「…ぐすっ…んっ…うぅ〜…」
「あぁ…頼むからそんなに泣かないでくれよ…なっ?」
薄暗い車庫、両親や兄の車、その横の狭いスペースにしゃがみ込んで
俺は涙を流す彼女に謝罪の言葉を述べている、
「俺が悪かった!ゴメン…いきなりあんな乱暴な事をして…そんなに
痛かった?」
「ぐすっ…ズズッ…いたかった…本当に痛かったんだからね!!」
鼻を啜り上げながらも健気に反論してくる
「ゴメン、本当にゴメン!もうあんな事は絶対にしないよ、ほら、
もう泣き止んでよぉ綺麗な顔が台なしだよ?」
そんな事を言いながらブレザーのポケットからティッシュを取り出し
彼女に差し出す
「…だって、チーーン!! 本当に身体が壊れちゃうかと思ったんだもん」
そう彼女が泣いているのは何を隠そう俺のせい、学校からの帰り道、
何時もと同じ道を同じ様に帰って来ていた、ただ一カ所を除いては…
帰り道の途中にある階段、何時もなら横に付いているスロープを通って
降りるのだが今日は違った、綺麗な青一色の空を見上げていた俺はその
まま10段以上ある階段に突っ込んでしまった、ケツは痛いし玉も痛い、
おまけに彼女も泣かす、と踏んだり蹴ったりだ、えっ?なんで彼女が
痛がって泣いていたかって?それは…
「なぁ、アルサス、俺この後バイトが有るからまた乗って逝きたいんだけど?」
「エェー、バイト先なんて近いじゃない、いちいち私に乗らなくても歩いて
行けるよぉ、それともわざと私に無理させたいの?」
「あぁ!?時間が無い!!このまま乗ってくぞ、」
「えっ!?あっ!ちょっとそんなに乱暴に乗らないで、苦しいぃ!」
そう、彼女は俺の愛車(自転車)に宿った九十九神なのです
おしまい