―6月某日ひねくれ男のひねくれ日記―
【8:42】「崇兄なんか嫌いだ!」惚気てくる紗枝の夢を見ながら起床。顔色は言うまでも無い。
【8:55】焦げた食パンを頬張る。忙しくてもちゃんと朝飯を食べるのが俺のルール。
【9:04】だるいバイトに出発、そろそろ今のバイトを辞めたくなってきた今日この頃。
【9:22】「おはようございます!」兵太だ、朝にこいつと会うのは実に鬱陶しい。
【9:34】「今日も天気いいっすね!」妙にテンションが高い。多分女だなこれは。ちなみに天気は
雨だけどな。
【10:10】黙々と働く。兵太は常にニヤニヤしている、傍目から見ていて実に気持ち悪い。
【12:34】休憩がてら昼食。最近のコンビニは明らかにおにぎりに情熱を注いでない、もっと注げ。
兵太も一緒に飯を食っている。相変わらずニヤニヤ(ry
【13:32】「いらっしゃいませ!」満面の笑顔で接客してたら客に笑われる。どうやら歯にのりが
くっついたままだったらしい、誰か指摘しろクソが。
【15:07】兵太がそわそわしだした、あいつはそろそろ上がりだ。ちなみに表情は相変わらず(ry
【15:30】「お疲れっしたー!」兵太上がる。見ていたら真由ちゃんが外で待っている。
あまりの展開に思わず加○茶ばりの二度見をかましてしまう。
【15:32】停止していたら店長に小突かれる。外にいた真由ちゃんと目が合い鼻で笑われた、
今度紗枝に彼女の対策を聞いておこう。
【17:00】かく言う俺も仕事終了、荷物まとめてとっとと職場を後にする。
【17:12】そういや今日は紗枝の家で晩飯を食うんだった、これからのことを思うとどうにも
溜息が止まらない。紗枝本人はともかくおじさんおばさんは魔物の域に達してるからな。
【17:59】紗枝の家到着。いつぞやのボロのワンボックスが見当たらないのがちょっと寂しい。
【18:07】「おやいらっしゃい」おばさんだ、今日は根掘り葉掘り聞いてくるんだろうなぁ。
「よく来たね」おじさんだ、メガネが光って目線が見えないのが実に不気味だ。
【18:08】「紗枝はどうしたんスか?」「あの娘なら今台所でご飯作ってるよ」
どうやら今日の晩飯は全部紗枝が作るらしい、非常に不安だ。
【18:10】「あ、た、崇兄っ、来たんだ」鍋にフライパンに踊らされてる紗枝が非常に面白い。
【18:11】「お前エプロン姿似合ってねーなー」「うるさいっ!」
酷いと思うかもしれんが実際似合ってないんだから仕方ない、なんつーかガキ。
「ちょっ、ちょっと! いきなり何すんだよ!」「んー?」
気付いたら抱きしめてた、いやでもこいつほんとエプロン姿似合わない。
【18:12】「もー、火傷したらどうすんだよ!」「そん時は火傷跡舐めてやっから」「っ!?」
紗枝の顔が火傷している。おじさんとおばさんがドアに隠れてニヤニヤしている。
【18:12】「お…お母さんとお父さん見てるんだよ!?」「見せつけてやれ期待されてるみたいだし」
こういうのは開き直ったもん勝ちだ。
【18:47】とりあえず紗枝にビンタされてからダイニングの椅子に座ってお預けを食らう、二つの意味で。
あー…くっそ早く食いてーなぁ、二つの意味で。
【19:01】「出来たよー!」やっと完成したようだ、てめー一時間近く待たせやがって。
【19:02】「大好物作ってたんだ!」ほほう俺の好物を作ってくれるなんてんなかなか殊勝な真似…
「ほら、上手に出来たんだよぶり大根!」お前の好物ぢゃねーか。
【19:04】メニューは他にも色々あるが、なにはともあれ食うことに。
「いただきまーす!」こういう時の紗枝はいつも以上に子供っぽい。
【19:11】「そういえば、孫の顔はいつ見れるんだろうねぇ」「気になるところだな」
おじさんおばさんの口撃が始まる、紗枝の顔が途端に不機嫌になっていく。
【19:11】「もう仕込んだよ」紗枝一人思いっきり噴出す。おじさんおばさんは全く動じない。
それどころか笑みが深くなってんぞ、怖えーな。
【19:12】「それは楽しみだな」「名前考えとかないとねぇ」「ははは、そっすね」「……っ」
よく考えたら飯時にする会話じゃねーよな。
【19:15】机の下で足を紗枝にげしげし蹴られ続ける。おいおい、そんなに求愛してくんなよ。
【19:25】ちなみに紗枝の料理の感想はロシアンルーレットみたいなもんだと思ってくれ。
【19:54】夕食終了。喋りながらだったからダラダラ食っちまった。
【20:00】居間でくつろがせてもらおうかと思ったら紗枝の部屋に通される。紗枝はどうやら
俺とおじさんおばさんを話させたくないらしい。
【20:04】「ご飯どうだった!」「ぶっちゃけ微妙」正直に答えたら途端に顔曇らせやがった。
お前嘘ついたら余計に怒るだろ。
【20:07】「……お茶汲んでくるね」頼んでもないのにトタトタと階段を降りていった。
別に喉渇いてねーのに。
【20:10】「はい、どーぞ!」やっべ、紗枝の表情が怖いくらいに笑顔だ。相当怒ってんな。
「お、おう」なんか濃い塩味がするぞこの麦茶。
【20:24】「あー、その、悪かった」「うわっ」埒が明かなくなったもんだから、いつものように
座椅子になってやる。
【20:25】「ちょ、ちょっと!」「んー」「お母さん上がってきたらどうすんだよ!」「んー」
止めたら止めたで寂しがるだろーがお前わ。
【20:29】「もうー、止めてよー」眉吊り上げて口を尖らせだした。どうやら機嫌を治してくれた
ようだ、良かった良かった。
【20:43】「だめ?」「だーめ、下に二人いるんだよ?」「聞かせてやりゃいいじゃん」「絶対嫌!」
今日は鉄壁のガードだ、まあ当たり前っちゃ当たり前だが。
【20:45】妥協した結果キスだけOKということに。
【20:48】(時刻は書き込まれているが空白になっている)
【21:03】明日もバイトがあるのでそろそろお暇することに。
【21:07】「またいつでも来なさい」「待ってるからね」
おじさんおばさんの二人の笑みが妙に深い、もしかして覗いてたのかオイ。
【21:12】「じゃあお休みなさい、明日は紗枝家に帰ってこないんで」
しゅたっと手を上げ挨拶すると、二人は満足したように手を振ってきた。
【21:15】帰路についてると追いかけてきた紗枝に思いっきり背中を蹴られる。別れ際の挨拶が
不満だったらしい、何を今更。
【21:18】「あんなこともう言わないでよね!」「別にバレてるから良くね?」「だめ!」
【21:19】(時刻は書き込まれているが空白になっている)
【21:20】あまりにうるさいから力づくで黙らせてしまった、俺も大概だな。
【21:25】ふらふらした足取りの紗枝を見送って再び帰路につく。
あー…、そろそろフリーターやめて就活するべきかなぁ……