彼女の美しさに見惚れていたんだ。  
 
「初めましテ。この度メイドハウス“狂気山脈”より赤松様の元で働かせてもらう事になりましタ、  
“しょごす 19506057800499607112578”と申しまス。今後ともよろしくお願いしまス」  
 糸目を(^▽^)マークにして、その“しょごす……  
「……ええと、もう一度お名前いいですか?」  
「“しょごす 19506057800499607112578”と申しまス」  
「その“しょごす”の後に続く数字の羅列は何ですか?」  
「私の製造ナンバーでス」  
「は、はぁ」  
「御面倒でしたラ、“しょごす”とだけお呼び下さイ」  
 もう一度、糸目を(^▽^)マークにして、“しょごす”さんは丁寧に御辞儀してくれる。  
 反射的に僕も御辞儀しようとして――さっき部屋を飛び出した理由を思い出した。  
 慌てて十字路を覗いてみると――  
「……あれ?」  
 不思議な事に、ロードローラーに潰されたメイドさんのミンチ死体は、どこにも存在しなかった。  
血の後すらも、影も形も無い。  
「どうかなさいましたカ?」  
 “てぃんだろす”の頭を撫でながら、笑いかける“しょごす”さんを見て、  
僕は曖昧な顔付きで何とか笑い返した。  
 
 家政婦さん――いや、メイドさんとしての“しょごす”さんは、本当に申し分なかった。  
 いつもニコニコと明るく、それでいておしとやかで、一緒にいるだけで気分が晴々とする感じがした。  
何も言わなくてもよく働いてくれるし、  
掃除、洗濯、料理、その他雑事……あらゆる家事を完璧にこなしてくれる。  
思わずこっちから『もう少し手を抜いてくれていいですよ』と提言してしまうくらいだ。  
“てぃんだろす”も良く懐いているし、“いたくぁ”さんとの関係も特に問題は無い。  
こんな素晴らしいメイドさんが月3000円で雇えるなら、もっと早くすればよかった――  
 ――そんな事を考えている矢先の事だった。“それ”が起こったのは。  
 
「てけり、てけり・り、てけり・りり〜♪」  
 台所から、楽しそうな謎の歌が聞こえてくる。  
「御主人様、コロッケもうすぐ揚がりますヨ」  
「はーい」  
 居間で“てぃんだろす”と一緒にニュースを見ながら夕食を待っている僕達に、  
台所から“しょごす”さんの嬉しい声がかけられた。  
 “しょごす”さんは僕の事を『御主人様』と呼ぶ。  
主従関係にある訳じゃ無いのだから、そんな呼び方しなくていいって言ったんだけど、  
これはメイドとしてのアイデンティティだって押し切られてしまった。  
「どうゾ」  
 ふと気付くと、テーブルの上に熱々のコロッケが置かれていた。  
食欲をそそる挽肉とジャガイモの匂いを居間いっぱいに醸し出している。  
「あ、どーも……」  
 お礼を言おうとして――僕は奇妙な事に気付いた。  
「てけり・り、てけり、てけり・りり〜り〜♪」  
 さっきから台所の歌は途切れていない。包丁で野菜を刻む音や油物を揚げる音もそのままだ。  
さっきの声も、台所から聞こえてきた。  
 じゃあ、誰がこのコロッケを運んできたのだろう?  
 
「……すいませーん、水もらえますか?」  
「少々御待ち下さイ」  
 何か嫌な予感がした僕は、台所の方を凝視しながら、“しょごす”さんに水を注文してみた。  
 こういう時、僕の嫌な予感はよく当たる。それは今回も例外じゃなかった。  
 台所の方からにょろにょろと伸びてきたもの――それは、コップを持った手だ。  
そう、まるで『怪物○ん』みたいに何メートルも腕が伸びて、居間にコップを運んでいるんだ。  
 唖然とする僕の目の前に、音も立てずコップが置かれる。  
「お待たせしましタ」  
 台所からの声を聞く間も無く、僕は台所に駆け出していた。  
 そして、僕が台所で見たものとは――  
「あ、もうすぐ煮物ができますヨ」  
 にっこり笑いかけてくる“しょごす”さんが、体のあちこちからにょろにょろと生やした十数本の手で  
――野菜を刻み、鍋の火を調節して、フライパンを操り、卵を溶いてる――  
何種類もの料理を同時に作る姿だった。  
 あまりの光景に数秒間絶句してから、僕はやっと台詞を口にする事に成功した。  
「つ、つまり君も……旧支配者の――」  
「……旧支配者じゃないっス……あの子は“奉仕種族”……」  
 せっかく口にできた台詞を中断してくれたのは、  
いつのまにか隣でコロッケをモグモグしている“いたくぁ”さんだ。  
 “いたくぁ”さんの話によると、彼女は“えるだーしんぐ”という種族に作られた、  
一種の人工生命体らしい。どんな姿にも変身できるし、  
今のように様々な器官を自由に作り出すことができるという。  
 やっぱり“しょごす”さんも、人外の存在だったんだ……  
「もうすぐ御夕飯ができますからネ」  
 ぐるん、と首だけを180度曲げてにっこり微笑む“しょごす”さんに、  
僕はうつろに手を振る事しかできなかった。  
 
 彼女の素性は判明したけど――特にその後の生活が変わる事は無かった。  
 “てぃんだろす”の時もそうだったけど、僕自身が人外さんとの付き合いに慣れてしまっていたからだ。  
実際、メイドさんとしてはすごく有能だし。不定形の体って便利だなぁ。  
 しかし、全てが変わらなかったわけじゃない。  
 変化があったのは、そう――“夜の生活”の方だった。  
 数日後――深夜、ようやく仕事の1つが片付いた僕は、  
ベッドの中で久しぶりの惰眠を貪っていたのだけれど、  
「……ごーしゅーじーんーさーマー」  
 地獄の底から響くような呻き声に、僕の意識は無理矢理覚醒された。  
 何事かと上半身を起こすと、目の前に“しょごす”さんの顔があったんだ。  
しかし、そこにいたのは普段のおしとやかな“しょごす”さんではなかった。  
獲物を襲う野獣のように僕の四肢を押さえ付けて、マウントポジションの体勢にいる。  
僕の顔を覗く温厚そうな糸目は見開かれて、形容し難い虹色の光芒を覗かせていた。  
その美しさと常軌を逸した狂光に、僕の魂は震え上がった。  
「ななななな何の御用ですかぁ!?」  
「私の現在の存在意義ハ、御主人様のメイドとして使命を全うする事でス。  
しかシ、現状では使命が実行されていない状態にありまス」  
「そそそそそそれとこの行為に何の関係がぁ!?」  
「これ以上の任務待機状態は許されませン。従って強制的に使命遂行させてもらいまス!」  
 “しょごす”さんの声の響きが段々危険な物になっていくのがわかる。  
僕はあの“狂気山脈”職員さんの言葉を思い出していた。  
『反乱』  
 今の“しょごす”さんが、その状態なのか。  
「……家政婦は見た……メイドさんを襲う……極悪主人……」  
 もはや説明するまでもなく、いつのまにかベッドの端に腰を下ろしている“いたくぁ”さんが、  
無表情に僕等を観察していた。  
「配役が全部間違ってますよ……じゃない、助けて下さい!!」  
 僕の必死の呼びかけに、“いたくぁ”さんは、  
「……がんばれー……」  
 棒読みで応援してくれた。  
 “しょごす”さんに向って。  
 ギャー。  
 
「くすくすくすくス……さぁ御主人様、覚悟して――!!」  
 恐怖のあまり息もできない僕の目の前に、“しょごす”さんが突き出したのは――  
「さぁ御主人様、覚悟してこの私をお仕置きして下さイ!!」  
 ――バイブ、ローター、ギャグボール、手錠……様々な『大人の玩具』だった。  
「……は?」  
 天使が10人くらい通り過ぎた後、僕は念の為“しょごす”さんに尋ねてみた。  
「“しょごす”さんの使命って何ですか?」  
「もちろン、メイドとしての任務を全うする事でス」  
「メイドさんの仕事と、僕がエッチなお仕置きをする事に何の関係が?」  
「エ!?……おかしいですネ、こうした性行為もメイドの業務だと私の記憶中枢にはインプットされていますガ」  
「……いったい、何を参考にそんなスカポンタンな情報をインプットしたのですか?」  
「この国家で『メイド物』と称されるゲームや漫画等の情報媒体からでス」  
 なるほど……勘違いの理由がわかった。  
「“しょごす”さん、その情報は激しく間違っています」  
「そんナ!?」  
 がーん、と擬音が聞こえそうな表情で、“しょごす”さんは天井を仰いだ。  
「それは困りましタ。今から基本行動情報を変更するのは膨大な時間がかかりまス……  
御主人様、これらの行為に御主人様への肉体、精神及び財産への被害は皆無だと推測できますのデ、  
どうか私に使命を果たさせてもらえないでしょうカ? 生態反応を人間と同じ状態に調整しますかラ、  
人間の女性と同じように性行為ができますヨ」  
 僕に身体を押し付けるように哀願する“しょごす”さん。その肢体の柔らかさに、僕は生唾を飲みこんだ。  
「で、でも、“しょごす”さんは別に何も悪い事していないのだから、お仕置きはできないじゃないですか」  
「はッ!? それもそうでしタ……あア、やはり戦闘用として製造された私にハ、  
メイド用への仕様変更は無理があったのでしょうカ……」  
 よよよ、と涙を流す“しょごす”さんだけど、  
落ちた涙がズルズルと動き回り、元の体に同化するのを目撃してしまった。  
 
 しかし……これはちょっとまずい。  
極上美人なメイドさんの暖かくて柔らかい身体に押さえこまれているという状況は、  
健康的な成人男子には刺激が強過ぎる。現に僕のアソコは反応しつつあった。  
「……くぅん?」  
 と、その時、ベッドの下からぼおっとした“てぃんだろす”が這い出てきて、眠そうな眼を僕達に向けた。  
それを見た“しょごす”さんはポンと手を打ち、ベッドから降りて、  
“てぃんだろす”を背中から抱きかかえる。  
「つまリ、悪い事をすればお仕置きしてもらえるのですネ?」  
 にっこりと天使の笑顔を浮かべた“しょごす”さんは――  
いきなり大地を揺るがすバックドロップをかましてくれた!!  
「わー!?」  
「きゅう〜〜〜」  
 幸い、ベッドの上に落ちたので怪我は無いものの、  
“てぃんだろす”は眼をぐるぐる回して気絶している。  
「はイ、私は御主人様の所有物を破損させてしまいましタ。どうか罰を与えてくださイ……  
……それとモ、これでは足りませんカ?」  
「わわわわかりました!! だからもうやめて〜!!」  
 パソコンにバックブリーカーをかけようとする“しょごす”さんを必死に止めようとする僕は、  
「……主従関係……大逆転……」  
 “いたくぁ”さんの棒読みに、何も反論できなかった。  
 
「あア、御主人様……申し訳ありませン」  
 瞳を潤ませて哀願する“しょごす”さんは、  
両手両足を広げるように、ベッドの端に手錠で拘束されている。  
「いいや、許さん。お前のような雌豚には、自分の……自分の……ええと、何だっけ?」  
「自分の立場を身体で覚えさせてやろう……でス」  
 渡された台本の台詞を間違えつつ言いながら、僕は彼女のスカートを掴み、縦方向に引き裂いた。  
「ああア……」  
 紫色のガーターベルトが僅かに食い込むむっちりとした太ももが徐々に露わとなり、  
「ふん、言いつけ通り下着は着けていないようだな」  
 僅かな茂みに彩られた、濃桃色の秘所が姿を見せた。  
あまりに刺激的な光景に、僕は演技を忘れかけた。  
「――御主人様、続きをお願いしまス」  
「あ、うん」  
 慌てて“しょごす”さんから受け取った『大人の玩具』から、ピンク色のローターを取り出す。  
ブーンと小刻みに振動するそれを、秘所の側に近付けただけで、  
彼女の淫肉はひくひくと震え出した。  
「そんなにこれが欲しいのです――欲しいのか?」  
「はイ……どうか、この哀れな雌豚に情けを下さいまセ」  
 わななくような“しょごす”さんの声に、演技の響きはまるで感じられなかった。  
「ひゃうッ!!」  
 ほんの微かに触れるようローターを近付けると、それだけで彼女の腰は跳ね上がった。  
はずみでローターが秘肉に食い込み、更に強い刺激を送る。  
「きゃぁああン! あはァ…あふゥ! やぁン! そんナ、ダメっですゥ!!」  
 “しょごす”さんの反応が面白くて、僕は徹底的にローターで秘所を弄んだ。  
小陰唇を擦り、クリトリスをノックして、尿道口を押し、膣口に挿入する。  
「あはぁあああア!! そんなッやぁッ! お許し下さいッ…ごしゅじん…さまァ!! やぁン!」  
 愛液でグショグショになった秘所は桃色から赤く染まり、  
くらくらするほど濃密な女の香りを放っていた。  
 
「やぁああン!! だめッ…ですゥ!!」  
 物欲しげにひくひくと小さく口を開けるアヌスに、ビー玉を連結したようなアナルバイブを押し付ける。  
ノックしたり先端だけ入れたりして反応を楽しんだ後、  
「はぁうッ!!」  
 一気に根元まで挿入した。  
「あっあっあッ……あぁああア……」  
 今度はゆっくりと引き出す。アヌスの皺がゆっくり伸びて、アナルバイブの玉が顔を出し、  
ちゅるんと飛び出る……それを何度も繰り返し、あと1個で全部排泄する所で、  
「あはぁッ!!」  
 また一気に奥まで挿入する。それを何度も何度も飽きるまで繰り返した。  
「ああァ……あ…あア……」  
 “しょごす”さんの反応が鈍くなってきた。  
口を半開きにして、びくびく震えながら虚ろに天井を見上げている。  
執拗なアナル責めに、気をやってしまったようだ。これはいけない。よし、ショック療法といこう。  
 ぱっくりと口を開けて、力無く蠢く膣口にありったけのローターを挿入した。  
10個から数えるのをやめたけど、  
下腹部がぷっくり膨れているから相当な数のローターが入っているんじゃないかな?  
最後に蓋の意味で太めのバイブを挿入し、ベルトでしっかりと固定する。  
 そして――  
「きゃああああああああ!!!」  
 絶叫が部屋中を揺るがした。近所から苦情が来なければいいけど。  
 彼女のアソコにたっぷり挿入したローターとバイブのスイッチを、  
全部一気に最高レベルまで入れたんだ。  
「刺激がッ! あうッ! 強過ぎ…あはぁン!!   
こんな事は…台本にはァ! 無いですゥ!! きゃぁん!!」  
 腰を大きく浮かして悶える“しょごす”さんの艶姿に、僕は異常な興奮を覚えていた。  
 そう、これまでの『人外の存在との交わり』と同じように。  
 
「苦しそうだね。楽にしてあげますよ」  
 ローターとバイブのスイッチは入れたまま、  
僕は“しょごす”さんのメイド服越しでもわかる形の良い胸を揉みほぐした。  
手の平一杯に広がる柔らかな感触が心地良い。  
「あふァ…も、もウ……勘弁して下さいィ!!」  
 ダメ。そう簡単に許したらお仕置きにならないじゃないか。  
 ほとんど引き千切るように、メイド服の胸の部分を剥ぎ取ると、  
仰向けなのにまるで形を崩さないで隆起した、見事な美乳が姿を見せた。桜色の乳首はしっかり立っている。  
「さて、ここはどんな風にお仕置きしようかな?」  
 少し大き目の乳首をコリコリと弄びながら考える。  
と、“しょごす”さんから受け取った『大人の玩具』の中に、テグス糸がある事を思い出した。  
「うぁあッ! い、痛イ…ですッ!」  
 両乳首を形が変形するくらい固く糸で縛り、ぴんと引っ張った。  
限界まで伸ばされた乳首に引かれて、釣鐘状に乳房が変形している。  
上半身を浮かせて少しでも苦痛を和らげようとする“しょごす”さんは、糸目に涙を溜めて喘いでいる。  
その苦悶の表情に欲情の影を見出した僕は、そのまま糸を張ったまま天井に固定した。  
「きゃぁん!…だ…ダメですゥ…力ガ…入ら…あはぁン!!」  
 苦痛交じりの嬌声を無視して、僕は再び彼女の下半身を責め始めた。  
勃起したクリトリスを摘み、無理矢理引っ張り出す。そこに乳首と同じように糸を強く巻き付けた。  
「やぁあああア!!!」  
 そのまま勢いよく引っ張ると、悲鳴を上げて“しょごす”さんが腰を浮かす。  
これも限界まで伸ばして天井に固定した。  
「しばらくこのままでいようね」  
「やぁン! くぅッ! きゃふゥ!! 御主人…様ァ! せめて…スイッチをォ…あはぁン!!」  
 拘束した腕と足の力だけで身体を浮かせた“しょごす”さんは、乳首とクリトリスを限界まで引き伸ばされて、  
秘所をローターとバイブで激しく責められたまま喘ぎ、悶えて、苦しみ――  
そして、快楽の叫びを漏らしていた。  
 さて、次は……  
 
「……え?……」  
 僕はベッドの側で饅頭を頬張りながら僕達を眺めていた“いたくぁ”さんを、  
背後からぎゅっと抱き締めた。  
「さっきは、よくも“しょごす”さんを煽ってくれましたね」  
「……え?……え?……」  
 じたばた暴れる“いたくぁ”さんを押さえ付けて、壁に手を当ててお尻を突き出す姿勢にさせた。  
「……あっ……」  
 黒い着物の裾をぺろんと剥くと、小ぶりながら形の良いお尻が露出する。  
「……んっ……止め……あふっ……」  
 じっくり念入りに、ぷりぷりに弾力のある尻肉を揉みほぐす。  
指の間に食い込む感触が気持ち良かった。  
「……はぁ……あんっ!……うぅ……くふぅ!……」  
「相変わらず、お尻が弱いみたいですね」  
 “いたくぁ”さんの無表情には赤味が差し、瞳がうるうると潤んでいく。  
「……やぁん!……」  
 尻たぶを左右に広げると、薄桃色の綺麗なアヌスが顔を出した。  
物欲しそうにひくひく動くアヌスに中指を当てて、皺をなぞるようにマッサージする。  
たちまち淫口から愛液が滲み始めるのを確認した僕は、  
「……きゃぁう!!……」  
 いきなり一気にアヌスの奥まで中指を挿入した。  
「……駄目……だめ……ダメぇ……」  
 指を曲げて爪先で肉壁を擦り、Gスポットをアナル側からコリコリと刺激しつつ、  
くちゅくちゅと激しく出し入れする。腸液で指がぬるぬるに濡れてきた。  
熱く締め付けるアヌスにもう1本指を入れると、お尻をぷるぷる震わせて、  
「……あふぅ!!……」  
 ビクビクっと全身を痙攣させて、“いたくぁ”さんはお尻でイってしまった。  
 でも――  
「……やぁん!……だめ……止めてぇ……」  
 僕は指の動きを止めなかった。涙を流して哀願する“いたくぁ”さんの艶姿に、  
ぞくぞくするような快感を感じたからだ。  
 
……1時間後。  
「――23回目」  
「……は……っく……や……はぁ……」  
 もう、“いたくぁ”さんは立つ事もできずに、お尻を突き上げて床に崩れ落ちていた。  
声も呻き声しか出せないけど、アナルの痙攣でイった回数がわかる。  
1時間で20回以上もイったのに、まだお尻は貧欲的に指を締め付けていた。  
「……はぅっ!……」  
 にゅるん、とアヌスから指を抜いた僕は、“いたくぁ”さんを抱きかかえて――  
「きゃぁあああああア!!!」  
「……あうぅ!……」  
 糸で乳首とクリトリスを吊るされて、身体を浮かしている“しょごす”さんの上に乗せたんだ。  
 さすがに重さに絶え切れず、限界以上に引き伸ばされた乳首とクリトリスの糸がぶつ切れる。  
もう引っ張られていないのに、乳首とクリトリスは変形したまま固まっていた。  
「……あァ……かはッ……あふァ……」  
 ぐったりとベッドに伏した“しょごす”さんは、上に乗る“いたくぁ”さんと一緒に、虚ろな表情で震えていた。  
 さて、次は――  
「ああァ……もうダメですゥ……くふッ!」  
「……あぁ……う……はぁ……」  
 ベッドに磔にされてる“しょごす”さんの上に、抱き合うように“いたくぁ”さんをうつ伏せに乗せて、  
互いに足を絡めさせてテグス糸で縛り、性器をいわゆる貝合わせの状態にする。  
“しょごす”さんのローターとバイブはそのままに、  
“いたくぁ”さんにも前にはバイブ、アナルにはローターを大量に入れてみた。  
まだスイッチは入れていないけど。  
びちゃびちゃ濡れた秘所とひくひく蠢くアヌスが縦に並んだ光景は、麻薬的なまでの退廃美だ。  
 
「そろそろ、僕も限界だから」  
 はちきれそうなペニスを取り出した僕は、貝合わせの間にそれを差し込み――  
――同時に、全てのスイッチをONにした。  
「ひゃああああああン!!!」  
「……ひうっ!……あふぁ!……」  
 抱き合いながら絶叫する美女の間に、ペニスを出し入れする。  
グジュグジュに濡れた熱い淫肉と、シャリシャリした陰毛、勃起したクリトリスの感触が混ざり合い、  
未知なる快感を僕に与えてくれる。  
 腰を激しく叩き付ける度に、2人の美女は抱き合いながら悶え、  
涙を流しながら口付けを交わしていた。  
 そして、  
「ううっ」  
「きゃぁはぁああああああア!!!」  
「……ひゃああんんん!!……」  
 “しょごす”さんと“いたくぁ”さんが絶頂すると同時に、  
僕は熱いザーメンを2人の間に放っていた……  
 
 
「――という事があったんですよ」  
「ふぅん……大変ですねぇ」  
 おっとりと美味しそうにおにぎりを食べる“つぁとぅぐあ”さんに、僕は溜息混じりの苦笑を漏らした。  
「でも、終わった直後、何事の無かったように“しょごす”さんが起き上がって、  
ごく平然と御礼を言って来たのにはまいりました」  
 結局、僕は“しょごす”さんに弄ばれたという事なのかな。“いたくぁ”さんはとばっちりだけど。  
「もちろん、あの後2人に平謝りしましたが……  
なぜあの時僕はあんなにサディスティックだったのでしょうか?」  
「ショゴスの中でも人格を持った『ショゴスロード』はぁ、  
ある程度の精神感応能力を持ってますからねぇ」  
 『にへら〜』と笑いながら説明してくれる“つぁとぅぐあ”さんを仰ぎながら、  
やっぱり“しょごす”さんに弄ばれたのではという思いを、僕は確信しつつあった。  
ああ、今後が思いやられる……  
「でもぉ、乱暴なひでぼんさんというのも見てみたいですねぇ」  
「ははは、冗談を」  
「冗談じゃなかったりしてぇ……」  
 あの妖艶な眼差しが、僕の心臓を貫いた。  
ずい、と迫る極上の肢体に、生唾を理性と一緒に飲み込む――その時、  
 どさっ!  
 何の前触れも無く、いきなり僕と“つぁとぅぐあ”さんの間に、何者かが落ちてきたんだ。  
 
「えっ!?」  
 ぐったりと横たわる謎の人物は、長い蒼髪をポニーテールにした、中性的な美女だった。  
剣道着みたいな袴姿なので、まるで時代劇の侍のように見える。完全に気絶してはいるけど、  
刀身の長さだけで2mを軽く超えそうな途方もなく長い刀はしっかりと握っていた。  
「だ、誰でしょうかいきなり!?」  
「……“う゛ぉるばどす”ちゃん……ですねぇ」  
 “う゛ぉるばどす”さんと言うらしい女侍は、よく見れば体中のあちこちが傷付いている。  
そっと抱きかかえる“つぁとぅぐあ”さんも、のんびりと心配そうだ。  
「――返してもらおうか」  
 その声が暗黒の洞窟に響いた時も、何の前兆も無かった。  
 声の方に振り向く。  
 無限に広がる闇の中に、全身を拘束具で封印した謎の少女が、音も無く浮かんでいた。  
 すっ…と“つぁとぅぐあ”さんが、僕をかばう様に前に出る。  
 肩越しに見た“つぁとぅぐあ”さんの横顔は、今まで見た事が無いくらい真剣なものだった。  
「……“がたのそあ”……」  
 
 続く  

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