晴れ着ではしゃいでたら転んでお汁粉まみれになって、泣きながらお兄ちゃんに手伝ってもらい晴れ着を脱ぐ妹。
ウホッ!いいチラリズム・・・(ハッ)
そう思っていると突然妹は僕の目の前で晴着の裾をまくりはじめたのだ(ススー・・・)
「や ら な い か」
『・・・満足したか?』
「もう、ノリが悪いなぁ・・・」
『付き合わされる身にもなってくれ・・・ハァ、なんで正月早々からこんな・・・』
「このあとが面白いのに・・・あ〜、そんなブツブツ言ってると女の子は逃げちゃうよ〜」
『・・・('A`)』
「ところであたしの恰好見て何か思うことはない?」
『・・・チラリズムの発祥はミッチーが舞台で裾をチラチラめくる仕草である、とか?』
「へぇ〜」
『で、お汁粉まみれなわけだが』
「話逸らしたでしょ」
『てか、早く拭かないと』
「この恰好じゃ立てないから、お兄ちゃん拭いて」
『・・・('A`)ハイハイ』
作戦が甘かったかな。もうホイホイ・・・もとい《ガバッ》と襲ってくるはずだったんだけどなぁ・・・。
もっと誘惑しないと
『ホラ、タオル持って来たぞ』
「ありがと」
『もう一人で拭けるな、じゃあ俺h』
「あ〜、こんなところにもお汁粉が・・・」
わざとらしく俺の言葉を遮って発した言葉に、妹のほうを見ると
妹は、コケてお汁粉をぶちまけた状態だった。さらにくそみそなコトをやったために、
嗚呼つまり何が言いたいかって、飛んだお汁粉を拭くために前傾姿勢なのである。着物をはだけたまま。
さらに「指がベトベト〜」とか言いながら指をしゃぶっている。これは・・・ヤバイ
さっきからチラチラと感じる兄の熱い視線。わざとらしく指も舐めてみた。
顔に出さないようにしてるつもりなのかな。反応してるのが丸分かりだけど。
・・・もう少し。もう少し。そうすればお兄ちゃんは私を・・・。
そしてトドメの一言を放つ。
「ねぇ・・・他にも飛び散ってないか・・・調べてくれる?」
妹が発したその言葉は、俺の頭の何かを壊したようだ。嗚呼、なんかこいつ、女だな。
そう思った瞬間、脳裏に小さい頃の妹の姿がフラッシュバックした。
七五三。自転車の練習を手伝ったこと。なわとびやらゲームボーイやらとにかく一緒に遊んだっけ。
仲が良すぎるのをからかわれて一時期すごく毛嫌いされたこともあったなぁ・・・。
そういえば一緒にお風呂に入らなくなったのもそのくらいだったっけ。
お風呂といえば、なんだか色っぽくなったよなぁ、雰囲気とか身体とか。女になったんだなぁ・・・。
いかん、無限ループだ、いやしかし調べるだけ、でもそれだけ止まるはずないし・・・。
新年早々なんでこんな・・・いや、現実逃避しても仕方ない。目の前の状況をだな・・・ああ、
ど う す れ ば い い ん だ
兄の葛藤を期待して見てる私。ふふ・・・お兄ちゃんヘタレだけど、このくらい誘惑すれば襲うよね。
いつも傍にいてくれた兄。好きになったのはいつだろう。抱かれたいと思ったのはいつからだろう。
初めて学生服に袖を通したお兄ちゃんを見たときにはもうドキドキしてた。
ああそうか、あの頃から私、お兄ちゃんを避けてたんだっけ。女の子は心の成長が早いから、男の子の無神経さに苛立つもの。私も例外じゃなかった。
心が落ち着いたときにはどんなにアピールしてもお兄ちゃんの反応は薄かった。
おっと、そろそろ・・・かな。
兄は、どうやら覚悟を決めたようだ。妹の顔に、期待しているような、緊張しているような表情が浮かぶ。
そして―――。
『やっぱりダメだあああああああああああああああ!!』
兄は、床に頭を打ち付け始めたのだ。くぐもった、いかにも痛そ〜うな音がする。
「お、お兄ちゃん落ち着いて」
『はぁ、・・・はぁ・・・ッ』
頭がクラクラする。脳が大分揺れたようだ。これでいい。・・・のか?何かしこりを残したまま兄の意識は沈んでいく。
気絶する寸前、
「あ〜あ、でもそういうところ、嫌いになれないんだよね」
という声が聞こえた気がした。