ベッドに押し倒されるように仰向けになった。  
彼の右手が背中にまわる。  
私は抱きつく素振りで、体を預けた。  
寝そべった布団から彼の匂いがする。  
彼はブラジャーに手をかけながら、もう片方の手で私の髪を撫でた。  
優しい彼がずっと大好で、私から告白して恋人同士になった。  
――だから本当に、うれしいの。  
 
あれから、5分は経っただろうか。  
背中に回された彼の右手がずーっとモゾモゾと動いている。  
私は迷った。彼はブラが外せないんだ。  
こういう時、手を出していいものだろうか。  
もし手伝ったりすれば、彼の自尊心を傷つけてしまうのではないか。  
それに自分からブラを外すなんて、飢えてると思われるかもしれない。  
そんなの……恥ずかしい。  
初めてなんだし、彼にすべて任せておけばいいんだ。  
だけど、彼も初めてのエッチに違いない。  
困っている彼に何も言わないのもズルイ気がする。  
髪の毛に触れていた左手は、ブラに意識がいっているのかピタリと動きが止まっている。  
どうしよう。どうしよう。どうしよう。  
「あ、あの……」  
私は勇気を振り絞って彼に話しかけた。  
「なっ、何だよ?」  
すごく気まずい雰囲気に包まれている。  
がんばれ、私。  
「あ、あのね……実は……このブラのホック、フロントなの……」  
 
 

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