「ねぇ、香織〜、もう飲みすぎじゃないの?」  
「まらまらぁ!よりこ、次いくよ〜」  
この日、私はものすごく荒れていた。  
友人の頼子を誘って飲みに行ったのだが、元々お酒があまり強くない上に甘いお酒しか飲めないという状態にも関わらず  
今日は日本酒・ビール・ワインと無茶苦茶に飲みまくって現在の状況になっている。  
「香織、あんたそんなにお酒強くないのに何でそんなに飲むのよ〜。何かあったの?」  
彼女の言葉に私は一瞬動きがピタリと止まる。  
が、すぐに酔った顔を彼女に向け言い放つ。  
「何にもないわよ〜!そう、なーんにも…」  
そう言って私はグラスに入ってる琥珀色の液体をぐっと飲み干したのであった…。  
 
何故私がこんな事になったかというと、数日前ちょっとした出来事があったからだ。  
私はいつもの様に美保ちゃんの所で家庭教師をしていた時である。  
ここ最近、彼女の英語の試験の成績が落ち気味という事もあって親御さんからも英語の成績を上げてくださいとお願いを  
されてしまったのだ。  
もちろん私も気になっていたし、何とか成績を上げようと分かりやすいようにいろいろ準備をして(お芝居型の教材を用意したり、  
ちょっとしたゲームのような物をこしらえたり)美保ちゃんに教えようとした。  
ところがいざ教えようとしたら彼女の口からは不満の声がたらたらと出てきたのだ。  
もともと英語の授業も好きではなく、苦手な事と相まって全教科の中で一番嫌いな教科になっているという事らしい。  
いつも彼女は英語の指導の時は機嫌が良くなかったのだが、今回は母親に注意されていたのだろう、もう教える前から  
全くやる気なしモードに突入していた。  
 
「いいじゃないですか、自分で勉強しますから英語はまた今度にして下さい」  
「駄目よ、この前の試験もあまり点数良くなかったでしょ?今回は楽しく勉強出来るようにほら、いろいろ準備してきたのよ」  
私は机の上に前日に準備した教材を用意する。  
しかし彼女の顔はまだ不満の色が濃く、私をにらみ付ける。  
「楽しくって言ったって英語でするんでしょ?先生、別の教科にして下さいよ〜」  
「駄目!今度期末試験あるんでしょ?点数悪いとまたお母さんに怒られるわよ」  
「やだ!」  
もう、何て強情なんだ。  
私も半分苛立ちが入っていた。  
この教材も前日に夜遅くまで作ったものなのだ。  
流石に美保ちゃんの事が好きでも勉強の事になれば話は別、私は心を鬼にする事に決めた。  
「我がまま言わない。ほら、始めるわよ」  
彼女の文句をさえぎって私は無理矢理に教材を広げる。  
「ぶー…。先生なんか、嫌いです」  
頬を膨らませ、それでもしぶしぶノートを広げる彼女。  
その言葉に私の心がちくり、と痛む。  
「嫌いでもいいわよ、それで成績が上がるのならいい事だし」  
それでもそんな事はおくびにも出さず、早速指導を始める私。  
 
結局指導を終えるまで彼女は終始不機嫌のままであった。  
帰る時になっても美保ちゃんはそっけない挨拶だけをしてさっさと自分の部屋に戻っていったし。  
まぁ、嫌な勉強をされていい気分ではないとは思うがやっぱり面と向かって「嫌い」と言われると心の衝撃が大きい。  
次第に私は帰りの電車の中でだんだんとネガティブな気持ちになっていく。  
 
次の指導の時も嫌われていたらどうしよう。  
もし、口も利いてくれなかったら…。  
そのうち私の事が嫌になって指導員を変えられる事になったら…。  
 
だんだん私の頭の中が嫌な気持ちでいっぱいになってきた。  
好きな人に面と向かって嫌いと言われた事に対して、何故か心がずきずき痛んで。  
何故だろう、目頭がとても熱い。  
座席に腰掛けていた私の膝の上に置いてあった手に水滴が落ちる。  
ああ、私泣いてるんだ…。  
口から嗚咽の声が漏れていく。  
 
私は電車の中で、人目もはばからず泣いた。  
 
 
そして寂しさと憂さを晴らすために頼子を連れて私は飲みに行き、冒頭の状態に戻る。  
「よ〜り〜こ〜?好きな人に「嫌い」って言われた気持ち、分かる〜?」  
へべれけになりながら私は頼子の肩をばしばし叩く。  
「痛っ…!もう、香織は飲んだらこんなに人格変わるとは思わなかったわよ…」  
「何か言った〜?だって、前からずーっと好きだった人に嫌われたらもう…もう…」  
電車の中で泣いたように再び私は泣き出す。  
「は〜…。何であたしが恋愛の愚痴を聞かなきゃならないの?あたしが彼氏欲しいわよ!」  
そんな姿に頼子はため息をつきながらそれでも私の身体をよしよし、と慰めるのであった。  
 
目が覚めると、真っ白な天井がぼんやりと見えた。  
どうやら私はそのまま酔いつぶれて自分のアパートまで帰ってきたみたいだ。  
そして襲い掛かってくる割れるような頭の痛さ。  
視界はぐるぐると回っているような感じ、胃の奥は全てを吐き出したいほどの不快感。  
「あー…私、昨日頼子とお酒飲みに行って…覚えてない。…頭痛い」  
まるで鉛のような身体を何とか起こして、ふらつきながら台所の水道の蛇口をひねり、水をコップに入れそれを飲む。  
ひりひりと痛む喉に優しく包み込む水分で少し落ち着く。  
ふと机の上を見ると小さなお鍋に入った味噌汁が置いてあった。  
それと何か書いてあるメモ。  
私はそれを手に取って読んでみる。  
 
「香織へ  
   
具合はどう?  
あんたがあんなに飲むなんて、よっぽどの事なのね。  
味噌汁作ったからじっくり味わって飲んでね。  
 
あと、うわごとで『美保ちゃん』って言ってたけど…聞かなかった事にしといてあげる。  
早く仲直りしなよ。  
 
                                         頼子」  
 
「う〜、頼子の奴…。まぁここまで運んでくれて、味噌汁作ってくれたから感謝しなきゃね」  
そうひとりごちると私は早速彼女の手製の味噌汁を味わった。  
心地よいお味噌の風味が口の中に広がる。  
同時に胃の中の不快感も少しずつだが、消えていく気分がした。  
「そういえば来週から美保ちゃんの期末試験か…いい結果出るといいけど」  
壁に掛けてあるカレンダーを見ながら私は重いため息をつくのであった。  
 
 
日は流れて期末試験も終わり、そろそろ答案が返却されるだろう頃。  
私は試験終了後、初めての指導をする為に美保ちゃん家に足を運ぶ。  
試験前の指導の時は終始不機嫌で口も聞いてくれなかった事を思い出し、その足が何度も止まりかける。  
(お願いですから、いい点取ってますように…)  
この時ばかりは神様に真摯にお祈りをする私。  
 
「ごめんなさいね〜、まだ帰ってきてないのよ」  
家に入るなり母親にお茶を出され、申し訳なさそうに謝られる。  
「いえいえ、お気になさらないで下さい。きっと学校の行事で遅くなっているんでしょう」  
母親の言葉に丁寧に答える私に、さらにもう一言。  
「実は…。この前先生が帰られた後、あの娘泣いてましてね」  
「美保ちゃんが?」  
まさか…私の所為!?  
動揺する心を必死に抑え、目の前のカップに口をつける。  
「あ、先生が何かしたって訳ではなくて。あの娘が『先生にひどい事言っちゃった』って私に泣きながら話しかけて来たんです」  
「どうしてですか?」  
私の所為じゃない?なら何故だろう?  
今度は疑問が頭の中に湧き出し、その答えを求める為に母親に質問する。  
 
「それが…『先生が私の為に一生懸命教えてくれているのに、私が我がままを言ってさらに先生なんか嫌いって言っちゃった』って。  
何かちょっとは成長しているんだなぁと感心しちゃって。本当にあの娘は先生の事が好きなんですね」  
その言葉に今度は心臓がどきどきし始める。  
「あ、私はたいした事してませんから…。殆ど美保ちゃん自身の頑張りですよ」  
母親に私の心の内を見られる訳には行かず、慌てて紅茶を一口飲み干す。  
「そんな、謙遜しないで。これからも美保の事宜しくお願いしますね、藤村先生」  
真摯な表情になって私を見つめる彼女。  
「こ、こちらこそっ!」  
何ひっくり返った声を出してるんだ、私。  
やばい、美保ちゃんの顔が浮かんで自分の顔が赤くなってしまう。  
取りあえずこの状況を打破せねば。  
カップの中身が無くなってしまった事に気づいた私は今度はお手洗いを借りようとする。  
 
その時である。  
「ただいまっ!お母さ〜ん、もう先生来た!?」  
ばたばたという足音とともに居間の扉を開けて制服姿の美保ちゃんの姿が現れた。  
「あ、先生…」  
「美保、遅かったじゃない。先生もう来て待っておられるのよ?」  
母親の言葉に頭を軽く掻いて舌をぺろりと出して謝る彼女。  
「ごめんなさい…部活が長引いちゃって」  
「い、いいのよいいのよ!多分そうじゃないかなー、と思ってたし。こっちこそお母さんに迷惑かけちゃって…。早速指導始めるね?」  
私はそう言うとそそくさと彼女を連れて二階に上がっていった。  
 
 
美保ちゃんの部屋に入った私たちは椅子に座り、向かい合わせになる。  
ああ、久しぶりの美保ちゃんの制服姿…!  
紺のブレザーとプリーツスカートの取り合わせがすごく似合っていて私の心を惑わせる。  
それでも何とか私はその感情を抑え、一番聞きたかった事を彼女に言う。  
「さて、そろそろ試験の結果が分かる頃だと思うけど…どうだった?」  
私の言葉に彼女は鞄の中から問題用紙と答案用紙を何枚か出し、私に見せた。  
「ふむふむ…」  
それらを見ながら点数と各問題の正否について確認をする私。  
美保ちゃんは緊張した表情で私を見つめる。  
そして私は厳しい表情を緩め、彼女に笑みを向けた。  
「なかなかいいじゃない。特に苦手だった英語が前の中間試験より20点もアップしてるし。平均点を見比べても相当いい点よ」  
私の言葉に彼女は嬉しさと安堵の表情が混ざった顔をする。  
「本当ですか?良かったぁ〜、これで点数悪かったら先生に申し訳ないもん」  
 
そこまで言うと彼女は立ち上がり、いきなり私に一礼をする。  
「先生、この前はごめんなさい。私のために一生懸命教えようとしているのに私、先生に嫌いって言っちゃったりして…」  
俯きながら私に向かって話す彼女。  
よく見ると肩が僅かに震えている。  
「先生に勉強を教わってからテストの点数もちょっとずつだけど上がってきたし、これからも先生の授業を教わりたい」  
そのうち言葉は嗚咽と変わっていって。  
「私、もっと頑張ります。だから先生、私の事を嫌いにならないで下さい…」  
そして手で顔を押さえすすり泣く彼女。  
私はそんな彼女の両肩を軽く押さえ、その泣き顔をじっと見つめる。  
「先生…?」  
私の為に泣いてくれているんだ…!  
ええ、嫌いになんかなるものですか、もう身も心も私のものにしてしまいたい!  
頭の中では天使と悪魔が最終戦争を起こしている位に私の心はぐちゃぐちゃになりそうだった。  
しかしどうやら理性がほんのちょっとだけ勝ったらしい。  
私はにっこり笑って彼女に接する。  
「そんな、泣かないの。私は別に気にしていないし、美保ちゃんがもっと頑張ってくれるならいろんな事教えれるし」  
そして指で彼女の涙を拭う。  
「ほら、笑って。そんな顔だと可愛い顔が台無しよ」  
「先生…」  
潤んだ目で私を見つめる彼女。  
実はもう半分ほど私自身が壊れていた。  
だってこんな可愛い姿を見せ付けられたら。  
しかも私の為に!  
 
それでも何とか椅子に座らせ、いつもの様に勉強を指導し始める。  
心のどこかで私自身が警鐘を鳴らしていたのかもしれない。  
でもそれでもいい、私は彼女の笑顔やその制服姿を見れるだけで幸せ。  
例え最後の一線を越えなくても、だからこそ見つかる幸せもある。  
そう思いながら私は彼女を教えていくのであった。  
 
しかし身体はそうもいかないらしい。  
指導を終え、自分のアパートに戻ると私はクローゼットを開け、ある衣装を取り出す。  
それは美保ちゃんと同じ学校の制服。  
実は先月にこっそりと学用品販売店で購入したのだ。  
店員のおばちゃんに聞かれ、「末の妹の制服を購入しに来たんです」と交わした時には冷や汗ものだったけれど。  
自分の服と下着を脱ぎ、何も着ていない生まれたままの格好になる。  
そして学校指定の白ソックス、ブラウス、紺のプリーツスカート、赤のリボン、紺ブレザーと順に着ていく。  
これまた指定のローファーを履き、鏡の前に立つ私。  
もうすでに私のいやらしい部分からは熱いものが垂れ、床にぽたりぽたりと落ちていく。  
「私…美保ちゃんと同じ格好になってる…」  
そのまま私は風呂場に向かう。  
そしてお風呂用マットを引き、壁に背をもたれてスカートの生地の上からそっと触る。  
「ああ…すごく濡れてる」  
スカートにはすでに濃紺の染みが出来、それでも淫靡な音を立てながら弄くる。  
「美保ちゃん、美保ちゃんっ!」  
絶頂に達するのは早かった。  
ぷしゃあ、という音が聞こえ温かい液体が穿いていたスカートの中で暴れ、あっという間に下半身がびしょびしょに汚れる。  
もともと自慰をすると粗相をしてしまう癖があるため、極力自分自身で慰めるのは避けていた。  
しかし今は違う、この着ている制服を汚したい。  
そう、美保ちゃんの代わりに彼女の着ているこの制服を。  
スカートは私の尿と蜜で変わり果てた姿になる。  
でもそれだけでは足りない。  
今度はこれまた予め購入し、洗面器に入れて準備しておいた泥パックの液体を手ですくい、ブレザーとスカート、そして中の  
ブラウスにも塗りつける。  
まるで泥の中で私は美保ちゃんを犯し、犯されている気分になってしまう。  
自分の姿をもう一度見る。  
茶色く変色したブレザーとスカート。白のブラウスももはやその面影は無い。  
「美保ちゃんの制服、こんなにどろどろになってるの…」  
あまりの快感にもう一度、温かいものを自分自身で出していく。  
蒸れた匂いが再びスカートの中から溢れ、私はさらに泥を擦り付け、洗面器の中身ごと私の身体に掛ける。  
そして一度右手を綺麗にして、その中の恥ずかしい部分を何度も何度も触り、弄くる。  
 
「美保ちゃん、美保ちゃんっ!」  
私は茶色く汚れたその姿を見ながら、そして美保ちゃんの姿を思い浮かべながら。  
全てを放ってその意識を彼方に飛ばしていったのであった。  
 
 

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