「伊藤アンギラス先生!ちょっと聞いてくださいよ。実は僕なんか取り憑かれているみたいなんですよ。  
ええそうですよ、そうですよ幽霊にですよ。いや、ホントですって、ホントにホントのホントでで  
 
───ビリィッ!!  
 
誤字をしたところで手紙をポポイと破り捨てた。というかなんだあの内容は。  
「駄目ですよ宇呂田さん。紙を無駄にしちゃ…」  
ああ…今日も今日とて…いるはずのない女の声がする。コイツが噂の幽霊だ。半年も一緒にいると、もう怖くもなんともない。  
そうだ。そもそもあんなインチキ霊能力者の番組に手紙なんて書く羽目になったのはこいつのせいじゃないか。  
なんだかむかついてきた俺は少しばかり意地悪をしてみることにした……  
決して暇だったからとかそんな理由にならない理由からじゃない。遊びじゃないのさ。  
手始めに、女の言葉を無視して、ポポイポイと高級ティッシュを千切っては投げ千切っては投げ。  
この極悪非道には地獄の鬼でも震え上がってしまうだろう。まさしく鬼畜の所業。  
「あの〜宇呂田さん?聞いてますか?」  
あれ、なんだ平気じゃないか。こいつの精神面での強さはHBKをも凌駕するぜ……  
仕方ない、これだけは使いたくなかったが……俺は古来より伝わるいじめの基本かつ究極の技、無視を使うことにした。  
「ああ〜どうして目をそらすんですか…」  
なんか膝から下が消えている三角頭巾に死に装束姿の女が視界の隅でわめいてるが、気のせいだ。うん。そうだよね。そうだとも。それにそもそも足のない女に用はねえ。  
女性の足って素敵だと思うよね?舐めたい、嗅ぎたい、踏まれたい。男として生まれたからには誰にでもある当然の欲求だろう……え?ない?そう。まぁいいや…  
「宇呂田さーん?わぁ〜っ!わぁ〜っ!」  
なんのつもりか必死に両手を広げて存在をアピールしてくる死に装束。君はジラース、もといエリマキトカゲかなんかですか?  
「お、おばけだぞ〜たべちゃうぞ〜」  
ゴジラの再利用は効果がないと悟ったのか新たな手段でアピールしてくるが、まったく意味が分からない。  
相手にしてられないぜ、とばかりにCOOLかつ俊敏な動作で俺は立ち上がる。  
「う…宇呂田さん?……」  
不安になってきたのか声に戸惑いが混じりだす。  
思ったとおりの反応を返してくれて楽しい。  
……でも少し可哀想になってきたからそろそろ切り上げるとしよう。これでクライマックスだ。  
俺は黙って出かけようとした。  
「ま、待ってください…」  
俺を引きとめようと幻女は抱きつくように手を伸ばすが、その手は俺をするりとすり抜けてしまい、  
「ひゃッ……」  
女は物理法則に従って畳に突っ込んだ。情けない声をあげながら。  
 
そう。前にも言った通り彼女はウン百年物の幽霊だ。本人が言ってたから多分間違いないだろう。当然のことだが、彼女に身体はなく、程度の低い霊だから、自分から実態のある物に干渉することは出来ないらしい。本人が言ってたんだから間違いない。  
で、その低級死に装束は這うように女の子座りになると、その両手をじっと見つめ…  
 
「ぐすっ……うぅっ…」  
 
しまった。やりすぎた。  
そう判断するや否や、謝りに行く。さすが俺。紳士の鑑。英語で言うならみらーおぶじぇんとるめん。  
「う…うろたさ………な…で、無視するんですか…」  
ウン百年幽霊やってると言っても、見た目は15、6の可愛らしい小娘。そんなのに泣かれたら、やっぱり申し訳なくなる。というか、こっちが悪いし、反省しよう。  
「いじわるですよ…うろたさん……いじめっこです…」  
こけたときに乱れた服の隙間から、控えめな胸がちらちらと見える。  
死んでるからか、すこし儚げな印象を与える白い肌。ところどころピンク色になってるのがそそる。  
いやね、反省してるといってもね、いくら相手が死んでるっていってもね、可愛い女の子に泣きながらいじわるなんて言われたら、もっといじめたくなるのが人間の性というヤツ…え、違う?まぁいいや。  
ゆっくりと近づいていき、かがんで女の目線の高さに合わせる。  
「う…うろたさ…ぁむぅっ…」  
只ならぬものを感じ取ったのか、何か言いかけた口を、乱暴にキスで塞いだ。あっちからは触れられないけど、なぜかこっちからは触れられる不思議。世界は謎で満ちてるぜ。  
そんなことを考えながら、無理矢理に舌を侵入させる。  
「ん…ちゅっ……うぅん…だめぇ…んん……ん…あふぅっ」  
おばけ少女は逃げようと抵抗するが、しっかりと抱きしめて逃がしはしない。  
歯の一本一本を舌で掃除するように、じっくりと口の中を犯す。  
「ん…だ…んん…ちゅうっ…めぇ…はむぅ…ん…」  
抵抗は段々と小さくなり、すぐにふにゃふにゃな顔になった少女の方から求めてくる。ムフフ。愛いヤツよ……  
舌を絡ませ合いながら、ゆっくりと押し倒していく。  
「ん…はふぅ…ちゅ…ううん………ぷはぁ」  
口を離すと、物足りなさそうな顔でこちらを見つめてきた。  
「う…うろたさん……いきなり……な…なにをするんですか…」  
ふにゃふにゃになってるくせに、生意気にもそんな言葉を吐いてくる。  
「あっ…だ、だめぇ……そんな…とこ…」  
裾を開いて、すでに濡れ始めている秘所を優しく撫でてあげる。  
死んでるくせにずいぶんとエッチなことだ。  
「だ…だって…宇呂田さんが……ひうっ!」  
言い訳しようとする悪霊はクリをいじめて思いっきり気持ちよくしてあげなさいと言う祖父の遺言に従って行動する。いや、そんなこと一言も言ってなかったけど…  
「ひっ、やっ…だめっ…あっ、んん…こねちゃだめぇ…あっああんっ」  
腰をビクビク震わせてイキまくる女幽霊。そういえば最近してあげてなかったからなぁ…いやらしい幽霊にはつらいものがあっただろう…  
「そ……そんなこと…きゃううっ!!」  
即座に反省して実行に移す俺。さすがみらーおぶじぇんとるめん。  
身体もないのに毎晩下半身がうずいて眠れないエロ幽霊を満足させてあげるべく努力する。  
「やっあっうううんっ…なっないでふぅ…そ、なことありませ……うんんっ、すっちゃ…だ、だめぇ……」  
まったく…毎晩毎晩君がなにしてるのか、気づいてないと思ってるのかね?  
「し、してな……ひとりで…ひぅっ!…えっちな、ことなんて…してな……」  
頭の中がピンク色になってきたらしく自分でも何を言ってるのか分かってないようだ。  
しかも自分からバラしてるくせにまだ嘘をつく。  
まったく……どうやらこの幽霊痴女は少しばかり懲らしめてやる必要があるみたいだ……  
 
「や…やだぁ…こんなの…」  
鏡の前で脚をV字に開いた状態で縛り上げて吊るしてあげた。元からぷかぷか浮いてたから特に苦も無い作業ではあった……しかし通販で衝動買いしたしめ縄がまさかこんなことで役に立つとは…  
「宇呂田さん……やです…こんな…」  
恥ずかしそうに顔を背けるエロ幽霊だが、上の口と違い、下の口はもっともっととおしりの穴まで涎をたらして欲しがっている。  
顔を押さえつけて、しっかりと鏡で自分のそこを確認させる。  
スケベを自覚してもらわないとお話にならない。  
「ぁ…うろたさ……うぅん…」  
片方の手でお尻をほぐしながら、もう片方の手で、物欲しそうにヒクヒク動くそこを撫でる程度にいじってあげる。  
嘘ばかりつくえっちな小娘にはこれ以上はあげられない。  
「やぁぁ……いじわる…こ、こんなの…がまんんっ!」  
しかし、あまり意地悪意地悪と言われ続けるのもどうかと、優しさを見せつけてあげるためゆっくりじっくり、決してイカせにように指を出し入れしてあげる。  
「う、うろたさ……やぁ…おねが…おねがいだからぁ……」  
だから夜な夜な自分が何をしているのか教えてくれればいくらでもしてあげるというのに…  
「だから…なにも、うんっ…してませ…んって……」  
ここまで来てもまだ意地を張り続ける強情幽霊。  
仕方がないから長期戦覚悟のスペシャルメニューでがんばってもらおう。  
「な…なんですか…それ…」  
まぁスペシャルと言っても別にそんなにびっくりするほど特別なことをするわけじゃない。  
ただこのまま認めるまで決してイカせたりせずに、写真とって心霊番組に送りつける。  
そして伊藤アンギラス先生に「これは、毎晩毎晩オナニーばかりしてるエロ幽霊です。R指定の幽霊です。史上初です。多分今もこの番組を見て股間を熱くしていることでしょう。」  
という歴史に残る心霊写真鑑定をしてもらうという、天才以外の言葉が見つからないスペシャルジーニアスな企画である。  
脳みその代わりに杏仁豆腐でも詰まってるんじゃないだろうか?  
「あっ、やぅ…うぅん…そ…そんなの…」  
それでもまだ白状しないので、お尻をいじってた手をやめ、死に装束の手をとり、俺のモノに触れさせる。  
「ん…やぁ…ビクビクしてる…」  
このまま意地を張って、また毎晩ひとりでするのがいいか、それとも素直に認めちゃって、これでいじめてもらいたいか、どっちか選ばせる。というか後者を選んでもらわないと俺としてもつらいものがある。  
スペシャルメニューなんて選ばれたらその間俺も夜な夜な一人フィーバーだ……あぁよみがえる青春…  
「う…ううぅ〜…そんなの…そん、ひゃうぅ…うっ…あんんっ…」  
決断を急かすように、激しく自己主張するクリを、触れるか触れないか程度にいじる。  
「なっ、あぅん……して、な…そっ…ううぅん…なこと……ひっやっあっあああぁっ…」  
だんだんとクリをいじる勢いを増していく。  
「っやっ…あぁっん、だ、だめぇ…うろたさ、だめっだめぇ……きちゃう…きちゃ……やぁぁ…やめないで……やだぁ…もうつらいの……ぁんんぅ…し、してます…わたし…まいばんおなにーしてる……えっちなこです…だから……してぇ…さいごまで……んっやぁっっあああっ!」  
紳士の鑑たる俺が約束を破るわけもなく、正直に答えた良い子には自慢の息子を味合わせてあげる。  
「うろたさ…そこ…おしりっあっ、んぅうっえっ、だめぇ……そんなの…いれちゃだめぇぇ!!」  
きゅうりを持ち出すと、ためらうことなく、彼女の前に入れる。  
「あっ!やぁっ!ゴリゴリして、まえも……うしろも…すごい……んっ、ああんっ!んっ、ふぁっああっん……やぁ…なんかいも…なんかいも…んっ…やぁぁあああぁっっ!!!!」  
彼女がイクと同時に、中に精を放つ。  
「あ…んんおしりに…あつい…よぉ……」  
多分、彼女を見ることの出来ない人が見たら、鏡の前できゅうり片手に一人射精する変態でしかないだろう。俺だったら通報するね。  
そんなことを考えていると、幽霊が縛られながらもがんばって腰を動かしてきた。  
「う…うろたさん……も、もっとぉ……」  
女幽霊の懇願を聞きながら、抜かずの二戦目を開始した。  
 
事が終わった後、彼女はまた泣いてしまった。いや、うん当然か……  
「ぐすっ…ひど、ですよ…宇呂田さんあんな、の…いれるなん…て…」  
えんえんと泣き出す少女の頭を、小さい子を慰めるかのように撫でてあげる。  
あーよしよし泣かない泣かない…ほら、いいこだから泣き止んで…  
「なんですかぁ、それぇ……わ、私のほうが……お姉さんなんですよ…」  
見た目15、6歳の小娘に言われるのはなんかアレな気分だけど仕方ない。相手はウン百年も幽霊やってられるお方だし。  
で、ふざけるのも大概にして、誠心誠意謝ったわけですよ。そらもう俺の方が全面的に悪いんだから当然ですよ。腹を切らんばかりの勢いで謝りました。  
この娘も優しいのか馬鹿なのか知らんけど、すぐに泣き止んで、許してくれました。ホントいい子です。大好きですこういう子。  
でもね、よく分からないのがこの年頃の娘の反応。泣き止んだと思ったら怒り出すんですよ。いや、まぁ誰でも怒るだろうけど……  
はい。しっかりと正座して聞きましたよ。今度は俺が泣きそうでした。  
 
叱られ続けること実に二時間。  
「……ところで宇呂田さん…私の名前覚えてますか?」  
怒りながら唐突にそう切り出してきたおばけ女。  
そういえば今日は一度も名前呼んでないしね…  
まさか名前忘れたと思われるんだろうか……  
とりあえず、あの焼きそばみたいな名前だろ。と挑発するような答えを返すと、  
「せめて、うどんかおそばにしてほしかったです…」  
むぅと拗ねたように怒ってくるわけです。素直すぎるほどに素直な反応が返ってきて面白くて仕方ない。  
……いや、覚えてますよ?いくらなんでも名前くらい……  
「宇呂田さんはいつもそうです。ふざけてばかりで…」  
それは君の反応が素直で面白すぎるからだ、とはまた泣き出しそうなので言いません。  
代わりに、  
「月見」  
と、しっかりと名前を呼んであげる。  
すると、欲しかった玩具買ってもらった子供みたいに嬉しそうな顔してですね、  
「はいっ、なんですか?」  
って返事してくるんですよ、こんな素直で可愛い反応されたらもう我慢できません。  
ついついそのまま押し倒してしまって………  
いや、あの、聞いてますか?そんな霊に憑かれてるんですけど。相談に乗ってもらえないでしょうか……  
 
───────  
自分の生活を他人に明かすのは正直恥ずかしいが、この際仕方のないことだ。私は正直に告げ、伊藤アンギラス先生の返答を待った。  
長い沈黙が場を支配した。  
「うん…帰れ」  
沈黙を破ったのは、伊藤アンギラス先生はさわやかな笑顔で私に告げた短い返答だった。  
 
 
お礼を言ってアンギラス先生のお宅を後にする。  
テレビで有名な伊藤アンギラス先生なら、私の悩みも解決してくれるかと思ったが、どうやら無駄骨だったようだ。  
「仕方ないですよ。あの先生、私のこと見えてなかったみたいですし…」  
そう。アンギラス先生は周囲で存在をアピールしまくる月見の存在にまったく気付いてはいなかった。ようはインチキ霊能力者。とんだ0能力者だ。  
「でも宇呂田さん………そんなに……私と離れたいですか?」  
突然、悲しそうに月見が言ってきた。  
そんなわけがないと答えておく。  
「……じゃあ…どうしていつもああいう人の所にいくんですか…」  
私が霊能力者と言われる人を訪ねたのはこれが初めてではなかった。かれこれ十何人……しかし一人として私の悩みを解決することは出来なかった。  
それどころか私の悩みを最後まで聞いてくれたことすらない。これだからあの手の連中は………  
とりあえず月見には有名な霊能者が本物かどうか確かめたかっただけ、と言っておいた  
何か言いたいことがありそうだったが、それでも、  
「やっぱり……宇呂田さんはいじわるです…」  
月見は拗ねたようにそう呟いただけだった。なんだか少しだけ申し訳ない気持ちになったけど……  
いやね、でもね、言えませんよさすがに………君に足を生やす方法を探しているなんて、恥ずかしくて無理です。  
 
 

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