地下へと続く石段を、2人の男が下っていた。  
明かりと呼べる物は先を行く細身の男が持つランプだけで、地の底まで続くのではないかというこの場所ではいささか以上に頼りない。  
それでも男達はこの道を通い慣れているらしく、その足運びに不安の色はなかった。  
靴裏が石を叩く硬質な音だけが規則的に生まれ、狭い通路に反響する時間がしばらく続くと、やがて階段は終わりを告げる。  
「わざわざ御足労おかけして申し訳ありません」  
足元が平坦になったところで、先を行く男が口を開いた。  
「なに、構わんよ。  
 今ではこれが唯一の楽しみのようなもの……おっと、さすがにこれは不謹慎だったかな」  
後ろに続く、こちらは対照的に恰幅のいい男が鷹揚に頷きながら返す。  
すでに初老の域に差しかかったこの男の肩書きは、この地方を治める領主というもの。  
若くして父の後を継いだこの男は、当初はその若さから来る情熱をもって古き悪習を積極的に改革していった。  
しかしそれに対する、特に内部からの抵抗は激しく、そしてまた悪しき伝統はあまりにも膨大で彼が手を入れることができたのはそのほんの一部だ。  
それでも領民はこの新しい領主に心から感謝し、彼もそれに充実感を得、次の改革への原動力としていった。  
だが10年経ち20年経ち、彼の情熱は徐々に徐々に磨耗していった。  
どんなに自分が苦労して改革を成し遂げても、領民がその事に感謝するのはせいぜい数年。  
時が経てば、それを当然のものとして受け入れ、さらにそれ以上を望む。  
彼がどれほどの苦労をして、先の改革を成し遂げたかなど考えもしないと、少なくとも彼自身には感じられた。  
最初は領民の声援を背中に受け、自分の意思で走っていると思っていた。  
なのに、いつしか彼らに背中を押され、無理矢理走らされているような、そんな錯覚に陥ってしまう。  
そんな折りに聞いた、遠い異国で行われているという醜悪な刑罰の噂。  
それが、転落の始まりだった。  
「いえ、そう思っていただけるなら、御多忙の中お手間を取らせるこちらとしても幾分気が楽になります。  
 時に今回は新たな趣向を御用意致しましたので、今まで以上にお楽しみいただけるかと」  
「ほう、新種か?」  
口元に浮かぶのは期待に満ちた笑み。  
「ええ、南方の密林の奥で見つかったとかで」  
いくつかの扉の前を素通りし、最終的にたどりついたのは突き当たりにある部屋だった。  
地獄から這い出してくる亡者を閉じ込めておくための蓋と言われても信じてしまいそうなほどの重苦しい鉄扉。  
領主を先導していた自警団長の手が、その扉にかけられた。  
 
部屋にいたのは制服を着た数人の自警団員と、そして鎖付きの足枷をはめられた1人の若い女だった。  
女の年の頃は十代後半といったところだろうか。  
顔立ちは整っていて、活動的に短めに揃えられた金髪と、少し太めな眉が彼女の性格を物語っているようだ。  
どこか中性的な首から上とは対照的に、首から下はすでに極めて女性的な曲線を描いている。  
身に着けた質素な服、その薄手の生地を内側から持ち上げる胸丘のサイズは平均をはるかに上回る事が確実で、腰回りの肉付きも十分だろう。  
「領主様、これは何かの間違いです。  
 私は何もやっておりません」  
気丈そうな印象を裏付けるように、少女は部屋に入ってきた領主の姿を確認するなり自分の無実を訴えた。  
だがそれに対して返された、領主の値踏みするような視線に全身を舐め回されて少女はわずかに怯えの色を浮かばせる。  
「容疑は?」  
「窃盗です。  
 盗まれた物は彼女の家で発見されたのですが、ご覧のようにどれだけ問い詰めても認めようとはしないのです」  
「それで、あれか。  
 仕方あるまいな。  
 許可しよう」  
短い、そして予め用意されていたやりとり。  
これだけで、少女の未来が決定される。  
「な、なにを……ふむぅ!?」  
領主の言葉に控えていた男達が少女に歩み寄り、慣れた手付きでこれから始まる尋問の準備を整えていく。  
まずは最中に誤って舌を噛まないよう空気穴の開いた球状の口枷を嵌めた。  
そして1度足枷を外すと下着に至るまで全ての衣類を剥ぎ取っていく。  
少女は必死に暴れたが、屈強な男数人がかりの行為に抵抗しきれるはずもなく、わずかな時間で一矢纏わぬ姿にされてしまう。  
続けて3つの穴が開いた横長の板に首と両手首を固定され、最後に肩幅ほどに開かされた両膝の間に、それ以上閉じられないように拘束具を嵌められる。  
まるで解剖を待つカエルのような無様な姿。  
本来秘すべき場所を何人もの男の目に晒され、少女の目には大粒の涙が浮かぶ。  
それでも体の自由どころか言葉まで奪われた彼女にできたのは、喉の奥から呻き声を上げる事だけ。  
全ての準備が整うと、男達は少女の体を担ぎ上げ、部屋の隅に運ばれていった。  
 
部屋の隅に設置されている何かの設備にかけられた布製の覆い。  
それが外されると、下から現れたのは透明なガラスでできた円筒形の大きな水槽のようなものだった。  
胴の部分は直径、深さ共に2メートルほどで、中には8分目まで水が入れられている。  
自分が水責めを受けると思ったのだろう、少女の顔が引き攣り見る見る内に血の気を失わせていった。  
一方で領主は訝しげに眉をひそめると、横にいる自警団長に視線を向ける。  
「これはどういうことだ?」  
新しい趣向がただの水責めではあるまいなと、その視線が言外に告げていた。  
「口で説明する前に、我々も近くに参りましょう。  
 その方がより一層楽しめるでしょうから」  
納得いかないという表情の領主を促し水槽の前に移動する。  
そして懐からコインを取り出すと、それを水槽の中に投げ入れた。  
「……これは!?」  
重力に引かれ放物線を描いて水面に落ちたコイン。  
しかし水中での動きは、明らかに普通ではなかった。  
当然水よりも重いはずのコインが、水中で上に横に下にと不規則に動きまわる。  
だがそんな不可解な挙動をしたのも数分、やがてそれまでの動きが嘘のようにコインは水底ヘと沈んでいった。  
「何かいるのか?」  
領主がガラス面に顔を近づけ目を凝らす。  
遠目にはただの水にしか見えなかったが、ここまで近づいてみると水中にかすかな揺らぎのようなものが確認できた。  
「これが見つかったのは、現地の人間が人を食う沼と恐れている場所だったそうです」  
「人を……食う?」  
「なんでも、少なくとも水面付近には何もいないにも関わらず、一度足を踏み入れればたちまちの内に引き摺り込まれ、あとは死体すら上がらぬのだとか。  
 そこで調査したところ、実際には限りなく透明に近い触手がその犯人だったというわけです」  
「ということは、肉食なのか?」  
「いえ、これ自身には原則として人間を殺すだけの力はありません。  
 基本的には他の生物を水中に引き摺り込み溺死させ、その死体が腐ることで養分に富んだ水を体内に取り込むのがこれの食事だと報告を受けています」  
 
女を担いだ男達が、水槽の脇に設置された台に上っていく。  
その間、領主と自警団長の会話で自分の未来が水責めなどよりはるかに悲惨なものだと知った少女が、最後の力を振り絞って抵抗したが、結局その運命から逃れることはできなかった。  
「あああーーーーっ!」  
水槽の口に、首と両手首をはめた板でちょうど橋渡しをするような形で、少女の身体が水中に沈められる。  
水面は胸や臀部のボリュームとは対照的に絞られたくびれの少し上程度。  
先ほどはコインという無機物で肩透かしを食らった触手達が、今度こそ与えられた極上の獲物に一斉に群がっていった。  
水中で女の肌が波を打つ。  
触手がその身を擦り付けているのだ。  
ぬめりを帯びたそのおぞましい感触から逃れるように、女ががむしゃらに首を振りたくる。  
ブロンドの短髪が舞い、涙とも唾液ともつかないものが周囲に飛び散り壁にかけられた松明の明かりを反射した。  
「ふむぅっ、んん、んあああ」  
部屋の中にくぐもった少女の絶叫と水音、そして板と水槽がぶつかるガタガタという音が響き渡る。  
「ふぎぃっ!?」  
不意に少女が声を詰まらせる。  
その原因は周囲で見守る男達には一目瞭然だった。  
膝の拘束具で無理矢理足を開かされていても頑なに閉じていた少女の割れ目が開いていく。  
もちろん実際には透明な触手が無理矢理その身を捩じ込んでいるのだが、男達にはまるで彼女の性器自身が意思を持ち男を咥え込もうと淫猥に口を開けていくような錯覚を起こさせた。  
大きく口を開けた女の中、桃色の襞が連なる様子までもが鮮明に確認できる。  
「ほう、生娘なのか、中まで綺麗なものだ」  
領主の呟きは次の瞬間証明された。  
穴の奥、特に狭まった場所が押し広げられると鮮やかな紅色がそこに生まれ、すぐさま水中に散っていった。  
処女膜を破られた激痛に女が喉を仰け反らせて吠える。  
身を引き裂く激痛と、体の奥の奥まで覗かれる羞恥。  
それを聞いてなお男達は薄ら笑いすら浮かべ、彼女に救いの手を伸ばそうとはしない。  
まして本能だけで生きる触手がそこで止まる道理はなかった。  
 
無惨に割り開かれた少女の膣が、それまで以上に歪に形を変える。  
別の触手が無理矢理体を割り込ませようとしているのだ。  
「どうやら破瓜の血を養分と認識したようですね」  
「腹が破れたりはせんだろうな?」  
内側から圧迫された少女の下腹部がボコボコと不規則に盛り上がる。  
どう見ても少女の許容量を越えていそうなその光景に、領主の口調がわずかにかげりを帯びた。  
だがそれは少女のことを心配したわけではなく、ただ単に自分の楽しみがすぐに終わってしまうことを危惧しただけだ。  
「水の中に例の触手の分泌液を混ぜてありますから大丈夫でしょう」  
それを聞いた領主が再び嗜虐的な笑みを蘇らせる。  
例の触手というのは以前この行為に使われたことのある触手の1つだった。  
人間をはじめ、他の生き物の雌を生殖に利用するその触手は、捕らえた獲物が死なないようにいくつかの分泌液を使い分ける。  
ある物は母胎を維持するための養分となり、ある物は膣の伸縮性を高めることで挿入、出産のサポートをする。  
そしてまた、後者の分泌液は女の性感を極限まで高める催淫作用も持ち合わせていた。  
人外の肉悦に耽溺させ、逃げようなどと思わせないために。  
「どうやら効いてきたようだ。  
 表情だけでも悪くはなかったが、こうして嬲られる様を見ることができると格別だな」  
領主の視線の先、膣口より少し上にある小さな突起が徐々にその体積を増していく様子がはっきりと見て取れた。  
「ふむっ、んあっ、ああっ」  
水中にある以上、そこも触手達から逃れることはできなかった。  
精一杯立ち上がったその突起を捻られ潰され捻られると、それに合わせて少女の口からスタッカートをきかせた喘ぎが漏れ始める。  
血の気を失っていた肌がやがて赤みを帯びていき、痛みに見開かれていた瞳がトロンと目尻を下げていく。  
鼻から抜けるような吐息。  
口の端からとめどなく零れ落ちていく唾液。  
触手の責めを受けていない胸の膨らみの先端で、しこり立った小さな蕾が刺激をねだるようにヒクヒク震えていた。  
「ふあ、あ、ああ、ああああああーーー!」  
一際大きな叫び声。  
水中でバタバタと暴れていた膝から下がつま先までピンと伸び切り、少女が初めての絶頂に打ち上げられたことを物語る。  
幾度かの痙攣。  
そして股間の周囲にわずかに白みがかった靄のようなものが生まれ、破瓜の血と同様一瞬で散らされていった。  
それから一拍遅れて、今度は薄黄色の液体が少女の股間に広がっていく。  
空気と一緒に魂まで抜けていくような吐息を鼻から抜けさせながら、少女は絶頂の余韻に身を委ねていた。  
 
「お、お願い……もう、許して……」  
引き上げられ口枷を外された少女は息も絶え絶えの状態だった。  
「改めて聞きますが、あなたは自分の罪を認めますか?」  
下から見上げる自警団長の問い掛けに、少女は迷いの表情を浮かべて口をつぐんだ。  
だが彼女の体を引き上げた男達が、自警団長の目配せで再び彼女の体を下ろす気配を見せると弾かれたように口を開く。  
「わ、私がやりました! だから……」  
それを見届けた自警団長は満足そうに頷くと、部下の男達に次の指示を下す。  
「それでは、このまま刑の執行に移ります」  
その宣告に、別の男が水面が数十センチ上がる程度まで水槽に水を足していく。  
それが済むと懐から取り出した小さな瓶の中から糸ミミズのような生物をつまみ出し、それを少女の胸の先端に押し付けた。  
「な、なに……入って、いやぁっ!」  
限界まで勃起しながらも慎ましさを失わない少女の乳首に、我が物顔でスルスルと潜り込んでいく糸ミミズ。  
手を拘束されたままの少女は身をよじってそれを振り払おうとするが、その努力の甲斐なく尻尾まで完全に入りこまれてしまう。  
「中で……動いて……や、もうやめてぇ」  
体内の異物感に惑乱する少女のもう片方の胸にも同じ行為が施され、再び水面に向けて彼女の体が下ろされていく。  
「や、やめ、もうこれはいやなのぉっ!」  
半狂乱になって抵抗する少女。  
「漏らすほど感じておいて、いまさら嫌ということもなかろう」  
嘲笑混じりの領主の言葉。  
触手に散々感じさせられイカされて、挙句失禁する所まで余すところなく観察されていたことに少女は絶望する。  
そしてその抵抗も下腹部が水中に入り、再び膣を透明触手に貫かれると目に見えて勢いを失った。  
「ふあ、だ、だめ、こんなのだめなのにぃ」  
早くも全身を襲い始めた快感に少女の目が焦点を失っていく。  
「ふぇ? む、胸まで……ふああ」  
水を足され水面が上がっていたせいで、今度は胸まで完全に水没する。  
水中でグネグネと形を変える豊満な乳房。  
そこから生まれる未知の感覚に少女は為す術もなく翻弄された。  
すでに全身に媚薬が回り、全身どこを触手に這われても快感だけしか生まれないよう体を作り変えられているのだ。  
まして元より性感帯としての素質を備えたその器官を滅茶苦茶に嬲り回される感覚に、少女の意思が耐えられるはずがなかった。  
「ふぃぃ、また、またイク。  
 イッちゃうのぉぉぉ」  
上半身まで透明触手の餌食となり、息つく間もなく連続絶頂へと追い込まれていく。  
 
そのまま幾度かの法悦を味わい弛緩し切った少女の顔。  
そこに不意に緊張が走った。  
「な、なに? 何か出る、何か出ちゃうぅぅ」  
切羽詰ったその叫びの直後、少女の両胸の先で純白の花が咲く。  
それは透明触手の動きによってすぐさま散らされた。  
だが別の触手がたわわに実った肉果実に再び巻き付き絞り上げると、間髪入れずに新たな花が咲き誇る。  
さきほど少女の胸に潜り込んだ生物は、宿主に強制的に母乳を生産させそれをエサにする性質を持っていたのだ。  
そこを責めれば極上のエサが得られると知った透明触手達が、胸への責めをより一層激しくしていく。  
一方で、自分のために作らせた母乳を横取りされた乳腺内の触手が、少女に新たな母乳を要求し一層動きを激しくさせた。  
内と外から湧き起こる激感。  
「なに、なに、なんなのこれぇぇ」  
首を嵌めた板のせいで、自分の体がどうなっているのか見ることができない少女が悲痛な叫びを上げる。  
「母乳をめぐって中と外で争奪戦が起こっているんですよ」  
「そんな、そんなぁぁ、いや、いやいやいや、暴れないでぇ」  
散らしても散らしても休みなく供給される母乳のせいで、徐々に胸の周囲は霧がかかったように白く霞んでいく。  
そしてそれを体内に取り込んだ触手が、わずかに白みを帯びて目に見えるようになった。  
白濁した触手が豊乳に巻き付き、絞り上げ、搾乳する。  
それは噴き出した母乳が意思を持ち、母たる少女を責め嬲っているかのような光景だった。  
当然今も下腹部への責めは継続中だ。  
一体何匹入っているのか、膣口が綺麗な円を描くことは一時としてない。  
ましてその口が閉じられることなどありえなかった。  
上と下で単純に考えて2倍、実際には相乗効果で少女が感じる快感は数倍にも跳ね上がっているのだろう。  
舌を突き出し、半ば白目をむいて悶える少女。  
母乳、愛液、尿や汗、体液の全てが透明触手に貪られる。  
「ふひぃ、いいっ……もう、だめぇ……」  
男達の環視の中、少女の意識はそれまでで最大の絶頂にさらわれていった。  
 

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