いつものように「おはよう」と彼女は微笑む  
最近は雪の日が多いからバスに乗ることが多かったから朝は会えなかった  
久しぶりに見た彼女は少し寂しそうであった  
大丈夫かと聞く、まだいけるよ、と彼女は応える  
僕はいつものようにそうか無理すんなよって言う  
そんな話をしながら僕は彼女を押していつもの坂をのぼる  
もう限界が近いのは分かっている、一歩一歩進むたび彼女が悲鳴を押し殺しているのが分かる  
一度始めたら急には止まれない彼女を愛おしく思いながら僕は少しずつブレーキをかける  
「じゃあ部活終わるまでまってるね」  
その笑顔に何度癒されたか  
「いいよ寒いから」  
その姿に何度助けられたか  
「大丈夫、私こう見えて我慢強いの」  
その言葉を何度聞いたか  
「知ってるよ、ありがと」  
知ってるよ、体中傷だらけなのに文句も言わない君を  
「えへへどういたしまして」  
そんな彼女の健気さに何度も何度も心をうたれながら、僕は後悔する  
 
「遅れてゴメン」彼女は俯いていたが僕の声を聞いて笑顔でこたえた  
遅いよ〜、とグチる彼女を笑っていると、後ろから声がした  
「おまえ何1人で笑ってんだ?そんなに自転車におかしなことでもあったのか?」  
 
 

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