夜になっても雨はまだ降っていた。雪にならないのが不思議なほどの年末の冷たい  
雨は、銀の刃のような煌きをこのダウンタウンの裏通りにも平等に振りまいている。  
閉店時間のない裏通りの怪しげな店も今日はどこもが早仕舞いしてしまったらしく  
ネコの子一人いない。いや、よく見れば路地裏や、物陰の奥いたるところからピカリと  
光る一対の目が見えるであろう。そんな物騒な通りに誰か歩いてきた・・・  
 
「ルルー・・・ララララ・・・」  
乱雑、そして薄汚れた通りに、場違いなほどの華やかなハミングが流れる。歩いて  
きたのは女。高級そうなドレスに大きな白い雨傘。表情はその雨傘で遮られて見え  
ないが、ハミングに合わせてくるくるとゆっくり傘が回る。暗がりの中白い傘が  
ふっと浮き上がって見えた。  
「ララ・・・ラララララララ・・・」  
ことさらゆっくり歩く女。このようなスラムに最もふさわしくない女と言えるであろう。  
物陰の暗闇に浮いた目の光がいぶかしげに、愚かな獲物を見て欲望にユラユラ揺らめく。  
怖くないのだろうか?女はその不穏な気配の中、ためらうことなく歩いていく。  
滝のように背中に流れる金の髪。傘を上品に指を三本だけ使って持つしぐさ。そして  
歩くたび、その揺れを吸収するがごとく大きな乳房がゆっとりと弾むのが遠目からも  
判った。  
後少し歩けば無事に表通りに抜けられるかもしれない・・・そんな時だった・・・  
 
「待ちなよ!! 」  
突如、建物の壁を背にした女を囲むように6人のゴロツキがバラバラと現われた。  
全員が男で、半人半獣タイプの粗野な身なり。これから起こす事を妄想したのか、  
白い呼気を不規則に吐き乱している。しかし、すっと足を止めて話す女の声は数の多い  
ゴロツキよりはるかに落ち着いていた。  
 
「ふふ・・・なにかしら?」  
 純白の傘は目深に女の顔をそっくり隠し、表情が読めない。怯えない女にアテが  
外れたのかリーダー格のネコがムッとして言った。  
 「いや、なに・・・貧乏なオレ達にちょっとお金を都合して欲しくてなぁ、なあに別に  
タダで貰おうって訳じゃあねえ、ちゃ〜んとオレ達が一人につき二、三発ぶち込んで  
やるからその代金さぁ」  
 その言葉に追従するように下卑た声で手下達が笑う。禁制品の高揚薬でもヤッて  
いるのか冷たい雨をまるで意に介していない。裏を返せばシラフで犯行を犯す度胸が  
ないのであろう・・・  
 「ふふ・・・まあ、怖い・・・ひょっとして一週間前の三毛の娘もあなたたちが?」  
 さして怖がった様子もなく、傘をかざしたまましゃべる女。その中に、嘲弄する  
感情を薄く感じ取ったリーダーがいらついた調子で叫ぶ。  
 「けっ!! 知るかっ、いちいちヤッた女のコトを覚えてられるかよ!! 今月だけで  
2桁はヤってるんだよなぁ」  
 女を脅すように手下達も言う。  
 「あれじゃあねえですか、先週あんまり騒ぐもんだから廻りのヤツラもやってきて  
最終的に20人近くに輪姦されたオンナ・・・ヒッ、ヒッ、ヒッ・・・」  
 「ああ・・・そうそうありゃ確か三毛ネコだったなあ・・・最後はオカシクなっちまって  
裏のドブに捨ててきたけど死んじまったかな」  
 とさしたる痛痒なく言うゴロツキ達。無邪気な口調はかなりネコ達が若い事を  
表している。  
 リーダー格が薄ら笑って白々しく言う。  
 「・・・だってよ、お前運がいいや、今日相手するのはたったの6人だからなぁ」  
 その時、初めて女の傘が『つい』と持ち上がった・・・  
 
 「うおぉ・・・」  
 リーダーの口から思わず驚きの声が漏れる。美しい・・・  
 凄い美貌・・・というか、美しいだけならこの町の高級娼婦にもいくらでもいるが、  
一目で両者の違いがわかってしまうほどの圧倒的な輝くような何か・・・があった。  
 
 『ふう・・・』息を大きくはくと、胸がゆるゆると揺れた・・・そしてミルフィは静かに  
しゃべり出す・・・声が震えないように・・・  
 「運がいいですね・・・20人ならば残りの不届き者の名前を言って戴くのに、一人だけ  
少しの間生きられますもの・・・」  
 言葉こそ静かながらミルフィの瞳には満々に怒りが満ちていて下賎なゴロツキどもを  
たじろがせた。  
 「な、何をいってやがる・・・」  
 思わず後じさり、息を喘がせるように言うリーダー。たった一人のミルフィに対して  
完全に位負けしてしまっている。寒さを感じないはずの背中が震えた。  
 「よく聞きなさいっ!! わたくしの名は王位継承権第1位のミルフィ!! 王城のお針子  
ミーナを辱め殺害した罪、女王フローラの名において諸兄らを捕殺する!! 」  
 「な、なんだよ・・・ウソだろ・・・そんなたいしたことしてねえよ・・・」  
 首をイヤイヤするように振るリーダー。罪の意識もなく、また償う気もない・・・  
 「王城の者に手を出してタダですむと思うな・・・」  
 「ま、待ってくれ!! おれのオヤジは都の憲兵隊長なんだっ!! 」  
 この期におよんで見苦しいゴロツキにミルフィは吐き捨てるように言う。  
 「ふふ・・・フローラは言った『千の釈明、万の謝罪などいらぬ、ただ一つ命で償え』  
と!! 」  
 「ひいっ!! 」  
 手下の一人がビビったのかきびすを返して路地裏に逃げ込もうとした瞬間だった。  
 「えっ!? うぅ・・・あきょ・・・」  
 と奇声を発して転倒し水溜りに顔から突っ込む。そして打ち所が悪かったのか  
ピクリとも動かない。不甲斐ない手下を見てリーダーが相対的に冷静さを取り戻した。  
 
 「落ち着けっ!! よく見ろっ、相手は一人じゃねえか!! 呑まれてるんじゃねえ!! 」  
 「そうだよな、よく考えりゃ結局いつもどおりブチ込んで明日ゆっくりトンズラ  
すりゃいいじゃねえか・・・へへ・・・ほきょ!? 」  
 と、一歩ミルフィに前進しようとした男の体は、糸が切れたように膝から崩れた。先ほどの男と折り重なるように冷たく濡れた往来に倒れこむ。  
 「な、なんだよいきなり・・・しっかり・・・へけっ!? 」  
 と、様子を見に近寄った男も奇声を発し、2歩3歩とよろめく・・・  
 「えっ?・・・おおっ??」  
 叫ぶリーダー。その手下の胸から血で赤く染まった薄い刃が3本突き出ていて・・・  
すぐに引っ込んだ・・・いや違う、後ろから刺殺され、凶器を素早く背後から引き  
抜かれたのだ。  
 『どちゃ!! 』倒れる男。  
 「誰かいるぞっ!! 」  
 死んだ手下の背後に誰かいるがすぐ暗がりににじむように消える。残った三人が  
慌ててナイフを引き抜き、辺りを見回すが気配さえ霧散している。  
 「背中に気をつけろっ!! 」  
 リーダーは残ったゴロツキ仲間に叫ぶ。そしてそれを面白そうに眺めつつ、さっき  
からその場所を一歩も動いていないミルフィが歌うように言った。  
 「それで?・・・誰がミーナにヒドイことをした仲間を教えてくれるのかしら?・・・  
あんなに明るくて一生懸命働く子はいなかったのに・・・」  
 視線を落とすミルフィ。倒れて氷雨にうたれるゴロツキのシャツの背中に1センチ  
程の赤い線が等間隔に並んでいる。刃が異様に薄いので出血がほとんどないのだ。  
シャツさえ汚れていなければ単なる心臓発作と言われかねない程の些少なキズ。まるで  
暗殺者の殺人のような・・・  
 
 氷雨は相変わらず降りそそぐが、天の気まぐれか厚い雲の切れ目からほんの少し  
月が顔を出した。青い月の方・・・そして浮び上がる小柄なカゲはすでにゴロツキの  
一人に忍び寄って来ていて・・・手には何も持っていない?・・・いや、月光に青銀色に  
煌いたのはクリスタル製の透明な爪。  
 「おっ、お、お前っ!! 後ろっ!! 」  
 リーダーが悲鳴のような声をあげる。  
 「何だって?・・・別になにも・・・へ!? 心臓が止まって・・・ふひょ!? 」  
 愚かなゴロツキが冷たい路上に転がる。囁くようにミルフィが言う。  
 「ミーナはもっと痛かったんだから・・・冷たかったんだから・・・」  
 「ひいいいっ!! 来るなっ!! 来るな――っ!! 」  
 ナイフをただ滅茶苦茶に振り回す。リーダーは見た。月光に浮び上がるアサシンの顔。  
 凄い美少年だった。ネコ耳がない・・・ヒトだ・・・小柄で華奢というか、幼いと言って  
良いほどの体。しかし雨に濡れた髪が頬に張り付いてひどく妖艶にも見える。青い月の  
光に負けない群青色の瞳に浮かぶのは澄明な殺意のみ・・・後ろを取った手下の横を  
ただ単にすれ違ったように見えた瞬間、その手下は『どしゃり』と倒れ、少年はすぐ  
暗がりに消えた・・・残り二人・・・  
 「うわあああああっ!! ゆ、許してくださいっ!! 」  
 根性のない手下がナイフを放り出し、手を合わせ命乞いをした。  
 「ふふ・・・では今宵死ぬネコが決まりましたわね・・・」  
 淡々というミルフィに精神の均衡を失ったリーダーが叫ぶ。  
 「う、うるせえっ!! 死ぬのはお前だ――っ!! 」  
 ミルフィに駈け寄るリーダー。そしてその背にチリチリと小さな気配。  
 「うおおっ!! そこだあっ!! 」  
 リーダーは後ろも見ず野生のカンを頼りに、振り向きざま叩きつけるように長ナイフの  
斬撃を送る。  
   
 いた。  
 リーダーの視界の端。冷たい雨に濡れる死天使。そしてそのアサシンが回避する  
スピードは斬撃の速度より遥かに早かった。  
 「ウソだっ!? オレがヒトごときにっ!! 」  
 絶望の叫びをあげるリーダー。後ろを振り向いたリーダーの後ろにすでに暗殺者は  
回り込んでいる・・・  
 「うっ!! きひぇ!? ・・・」  
 リーダーの胸にチカッとした感覚。すぐにクリスタルのスティレットは引き  
抜かれるが、同時になにかサラサラと大事な物が抜けていく感じ。目の前が暗い・・・  
 『は、走って逃げよう・・・』  
 と足を踏み出そうとするが、頬に汚れた冷たい水溜りの感触を感じた。  
 人生の最後に思い出す。ヒト召使いを仕込む際、性技だけでなく穏行術などの裏の  
仕事も習わせる上流階級の者がいるということを・・・ゴロツキのつまらない人生が  
ここに終わった・・・  
 
 生きているのはミルフィとソラヤ、そして失禁して呆然としている手下のみ・・・  
 「ご主人様・・・お怪我はありませんか?」  
 ソラヤが爪をしまいつつ、様子を伺いながらミルフィに言う。『よくやった』と  
誉めようとして、甘やかしてはいけないとミルフィは口を開く。  
 「いつもより遅くてよ、あと10秒は早く終わると思っていました」  
 「も、申し訳ありませんっ!! 至らないソラヤをお許しくださいっ!! 」  
 雨の降る路上に構わずミルフィの前にひれ伏すソラヤ。無表情だった目には涙さえ  
浮かんでいる。小さな背中に氷雨が染み込んでいく・・・  
 「ふふ・・・帰りますわ・・・この愚か者も逃げる心配はないでしょうし・・・」  
 ミルフィはゴロツキを見ることもせずお城に向かって歩き出す。  
 
 ミルフィが歩き出すと、立っていた所の足の跡がすっかり乾いていた。たちまち  
雨で黒く濡れ、同化していく・・・  
 『ご主人様・・・』  
 ソラヤは切りかかられても自分を信じて一歩も動かなかったミルフィを知って、  
ほんのりと心が温かくなった・・・ソラヤにとっては何人死のうと殺そうとミルフィが  
全て・・・  
 「くしゅん!! 」  
 ソラヤは小さくくしゃみをしてミルフィの後をついて行く。  
 
 
 翌日。シュバルツカッツェ城のマナの部屋・・・  
 ああ・・・大失敗した・・・いや、コタツを出しただけなんですけど・・・  
 「に゙ゃ――っ!! 天国ってコタツに包まれたコタツの国に違いにゃいにゃあ・・・  
ゴロゴロ」  
 のどを鳴らし、モコモコの黒い半天を着てコタツにかじりつくご主人様。今日ずっと  
コタツに入りっぱなしだ・・・ポニーテールと相まって自宅で勉強する受験生のような  
女性にしては油断に満ち満ちた格好である。  
 「ご主人様っ!! もういいかげんコタツから出て王室依頼活動してくださいよぅ・・・」  
 「硬いコト言うにゃよ、そうだ!! トイレ行きたいからお前かわりに行って来るにゃ」  
 と、蕩けるような表情でコタツ板にほっぺをいぎたなくくっつけるご主人様・・・  
 『うああ・・・ご主人様がコワれていく・・・コタツって悪魔の発明だ・・・』  
 ぼくは、必死でご主人様に言う。  
 「もうっ!! いい加減にしてくださいっ!! ミルフィ姫は昨日も街の悪人を一網打尽に  
したって言うじゃないですかっ!! ご主人様も頑張らないといつまでも30番のドンケツ  
ですよ!! 」  
 と手を腰に当てて言うぼく。  
 「30番、大いに結構にゃあ、コタツと女王ならコタツの方が偉大にゃあ」  
 「もうコタツから出てくださいっ!! こうなったら実力行使ですっ、えいっ!! 」  
 処置なしである・・・ぼくはご主人様を後ろから抱えて引っ張り出そうとする。  
ご主人様は力こそ強いけど体重は普通の女性で軽い。  
 
 「やめるにゃっ!! 寒いにゃ・・・にゃはぁん!? 」  
 ご主人様がヘンな声を上げた瞬間、ぼくの手に『ふにゅ』っと柔らかい感触。ぼくは  
慌てて手を離して、とても熱い物を触ったようにぶんぶん手を振る。  
 「うわわっ!! すみませんっ!! そ、そんなつもりじゃ・・・」  
 「いきなり何するにゃあ・・・お前ってエッチにゃあ・・・」  
 流し目でぼくを睨むご主人様。  
 「あの、その・・・違うんです・・・」  
 あっという間に主導権を握られていくのに気がつかないぼく。  
 「でも・・・お前なら直に触ってもいいんにゃよ・・・」  
 ご主人様は半天の下のシャツをたくし上げるとノーブラのおっぱいの下側を覗かせる。  
なんか半天にヌードってミスマッチ・・・だけどすっごくエッチな感じ・・・  
 「ご、ご主人様・・・そ、そんなはしたない・・・」  
 と言っては見たものの完璧な曲線を保つ下乳のラインに釘付けのぼく・・・そして  
ご主人様はぼくのためらう背を押すように囁く。  
 「お前がコタツの代わりに暖めてくれればコタツから出てもいいにゃあ・・・」  
 さらにシャツをたくし上げるご主人様。うわ・・・おっぱいの先っぽの色の違う所まで  
ギリギリ見えてますぅ・・・  
 「あ、あの・・・ご主人様ぁ・・・そんな、まだ明るいのにぃ・・・」  
 ふらふらと引き寄せられるぼく。ご主人様の豊かな胸に顔をうずめようとぼくは  
ご主人様にひざまずく・・・そしてご主人様が公務よりはるかに大好きなエッチを  
手に入れかけ、会心の笑みを浮べたときだった。  
 『どたどたどた・・・』  
 凄い足音・・・近づいてくる。そしていい感じになっていた二人の部屋のドアが  
蹴破られて誰かが突っ込んできた。  
   
 「うわっぷ!! 」  
 ぼくはひどく柔らかい物にぶつかり、そのままめり込んで窒息しそうになり、  
ばたばたと暴れる。登場したのはミルフィ姫。真っ青な顔。豪奢な金のストレートヘアは  
ほつれていつもの輝きがない。いきなりまくしたてる。  
 「た、大変なのっ!! ソラヤが熱が出て寒気がするって言って頭痛もするし体中の  
関節が痛いって言うしセキがとまらなくって顔色も良くなくてだるいみたいだし・・・」  
 と、ぼくを胸の谷間に捕獲しつつ取り乱す。ご主人様が先日直したばかりの扉と、  
自慢のバストで抱くはずだった召使いをかわりばんこに見てワナワナと言った。  
 「それはタダのカゼにゃ――っ!! 」  
 ご主人様の右ストレートはミルフィ姫を飛び込んできたのと同じ速度で外に叩き  
出した・・・ぼくまで一緒に・・・  
 「まあ、コタツから出たことだし力になってやるにゃあ」  
 ニヤリと笑うご主人様。  
 「ご主人様・・・」  
 「マナ・・・」  
 ぼくとミルフィ姫は頼もしそうにご主人様を見た。ご主人様を完全に信用して  
しまって・・・  
 
 
 「はい、玉子酒。まだ熱いからね」  
 ぼくはベットに寝ているソラヤ君に玉子酒の入った入れ物を渡す。ミルフィ姫の  
部屋には湯のみなんていう下世話なものはないので紙のように薄いマイセンの  
ティーカップに注いで出す。ソラヤ君はそれを両手で受け取ってふーふーして飲んでる。  
 「お兄さま・・・こんなことまで、すいません・・・」  
 ソラヤ君は溜息をつく。寝巻きはオーソドックスなしましまパジャマ。少しやつれて  
いるけどソラヤ君の美しさを全く損なっていない。ぼくは身を起こしたソラヤ君の  
肩にカーディガンをかけて優しく言う。ちなみにソラヤ君は自分専用の部屋がある。  
ぼく、リビングのソファに寝てるのに・・・  
 
 「気にしなくていいから、早く元気になってミルフィ姫を安心させてあげてね」  
 とうなずいてあげる。ミルフィ姫がうろたえるほどソラヤ君のカゼはヒドくなく、  
もうほとんど治っていた。ヒトのお医者様がいないのと、ヒト用の薬もなくて  
どうしたら良いのか分からなくなってうろたえてしまったみたい・・・でもあんなに  
心配してくれて羨ましいかな・・・すると、ソラヤ君の部屋にノックとともにユナ様と  
リナ様が入ってきた。二人の肩に雪が積もっている、ご主人様に言われて二人でこの  
寒い中馬を飛ばしたのだろう。  
 「ヒト用のお薬持って着ましたの――っ!! 」  
 ユナ様の手に小さな小箱。  
 「えっ!! そんなのあったんですか!? 」  
 「ずっと前に落ちてきて、お店の倉庫の冷蔵庫に保管しておきましたの、ちゃんと  
使用期限内ですの――っ!! 」  
 エッヘンと薄い胸を張って威張るユナ様。ぼくは箱を受け取る。  
 「え〜と・・・ビ・・・ヴィックルヴェポラップ?『塗る風邪薬』・・・昔、見たこと  
あるような・・・」  
 箱を見て一人ごちるぼく。あれ?新品なのに封を切った跡が・・・と、仔細に  
調べようとすればリナ様がぼくの注意を逸らすように咳払いして言う。  
 「ゴホンッ!! み、見舞いの品はここに置くぞ・・・」  
 と勝手に枕もとにフルーツの入った大きなバスケットをどかっと置くリナ様。  
なぜか向きを確認しては一人頷いている。カゼ一つに大げさな見舞い品だよね・・・  
 「あっ、ソラヤ君リンゴ剥いてあげようか?」  
 手をのばすぼく。  
 「ま、待てっ!! 」  
 「ダメですの――っ!! 」  
 ぼくの前に立ちふさがる二人。  
 
 「あ、あの・・・お見舞いの品じゃ?」  
 慌てて言い訳をまくし立てる二人。  
 「食べごろは明日ですの、明日――っ!! 」  
 「ソラヤは食べたくないと言っている、なあソラヤ・・・アン?(ギロリ)・・・」  
 「・・・は、はい・・・」  
 と身の危険を感じたソラヤ君が返事してる・・・なにかおかしい・・・ぼくが問い  
ただそうとすると、ちょうどぼくのご主人様がノックもせずに入ってきた。ソラヤ君が  
慌てて言う。  
 「あ、ありがとうございました・・・貴重なお薬までいただいて、お見舞いまで  
貰っちゃって・・・(ぺこり)」  
 ご主人様が鷹揚に言う。  
 「気にすることにゃいにゃあ・・・親友のためならこの程度たいしたことにゃいにゃあ、  
それに違うモノで返してもらうしにゃあ」  
 ニヤニヤとぼくとソラヤ君をかわりばんこにネットリ見つめるご主人様。  
 「この寒い中、馬を飛ばしたのは私なのに・・・ぶつぶつ・・・」  
 「売り物の薬、タダで提供したのユナなのに・・・ぶちぶち・・・」  
 ぶつくさ言っている二人を無視してご主人様は言う。  
 「そうにゃ!! ソラヤも心細いだろうからお前が今日、一晩一緒にいてやるにゃ!! 」  
 「ええっ!! いいんですか!! 」  
 返事をしたのは、ほとんど飛び起きかけて叫ぶソラヤ君。まだ病気なんだから・・・  
 「お前もかまわにゃいにゃ?」  
 「えっ!? ・・・え〜と・・・」  
 『お兄さま(キラキラ)・・・』  
 ううっ、背中のソラヤ君の期待に満ちた視線がイタイ・・・  
 「わ、わかりました!! 今日は一晩看病します!! 」  
 と言ったところで扉の外にミルフィ姫が現われた。なぜか体をロープでグルグル  
巻きにされており、ブロンドを振り乱してぴょんぴょん跳ねて来た。そして半分ずれた  
猿轡の隙間から叫ぶ。  
 「だ、だめよ!! その薬を使っちゃ・・・むふ・・・ぐっ・・・がく・・・」  
 
 ユナ様が口をふさぎ、リナ様が当身をくらわせ、ご主人様がすかざずミルフィ姫を  
抱えて引っ込む。この間1.5秒足らずでぼくは何が起こったのか判らない。ご主人様が  
ドアの隙間から顔だけ出してパチンとウインクして最後に言う。  
 「わたし達はリビングで大事な打ち合わせがあるから、お前は来ちゃダメにゃあ・・・  
お前はちゃんと一晩中ココにいるにゃあ・・・もう来ないからお二人ごゆっくりにゃあ」  
 「は、はあ・・・」  
 不承不承うなずくぼく。うしろでウンウンと深くうなずいているのはソラヤ君。  
ソラヤ君ホントに病人?・・・  
   
 
 と、言うわけで嵐のように4人のネコ姫が去っていくと部屋がいきなりシン・・・  
とした感じ。  
 「・・・・・・」  
 二人の沈黙が部屋に積もるよう。ぼくは努めて明るく言う。  
 「と、とりあえず、お薬塗って、あったかくして寝ようね」  
 「はい・・・あ、あの・・・お兄さま・・・お薬、塗ってもらえませんか・・・」  
 恥ずかしげに言うソラヤ君。  
 「えっ、ぼくが?それは自分で・・・」  
 『ウルウル・・・(ジワジワ)・・・』  
 「・・・わ、分ったから、手伝うから・・・あっ・・・」  
 泣く子に弱いぼく・・・箱の中の説明書を取ると、横からソラヤ君がそれをさっと  
奪い取る。  
 「ボ、ボクが読みますから、お兄さまはそのとうりに・・・」  
 「そう?・・・じゃあお願いしようかな」  
 確かに自分が使う薬だからソラヤ君が読んだ方がいいのかな・・・  
 「ええと・・・本製品を胸部に塗布することにより、気化熱により体温を下げ、呼吸を  
楽にします・・・」  
 『うんうん・・・たしかそんな感じの薬だったよね・・・』  
 ぼくは毛布をまくってソラヤ君のボタンに手をかける。パジャマの上のボタンから  
一個ずつ『プチン、プチン』とボタンを外す。一つ外れるごとにソラヤ君の白い肌が  
シーツの上に広がる。  
 
 「・・・・・・・・・」  
 恥ずかしそうにトロンとした目をぼくに向けるソラヤ君。そんなに見つめられると  
ぼくも恥ずかしくなっちゃう・・・  
 全部ボタンを外すとソラヤ君の薄い胸と縦長のキレイなおへそが現われた。白い  
胸が密やかに深く上下してる。パジャマで擦れてしまったのか胸の桜色の先っぽは  
ほんのりと立ち上がっていて・・・  
 「・・・そ、それで他にはなんて書いてあるのかなっ!! 」  
 思わず見とれてしまったぼくは顔をぶんぶんと振ってソラヤ君に裏返った声で聞く。  
ソラヤ君も慌てて説明書を覗き込む。『ヴィックルベポラップ』の青い小ビンを  
開けると半透明の白い塗り薬があらわれた。  
 「あ、あの・・・『たっぷり手の平に取って両手によく馴染ませてください』って  
書いてあります・・・ほ、ホントですよ・・・」  
 ちらちらとぼくの様子を伺いながら言うソラヤ君。  
 「わかった・・・たっぷりね・・・」  
 言う通りにするぼく。たっぷりすくい取り、手を擦り合わせるようにしてよく延ばす。  
「そ、そしたら『胸に・・・胸によく揉みこむようにやさしく、じっくり塗ってください・・・』  
って書いてあります・・・」  
 「い、いやに詳しく書いてあるんだね・・・」  
 何の気はなしに苦笑いして軽く言うぼく。ところがソラヤ君はなぜか必死でぼくに言う。  
 「ホ、ホントです!! あの、その・・・」  
 「わ、わかったから・・・ソラヤ君、塗るよ・・・」  
 「は、はいっ!! 」  
 目を閉じてきょうつけするソラヤ君。ぼくは両手をソラヤ君の胸にのばす。  
 『にとっ・・・』  
 
 「ひゃう!! ・・・んっ・・・」  
 ソラヤ君が薬の冷たさに小さく悲鳴をあげる。  
 そして知らないうちに二人は加速していく・・・  
 
 
 「にゃふ・・・始まったにゃあ・・・」  
 リビングの大きな大理石のテーブルにしつらえたディスプレイを覗きながらマナが  
言う。他人のソファなのに我が物顔でどっかりと座ってリラックスしてる。  
 両端から食い入るように見つめているのはユナとリナ。よく見ればディスプレイの  
画面の周りにリンゴや桃のアップが映りこんでいる。  
 「ユナ・・・ちゃあんと、クスリは仕込んどいたかにゃ?」  
 「もちろんですわ、ちゃーんとネコにもヒトにも効く強烈なヤツをたーっぷり  
混ぜといたの――っ!! 」  
 得意げにユナが言う。ディスプレイの中では少年が少年に胸を愛撫されてウットリ  
している様子が映し出されている。隠し撮りしているという背徳感がネコ姫達の  
興奮を倍加させる。  
 「これからいったいどうなるのだ・・・はぁはぁ・・・」  
 息を荒げてリナがいう、気を落ち着かせる為に一気にグラスの酒を空ける。よく見れば  
テーブルにはアルコールや軽食が満載でオールナイトの準備は万全である。その足元で  
声がする。  
 
 「む――っ!! む――っ!! 」  
 気の毒な本当の部屋の持ち主は毛足の長い敷物の上にぐるぐる巻きにされて巨大な  
大理石のテーブルの足に縛りつけられていた。噛み付きそうな勢いでマナを睨みつける。  
 「にゃふ・・・これは今日働いた代金のかわりにゃあ、年末のマンネリ番組よりもっと  
いいモノが今年は見れそうにゃ・・・あっユナ、ナチョスはいらにゃいからサルサチップを  
よこすにゃ、パッションガーリックソースはこっちにゃあ・・・」  
 といやらしく笑い、勝手にふるまうマナを見てギリギリ歯ぎしりするミルフィ。  
こんな女に一秒だけでも感謝した自分に腹が立つ。  
 『ああ・・・わたくしのソラヤがマナの召使の毒牙に・・・』  
 と本気で思っているミルフィ。  
 「あん・・・あっ、あ・・・」  
 高性能のマイクがソラヤの声を拾う。『ざっ』と顔を振り向けディスプレイに  
集中するネコ姫達。部屋は一気に淫靡な予感に満たされ緊張する。夜は始まった  
ばかり・・・  
 
ソラヤはいつもと違う激しい怒涛のような快楽に戸惑う。  
 『ふあああん・・・なんか胸がずんってきて・・・お兄さまに触わられてる先っぽが  
すごく熱い・・・』  
 クスリを塗られた瞬間から激しい快楽に襲われるソラヤ。幼い体を身悶えさせる。  
 その仕事柄(?)、毒薬などの薬学も勉強しているソラヤだが暗殺用ではなく、  
夜な夜なお城のお姫様が秘密の遊びに使う媚薬は専門外。不思議に思う間にもソラヤの  
白い胸から媚薬は速やかに浸透していく・・・  
   
 「んっ、あっ・・・ひゃう・・・」  
 ソラヤくんの口から小さく喘ぎ声が漏れている。  
 「ソラヤくん・・・苦しい?」  
 心配になって聞くぼく。ソラヤくんは薄目を開けて長い睫を震わせて言う。  
 「だ、だいじょうぶですぅ・・・こ、呼吸もラクになってきたカンジ・・・ですっ・・・  
あんっ・・・」  
 「本当!? 」  
 嬉しくなったぼくは早く良くなれとばかりに、一層念入りに塗り薬をソラヤくんの  
胸に延ばしていく。ソラヤくんのスベスベの肌は体温が上がってきたのか、いつも  
使っているボディソープのラベンダーの香りが薄っすらと立ち上る。  
 『ふああ・・・あ、あの時もこんな香りがして・・・ぼく、ソラヤくんと・・・』  
 なんて、ラベンダーの香りをトリガーにして、地下の大浴場でカラダを絡ませあった  
コトを思い出しちゃうぼく。  
 「ひあっ!! ・・・んっ!? 」  
 「あっ!! ご、ごめんソラヤくん、強かった?」  
 ソラヤくんの小さな悲鳴で我に返るぼく。慌てて手離そうとすると、ソラヤくんの  
両手が意外な速さで伸びた。  
 『ガッ!! 』  
 両手でぼくの手首を掴むソラヤくん。ぼくが顔ををしかめるぐらいの握力で手首を  
握り締めている。そしてぼくの目を見つめて恥ずかしそうに言う。  
 
 「あ、あの・・・だいじょうぶですから、もっと・・・もっとシテ・・・ください・・・」  
 そのままぼくの手の平を自分の胸に押し付けるようにするソラヤくん。手の平には  
痛いほどツンと立ち上がったソラヤくんの乳首の感触・・・  
 「ひゃ・・・あっ・・・こ、こんなふうな・・・カンジで・・・あっ、ふあん・・・」  
 ソラヤくんがぼくの手首を誘導して・・・ソラヤくんの形のいい眉は快感に合わせて  
きゅっ、きゅっと形をかえている。知らないうちにぼくは自分からもいやらしく手を  
動かしていて・・・  
 『なんか・・・おかしいよ・・・ぼく、クラクラして体が火照ってきて・・・』  
 ソラヤくんの胸から立ち上るラベンダーといっしょに塗り薬の匂いを嗅いでいたら、  
なんだかヘンな、感じ・・・  
   
 「あんっ、あんっ!! ふあああっ!! 」  
 いつしかぼくの両手のアプローチはソラヤくんの薄い胸の肉をかき寄せるようにして  
激しく揉みしだく。ソラヤくんもぼくの両手首に手を副えたまま、催促するように  
胸を突き出してよがっている。白いシーツの上で小さなカラダがエッチにくねる。  
 「こ、こんなに先っぽ尖らして・・・ソラヤくん女のコみたい・・・」  
 ぼくは、手の平で器用にソラヤくんの胸をやわやわと刺激しつつ、人差し指で  
弾くようにソラヤくんの乳首をいじめる。ご主人様がよくぼくにやるヤツだ・・・  
 「はああっ!! いやっ・・・お兄さまっ!! そんなにいじめないでっ!! ・・・」  
 と言うソラヤくんの表情は悦楽に蕩けきっていて、ぼくを見る視線は媚びるような、  
挑発するような色が混じっている。  
 「いじめるって・・・こんなふうなコト?・・・」  
 ぼくはトドメとばかりにヌルヌルとした塗り薬にまみれたソラヤくんの桜色の乳首を  
親指と人差し指で『ぎゅ』とつまんで、しごき上げる。  
 
 「ひああああああっ!! だめっ、ふああっ!! ボク、おっぱい出ちゃうう――っ!! 」  
 ソラヤくんの背が反り返り、上半身が大きくくねる。  
 「うわっ!! 」  
 ソラヤくんがぼくの手首を持ったまま上体をひねったために、もつれるように  
ソラヤくんの上に覆い被さってしまうぼく。  
 「ご、ごめんソラヤくん・・・」  
 いきなりぼくの目の前に映る、潤んだ瞳のソラヤくんのアップ。ぼくは身を起こ  
そうとするがソラヤくんの動きの方がはるかに速かった。  
 「お兄さまぁ・・・」  
 『ちゅむ・・・』  
 音にならない音が、ぼくとソラヤくんの唇の間から発生した。  
 「ソ、ソラヤくん!! イタズラしちゃダメだよっ!! 」  
 ぼくは抗うけどソラヤくんの腕はぼくの背にぎゅっとまわされている。ソラヤくんって  
ぼくより小さいのに時々すごく力が強い。  
 「お、お兄さま・・・ボク、ボクもうガマンできなくてっ・・・んっ、ちゅぱ・・・ふぁむ、  
舌・・・ください・・・んんっ・・・」  
 「そんな・・・だめ・・・はむ、あんっ・・・ちゅる、ふあああ・・・はんっ・・・」  
 ぼくの腕は自分の胸とソラヤくんの胸との間に挟まったようになって自由が利かない。  
それをいいことにソラヤくんの両腕はぼくの服のボタンを外し、体中を撫でまわし、  
淫らにぼくの服の中に直接忍び込んでくる。もちろん唇はぼくの口内を激しく  
犯してきて・・・  
 『ふあああっ・・・ソラヤくんの手が・・・すごく上手・・・んっ・・・』  
 
 ぼくは、唇はソラヤくんにネットリ奪われつつ、徐々に抵抗力を奪われていく。  
ソラヤくんの手の平はぼくの腰の辺りを撫でるように愛撫している。気を抜くと  
すぐお尻のほうに手が忍び寄りぼくの腰をびくびくさせる。もう一方の手はわき腹を  
引っかくように愛撫していたと思うと、背筋のくぼみを指先でつるつるとなぞらせて、  
その鋭い快楽にぼくは思わずソラヤくんに我を忘れてしがみつきかけてしまう。  
もちろんキスしてる熱い吐息は息継ぎのたびにぼくの耳元に吹きかけられ、ソラヤくんの  
足はぼくの足にねっとり絡みついていて、パジャマから出たふくらはぎとカカトで  
ぼくの太ももの裏をなでなでしてくる。全身をフルに使った無駄のないソラヤくんの  
愛撫。  
 『ああ・・・ソラヤくん、5歳ぐらいからミルフィ姫のオナニーのお手伝いして  
るって言ってたっけ・・・』  
 そうなのだ、ちゃんとセックスするようになったのは1年足らずなのに、ソラヤくんは  
手でイカせることに関しては超ベテランなのだ。される方はてんで弱いクセに・・・  
 「ふああっ・・・ソラヤくんおかしいよぉ・・・こんなに感じちゃうなんて、ぼくのカラダ  
じゃないみたい・・・」  
 なぜかメチャクチャに気持ち良くなってるぼく。知らないうちに着ていたシャツは  
はだけて、ソラヤくんの塗り薬がたっぷりついた胸と合わり、ぬっとりと擦り合わせる  
ように動いている。  
 『も、もう・・・ガマンできない・・・すっごく・・・シタい・・・』  
 ぼくの心はどす黒いネットリとした欲望で塗りつぶされていく。そして・・・  
 「う・・・あ・・・ソ、ソラヤくん!! ソラヤくん――っ!! 」  
 タガが外れたようにソラヤくんに覆い被さるぼく。  
 「ああん!! お兄さまっ!! はんっ・・・む・・・」  
 
 ぼくはソラヤくんの頭をかき抱くようにして夢中でソラヤくんと舌を絡めあわせる。  
 『ちゅ・・・んっ、くちゅ・・・はむ・・・んっ、んっ、んっ・・・』  
 「ぷは・・・お兄さま・・・もっと唾ください・・・」  
 ソラヤくんがせつなそうに言う。ぼくはもう頭に血が上りすぎてクラクラしてる。  
ソラヤくんの超絶なフィンガーテクニックはぼくにふわふわ眠くなりそうな心地よさと、  
ジリジリ炙られるようなもどかしさをかわりばんこに体験させていく。ぼくの視界は  
ゆらゆらと揺らめき、全てが渦を巻いたように・・・  
 
 
 急遽しつらえたディスプレイに釘付けの3人のネコ姫。身を乗り出して息をするのも  
忘れて固まっている。ユナの口にくわえたままのポテチがパリンと床に落ち、自分で  
びっくりして正気に戻る。リナは胸にのびかけた手を慌てて下ろしてテーブルに強打  
してる・・・  
 「こ、こんなにうまくいくとは思いませんでしたの――っ!! ハァハァですの・・・」  
 「うわあっ、て、手があんなトコロまでっ!! ・・・め、召使いくん、頑張るのだっ!! 」  
 手に持ったグラスをミシミシいわせつつ、マナの召使いびいきのリナが叫ぶ。  
ぶつけた小指が赤くなってる・・・  
 「ム――ッ!! ム――ッ!! 」  
 音しか聞かされていないミルフィが火のついたように暴れる。そんな気の毒な  
ミルフィを見下ろしつつマナはしゃあしゃあと言う。  
 「これは治療にゃ、こんなカゼちょっと汗かけばあっという間に良くなるにゃあ!!  
ついでに二人が汗かくとソラヤもわたしも楽しめて一石二鳥にゃ」  
 ばくばくと高そうなローストビーフを頬張るマナ。ちなみに食料がなくなった先から、  
ミルフィの台所から無断拝借してくるので食べ物は尽きない。  
 
 「ムキ――ッ!! ほ、ほの〜!! ふぇんふぁいふりょおふぃめ!! (こ、このー!!  
ヘンタイ不良姫!! )」  
 歯をむき出して叫ぶミルフィ。上品な物腰をかなぐり捨て、猿轡ごとマナの足に  
噛み付こうとしてる。そんなミルフィを見てマナは慌てずに言う。  
 「・・・ロープ追加にゃ」  
 「了解!! (ですの――っ!! )」  
 一斉に飛び掛るリナとユナ。  
 「いふぁい!! いふぁいっつふぁらっ!! 」  
 気の毒なミルフィは何故か、ぎっちりと両胸を絞られるように拘束ロープを追加  
されてしまう。ドレスの胸元の生地がはじけそうにパツンパツンになってる・・・  
 ・・・と、そんなことを姫様達がやっているうちにディスプレイの中では、知らずに  
媚薬漬けにされてぐったりしているマナの召使いが映っている。そして小さく  
舌なめずりをしつつ、そのスパッツの腰にゆっくりと手をかけるソラヤが・・・  
 
 「お、お兄さますごい・・・こんなにスパッツ持ち上がるぐらい大っきくして、こんなに  
逞しくて・・・ボクもいつかこんなふうに・・・」  
 ソラヤはぐったりとしたマナの召使の下半身の側にうずくまって、うっとりと  
お兄さまの熱くたぎったこわばりを撫でる。スパッツのサラサラした感触の下に  
ドクドクと脈動する感触・・・ソラヤはごきゅんと唾を飲んでスパッツに手をかけた。  
 「今、ラクにしてあげますから・・・」  
 
 『はふ・・・ぼ、ぼく・・・』  
 頭に上りすぎた血がやっと引いてくる。  
 『そ、そうだ・・・ソラヤくんのテクニックに翻弄されて・・・そして・・・んっ、腰が  
熱い・・・』  
 と、目線を下にやるぼく。ソラヤくんがいた・・・  
 「んっ・・・お兄さま・・・キモチいいですか・・・ちゅ、ずちゅ・・・れる・・・」  
 フェラチオしつつ、上目遣いでぼくを見ているソラヤくん。  
 「うわっ!! ソラヤくんっ、なにやってる・・・ひくっ、うあああっ!! 」  
 さっきからずっとフェラチオをされていたらしいシャフトはすごく敏感になって  
いて・・・  
 「お兄さまのステキです・・・おクチに入らないかと思いました・・・んちゅ、  
ちゅちゅ・・・」  
 ソラヤくんがぼくのシャフトを口いっぱい頬張りながらしゃべる。薄めの唇は  
ぼくのシャフトをプニプニとしごきつつも、口の中では裏筋にピッタリと舌の腹が  
あてがわれていて、うねうね、ちろちろと舌が泳ぎ快感をぼくに送りつづける。  
 「ひあっ!! こ、こんな・・・んっ、ソ、ソラヤくん・・・前より上手にっ・・・  
なってるぅ〜!! あっ、ひいっ、きゃふ!! 」  
 ソラヤくんが嬉しそうに目を細めて囁く。  
 「お兄さまにお風呂でイカされてからたくさん練習したんです・・・それにこの前  
だって、何度も何度もボクのおクチに濃いのをお兄さまが注ぎ込んで・・・ポッ・・・」  
 うっとりとシャフトに舌を這わせつつ言うソラヤくん。こ、この前って、ぼくじゃ  
ないよぅ・・・  
 「あっ・・・お兄さまそろそろイキそうですね・・・」  
 シャフトのひくつきを感じたのかソラヤくんがじゅぷじゅぷ言わせながら言う。  
 「ふっ、あっ・・・そ、それはぁ・・・」  
 ぼくはあごをのけぞらせて言う。腰とお尻の境目がずしりと熱く重い。早くたくさん  
どぴゅどぴゅしたい・・・ソラヤくんの声が催眠術みたいに流れ込んでくる・・・  
 「お兄さま・・・いいんですよ、思いっきりボクのおクチ犯してください・・・すっごく  
キモチいくなるように動いてみて・・・」  
 
 「はあっ、はあっ・・・んっ、ふああっ・・・ソラヤくぅん・・・」  
 ぼくの両手はソラヤくんの頭を抱える、絹糸のような黒髪がくしゃりと手の平で  
つぶれる。そして、そして・・・  
 「う、ああああっ!! ソラヤくんっ!! ソラヤくん――っ!! 」  
 ぼくはソラヤくんの頭を抱え、ガクガク揺すりつつ、腰まで使いソラヤくんの  
小さな口を荒々しく犯していく。  
 「んぷっ・・・んむっ、けほっ・・・ずちゅ、ふはぁむっ!! お、おにいひゃま、すごく  
ワイルドですぅ・・・んぐっ、むぷぅ・・・」  
 ソラヤくんはそれでもぼくのシャフトに舌をはわせ、強く吸ったりしてくれている。  
 「ソラヤくんっ!! くっ、きゃふ・・・イク・・・イッちゃいそうだよっ・・・」  
 「お兄さまっ!! おクチにっ、おクチにだしてっ!! 」  
 「あっ、あっ、あっ!! ・・・」  
 せっぱ詰まるぼく。腰がびくびくしてきた。ソラヤくんの小さなクチにぼくの  
野太いシャフトが強引に出たり、入ったり・・・ソラヤくんの舌先がシャフトの鈴口を  
えぐってる・・・ぼくの腰はさらに速度を上げて・・・  
 「ひああああああっ!! ソラヤくんイクっ、イク――っ!! 」  
 ぼくの背がピンと伸びる。同時にソラヤくんの口に放たれる熱く白い白濁。  
 『びゅくっ!! びゅくっ!! 』  
 激しくしゃくりあげるぼくのシャフトにソラヤくんの舌がひらめき、さらにぼくの  
シャセイを促す。  
 「んっ、んっ、ん〜っ・・・」  
 何故かソラヤくんはぼくの白濁を口に溜めているらしく、たちまちほっぺがハムスター  
みたいにぷっくりと膨れていく。なんか・・・いっぱい出してるのを見せつけられてる  
みたいで、すっごく恥ずかしい・・・  
 めくるめく快楽とはこのことかも・・・シャセイが下火になるとソラヤくんは先端を  
咥えて、くるくる舐めまわしつつ、シャフトをしごきたて、逆にもう一方の手は  
優しくシャフトの根元の袋をいらってくれている・・・  
 
 「はふ・・・あっ・・・はあ・・・」  
 ぼくはすごい快感に涙目になりつつも、しっかり一滴残らずソラヤくんの口に放つ。  
 『あっ、あっ・・・ぼく、男のコに出しちゃった・・・』  
 薄っすらと後悔しつつ、下を見るぼく。ほっぺをふくらましたソラヤくんがニッコリと  
笑う。そして・・・  
 
 『とろとろ・・・』  
 ソラヤくんはたっぷり溜めた白濁をゆっくりと口から吐きだして、ぼくのシャフトに  
トロリとかけていく。たちまち自分の出した白濁まみれになるぼくのシャフト。  
 「くすっ、お兄さまのでヌルヌル・・・」  
 ソラヤくんは口からトロトロとさらに垂らしつつ、白くデコレーションされた  
シャフトを手でしごく。力を失いかけたシャフトはたっぷりのローションを使って  
責められたみたいに気持ちいくってたちまち元気を取り戻す。  
 「ソ、ソラヤくん・・・なにを・・・」  
 ソラヤくんはニッコリ、小悪魔のように笑って言う。  
 「お兄さまの大きいから、ちゃんとヌルヌルにしないと入らないんだもの・・・」  
 つるんとパンツごとパジャマのズボンを脱ぐソラヤくん。しなやかなソラヤくんの  
ハダカが明かりにさらされる。恥ずかしそうにピンとたったオチンチンを隠しつつ、  
ゆっくりとぼくに跨る。ひ、ひよっとして・・・  
 「だ、だめだよっ!! ぼくたち男のコ同士・・・」  
 押し留めるぼくにソラヤくんはキレイな顔をぐいっと近寄せてニッコリと言う。  
 「その男のコにたっぷり出したのは誰?あんなにぼくのおクチぐぽぐぽ犯したのは?」  
 ぼくはソラヤくんの蜘蛛の巣にからめとられた蝶。淫靡な匂いを放つ食虫花に  
捕えられた愚かな羽虫・・・  
 「そ、それは・・・んっ!! 」  
 ソラヤくんが泣きそうなぼくの唇を奪う。そして手はゆっくりとぼくのシャフトに  
副えられてゆっくりと腰を落としていく・・・ああっ・・・先っぽが当って・・・んっ、  
はあっ・・・舌が絡まって・・・ぼくの味ってこんな味なの?・・・  
 
 ふあああっ、だめだよソラヤくん・・・  
 
 ふあああっ、だめだよソラヤくん・・・  
 
 
 『ごきゅ・・・』  
 リビングの3姉妹はクライマクッスを見逃すまいと、固唾を飲んで見守る。そして、  
ついにその瞬間をというところで・・・  
 『ぶっちん!! 』  
 猿轡を根性で噛み切ったミルフィが吠える。  
 「こらっ!! やめなさいっ!! あ、あなた達、わたくしのソラヤが犯されるのを見て  
そんなに楽しいのっ!? 」  
 ヤル気満々なのはもちろんソラヤである。マナがうんざりと手にあごを乗せながら  
めんどくさそうに言う。  
 「逆にゃあ、エッチなソラヤがわたしの召使いを犯そうとしてるんにゃ・・・」  
 「う、うそおっしゃい!! ソラヤがそんなことするわけないじゃない!! ああ・・・  
可愛そうなソラヤ・・・」  
 と一人、雰囲気を出して涙ぐむミルフィ。この期におよんで、こんなコトを言う  
姫様にわざとらしく溜息をついてみせるリナとユナ。それに気がついたミルフィが  
ボソッと毒づく。  
 「な、何ですのその態度は・・・この筋肉胸に盆地胸・・・」  
 にこやかに話す姉妹。  
 「今度はこの脂肪のカタマリを一つづつ絞りあげるよう、横向きに縛るのはどうだ  
ろうか?なあ、ユナよ・・・」  
 「あのねーリナ、もう一本真中にロープぎゅってしたら、おっぱい4つに割れて  
一つ一つは丁度いい大きさになると思うんですの――っ!! 」  
 「ち、ち、ちょっともう胸はやめなさいよっ!! リナのバカ力で縛ったら胸が千切れて  
しまいますわっ!! 」  
 うろたえるミルフィにマナが言う。  
 「お前ら、うるさいにゃ・・・それじゃあミルフィにもソラヤの本性見せてやるにゃあ」  
 と、ミルフィを『ぐにっ』と掴んでソファの下に引張るマナ。  
 「イタイっ、イタイから胸を掴んで引張らないで――っ!! 」  
 どこまでも気の毒なミルフィ・・・  
 
 
 『あ、あ・・・ダメだよソラヤくん、そんな・・・』  
 ネットリ微笑んで腰を落とすソラヤくん・・・ぼ、ぼくは・・・  
 「やっぱりだめ――っ!! 」  
 ぼくはソラヤくんを突き飛ばしてしまう。懸命に言う。  
 「だめだよソラヤくん!! 隣の部屋にご主人様がいるのにこんなトコロ見つかったら・・・」  
 ぼくの必死の説得をキョトンとした瞳で見つめるソラヤくん。  
 「見られたらきっとご主人様達の前でやれって言われちゃうかも・・・見られながら  
だとボク恥ずかしい・・・ポッ・・・」  
 「そんなコト、ご主人様はしませんっ!! 『ウワキ』したって怒られちゃうんだよ」  
 ぼくは少しずれたソラヤくんに叫ぶ。実際、よくネコの性格を捕えているのが  
ソラヤくんで、ずれているのはぼくの方なのだが・・・そしてソラヤくんが追い討ちを  
かける。  
 「『ウワキ』じゃないですよ、だってボクたち『ヒト』なのに『ネコ』がヤキモチ  
焼くはずないじゃないですか・・・ねっ」  
 ニッコリと言うソラヤくん。ぼくは少しショックを受けて考え込む。  
 『ご主人様・・・ぼくのことどう思っているのかな・・・』  
 いきなりフリーズしてしまったぼくはソラヤくんの行動に気がつかない。  
 「せっかくお兄さまの、トロトロのセーシまみれにしたのに・・・すっかり乾いて  
しまいました・・・」  
 じたばたして挿入のタイミングを逃したソラヤが溜息をつく。そんなソラヤの  
視界の端に青い小ビンが映った。  
 『あ・・・あれをローションのかわりに・・・』  
 
 ソラヤはフタを開けてたっぷりと両手に塗り薬をとると、ソラヤの手で一握りあまり  
そうな逞しいシャフトに丁寧に塗りこんでいく。  
 
 そして、ぼくは無性にご主人様に会いたくなって・・・  
 「やっぱり、ぼく帰るよ・・・ソラヤくん本当にゴメ・・・ひっ!? う、うああああああっ!! 」  
 ぼくは悲鳴を上げてベットに蹲る。  
 『ひあああっ!! オ、オチンチンが焼けるっ!! 』  
 ぼくのいきなりの苦しみようにソラヤくんがうろたえる。  
 「お、お兄さまっ!! だいじょうぶですか?ボク、ボク・・・」  
 背中をさすってくれるソラヤくん。ぼくは立てひざのまま、ゆっくりと身を起こす。  
なにか開放されたような、バリバリとヒトの皮を脱皮してケモノに進化した気分。  
 「フ――ッ!! フ――ッ!! 」  
 僕のうめき声。ソラヤくんが上ずった声で呟く。  
 「うそ・・・そんな、すっごく・・・ドクン、ドクンって・・・」  
 お兄さまの下腹部にそそり立つシャフトに目を白黒させるソラヤ。別に大きさが  
2倍になった、などということはないが、迫力が断然違っていた。さっきが肉棒なら  
今は鉄棒と言ったところ。なにかこのままソラヤがそのシャフトにぶら下がっても  
しっかり支えられそうなカンジ・・・びっしりと血管が浮いたシャフトの姿は実に凶悪で、  
急角度でそそり立ち、さらにカリ首がドンと張り出した様子は同性ながらソラヤの腰を  
熱く蕩かして頼りなくさせてしまう・・・  
 「ソ、ソラヤくん・・・」  
 じり・・・お兄さまがひざ立ちでにじりよる。  
 『あ、あんなので貫かれたらソラヤ、コワれちゃうかも・・・』  
 さっきまで積極的だったソラヤが一瞬怖気づく。  
 『ガッ!! 』  
 お兄さまの手がソラヤの華奢な肩を掴む。手の跡が付くぐらいに・・・  
 
 「お、お兄さ・・・」  
 「フ―――ッ!! 」  
 お兄さまはいきなりソラヤを押し倒す。瞳にはケモノの光。  
 「ああっ!! ダメッ、乱暴にしたらソラヤ、コワれちゃう――っ!! 」  
 必死でもがくソラヤ。不意打ちで慌ててしまったソラヤは体術を発揮できない。  
お兄さまのカラダがソラヤの白い太ももの間に割り込んできて・・・  
 「いや――っ!! お兄さまっ、乱暴なのはいやです――っ!! ボク、コワれちゃ・・・  
ひっ!! 熱いのがアソコに当って・・・」  
 「フ――ッ!! フ――ッ!! 」  
 ケモノじみたお兄さまは狙いを定めて・・・腰をぐいっと押し出すように前に・・・  
 「ひいあああああ――っ・・・あ・・・あ、あ!? ・・・」  
 ソラヤの背が反り返り、苦痛に眉が歪んだのはほんの数秒。アヌスから溶け出すように  
発生したとてつもない快楽は体中を駆けめぐる。息さえ忘れそうになってヘンな  
溜息を肺から必死に押し出す。二人は押し流され、召使いの少年達は二人ともケモノに  
なって快楽の限りを絞りだす。  
 
 
 「ほら、ほら、ほら――っ!! 見なさい、御覧なさいっ!! 可哀想なソラヤが犯されてる  
じゃないの――っ!! ああっ、なんてマナの召使いは主人に似て節操がないのかしら!! 」  
 と、得意気(?)に嘆くミルフィ。ユナがその横で呆然と呟く。  
 「ふ、不可抗力ですの・・・だってお薬、匂いだけでも効果あるのに粘膜直接なんて・・・」  
 基本的に人の話を聞かないミルフィが細かい意味もわからずに言う。  
 「なにが不可抗力ですの!! だいたいソラヤは・・・」  
 『あ、あ〜ん!! お兄さま――っ!! 』  
 ディスプレイから甲高いソラヤの悲鳴。思わず画面に釘付けになってしまうミルフィ。  
 
 「むおおっ!! あ、あんな体位でずぶずぶと・・・ハァハァ・・・」  
 見苦しく身を乗り出すリナを押しのけてマナが言う。  
 「そうにゃあ、片足を肩で背負うようにして激しく突くにゃあ・・・にゃふふ・・・」  
 「はわわっ!! あんなに腰の動きがカクカクって・・・す、すごっ・・・ハッ!! わたくしと  
したことが」  
 我に返るミルフィ。慌てて叫ぶ。  
 「い、いったいこんなの見て何が楽しいんですのっ!? 趣味が悪いったらありませんわ!! 」  
 「にゃに言うにゃあ、こうして『美少年同士の絡み合いを直接手を下さず、高みから  
鑑賞する事』こそ上流階級の愉しみにゃあ!! 」  
 「あ、あなたの上流階級のイメージはいつもどこか間違ってますわ!! 」  
 「ミルフィもちゃんと間近でみればそのありがたみがわかるにゃあ・・・それにしても  
今回は実にスムーズにうまくいったにゃあ」  
 「もちろんですの――っ!! 塗り薬だけでなくてソラヤが初めに飲んだ玉子酒にも  
お薬入れときましたの――っ!! 」  
 得意気に言うユナ。でもマナはテーブルの上をワナワナと見つめてる。  
 「ひ、ひとつ聞くにゃ・・・その玉子酒っていうのは・・・?」  
 「キッチンにあった日本酒のビンにあらかじめサラッと・・・あれ?・・・これ・・・」  
 ユナも見覚えのある日本酒のビンを見つける。  
 「こ、これは、ずいぶん前に酒がきれたので台所から勝手に持ち出した・・・純米吟醸  
『美少年』・・・」  
 おどおどと言うリナ。  
 「ユナ・・・ >>48 でなんて言ってたかにゃ?」  
 「『ネコにもヒトにも効く強烈なヤツをたーっぷり混ぜといたの――っ!!』って・・・」  
 「・・・・・・・・・」  
 『ゴンゴンゴンゴン・・・』  
 気まずい沈黙の効果音が流れる。そして誰からともなく服を引き千切るように脱ぎ、  
大きなソファの上で、互いに汗と粘液にまみれた取っ組み合いを始める三姉妹。  
 
 ミルフィはソファの下で慌てて頭をふせ難を逃れたものの、さっき言われた  
『美少女、および美女同士の絡み合いを直接手を下さず、高みから鑑賞する事』の  
ありがたみなどちっとも判らなかったのは言うまでもない・・・  
 
 
 所変わってソラヤの部屋。二人とも始めと比べればずいぶん落ち着いてきてはいるが、  
それでも激しく幼いカラダをぶつけ合い、よがり合う。  
 「ふあっ、ああっ・・・お兄さまぁ・・・腰が蕩けちゃう――っ!! 」  
 「ソラヤくぅん・・・ぼくの腰、とまらないよぅ・・・んっ、んっ・・・」  
 ぼくはソラヤくんの両足を両肩に抱えあげるようにして、激しくソラヤくんを突き  
まくる。出し入れの一回ごとにどんどん気持ちイクなっていくカンジ・・・ソラヤくんの  
アソコも『ぎゅ』って握り締めるように締め付けてくる・・・  
 「はあっ、はあっ!! ソラヤくん、ソラヤくんっ!! 」  
 ぼくはさらに、のしかかるようにしてズンズンする。もうソラヤくんの足の裏は  
天井を向いてる。ぼくは真上から全体重をかけてバスバスとソラヤくんの小さなお尻を  
責める。  
 「ふああっ!! お兄さまっ・・・そんな真上から・・・くっ、はふぅ・・・深いのぉ・・・  
お兄さま、す、スゴイ所にぃ・・・」  
 ソラヤくんの細くて白いカラダは汗にまみれつつ、ほんのり赤みをおびている。  
大きすぎる快楽を受け止めかねて、くねくねとうねるソラヤくんの体・・・  
 「ソラヤくん・・・いくよ・・・」  
 ぼくはソラヤくんの片足を肩から下ろす。残った足を『ぎゅ』っと抱きしめるように  
して、激しく腰を繰り出す。これで側位の体勢。  
 「ふあっ、ソラヤくんすごい締め付けてくるぅ・・・それにこんなにピンピンになって  
揺れてるよ・・・んっ、はんっ・・・ちゅ、ぴちゃ・・・」  
 「お、お兄さまっ!! 見ちゃダメッ!! ひああっ、そんな・・・足の指舐めちゃだめ  
ですぅ・・・キタナイです・・・あひゃん、きゃふ!! 」  
 口から溢れるよがり声を両手で押さえつつソラヤくん。試みは今の所全く成功して  
いないが・・・ぼくは名残惜しげに舐っていたソラヤくんの足指を口から出すとその足も  
ゆっくり下に降ろす。ソラヤくんはうつ伏せの体勢に・・・ぼくはそのまま小刻みに  
ソラヤくんに快楽を叩き込む。これでうつ伏せバック責めの体勢。  
 
 「ひあっ、ふあああん!! 」  
 カラダを半回転させられて内壁をえぐられてカワイイ悲鳴をあげるソラヤくん。  
軽くイキかけるソラヤくんの蕩けきった表情に大興奮しちゃうイヤらしいぼく・・・  
 「はあっ、はあっ・・・ソラヤくん気持ちいい?れる、ちゅく・・・くちゅ・・・」  
 ぼくはソラヤくんにぴっとり覆い被さって動く。この体位だと腰にソラヤくんの  
まろやかなお尻の感触を楽しみつつ抽送できる。ついでに目の前にソラヤくんの耳が  
あるので遠慮なくネットリと口で愛撫してあげる。  
 「ひああああっ!! ソ、ソラヤ感じすぎてっ・・・あっ、ひあっ・・・そんなに入り口を  
小刻みにっ!! んふぁ・・・耳も、耳もイイよう・・・お兄さまっ!! お兄さまぁ・・・」  
 メロメロのソラヤくん。もう感じすぎて逆に不安になったのか、ばたばたと両手が  
暴れてる。ぼくはそのソラヤくんのての甲を上から優しくかぶせるようにして握って  
あげる。そして『ちゅ、ちゅ』と軽く耳裏に口付けをしつつソラヤくんに聞く。  
 「なあに・・・ソラヤくん・・・」  
 口調は優しいぼくだけど、下半身は休むことなくソラヤくんのお尻の上でまったりと  
弾み、ときおり軽く円を描くようにしてソラヤくんのアヌスを責め続ける。  
 シーツを噛み締めて息も絶え絶えにソラヤくんが必死で言う。  
 「あっ、あっ・・・お兄さまっ!! もう、イカせて!! 思い切りイカせて――っ!! 」  
 ぼくもソラヤくんのみっちりとした激しい締め付けにクライマックスが近いのを  
自覚して叫ぶように言う。  
 「じゃあ、思いっきりいくよ!! ・・・それっ!! 」  
 ぼくはソラヤくんの両手首を掴んでうつ伏せ状態から一気に立ち上がる。ソラヤくんは  
両手首と接合部だけで無理やり引立てられたようになり、ボクのシャフトで入り口を  
手荒くえぐられてしまう。これで体位は変形の立ちバックになった。ぼくは腰を落し  
気味にしてるけれど、身長の差からソラヤくんは懸命につま先立ちして必死で高さを  
合わせてる。  
 
 「ひぎいいいっ!! きゃふっ!! お兄さまのカタイのがっ・・・ひあああっ!! 」  
 ガクガクとつま先の力が抜けては、『ゴリュン』とぼくのシャフトでアヌスを  
えぐられるソラヤくん。そして力のうまく入らない腰で必死に爪先立ちに復帰する。  
本格的に動く前にもう涎を吹きこぼして絶叫して・・・でも、もっと気持ちイクしたげる  
からね・・・  
 「いくよ、ソラヤくん!! 今日オチンチン一回も触ってあげてないけど、お尻だけで  
イカせてあげるっ!! 」  
 『パンパンパンパン・・・!! 』  
 キレのいい音が部屋に響く。信じられないけど本当に拍手するみたいな音。これは  
ご主人様に手取り足取り教えてもらってマスターしたぼくの武器でもある。要するに  
挿入前ならソラヤくん。挿入後ならぼくのホームグランドなのだ。ぼくは前半の失点を  
取り戻そうと激しくソラヤくんを責めたてる。反応の良かった場所とか、微妙に内壁が  
うねった角度とかをちゃんとフィードバックして縦横無尽に突きまくる。  
 「ふああああっ!! お兄さま!! もうイキそうですっ、だから、だからオチンチン  
しごいてっ!! ひくぅ・・・しごかせてくださいっ!! 」  
 泣き叫ぶソラヤくん。でもぼくはソラヤくんの手首を握る手を離さない。  
 「だ〜め、お尻だけでイクって言ったでしょ・・・それにソラヤくんのココ、まだぼくを  
欲しがってる・・・よっ!! 」  
 思い切り深く挿入して大きく腰をまわすイジワルなぼく。円運動が一番上に来たとき  
ソラヤくんのつま先がほんの一瞬だけ本当にふわりと浮く。  
 「ひぎいいいいっ!! 感じすぎっ・・・ます・・・はくうう・・・ああああ・・・」  
 ガクガク痙攣するソラヤくん。もう限界みたい・・・ぼくもじんわり腰に来てる・・・  
 「ソラヤくん・・・イクよ、イクよ・・・」  
 ぼくはラストスパートをする。また部屋に『パンパンパンパン』って恥ずかしい音が  
響いてる。次第にソラヤくんの腰もぼくの腰を迎え撃つように突き上げてくる。  
 「うああああっ!! イク――ッ!! お尻だけでイク――ッ!! 」  
   
 先にイッたのはソラヤくん。びくびくと背中を反らせてシャセイする。でも今まで  
一回も直接にオチンチンを触らなかった影響か、すごくヘンなシャセイ・・・白濁が  
トロトロとゆっくり溢れ出るだけ、飛び出す勢いがなくてソラヤくんのピンとそそり立つ  
若幹を伝って流れ落ちる・・・ぼくは少し心配になったけれどイキかけの腰はもう  
止められない。  
 「んっ、んっ・・・ソラヤくんのが締まるっ!! ぼくもイクよ――っ!! 」  
 『びゅくん!! びゅくん!! 』  
 ぼくはいつも以上に大量にソラヤくんの中に放つ。イキながらも、感じすぎてツライ  
けど激しく腰を使う。これもご主人様の教育の賜物。  
 すると、ソラヤくんの様子がおかしくなってきた・・・  
 「か、か、感じすぎちゃうぅ・・・あ――っ、あ――っ!! ひううう・・・」  
 白目を剥きかけてるソラヤくん。まだ白濁はトロトロ出てた。  
 後で聞いたけれど、ゆっくりシャセイしていたときも快感は普通のシャセイと  
いっしょみたい。しかもゆっくりな分、3分近くトロトロ出っ放しだったから、  
ソラヤくん3分近く男のコ絶頂ぶっ続けだったみたい・・・最後はソラヤくん動物みたいに  
なって・・・  
 「ひいいいいいっ!! ひいいいいいっ!! あひいいいいいっ!! 」  
 って、すごい絶叫して失神した・・・ご主人様たちが様子を見に来なかったのがほんと  
奇跡・・・ぼくはたっぷりと二回目を出してゆっくり目を閉じる・・・  
 
 『ぴちゃ・・・ちゅく・・・』  
 ソラヤが心地よい感覚に目を覚ますと・・・  
 「ん・・・んん・・・えっ!? お兄さまっ!! 」  
 ベットの下のほうでソラヤにフェラチオしているのは大好きなお兄さまだった。  
夢かも知れないと思いつつも、夢だったら覚めないように小声で尋ねるソラヤ。  
 「お、お兄さまどうして・・・そんな・・・」  
 お兄さまはネットリ舌を這わせつつも、恥ずかしそうにシーツにくるまって言う。  
 「さっきソラヤくんヘンなシャセイだったから、ちゃんとシャセイするか調べて  
あげる・・・ちゅ、くちゅ・・・それにぼくだけ2回イッたから、お返し・・・  
ずちゅちゅ・・・にこっ」  
 
 「そ、そんな・・・お、お兄さま、やっぱり上手すぎ・・・あっ、あっ・・・ダメ――ッ!! 」  
 もっとたくさんお兄さまにシテもらおうと思った決心とは裏腹にあっという間に  
お口の中でイカされてしまうソラヤ。心の中で号泣する・・・  
 結局またもや飲みきれず、目を白黒させてる『お兄さまの手伝い』と称してキス  
しながらソラヤはうっとりと思った・・・  
 『カゼって、すごく気持ちイイ・・・』  
 カゼも全快。今日はソラヤの一年で一番の日になったのでありました。  
 
 
 翌朝・・・ミルフィ姫の客用寝室・・・  
 「あのすみません・・・ミルフィ姫・・・ご主人様達のコト、宜しくお願いします・・・」  
 申し訳なさそうに頭を下げるぼく。ソラヤくんはべったりとぼくの腰の辺りに手を  
まわしてくっついている。  
 「ホッホッホッ!! 宜しくてよ、全くこの時期に全裸で朝まで寝てるなんて自殺行為  
ですわっ!! 死なずにカゼで済んだのはきっと『バカはカゼひかない』という格言が  
少しは効いたんですわっ」  
 と、いつになくキツイミルフィ姫。昨日なにかあったのかな・・・ぼくは目の前の  
ご主人様に言う。  
 「ご主人様・・・早くカゼ治してくださいね・・・でも良かった、ミルフィ姫が3人とも  
看病してくれるって言ってくれて・・・」  
 「ごほ・・・げほっ・・・お前、行ったらだめにゃあ・・・わたしを見捨てたらダメにゃあ・・・」  
 気弱なご主人様、少しカワイイかも・・・でも、なんか後ろのミルフィ姫をチラチラ  
気にしてる。  
 「すみません・・・年末は抜けられないバイトがあって・・・松の内は物入りだし・・・  
でもリナさまもユナ様も一緒なら寂しくないでしょ」  
 
 と、言うと両隣に寝かされているリナ様とユナ様が口々に言う。  
 「待て・・・今、行ってしまったら・・・ゴホン、ゲフン・・・」  
 「だ、だめですの――っ!! このおっぱい星人を信用しちゃ・・・ゼハ、ゼハァ・・・」  
 ぼくは安心させるように言ってあげる。  
 「だいじょうぶですよ!! なるべく早く帰ってきますから、ねっ・・・あっ!! もう  
こんな時間・・・それじゃあいってきま――す!! 」  
 ぼくはミルフィ姫に目礼して部屋から出る。気のせいかべたべたしてるソラヤくんと  
ぼくを見る目つきが少し怖いような・・・まさか昨日のコト、ばれてないよね・・・  
 
 そうしてミルフィは三姉妹の寝ているベットの前に仁王立ちする。  
 「ふふ・・・ジャマ者は行きました・・・まあ、あの召使いはソラヤが泣いて頼むから  
許してあげるわ」  
 「ありがとうございますご主人様・・・」  
 かしこまるソラヤ。お兄さまがいなくなれば、すっかりソラヤも『可愛い弟モード』  
から『有能召使いモード』である。  
 そうしてミルフィは『ギンッ!! 』と不届き者達を睨みつける。あたふた、もぞもぞ  
蠢く三姉妹達。ミルフィは言う。  
 「ふふ・・・ちゃんと治療はいたしますわ、あなたの召使いと約束してしまいました  
もの・・・」  
 安堵するマナ。  
 
 「にゃふ・・・さすがミルフィにゃあ・・・昼ゴハンは『猫兆』の重箱がいいにゃ」  
 ずうずうしいにも程があるセリフにミルフィのこめかみにビシビシ青筋が浮く。  
ソラヤはなんでこのマナ姫のことになると自分のご主人様がいとも簡単に暴走して  
しまうのか判らない。先日の雨の日のダウンタウンとは大違いだ。  
 「ソラヤ、治療の準備を・・・」  
 「はい・・・」  
 ソラヤは3人の布団をひっぺがすとその下は3人供全裸で拘束されている。お返しと  
ばかりに約二名はぱつんぱつんの刑である・・・  
 そうしてもったいぶってミルフィは薬箱から薬を取り出した。  
 「ふふ・・・さてお薬の時間ですわ・・・『フェリシア製薬ジクロフェナクティーム剤』」  
 「ぶっ!! 」  
 思わず吹き出すマナ。  
 『・・・?』  
 きょとんとしてるリナ。  
 「そ、それ、もしかして、もしかしてですの・・・」  
 青ざめてユナが問うとミルフィが高らかに笑って言う。  
 「ふふ・・・もしかしなくても『座薬』ですわ!! ・・・ソラヤ手袋を・・・台所の皿洗い  
用ので結構ですわ・・・マナには特に早く治って欲しいから10個は入れませんと・・・」  
 「10個は致死量にゃ――っ!! 」  
 「薬は用法、用量を厳守ですの――っ!! 」  
 「にゃ――っ!! なんでこうにゃるの――って言う人物がちがうにゃ――っ・・・」  
 『ずぶずぶ』  
「・・・ゔに゙ゃ―――――っ!! 」  
 シュバルツカッツェ城に今年最後のマナの悲鳴が響き渡るのでありました。  
 
    (・・・おしまい)  
   
 

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