8月のアスファルトに写る影は、世界で一番真っ黒な影だと思う。  
「……暑い」  
「……わぅん」  
「……汚物は消毒だー……」  
 誰かの嫌がらせじゃないかと勘繰りたくなるくらい、今日の日差しは強い。  
頭上から襲いかかる陽光にプラスして、地面からの反射熱が容赦無く僕達の肌をじりじりと焼いていた。  
両面焼きのハムエッグ状態で、このまま石化してしまうんじゃないだろうか。  
 こんな日は、エアコンの効いた自宅で引き篭もっていたい所だけど……  
「わぉん?」  
「きっと病院は涼しいよ。あと5分くらいで到着するから、頑張ろう」  
 先日、佐野さん――あ、今請け負っている仕事上での僕の担当者さんだよ――が、  
過労の為に入院してしまい、今後の打ち合わせも兼ねたお見舞いに行く事にしたんだ。  
『過労の為に入院』という理由に、僕にも責任の一端があるような気もするし……  
ごめんなさい。今後はシメキリをちゃんと守ります。  
「入院先の病院には、もうすぐ着く筈なんだけど……」  
 最近、新しくできた病院らしく、けっこう近いから散歩も兼ねて歩いて行こうと思ったんだけど……  
こんなに外が暑いのなら、バスかタクシーを使えば良かったかな。自分の貧乏性が、ちょっと悲しい。  
「くぅん……」  
 で、例によって僕にべったりと付いて来ている“てぃんだろす”も、  
犬耳と犬尻尾を隠す為にニット帽に薄手のコートという格好なのでかなり暑そうだ。  
本物の犬みたいに舌を出して、辛そうにはぁはぁ喘いでいる。  
「……あつはなつい……」  
 しかし、“いたくぁ”さんはなぜ付いて来るのだろう?  
このクソ暑い日差しの中、黒い着物姿という見てる方がうんざりするような格好なのに、  
いつも通りの無表情には汗1つ浮かんでいなかった。  
ひょっとして着物の下は汗でびっしょりなのかな? 着物の中に手を差し入れて確かめたいけど、  
もう二度と『暑い』とは言えない状態にされそうだからやめておこう。  
いや、裾から直接お尻を責めれば大丈夫かな――  
 そんなおバカな事を考えている内に、僕達は目的地に到着していた。  
 
「…………」  
 その病院の外観を見上げて、僕は少し固まってしまった。  
 テーマパークによくある建造物かラブホテルのような西洋風のお城――  
住所を間違えたかと思ったけど、正面玄関には堂々と大きなネオン看板がかけられている。  
 ――『ユゴス総合病院』――  
 しかし、僕が本気で絶句したのは病院の正面玄関をくぐってからだったんだ。  
「「「いらっしゃいませ〜♪」」」  
 病院でその挨拶は無いだろオイという突っ込みを、僕は途中で飲み込んだ。  
 病院の中に大勢のナース――看護婦さんが働いているのはあたりまえだ。  
 そのナースさん達が、全員蕩けるような美女・美少女揃いである事も、  
まぁお約束だから許そう。むしろ嬉しいし。  
 しかし、頭にはナースキャップを乗せているけど、その服装がナース服じゃなくて、  
白上衣に緋袴――いわゆる巫女さんの衣装なのは何故!?  
おまけにナースキャップの影から、ぴょこんと2本のウサミミが飛び出しているし……  
しかも、緋袴は股のあるいわゆる馬乗り袴だったのだけど、その股間部分が改造されていて、  
ハイレグTバック状になっているのがますますバニーガールっぽい。  
巫女さん原理主義者が見たら、こんなの巫女服じゃねェ! と血涙を流しそうな服装だ。  
 一体何なんだろう? このナースなのか巫女さんなのかバニーガールなのかはっきりしない美女達は……  
受付をしたり患者さんの車椅子を押している姿を見る限りでは、どうやらナースさんらしいけど、  
正直どこか勘違いしたコスプレイヤーか風俗嬢にしか見えない。やっぱり住所を間違えたのかな。  
「ええと……ここ、病院だよね?」  
「わぅん?」  
 “てぃんだろす”が不思議そうな顔で僕を見上げた。  
どうやら、この子は彼女達の珍妙な外見に特に違和感を感じていないらしい……  
……って、ひょっとして、このパターンは――  
 
「……“み=ご”……」  
「へ?」  
 独り言のような“いたくぁ”さんの呟きに、僕は素っ頓狂な声を漏らした。  
いや、確かに巫女さんですが。  
「……巫女じゃなくて……“み=ご”……」  
「“み=ご”? その人類には正確に発音できないっぽい響きの名前は……」  
「……ユゴス(冥王星)を経由して……山を飛び……谷を越え……  
……僕らの町にやってきた……独立種族……」  
 あああ、やっぱり『邪神』さん達だったのか。改めて彼女達を観察すると、  
頭のウサギ耳はバニーガールのソレじゃなくて、長く伸びたキノコの傘である事が分かった。  
流石人外さん。意味不明だ。  
 そんな邪神さんが病院を経営している事は、この際深く考えない事にして、  
佐野さん大丈夫かな? 生贄にでもされてないければいいけど……  
「……大丈夫……“み=ご”族は……生体科学のエキスパート……腕は確か……  
……脳味噌を缶詰にされるけど……」  
 ……佐野さん、ホントに大丈夫かな――!?  
「いらっしゃいませ。当病院にはどのような御用件でしょうか?」  
 ――と、そこに1人の“み=ご”さんが声をかけてきた。歳は二十歳くらいの、  
清楚で優しそうな長い黒髪の大和撫子風美女だ。僕的には胸が大きいのがポイント高い。  
「あ、ええと、知人が入院しているのでお見舞いに……」  
「では、病室まで御案内します」  
 病室を案内する為に僕の前を歩く彼女の白い生尻が、  
ぷりぷり揺れながら緋袴の切れ目から顔を見せているのを除けば、  
外見はともかく、対応は普通の看護婦さんだ――その時までは、僕はそう考えていた。  
 
 打ち合わせを兼ねたお見舞いは、特に何事も無くスムーズに終わった。  
佐野さんによると、病院は設備も診療もサービスも十分合格点だし、  
何より看護婦が(服装を気にしなければ)超美人揃いなので、入院生活は大満足らしい。  
僕も何かあったらここに入院しようかな。  
 あ、ちなみに“てぃんだろす”と“いたくぁ”さんは、病院内のカフェで待ってもらっている。  
自宅でもそうだったけど、わんこ娘や漆黒雪女な外見の美女を担当者に見せたら、  
今後の仕事にどんな影響が出るかわからないし……今更という気もするけど。  
 しかし、今回はそれが仇となった。  
「……えーと、ここは?」  
 佐野さんのお見舞いが終わった僕は、彼女達の待つカフェに向かおうとして――見事に迷子になっていた。  
外観がどんなに変でも、大きさ自体は普通の総合病院にしか見えなかったのに、  
その内部は地図が必要になるくらい広大な空間が広がっていたんだ。  
なまじ機能的で無機的な病院の内装なので、どこを歩いても同じような光景に見えて現在位置がさっぱりわからない。  
おまけに運が悪いのかドッキリなのか、なぜか看護婦さんや医者の類も見つからないんだ。  
そう、うっかり失念していたけど、ここも『邪神の領域』だ。  
“いたくぁ”さん達と離れるべきではなかった……失敗したなぁ。  
 どれだけ無意味に歩き回った事か……  
「――あっ」  
 と、ふと前を見ると、あの腰が抜けそうな看護婦さんの後姿が、廊下の奥の扉に消えるのが見えた。  
慌てて彼女の後を追う。  
 ――あれ?  
 ――他に脇道も扉も無かったのに、今まで前を歩いていた筈の彼女の姿を目撃できなかったのはなぜ――?  
 その事実に気付いた時には、僕はその扉を押し開けていた。  
「すいません、カフェへの場所を教え――」  
 僕の台詞は途中で中断された。  
 四方に配置された一昔前の大型コンピューターのような機械が、  
グォングォンと大きな音を響かせている殺風景な部屋――その中央に、僕を絶句させたモノがあった。  
 
「……ふぐぅ…ぅぅっ…んぐぅぅぅ!!」  
 全身をグロテスクな拘束具で束縛された1人の少女が、  
手足を大の字に広げるように天井から吊るされていたんだ。  
これだけでも相当に異様な光景だけど、更に異常なのは、  
少女の口に装着された透明なチューブが天井に繋がっていて、  
そこから断続的に黄色っぽい半透明の液体が流れ落ちている点と、  
少女の下腹部が拘束具の隙間から妊婦のように膨らんでいる事だった。  
周囲には何人もの看護婦――“み=ご”さんがいて、  
吊るされた少女によくわからない機械を押し当てたり注射器を刺しては、  
抽出されたデータらしいものを四方の機械に入力している。  
「あら、先程の人間の方……何か御用ですか?」  
 あの僕を案内してくれた大和撫子風の“み=ご”さんが、  
完璧な営業スマイルを浮かべながら僕に話しかけてきたけど……僕はその言葉を半分も聞いていなかった。  
 あの吊るされた少女には見覚えがある――溶岩を連想させる色合いの長い真紅のツインテール。  
拘束具に包まれた幼い肢体。冷たくも可憐な絶世の美貌――  
「が、“がたのそあ”さん!?」  
「んぐぅぅ……んぐぅうう!」  
 唖然とした僕の呟きに、“がたのそあ”さんは苦悶と切なさが入り混じった呻き声を漏らした。  
 そう、彼女はあの『火山の魔神』“がたのそあ”さんに間違い無い。  
でも、同時に彼女は僕の知る“がたのそあ”さんではなかった。  
空中で拘束されたまま力無く身をよじり、か弱げに震える姿には、  
あの誇り高く恐ろしい冷徹な『邪神』の面影はどこにも無いんだ。  
いや、確かに“ゔぉるばどす”さんや“つぁとぅぐあ”さんにエッチされてる時は可愛かったけど、  
そういう意味でのか弱さとは全然違う――“邪神の威厳”とでもいうべき要素が全く感じられないんだ。  
今の“がたのそあ”さんは、ただの陵辱される美少女にしか見えなかった。  
 
「な、なぜ“がたのそあ”さんが……」  
「あらあら、お知り合いですか?」  
 大和撫子風“み=ご”さんが朗らかに微笑んだ。  
その笑顔に、いたいけな少女を嬲っているという後ろめたさは欠片も感じられない。  
僕に『彼女達は人間じゃない』と改めて感じさせたのは、“それ”だった。  
 あからさまに身構える僕を尻目に、“み=ご”さんは聞かれてもいないのに解説を始めた。  
「あの実験体は、1年前にヤディス=ゴー周辺で捕獲した旧支配者です。  
地元(ユゴス)では馴染みの存在でしたので、いつか研究したいと常々考えておりました」  
「…………」  
「現在、彼女には薬物投与試験体と当病院のトイレとして強制的に協力してもらっています」  
「と、トイレ!?」  
「はい。現在は尿専門ですが、いずれは固形物も処理させる予定です」  
 つまり、天井から“がたのそあ”さんの口に伸びたチューブの中を、  
止めど無く流れ落ちている黄色っぽい液体は――!!  
「んんんっ…んぐぅうぅ……!!」  
 ギャグホールで強制的に開かれた口から喉の奥まで挿入されたチューブから、  
リットル単位のオシッコを無理矢理飲まされる……これはもはや飲尿プレイの範疇じゃない。  
拷問の域も超えているじゃないか。一体何を考えているのだろう!?  
「な、な、なぜそんな酷い事を……」  
「無論、それだけでは苦しいでしょうから、実験体の精神フォローの為にも、こうして快楽も与えています」  
 “み=ご”さんが壁際の怪しい機械のダイヤルを捻ると、  
「んぐぅんんんんん――!!」  
 “がたのそあ”さんは、より激しく幼い肢体を捩って悶絶した。  
同時に、彼女からブゥゥゥゥン……という馴染み深い振動音が聞こえる。これは、もしや……  
「拘束具に隠されているので見えませんが、  
彼女の全身の性感帯189箇所にローターを仕込んでいます。  
摂取している尿にも媚薬を混ぜているので、効果は覿面ですよ」  
 なるほど、痙攣する“がたのそあ”さんの股間からは失禁したかのように愛液が溢れ出て――  
 
「――って、そういう問題じゃないでしょう! 全然フォローになってないし!!」  
「ですが、この実験体は困った事に、快楽を与えるとすぐ失禁してしまうのです」  
 “み=ご”さんは僕のツッコミを全然聞いていなかった。地味にムカつく。  
「そのため、彼女の尿道口にはあのように栓が施されています」  
 指差されるままに“がたのそあ”さんの股間を改めて覗いて――愕然とした。  
 自宅の台所でもよく見かける、日常生活には欠かせない便利な水分供給道具――  
『水道の蛇口』が彼女の股間、それも尿道口の位置から生えて、  
愛液に濡れて銀色に光っているじゃないか。  
「あの蛇口を捻らない限り、実験体は絶対に排尿できません。  
尿道口に蛇口を挿入するのが大変でしたよ」  
「い、いや、これもそういう問題じゃなくて」  
「そういえば、最後に蛇口を緩めたのは、もう半年以上前になりますか」  
 拘束具を内側から弾き飛ばしそうなくらいぷっくりと膨れた下腹には、そんな理由があったのか……  
「…んぐぐぅぅ…んぐぅ!」  
 自分自身は排尿できない状態なのに、強制的に大量のオシッコを絶え間無く飲まされて、  
全身の性感帯を刺激され続ける――人間ならあっという間に息絶えるだろう残酷な責め苦に、  
“がたのそあ”さんは無限の苦悶と――明らかな快楽の喘ぎを漏らしていた。  
 そして、何の感慨も無く淡々と『実験』を続ける“み=ご”さん達――  
そう、やはり彼女達は『邪神』なんだ。  
 つまり、この光景にも人間には到底理解できない異次元的な理由があるわけで、  
僕みたいな単なる人間が、口を出す事ではないわけで――  
 
「とにかく、もう止めてください!」  
 ――それなのに、僕は思わず叫んでしまった。  
 “み=ご”さんが、少し不思議そうに僕の顔を覗き込む。  
「不可解な言動ですね。この旧支配者は人間と敵対している筈では? 人間という種族における、  
若年層の精神構造によくある無差別的ヒューマニズムという観念でしょうか?」  
「いやいや、普通知り合いがあんな事されてるのを見たら、誰だって止めますって。  
とにかく、やめてください」  
「……さて、ちなみにこれが普段の実験体の仕事風景です」  
 例によって“み=ご”さんは僕の話を無視していた。やっぱりムカツク。  
 “み=ご”さんが巫女服の袖口から出したリモコンみたいな機械に指を走らせた瞬間、  
僕の周囲に数枚の光学的スクリーンが出現する。SF映画とかでお馴染みのアレだ。  
「!!」  
 その数枚の内、正面に出現したモニターに、僕の視線は釘付けとなった……  
 
 『男子用トイレ』と表札が掲げられた部屋の中、清潔だが無機的なタイル張りの壁から“がたのそあ”が『生えていた』。  
 ちょうど四つん這いの姿勢から上半身部分だけを切り離し、壁面に埋め込んだような形である。  
残酷な拘束具で身体中を覆い隠している姿は普段通りだが、両腕が天井から吊るすように鎖で繋がれていて、  
口をふさぐギャグがピンポン玉のようなギャグボールから口を強制的に開くホールタイプの物に変えられている。  
無理矢理割り開かれた小さな口からは、はぁはぁと苦しげな吐息が漏れて、  
銀色に光る唾液が床に止めど無く垂れ落ちていた。  
 この姿には、如何な理由があるのだろうか?  
 すぐにそれは判明した。  
「うー、漏れる漏れる」  
 早足で部屋の中に飛び込んできた医者らしい白衣の男が、ズボンのチャックを下ろしながら『便器』の前に立つ。  
「ほら、もっと顔を上げろよ」  
 男は真紅のツインテールを掴んで“がたのそあ”の顔を持ち上げて、  
ギャグホールの中に少女には大き過ぎるペニスを差し込んだ。そして――  
「んぐぶぅううぅぅ――!!」  
 大量の尿が、“がたのそあ”の喉に直接注ぎ込まれた。  
「ほら、ちゃんと飲めよ。一滴でもこぼしたら……また大便器に場所を変えてやるぜ」  
 ギャグホールに無理矢理こじ開けられた口では吐き出す事もできず、  
“がたのそあ”は目隠しの中から涙をこぼしながら、湯気の立つ生しょっぱい小便を必死に飲み干した。  
「ふぅ……スッキリした」  
 やがて、男の股間がぶるぶると震えて、“がたのそあ”にとっては無限に等しい長さだった排尿の終わりを告げた。  
だが、それは新たな屈辱の始まりでもあったのだ。  
「それじゃ、こっちの方もスッキリさせてもらおうか」  
 当然といえば当然ながら、この世のものとは思えないほど美しい少女による強制飲尿プレイに、  
男の股間は限界まで勃起していた。男の腰が滑稽なまでにリズミカルにピストンを開始して、  
同時に少女の頭も激しく踊らされる。ぐじゅぐじゅという淫猥な音がトイレ中に響き、  
泡立った小便交じりの唾液がボタボタと床に水溜りを作った。  
「んぶぅ、んふぅうううう……!!」  
 ツインテールを乱暴に揺り動かし、喉の奥から食道まで動員されるイラマチオに、  
“がたのそあ”は呻き声を漏らしながら耐えていた――が、  
 
「はぁぐぅうううう!!! あぐぅ!! んふわぁああああぐぅうううう!!!」  
 突然、“がたのそあ”が激しく身体をよじった。  
まるで断末魔のように泣き叫びながら悶え、背骨が折れるほどに上体を反らす。  
 何が起こったのか。  
 その答えは、壁の反対側にあった。  
 “がたのそあ”の上半身が生えた壁の反対側――そこは別の男子トイレだった。  
そこの壁からは、四つん這いのまま尻を高く持ち上げた姿勢で“がたのそあ”の下半身が生えていたのだ。  
“がたのそあ”は、残酷にも生きたレリーフとして壁に埋め込まれていたのである。  
 “がたのそあ”の下半身は、ある意味上半身よりも悲惨な状態だった。  
金属製の棒で両足首をかき開かれて、股間を剥き出しにされていた。  
幼い性器周辺は、なぜか金属製の貞操帯で隠されているものの、  
先端にフックが付いた四本のベルトでアヌスをX字にこじ開けて、  
ピンク色の腸壁の奥まで外界に晒していた。  
「へへへ……こりゃたまらねぇな」  
 そのアナルの中に、患者らしい寝巻姿の男がペニスを挿入して、激しく腰を叩きつけているのだ。  
男のペニスは“がたのそあ”の未発達なアヌスには大き過ぎて、  
皺の一本まで伸び切ったアナルのからは腸壁まで顔を覗かせていた。  
あまつさえ、男はアナルセックスの前にトイレ本来の役目も彼女で済ませたらしく、  
ピストンの度にアヌスの端から水鉄砲のように小便が吹き出している。  
 口とアヌス――“がたのそあ”は前後から串刺しにされて、  
文字通り生きた便器として扱われているのだ。  
「こら、しっかり咥えてろ! 肉便器ちゃんよぉ」  
「んぐぅうううう!!!」  
 激しいアナルセックスの苦痛で思わず吐き出したペニスが、再び喉の奥まで挿入される。  
今度は頭をしっかりと押さえつけて、絶対に外れないようにペニスの根元まで咥えさせた。  
 
「ほら、ちゃんとケツの穴を絞めろよ!」  
 ぱぁん!  
 少女の小ぶりなお尻に男の平手が飛んだ。白い尻たぶに赤い男の掌が刻まれる。  
スパンキングは何度も何度も続き、“がたのそあ”のお尻は真っ赤に貼れ上がった。  
「はがぁ!! あぐぅううう……んぐぅううっ!!」  
 どれくらい長い時間、“がたのそあ”は口とアヌスを犯されていたのか――  
「出すぞっ! 全部飲めよ!!」  
「ううっ」  
「んぐぅふぅううう!!!」  
 全く同じタイミングで、前後の男達は大量のザーメンを“がたのそあ”の中に放った。  
「ふぅ、スッキリした」  
「やっぱりコイツの尻穴は最高だな。マンコが使用禁止なのは残念だぜ」  
 ずるりと2本のペニスが引き抜かれる。  
「……う…うぅう……は…ぁああ……げほっ」  
 開きっぱなしの“がたのそあ”の口とアヌスから、  
涙のように止めど無く白い粘液が流れ落ちた……しかし、  
「ねぇ、まだですか?」  
「終わったんなら、早く交代してくれよ」  
「お、悪い悪い」  
「すぐ代わるからよ」  
 何時の間にか、2人の後ろには男達がペニスをぶら下げながら行列を作っていたのだ。  
「んぐぅうううううう――!!!」  
 陵辱の宴は、まだ終わらない――  
 
「――以上のように、この実験体は患者への性的サービス要員としての役目も果たしています」  
「…………」  
 僕は間抜けのようにポカンと口を開けながら、スクリーンに映し出される光景をに意識を奪われていた。  
 あの恐るべき旧支配者“がたのそあ”さんに対して、  
ここまで残酷な真似ができるなんて……  
いや、『邪神』に対してモラルを問う事の方が、人間の一方的な決め付けなのだろう。  
でも――何かがおかしい。何か変だ。  
“み=ご”さんが“がたのそあ”さんを実験動物のように扱う――  
この状態は、何かが決定的に狂っているような気がする。  
「あのぉ……!?」  
 再び僕は“み=ご”さんに話しかけようとして――  
正面モニターの隣のモニターに映し出されている光景に気付き……絶句した。  
「ゔぉ、“ゔぉるばどす”さんっ!?」  
 
“ゔぉるばどす”は、汚れた肉の洪水に飲み込まれていた。  
 場所は深夜の公園だろうか。薄暗いどよ雲は月も星も覆い隠し、  
頼りない街灯の光だけが、緑地の多い市民の憩いの場を照らし出している。  
 だが、今の公園の光景は『市民の憩いの場』から一変していた。  
 不潔で薄汚いボロボロの服を服を着た男達――年齢や背格好は様々だが、  
その身体が身にまとうボロ布よりも薄汚く見える点は共通している。  
いわゆる浮浪者。その中でも最下級に属する者達だ。  
 そんな浮浪者達が何百、いや何千人と押し寄せて、公園中を埋め尽くしているのだ。  
一体、どこからこれほどの数の浮浪者を集められたのか。  
彼等はこの異常事態をどう認識しているのか。しかし、浮浪者達の目的は一致している。  
 浮浪者達の中心で悶える美しき旧支配者――“ゔぉるばどす”を犯し、嬲り、陵辱するためだ。  
「あふぅ!! い、いやぁ……あうぅぅ!! くはぁ!!」  
 華麗で凛々しく誇り高き女戦士は、しかし今や周囲の浮浪者達よりも薄汚れ、  
惨めに泣き叫びながら輪姦されていた。周囲から伸ばされる垢まみれの手が、耳、頬、鼻、口の中、  
首筋、うなじ、肩、腋の下、二の腕、掌、乳房、乳頭、へそ、背筋、腹、腰のくびれ、尻たぶ、小股、  
陰毛、クリトリス、大陰唇、ヴァギナ、アヌス、太もも、脛、足の指――全身を余す所無く這い回り、  
染み一つ無い美肌を薄茶色に汚していく。  
「あぁああ……だ、だめぇ……ダメでござるよぉ…あはぁああ!!」  
 そして、塗り付けているのは手垢だけではなかった。  
薄布1つ纏っていない裸身の隅々から、蒼いポニーテールの髪の一本に至るまで、  
悪臭を放つネバネバした白濁液――ザーメンに覆い尽くされているのだ。  
まるでローションのように精液を全身に塗りたくられて、  
“ゔぉるばどす”は白と茶に染まった裸身を振り乱し、悶絶していた。  
「へへへ、美女のザーメン漬けってやつか?」  
「それにしても……汚ねぇなあ」  
「俺達の方がまだマシだよ」  
「もう一生この匂いは取れねぇぜ。姉ちゃんよぉ」  
 周囲の浮浪者達が下卑た嘲笑を漏らす。事実、今の“ゔぉるばどす”は周囲の誰よりも汚れた姿だった。  
 
 しかし――  
「…だめぇ……後生でござるぅ…ああっ!…外に出さないで……  
せ、せっしゃの…うくぅ! 中に…中に注ぎ込んでくだされぇ!!」  
 ――しかし、“ゔぉるばどす”は自らの秘所を指で広げて、ぷるぷるとお尻を振りながら、  
涙目で中出しして欲しいと浮浪者達に懇願しているではないか。  
 下品な笑い声が周囲から次々と湧き上がる。  
「は、早く…くぅ……拙者の中にぃ…せ…精を……  
注ぎ込んで…んぁああ…くだされ……もう、時間がぁ…あああっ!!」  
「あれだけブチ込んだのに、まだ欲しいのかよ。とんだ淫乱だなぁ」  
「…ち、ちがぅ…ぅううっ!!」  
「俺達はもう交代だからな。次の連中にお願いしな」  
 男の言葉通り、“ゔぉるばどす”の身体を弄んでいた浮浪者達が人込みの中に消えると、  
間髪入れずに新たな浮浪者達が“ゔぉるばどす”の美しく汚れた身体に襲い掛かった。  
「うぶぅ!! んぐぅうううう……」  
「へへへ、20年ぶりの女だぁ」  
 数十年は風呂にも入っていないだろう、痴垢まみれのペニスをいきなり口の中に挿入されて、  
“ゔぉるばどす”の咥内はひどいアンモニア臭に満たされた。  
それでも“ゔぉるばどす”は一生懸命に舌を動かし、頬をすぼませて、少しでも早く精を搾り出そうとする。  
「おい、もっとケツを上げろ!!」  
「は、はぃ…んふぅ!!」  
 四つん這いの姿勢で尻を高く持ち上げた“ゔぉるばどす”の下半身はすっかりザーメンで覆われているが、  
もう何百人もの浮浪者のペニスを受け入れた彼女の秘所は、ヴァギナもアヌスもぽっかりと口を開けていて、  
そこから涙のように止めど無く白濁液が溢れ出ているのが、浮浪者達にもはっきりと認識できた。  
 
「汚ぇマンコだなぁ……おい、ザーメンかき出した方が良くねぇか?」  
「それは…あぅう! 勘弁し…てぇ……あああぁっ!!」  
「しかたねぇ、俺の肉棒でかき出してやるぜ」  
 愛撫も何も無く、乱暴にヴァギナとアナルに勃起したペニスが突き刺さった。  
もっとも、開き切った“ゔぉるばどす”の秘所に愛撫は不用だろうが……  
「んぁああ!! あぐぅうう!! んくぅううううう……!!」  
「おらおら、もっと泣き叫べ!!」  
 女体へのいたわりなど何も無い、ただ男が快楽を貪るためのSEXだった。  
浮浪者のペニスがピストンする度に、ぶじゅぶじゅっと吹き出るザーメンに赤い色が混じっているのは、  
“ゔぉるばどす”の苦悶が決して演技ではない事を証明している。  
「でけぇオッパイだなぁ……なぁ、パイズリってやつをしてくれよ」  
「は、はぃいい……んはぁ!!」  
「オラ、両手が止まってるぞ。もっとちゃんとしごけ!!」  
「あふぅうう……もっと…もっと中に出してぇ……あああぁああああっ!!!」  
 順番を待ちきれない周囲の浮浪者達が己の肉棒を取り出し、  
たまらず漏らしたザーメンが魔法のように“ゔぉるばどす”に降り注ぎ、その肢体をますます白く汚していく。  
“ゔぉるばどす”の性器で、アナルで、口で、胸で、指で、  
その他あらゆる個所で達した男達の精液も、一滴残らず彼女の身体に注がれる。  
次々と陵辱者達は入れ替わり、休む間もなく“ゔぉるばどす”を犯していく。  
 とめどなく――永遠に――  
 
 ――って、見惚れてる場合じゃない!!  
 僕は愕然と“み=ご”さんの元に詰め寄った。  
「な、な、何で“ゔぉるばどす”さんが――!?」  
「彼女には、1年以上前から精液採取役を勤めてもらっています。  
1日10リットルの精液を、その性器とアナルと口で採取するのがノルマです」  
 僕に巫女服の襟首を掴まれても、“み=ご”さんは営業スマイルを崩さない。  
「じ、10リットルって……いやいや、そういう事じゃなくて」  
「ちなみに、その映像は先日分の録画です。  
今回、ノルマを達成できなかった彼女は、今このようなペナルティを受けています」  
 案の定、“み=ご”さんは僕の話を聞いていなかった。例によってムカつく。  
「右隣のモニターをご覧下さい。それが現在の彼女です」  
 憤然としながらも、僕はつい横目でそれを盗み見て――また絶句した。  
『…ん……はぐぅうう……んはぁああっ!』  
 この病院の近くにある商店街の歩行者天国――そこに黒山の人だかりができて輪を作っている。  
その中心に“ゔぉるばどす”さんがいた。  
 身体中をザーメンでグショグショにした全裸姿のまま!!  
仰向けの姿勢で腰を浮かし、周囲に見せ付けるように股間を広げて!!  
「ななな、何やってるんですか――!?」  
「これが今回のペナルティです。衆目に晒されながらオナニーをするように命令しています」  
『んはぁああ……ああうっ! 街中でぇ…こ、こんな事を……くぅううっ!!』  
 爪先立ちで腰を浮かせた“ゔぉるばどす”さんは、左手で自分の見事なロケットオッパイを揉み解し、  
ビンビンに立った乳首をコリコリをしごいていた。右手が蒼い陰毛の上からクリトリスを集中的に弄ると、  
それがスイッチみたいに開きっぱなしの膣口から断続的にピュッピュと精液が噴出していた。  
 
『はぁ…はぁ……でもぉ……ああううっ!!』  
 しかし、“ゔぉるばどす”さんのザーメンまみれの美貌は赤く火照り、周知と快楽の混じった声は、  
モニター越しにも本物の熱い吐息が伝わってくるようだ。  
 “ゔぉるばどす”さんは、明らかにこの状況に快楽を感じていた。  
「もっとも、今の彼女は『自分の周囲には誰もいない』と勘違いしていますが」  
 “み=ご”さんの言葉に、オナニー中の“ゔぉるばどす”さんの姿をよく観察してみると、  
彼女の目元はアイマスクで隠されているし、耳にはイヤホンらしき物が付いている。  
なるほど、これでは周りの状況も分からないだろう……彼女にとっては全然嬉しくないだろうけど。  
『おいおい、何だよありゃ……』  
『痴女って奴か? 美人なのに勿体無ぇ』  
『ママー。お姉ちゃん、なにやってるの?』  
『シッ、見ちゃダメよ』  
 彼女の痴態を遠巻きに見守る人々の目には、好奇と嫌悪、欲情と軽蔑の光が宿っていた。  
あんな視線を向けられるくらいなら、僕でも死んだ方がマシだと思うだろう。  
そんな状況に“ゔぉるばどす”さんは置かれているんだ。  
 でも、“み=ご”さんはその光景を見ながら、不満そうに眉をひそめていた。  
「誇り高き旧支配者である彼女には、こうした羞恥系のペナルティは極めて有効なのですが……  
現状では、あまりお仕置きになっていませんね」  
 ……あれ?  
 今の“み=ご”さんの発言に、何か違和感が……?  
「とりあえず、別方面からアプローチしてみましょう」  
 そう言うと、彼女は何とも古風なデザインの、  
大昔のSF映画にでも登場しそうなトランシーバーを取り出した。  
「えーテステス……“ゔぉるばどす”さん聞こえますか?」  
『……っ!! な、何用でござるか!?』  
 “み=ご”さんがトランシーバーに話し掛けると同時に、  
モニター内の“ゔぉるばどす”さんがビクっと反応を返す。  
なるほど、あのイヤホンは耳栓と同時に通信機にもなっているのか。  
「では、“ゔぉるばどす”さん。今、そこで脱糞してください」  
 
『は?』  
「は?」  
 僕は思わず“ゔぉるばどす”さんと同音異口で呆けた声を漏らしてしまった。でも、当然だろう。  
 たちまち“ゔぉるばどす”さんの顔が真っ赤に染まった。この反応も当然だ。  
 まともじゃないのは、“み=ご”さんの要求だ。  
『い、今……なんと……』  
「ですから、今、そこでそのままウンチしてください。排泄、脱糞ですよ」  
『そそそ、そんな事できる筈が――!!』  
「指示に従えないのなら、もっと大きなペナルティを与えますよ」  
『……ううぅ』  
 “ゔぉるばどす”さんは下唇を噛みながら、ゆっくりと身体を起こした。  
そのまま股を開くようにしゃがんで、子供のような排泄のポーズを取る。  
『…あ、あのぉ……せめて、浣腸か何かを所望したいのでござる…が……』  
「ダメです。貴方は何の力も借りずに、自分の意思でウンチするのです。  
さぁ、早く始めないと人が来ちゃいますよ」  
『――っ!! わ、わ、わかったでござる……』  
 羞恥にぷるぷる震えながら、“ゔぉるばどす”さんは両手で尻たぶを左右に広げた。  
先触れのように口を開けたアヌスから白い精液がこぽりと零れ落ちる。  
『ううぅぅぅ……はぁうううううっ』  
 下半身に力を込める“ゔぉるばどす”さんのアヌスは、つい数刻前まで散々嬲られていた為か、  
それほど時間をかける事無く茶色い汚物の先端を覗かせたのだけど――  
 
『あぁああああ……やっぱり…ダメでござるぅ……恥ずかしいぃ……』  
 そこで“ゔぉるばどす”さんの排泄行為は止まってしまった。  
イヤイヤと首を振りながら、ポロポロと涙を流す彼女の姿に、  
偉大なる邪神の面影は何処にも無い……  
「仕方ないですね。最後の一押しをしましょう」  
 朝の挨拶レベルの気軽な調子で、“み=ご”さんは恐るべき言葉を口にした。  
「目隠しとイヤホンを外してください。きっとそれで排泄できますよ」  
『え……』  
「外しなさい。早く」  
『し、承知したでござ――』  
 恐る恐る“ゔぉるばどす”さんは目隠しとイヤホンを外して――  
そして、今自分が置かれている状況を知った。知ってしまったんだ。  
『……いっ』  
 何十人もの視線が、自分の最も恥ずかしい姿に突き刺さっている――  
それが、最後の一押しとなった。  
「うおっ、本当にクソしてるぜ!?」  
「本物の変態かよ……」  
「あ〜あ、可愛い顔してあんなにたっぷりと……おお臭ぇ」  
「よく生きていけるわね……信じられない」  
『いやぁああああああああああ―――!!!』  
 そして……嘲りと笑い声、己の悲鳴と下劣な排泄音をBGMにして、  
“ゔぉるばどす”さんの羞恥は決壊した――  
 
「――うっひゃあ!?」  
 モニターに浮かぶあまりに壮絶な露出羞恥スカトロプレイに、  
口から魂を出しながら見惚れていた僕は、  
突然、電撃のように股間に走った衝撃に、素っ頓狂な悲鳴を上げた。  
「ななな、な、何してるんですか――!?」  
「あらあら、なかなか御立派な生殖器官をお持ちで」  
 我に返ってみれば、いつのまにか背後に回っていた“み=ご”さんの1人が、  
先程からの刺激的過ぎる光景に不本意ながらギンギンに勃起していた僕のペニスを、  
マッサージするように揉み解しているじゃないか。  
 このパターンは……もしや……  
「貴方の生殖器官も実験体として大変興味深いです。調べさせてもらいますね」  
 やっぱりこのパターンかぁぁぁぁ!!  
 
「ふぐぅ!! んぐふううぅぅ……んぐはぅ!!」  
「がはぁああああ!! ダメぇ!! もうやめてくだされぇぇぇ!!」  
 今、僕の目の前で、あのまま強制飲尿プレイを続けられている“がたのそあ”さんと、  
衆人露出スカトロプレイの後に救急車で回収された“ゔぉるばどす”さんが悶絶している。  
 “がたのそあ”さんは天井から吊るされたまま、  
“ゔぉるばどす”さんは後ろ手に拘束され床に転がされて、地獄の苦痛を味わわされていた。  
 苦悶の原因は、2人の肛門に突き刺さったポンプ付きのチューブにあった。  
子供なら拳が入りそうなくらい太いチューブは、容赦無く2人のアヌスの奥まで挿入されていて、  
「んぐぅううぁああああ!! あぐぅうううう!!!」  
「ひゃうううううっっ!! ゆ、ゆるしてぇ……ぁはああっ!!」  
 そこから水道の蛇口を全開にしたぐらいの勢いで、大量の洗浄液を注入しているんだ。  
あまりに大量の液体を浣腸された為に、妊婦以上に2人のお腹が膨らんでも、  
洗浄液の注入は止まらない。ついに口から洗浄液が溢れ出てから、ようやく注入はストップして――  
今度はポンプが逆流し、一気に排泄を強要する。  
「んふわぁああぐぅううううう!!!」  
「いやぁあああああ!!! ぁああああああああ!!!」  
 強制浣腸と強制排泄――一瞬の停滞も無く繰り返される苦痛と快楽の嵐。  
“がたのそあ”さんと“ゔぉるばどす”さんは、先刻からこの責め苦を何十回と繰り返されていた。  
“み=ご”さん曰く、これはあくまで腸内洗浄らしい。  
 無論、僕も止めようとしたけど……今の僕が置かれている状況も、  
2人に負けず劣らずピーンチだったりする。  
「んはぁ…んんっ……美味し……」  
「御立派ですね…お客様の…はあぁ……」  
 ただ、僕の方は地獄じゃなくて天国だけど。  
 
 まるで今から改造手術で戦闘員にされそうな感じで、僕は怪しい手術台に貼り付けにされていた。  
手足を大の字に広げられたまま拘束帯で完全に繋ぎ止められて、  
形容じゃなくて腕一本動かせない。服も全て剥ぎ取られてしまった。  
 そして、こんな状況にもかかわらず、しっかり勃起している僕のペニスを、  
あの大和撫子風“み=ご”さんと、同僚らしいショートカットで眼鏡の“み=ご”さんが、  
2人がかりで舌を這わせて、陰嚢を揉み、シャフトをしごき、亀頭をしゃぶっているんだ。  
「うふふ、カウパーが出てきましたよ……じゅるるっ」  
「アヌスも舐めてあげますね……んんんっ」  
 う、上手い、上手過ぎる……さすが看護婦さん、人体の構造を熟知しているのか、  
性感帯を刺激しまくる極上のフェラだ。快楽のあまり股間からドロドロに溶かされて、  
このまま怪奇スライム男に改造されてしまうんじゃないだろうか……  
 ふにょん  
「!!」  
 突然、僕の頬が甘く柔らかな感触に包まれた。  
視界一杯に広がる白い乳肉と、ピンク色の乳首――“み=ご”さんの1人が、  
その巨乳で僕の顔を挟んでいるんだ。  
「あらあら、やっぱり男性は女性の乳房に性本能を刺激されるのですね」  
 ちょっと吊り目気味の“み=ご”さんが、娼婦のように淫猥な動きで僕の顔を乳房で愛撫する。  
オッパイ星人な僕に、このプレイは刺激が強過ぎるよ……  
あああああ、この手が自由ならば、思う存分揉みまくってやるのにぃぃぃ!!!  
 
「うふふ」  
「あらあら」  
「面白そうね」  
「こんな感じかしら?」  
「では、私も」  
「可愛い」  
 おまけに他の“み=ご”さん達までが、巫女服の白上衣を肌蹴てボリュームのある巨乳をまろび出し、  
僕の身体中に押し付けてマッサージしてくれた。  
むにゅむにゅと沢山の乳房が僕の身体中を這い回り、乳首を擦り付け、全身の性感帯を刺激する。  
勿論その間にも、股間を責める“み=ご”さんのフェラは進行中だ。  
天国的な陶酔の中、僕はたまらず精を漏らして――  
「……え?」  
 精を漏らして――漏らして――漏れない? 漏らせない!?  
 射精できない!?  
 慌ててオッパイの海の中から自分の股間を覗いて見ると――なんと、  
あの“み=ご”さん達がフェラしながらペニスの根元をベルトで縛り上げ、  
精液をシャットダウンしているじゃないか。  
 僕は一気に天国から地獄へと叩き落された――  
 
「うぐぅうううう!! ふぐぅうううううう!!」  
「かはぁ…あぐぅうう!! だめ、駄目、ダメぇ……だメぇええええええ!!」  
 一方、“がたのそあ”さんと“ゔぉるばどす”さんの地獄も継続していた。  
無限とも思える回数繰り返された強制浣腸と強制排泄に、  
2人の腸内は排泄物の欠片1つ残さず洗浄されて、  
ただ綺麗な洗浄液を出し入れするだけの肉袋と化している。  
 その状況に飽きたのか――1人の“み=ご”さんが、  
全身ザーメンまみれの“ゔぉるばどす”さんのポニテを掴み、顔を持ち上げた。  
「そういえば、精液で汚れたままでしたね。今、ここで洗浄しましょう」  
 そのまま、吊るされている“がたのそあ”さんの真下まで“ゔぉるばどす”さんを引き摺って――  
“がたのそあ”さんの股間に手を当てた。  
「ふぐぅ!!」  
 “がたのそあ”さんの股間に生えている金属的な光沢を放つ物体――  
尿道に突き刺さって排尿を禁じていた水道の蛇口が、ゆっくりと捻られて……!!  
「ふぐぅあぁああああぅううううう!!!」  
 半年分のオシッコが、黄色い奔流と化して蛇口から噴出した。  
長期間溜めに溜めた久方ぶりの排尿行為による爆発的な快感に、  
“がたのそあ”さんは自動人形のように全身をガクガクと痙攣させる。  
「きゃあぅうううう!! あぁああああああああ……」  
 そして、頭から“がたのそあ”さんのオシッコを浴びる“ゔぉるばどす”さんも、  
身体中を白いザーメンと黄色い小便でマーブル模様に染めて、  
恥辱の快楽に陶酔しながら“がたのそあ”さんの排泄を受け入れていた……  
 
「ふぉおお!?」  
 僕の快楽地獄も続行中だ。今、僕の身体の上には、あの大和撫子風“み=ご”さんが、  
股間を見せつけるように跨っている。ハイレグ状に切れ込んだ緋袴を横にずらして、  
むわっと女の匂いを濃密に漂わせるピンク色の秘所を覗かせていた。  
「では、男性器機能を確かめさせてもらいます」  
 すとん、と椅子に座るような軽い感じで、“み=ご”さんのヴァギナが僕のペニスに突き刺さる。  
「――っ!!」  
 股間が爆発するような快感が僕を襲った。  
苦痛を覚えるギリギリの強さでペニスを絞める“み=ご”さんのアソコは、  
『邪神』の例に漏れず、まさに人外の領域にある凄まじい快楽を与えてくれる。  
「んっ……あはっ……イイ…ですよぉ…っ!」  
 長い黒髪を振り乱し、豊満な巨乳をブルンブルンと揺らしながら、  
恍惚の表情で“み=ご”さんは腰をピストンさせた。  
さっきから射精を封じられてイクにイけないこの状態で、彼女の騎乗位はあまりに刺激が強過ぎる。  
快楽の無限地獄に、僕の精神は崩壊寸前だった。  
「こ、この男性器は……イイっ…優秀ですね……ああっ……実験資料としてぇ……んっ…保管しましょう」  
「え?」  
「ああぁ……御安心を…くぅ!  
ちゃんと…脳髄も缶詰にしてぇ……あふぅ……保管しますから……ぁああ!!」  
 快楽に喘ぎながらも、“み=ご”さんの表情は本気と書いてマジだった。うわぁあああああ!!  
精神だけじゃなくて物理的にも大ピーンチ!!!  
 た、助けて!! “つぁとぅぐあ”さん!!……は無理だし、“しょごす”さんもこの状況じゃ駄目だし、  
なぜか“おとしご”ちゃんの反応も無いし、目の前にいる“がたのそあ”さんと“ゔぉるばどす”さんは、  
逆に向こうが助けて欲しそうだし……あ、そうだ!!  
「“てぃんだろす”!!“いたくぁ”さん!! 助け――」  
「婦長、1Fのカフェでイタクァ神とティンダロスの猟犬を確保しました」  
「ご苦労様、すぐに両者で実験を開始しましょう」  
 なんですとぉおおおお!?!?  
 動揺する僕の周囲に、怪しいSFチックな機材が次々と運ばれていく。  
この中のどれかが、僕の脳味噌を取り出すミラクルマシンなんだろう……  
 うわぁああああああ……もう駄目だぁ!!  
 誰か!! 助けて!! もう、誰でもいいですから!!!  
 
ざざざ ざざざざざ  
ざざざ ざざざざざ  
 
 そして――結果だけを述べれば、僕の願いは叶えられた。  
あくまで、結果だけを見れば。  
 
ざざざ ざざざざざ  
ざざざ ざざざざざ  
 
 ――潮騒――波打ち際のBGM――海の音――  
 
ざざざ ざざざざざ  
ざざざ ざざざざざ  
 
 街中の病院の一室に、その音が響いていた。  
 
ざざざ ざざざざざ  
ざざざ ざざざざざ  
 
「何事ですか!?」  
「この反応は……まさか!?」  
 “み=ご”さん達の動揺の声も、その潮騒にかき消される――  
それほどの存在感が、その音にはあった。  
 
ざざざ ざざざざざ  
ざざざ ざざざざざ  
 
 スポットライトが、病室の真中から床の一点を照らす。  
いつ部屋が暗くなっていたのか、どこからスポットライトが照らしているのか、  
僕だけではなく『邪神』と呼ばれる者達にも、それはわからないのかもしれない。  
 
ざざざ ざざざざざ  
ざざざ ざざざざざ  
 
 スポットライトの中に、虚空から何かが舞い落ちる。  
 一見、二枚貝のように見えたそれは、優美な文様の描かれた、広げた1枚の扇だった。  
 
ざざざ ざざざざざ  
ざざざ ざざざざざ  
 
 扇は次々と舞い落ちる。まるで秋の夕暮れの落葉のように。  
 不思議な事に、あれだけの扇が舞い落ちたにもかかわらず、  
床の上には1枚の扇も存在していない。  
 
ざざざ ざざざざざ  
ざざざ ざざざざざ  
 
 一瞬、舞い落ちる1枚の扇が僕の視界を隠して――  
 
ざざざ……  
 
 潮騒が止んだ。  
 スポットライトが消えた。  
 落葉は終わった。  
 そして、『神』がそこにいた。  
 
 
 
 
 白  
 
 
 
 
 白い。  
 ただ、無限に白い。  
 僕がその『神』に抱いた印象は、その白さだった。  
 平安時代の男性貴族や陰陽師が着ていそうな、狩衣とか呼ばれる衣装の色は――白。  
 能楽の翁のような老人の仮面の色は――白。  
 手にする1枚の扇も、様々な装飾具も、全てが、ただひたすら、恐ろしいまでに白かった。  
 その時、僕は理解した。  
 絵画や映画、漫画にアニメ、様々な映像媒体においては、  
何も存在しない『無』を表現するのに『黒』という色を使う。しかし、それは間違いだ。  
 本当の『無』は――あの色だ。  
 全ての色を内容する『混沌の黒』ではない。  
あらゆる色を否定する『純粋な白』こそが、本当の『無』なんだ。  
 世界のあらゆる不純物を否定する『白』――世界で一番残酷な『白』――  
 その『白』を具現した存在が、僕達の目の前にいる。  
 今、僕の呼吸は正常だ。脈拍も安定、筋肉も内臓も神経も全てがリラックスした状態にある。  
……こんな状況にも関わらず。  
 人間という生き物は、本当の恐怖と遭遇した時、そんな状態になるらしい。  
 彼女は――なぜ、あの存在が女性だと判別できるのかはわからない――『邪神』に間違いない。  
彼女に抱く印象は、今まで僕が遭遇してきた邪神達のそれと同質だ。  
 でも、何かが違う。何かが決定的に、そして致命的に違う。  
 あの『神』は――『邪神』じゃない!!  
 
「あ……あああ……」  
「あぁあああ……貴方は……」  
 震える声は誰が発したものだろう。きっと、この場の全員がそう呟いていたのに違いない。  
『――“大帝”――!!』  
 “大帝”は、周囲の状況をまるで気にする様子を見せずに――  
ただ、ゆっくりと扇を振った。能を舞うように優雅な動きだった。  
 その後、何が起こったのかを説明するのは難しい。  
少なくとも、単なる人間という種族に過ぎない僕には不可能だ。  
 “み=ご”さん達が1人残らず、病院ごと消滅して、ただ何も無い空き地に、  
気絶したように地に倒れた“がたのそあ”さんと“ゔぉるばどす”さん、  
同様の“いたくぁ”さんに“てぃんだろす”、そしてなぜか無事な僕と“大帝”だけが佇んでいた――  
――そうとしか言いようがなかった。  
後でわかった事だけど、『ユゴス総合病院』の存在自体が無くなっていて、  
佐野さんを始めとした患者達も、初めから別の病院に入院していた事になっていたんだ。  
 唖然を通し越して放心していた僕の前で、  
「“混沌化”が斯様な所にも侵食していたとはな」  
 仮面を通したくぐもった声で、“大帝”は呟いた。独り言のようにも、  
全ての者達に話し掛けているようにも聞こえる、奇妙な響きの呟きだった。  
 その言葉を発したきり、何事も無かったかのようにすたすたと立ち去ろうとする“大帝”の背中に、  
「あ、あの」  
 僕は思わず声をかけていた。  
なぜ、そんな事をしてしまったのか――僕自身にもわからない。  
よくわからないけど、つい話し掛けてしまったんだ。  
 “大帝”の足が止まった。  
 
「何か?」  
 振り向く事もなく、あの独特の呟きが虚空に響く。  
「ええと……その……助けてくれてありがとうございました」  
 とりあえず、頭を下げる。よくわからないけど、あの御方が僕達を助けてくれたみたいだし。  
いや、あくまで推測だけど。  
 “大帝”は、しばらく無言で佇んでいたけど、  
「そなたを助けたわけではない。かつての僚友を助けたまでの事」  
 すっと扇が指した先には、気絶した“ゔぉるばどす”さんの姿があった。  
「“ゔぉるばどす”さんを……?」  
 ほんの僅かに、“大帝”が頷いたような気がする。  
「人間よ……警告しておく」  
「は、はいっ」  
「これ以上、我等『邪神』に関わるな。『邪神』にとっても、そなたにとっても、それが身の為だ」  
 その呟きが、僕の耳に届いた時には――もう、あの白い神の姿はどこにも無かった。  
 
 
「――ふぅん……大変でしたねぇ」  
「まったくでござる!! いやはや、大変な目にあったものです」  
 数時間後――暗黒世界ン・カイは、ちょっとした『邪神達の集会場』と化していた。  
 あれから僕は、かなり大変な思いをして気絶している邪神さん達を自宅まで運び、  
例によって“つぁとぅぐあ”さんの元に訪れた。  
この人間には意味不明な状況を何とかするには、  
“つぁとぅぐあ”さんに頼るしか方法が思いつかなかったからだ。  
 幸いにも、ン・カイに着いて間もなく皆は意識を取り戻した。  
“がたのそあ”さんや“ゔぉるばどす”さんも、あの『邪神』本来の威厳と迫力を取り戻して、  
病院での変態プレイの痕跡も残っていないようだ。  
 で、“つぁとぅぐあ”さんに“いたくぁ”さんに“しょごす”さんに“てぃんだろす”に“おとしご”ちゃん、  
“がたのそあ”さんに“ゔぉるばどす”さん、“あとらっく=なちゃ”さんに“あぶほーす”さんまで集合して、  
あの時病院で何が起こったのかを検討しようとしていたのだけど……  
「……それが、何も覚えていない」  
「拙者も右に同じでござる」  
「……以下同文……」  
「わぉん、わんわん」  
 不思議な事に、あの場にいた(僕を除く)全員が“大帝”が出現してからの記憶を失っていたんだ。  
僕の方から“大帝”の事を話すのは、なぜか躊躇われた。  
 まぁいいか。実際、僕自身にも何が起こったのかよくわからないし。  
「それにしてモ、なぜ“がたのそあ”様や“ゔぉるばどす”様ともあろう御方ガ、“み=ご”族の実験体ニ?」  
「不思議ですわね。“ゔぉるばどす”神はともかく、  
“がたのそあ”神と“み=ご”族は、“しゅぶ=にぐらす”神の一派を除けば同郷だったはず。  
敵対しているとは思われませんし、仮に敵対しても、御二方の力なら、“み=ご”族など一蹴できたのでは?」  
 “しょごす”さんと“あとらっく=なちゃ”さんの疑問の声に、  
“がたのそあ”さんは拘束具の奥から苦汁を滲ませた。  
 
「……それが、我にもよくわからぬのだ」  
 “がたのそあ”さんの話によると、あの“ゔぉるばどす”さんとの一件の後、  
ヤディス=ゴーという自分の住処に戻った時から、急に神様としての全ての力を失ってしまったそうだ。  
それに力を失うだけじゃなく、精神状態も不安定になって、ああして肉便器役の立場にも甘んじるような、  
とても神様とは思えない情けない人格に変貌していたという。  
邪神の力を失って成す術も無い状態の“がたのそあ”さんは、  
何処からともなく出現した“み=ご”さん達に捕らえられ、あんな境遇に遭わされていたのだ。  
「拙者も同様でござる。ええい、斯様な情けない姿を晒す事になるとは……  
“ゔぉるばどす”、一生の不覚でござる!!  
修行で羞恥心を克服した拙者なら、あんな露出スカトロプレイなど平気の平左。むしろカモーン!であったのに」  
 いや、“ゔぉるばどす”さん……それも人としてどうかと思いますが……あ、人間じゃないけど。  
「…………」  
「え?“み=ご”族も同様に精神状態が変になって、“がたのそあ”さん達を襲ったのかもしれない?  
なるほど、“あぶほーす”さんの言う通りかもしれませんね」  
「あう、わぉん」  
「……お茶飲みたい……」  
 (1柱を除いて)皆があれこれ原因を考えているけど……明確な回答は誰にも思いつかないらしい。  
僕の方はというと、神様にもわからない事が、人間に過ぎない僕にわかる筈がないわけで――  
 
 
『混沌化』  
 
 ――!?  
 心臓が一瞬停止した。  
 あの時、“大帝”が呟いた言葉――なぜかその言葉が、ふと僕の脳裏に浮かんだ。  
 一体、何を意味しているのだろう……?  
「――というわけで、しばらくここに厄介になるでござる」  
「……しばらくヤディス=ゴーに戻れぬとあらば、やむをえんか」  
「へ?」  
 突然の言葉に、僕は間抜けな声を漏らした。  
「な、何の話ですか?」  
「ですかラ、しばらく“がたのそあ”様と“ゔぉるばどす”様がン・カイに居候する事になったのでス」  
 い、いつのまにそんな話に――!?  
「まぁ、私は構いませんわ。深淵の橋造りを邪魔しなければ、ね」  
「…………」  
 “あとらっく=なちゃ”さんと“あぶほーす”さんに異議はなさそうだ。  
元からン・カイに住んでいないメンバーには、もちろん口出しする権利は無い。  
「あのぉ……ボクにも意見があるのですがぁ」  
 案の定、“つぁとぅぐあ”さんの異議は全員から黙殺されていた。  
「それでは皆の衆、しばらく厄介になるでござる」  
「……借りができるな」  
 “ゔぉるばどす”さんが深々とお辞儀をして、“がたのそあ”さんは不本意そうにそっぽを向く。  
 なんだかよくわからないけど……どうやら、ここも賑やかになりそうだ。  
「そうそう、ひでぼん殿」  
「はい?」  
「供物を捧げるのは、1日1回で構いませぬぞ」  
「え?」  
「……我も同様だ」  
「え、え?」  
 ……どうやら“つぁとぅぐあ”さんの呟きは、僕にとっても他人事ではなさそうだ……  
 
 
「――さて、そろそろ俺達の出番かな」  
「首を洗って待ってなさい!! 食っちゃ寝旧支配者!!」  
「深く、静か、に、冷、たく、侵、攻せ、よ」  
「久しぶりに姉さんに会えるのね。楽しみ〜♪」  
 
続く  
 

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