「そ、そんな、うそっ・・・ふあっ、締まるっ・・・でこぼこがっ!ひあああっ・・・」
「くくくっ・・・子を50人も産むと子宮口が柔らかくなってな・・・ほら、こんなに
奥まで・・・あ、んっ・・・」
微かに喘ぎながら、女王様はぼくの頭をぎゅっと抱きしめる。恥骨と恥骨が
ぶつかり合うぐらいの深い挿入・・・子宮口のカベはなんかツルッとしてて、
みっちりとくるまれる・・・と言うよりは、巾着のようにギュッと絞られる感じ。
そしてシャフトはさらに奥へと進み、その狭いカベを唐突に突破すると、
ひどく広いところに出る・・・ぼくはビクッと震えた・・・
「あっ、ふあっ・・・ん・・・え、あ、熱いっ!? 」
「ここに昔マナが居た所だ・・・熱いか?羊水がお前のペニスを浸している・・・
さあ、フローラを存分に犯すがよい・・・」
頭を抱かれ、熱い吐息を耳の後ろに吹きかけられながら、肩口まで
ひきつけた足をぼくの胴に巻きつけるフローラ女王・・・しっとりとした冷たい足が
脇腹や背中の後ろ側に触れ、熟れた体に取り込まれる・・・そして頬には
たっぷりと柔らかな胸の感触・・・。もうガマンできない・・・
「うわああああっ!もうっ、もうっ!! ぼくっ!んあっ、ひあああっ・・・!! 」
猛然と腰を使うぼく、一部がざらついた感触の秘裂の壁に柔らかく締め付け
られながら、敏感なシャフトのカリ首の部分はきつく閉じているはずの子宮口を
抜け、ことさら狭くなった子宮狭部の深い襞でプニプニと締め付けられている。
さらには子宮底に溜まった熱い羊水がぼくのシャフトの先っぽに突きこむ度に
ぴちゃ!ぴちゃっ!とかかる・・・まるで挿入しながらも唾液たっぷりのお口で
吸われているようで、この4段締めはぼくを確実に狂わせて行く・・・
「ふあっ!ああっ・・・イイよう・・・あっ、きゃふっ・・・ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
あまりの強烈にして初めての快感にぼくは半泣きでご主人様に謝りながら、
それとは裏腹に激しく腰をふる。女王様の胸を無遠慮に鷲掴みにし、その指の
間からゆっとりと溢れる乳肉の柔らかさと吸い付くような手触りに脳を焦がす。
そして、いい匂いのする首筋に噛み付くようにキスし、腰を激しくグラインドさせ、
文字通り子宮を捏ねまわしつつ、ご主人様の母親を犯していく。
「おうっ・・・んふっ、んっ、はんっ・・・もっと激しくっ!ああっ・・・なかなか・・・
くううっ、久しぶりにイケそうだ・・・ひあっ・・・おうっ、んああっ・・・」
徐々にフローラ女王も白いのどをのけぞらせて乱れはじめる・・・耳は
ピクピクとあたりを窺うように動き、毛並の悪いシッポが快楽にのたくり、
絨毯を叩く。その互いを貪るような本能剥き出しの交わりに呑まれ、声を
上ずらせながら見つめあう二人の王妹。
「すごいわ・・・こんなに腰が激しく動いて・・・幼いのに、私たちの姪に
こんなにイケナイ事・・・仕込まれちゃったのね・・・」
「陛下をイカせちゃうなんて・・・素敵だわ・・・あら、もうずぽずぽするのに
夢中みたいなのね・・・必死でかわいいわ・・・」
と二人は、姪の王女たちとは違うアダルティな下着を待ちきれずに
いそいそと脱ぐ。そして自分たちとそっくりな容姿の熟女に怒涛のような
勢いで、若さにまかせ腰を叩きつけるシーンを目の前に物欲しげに見つめる。
すっかり熱くなった体を持て余し、自分で自分を慰めていく・・・勝手に
乱入すれば命の保障はないのだから・・・
「おうっ、うっ・・・もっと、いいっ、いいっ!あうっ・・・お゙ううっ!」
女王様の喘ぎはケモノのよう。400年以上の経験を積むと、慎みが
無くなるのか、それとも快楽に正直になるのか、はたまたその両方か・・・
「ああああっ!! またイキます、イっちゃいそうですぅ!!!!」
ぼくは女王様の腕や足でがんじがらめにされつつも腰をガクガクと
揺すってプリプリとした子宮の肉を味わう。心も体も蕩けていくように
気持ちがいい・・・実際に本当に蕩けているのかも知れない、だって腕と
足でガッチリと絡められたぼくは熟れた甘い香りに誘われて食虫花に
捕らわれた蝶のよう・・・そして消化される間、ぼくにできるのは生きたえる
まで狂ったように羽根を振るわせることだけ・・・ぼくはガクガクと腰を
フローラ女王に突き入れ、何度もシャセイしながら、その肉体に溺れていく・・・
そして小さくイッていた女王についに大波が訪れる・・・
「おうっ!イクッ、イクッ、おあ゙あ゙あああああっ!! 」
ひときわ大きく女王様が吠えると絶頂の悲鳴を礼拝室に高々と響き
渡らせる。胸を反らせた女王様に、上に乗っていたぼくの体がフワリと
浮く。同時に、脈動するような動きと共に子宮がググッと下がって、
これ以上にないほど深くぼくのシャフトをうねうねと別の生き物のように
蠕動しながら飲み込んでいく・・・それは、イク寸前のシャフトを激しく
吸い立てられるような・・・。絶頂を迎えた女王様に力任せに抱きしめられ、
肋骨が軋むが、その痛みさえ感じないくらいの快感の怒涛がすぐに
ぼくに襲い掛かる。目に白い火花が散っては弾けた・・・
「ああああああああっ!! す、すごっ・・・うわああああっ!! 」
腰が・・・ではなく、体ごとガクンガクンと痙攣する。
「んああぁ・・・中に、熱くて濃いのが、叩きつけられて・・・ん、ん・・・
ヒトなのにニンシンしそうだ・・・」
息を弾ませ、口端から唾液を溢れさせながら満足の吐息をつく女王様。
身を起す・・・そのカラダは久しぶりの満足いくセックスをした為か、白い肌は
ほんのりピンクに染まり、艶々と輝いている・・・
「うあ・・・うそ・・・」
ずるりと抜けたぼくのシャフトは何度も白濁を放出したというのに未だに
硬度を保っていた。そのかわりに心臓に負担が掛かっているのか動悸が
激しい・・・ぼくは薬物のせいで自律神経の加速が止まらない。エンジンが
悲鳴を上げているのに限界スピードで走る車のような自分の体に歯が
なるほど恐怖し、一方で情欲をたぎらせる・・・。
たっぷりと子宮の底まで出された・・・
立ち上がるが、あまりの快感に腰がふわふわとする。そ知らぬフリで実験の
プランを組み立てるときに使う椅子に全裸のまま、倒れ込むように座る・・・
大量に放たれた物がはしたない音と共に逆流して内腿を熱くぬらして伝い
落ちた・・・この感触は悪くはない。こんなに気持ちいいなら今までのモルモットに
して使い捨てて来たヒト奴隷も捨てた物ではないな・・・などと思ったりする。
やはり浅く椅子に腰掛け、肘掛についた手に顎を軽く乗せるお決まりのポーズ。
『もう一押し・・・だな・・・』
冷静に観察するフローラ。目の前の娘の召使いは、立続けに欲望を
放出したせいか、瞳には理性が戻り始めているようだ。だが精神は
ともかく肉体の方は不規則な呼吸で胸のあたりを慌ただしく上下させ、
体全体は水を浴びせたように汗でテラテラと光っている。そして、
ぐったりとしていながらも緩んだ足の間から血管の浮いたシャフトが
そこだけは別に天を衝いて立ち上がり、別の生き物のようにビクビクと
震えていた。それをじっと見て、してやったりと唇をゆがめるフローラ。
もう少し快楽を与えれば昔、何度もやったように向こうから哀願して
『陛下の奴隷にして下さい』というに違いない、所詮人の気持ちなど、体の
生理や4種の塩基配列の後に来るものなのだ・・・
「・・・イーリス、セレーネ、たっぷりと可愛がってやれ・・・二人とも休む時は
互い時間をずらせて決して休ませるな・・・マナの召使いよ・・・コワれる前に
考えが変れば言うがよい・・・」
「・・・!? 」
反論しようと慌てて口を開こうとしたが、それを一文字も音にする時も
与えられず、ぼくは絨毯の上に引き倒される。耳元の荒い息は飢えた獣の
唸り声のよう・・・ぼくはあっという間に2つの熱い肉に組み敷かれる。勢い
余って、爪が、歯が、ぼくのカラダに浅く食い込む・・・ぼくは悲鳴を上げた。
「イーリス様っ、セレーネ様っ!! や、やめてくだっ・・・うあっ、は、離してっ!
・・・やだ、やだっ!! これ以上したら死んじゃう、コワれちゃうっ!! 助けてっ、
助けてご主人さま――っ!! 」
神聖な礼拝室に召使いの哀願混じりの悲鳴がか細く響く。ステンドグラスの
ネコ女神さまはその様子を慈愛に満ちた表情で見つめるだけ・・・
もう4時間近く休まずに犯されている・・・早く部屋に戻らないと、きっと
ご主人様は寝坊してしまうに違いない・・・起きて、遅めの朝ご飯ができて
ないとガッカリするに違いない・・・
時おり腰が熱くなって乾いた熱風のような快楽がぼくを襲うがそれは一瞬。
今はもう何も白濁一滴さえ出ずに、ビクビクとしゃくりあげるだけ・・・でも決して
萎えることは無くて・・・
初めは暴れるぼくの両手をセレーネ様に床に押さえつけながらイーリス様に
むりやり跨られて・・・
「だめっ!! ああああっ!! ・・・あむううっ・・・」
「ごめんね、もう待てないの!ね・・・舌でペロペロして・・・」
激しく騎乗位で乗られながら、がまん出来なくなったセレーネ様がぼくの顔に
跨ってくる。必死で動かす舌に、ぴゅっぴゅっと熱い蜜が吹きこぼれる・・・
それが終わるとすぐに四つん這いになったセレーネ様を強制的に後ろから
貫かされた・・・後ろのイーリス様がぼくの腕を羽交い絞めして強制的に腰を振ると、
その動きにぼくの腰が押され、強制的に腰をグラインドさせられてしまう。
「ふふ・・・セレーネを犯してるみたい・・・極太オチンポで・・・」
たっぷりとぼくの首筋に噛み付くようなキスをしながらネットリとイーリス様が
耳元で言う。
「もう出来ません・・・ぐしゅ、クスン、クスン・・・」
べそをかいて言うぼく。
「ふふ・・・それじゃ、時間を置いて溜めて出しましょうね・・・」
「あ、ありがとう・・・ございます・・・」
少しだけでも休める・・・と、ホッとして礼まで言ってしまうぼく・・・でも、それは
ぼくの考えが甘く、泣いているぼくをせせら笑った二人は、足に未だに
巻いてあったゴムを取ると、萎えることのないシャフトの根元をきつく縛る・・・
次にはむりやり立たされ、足を真っ直ぐ開き、膝を前から押さえられながら、
ぼくのアソコを口で咥えられて・・・すぐにセレーネ様がぼくのお尻のほうに
やって来て二人がかりで前から後ろから・・・すごくテクニシャンで何度も
イカされるうちにシャフトに白濁が溜まってきたのか、すごく苦しくなる・・・
泣いても喚いても許してくれなくて、たくさんビクンビクンと空撃ちして、軽く
歯を立てられたり、ぼくの後ろに舌が忍び寄ってきたりして・・・何度も、何度も・・・
そして、やっと許しが出た・・・
「出したい?お願いしてみなさい・・・」
「い、ひあ・・・ら、ださせて・・・しろいのださせてくだ、さい・・・」
セレーネ様が前にまわって来て、二人の舌がシャフトに這い回る中、
やっとゴム管がほどかれた・・・
『びゅくっ、びゅくっ!! 』
さっきまで一滴も出なかったはずのシャフトからでた大量の白濁は
二人の王妹の整った顔を塗りつぶす・・・ぼくはガクガクとひざをつく・・・
ぐったりとしたぼく。それでもシャフトはピンピンで騎乗位で犯される。
上になったセレーネ様がぼくを抱きかかえるとクルリと一回転して下に
なる・・・ぼくはもう、疲労とショックで上になって動く気力もなくて・・・でも
興奮に上ずった声でセレーネ様が言った。
「いいわよ・・・イーリス・・・」
後ろに回した手がぼくのお尻にまわるとギュッと割るようにお尻の肉を
広げるように・・・
『・・・・・・!? 』
さすがに不穏な空気を感じて後ろを振り向くぼく。驚愕に目を見開く。
「うふふ・・・いまキミごと、セレーネを犯してあげるわ・・・」
イーリス様の股間に大きな黒いペニスバンド・・・凶悪に光ったそれに、
ローションを垂らしているイーリス様・・・
「な、なにを・・・」
裏返り、掠れた声で問いかけるぼく。当たり前のようにいうイーリス様。
「わかってるクセに・・・後ろでも満足させてあげる・・・入れるのばっかりで
飽きてきちゃったでしょ?」
とウインク。ぼくはじたばたと暴れる。だがそれはセレーネ様に抱かれた
腕によって妨げられて・・・
「だ、だめですよっ!! ぼく、ご主人様にもそこは・・・」
嬉しそうに目を輝かせるイーリス様。
「あら・・・初物なのね・・・これはますますやめるわけにはいかないわ・・・」
と、さらにヤル気を増してぼくに近寄る・・・のっぺりとした黒い先端がぼくの後ろに・・・
「だっ、だめです〜!!!!」
セレーネ様にしっかりと腰を抱えられつつ、無駄とわかっていながら
腕をブンブンと振り回すぼく・・・
『ガツッ!』
何かに触れた。慌てて目をやれば、あのお皿・・・転移装置を吊った
スタンドの足らしい。ぐらぐらと揺れてゆっくりと倒れる・・・
「ま、まずいっ!! 」
フローラは慌てて椅子から立って倒れていくスタンドに向かって駈け寄る。
まだ魔道式は動作中だ、倒れて割れでもしたら魔力が暴走して
シュバルツカッツェ城はクレーターになりかねない。慌てるフローラに
驚いて、身を起すイーリスとセレーネ。
「え・・・!? 」
ぼくの目の前でお皿はゆっくりと床に落ちて・・・
『くっ!! ・・・このフローラ、まだやる事が・・・神になる前に・・・』
『ご主人様に会いたい・・・』
『カシャ――ン!! 』
と砕け散る。魔洸エネルギーが暴走し・・・そして・・・爆発、しなかった・・・
『ブ――ン・・・』という鈍い音と共に重力と空間が収束する。そして一瞬だけ
白光する礼拝室・・・
「ううっ・・・!? 目が・・・え?へ、陛下っ!! ・・・ど、どこへっ!? 」
まともに光を見たイーリスとセレーネが目を擦りながら周りを窺うと、
礼拝室には二人のほか誰もいない・・・砕けた皿の前で呆然と二人は顔を
見合わせる・・・
トロリとした闇の中をゆっくりと浮上して意識が戻っていく・・・このまま、
ずっと意識を失っていたい、休めるから・・・などと思いながら瞼を開ける・・・
「あれ・・・!? 」
ぼくはキョロキョロと周りを見渡した。僕がいたのは東ウイングの通称
姫様長屋。ご主人様のいるフロアの廊下の反対側の端っこだった。太陽の
光が弱弱しく廊下を照らしてる・・・
「なんで・・・うわっ、ぼく裸っ・・・!! 」
肌寒さに自分が全裸なのに気がつく。幸い服は全て廊下に散らばっていて
ホッとする・・・薬もだいぶ抜けたらしく、悪心も動悸もないし、意味もなく
シャフトもエレクトしてない・・・この季節にしては激しい寒さに自分の肩を
抱きつつ、僕は思い出した。
「あっ!! そうだ、ご主人様の朝ご飯つくらなきゃ・・・」
パタパタと廊下を早足で歩くぼく。さっきのが夢でない証拠に腰がフラフラした。
しばらく歩くと違和感に気がつく。
「おかしいな・・・人の気配がしない・・・それにこのフロア、ご主人様しか住んで
いないのに、なんか生活感があるような・・・」
ぼくは首をひねりながら廊下を歩く。すると、不意に前方の扉から一人の
ネコ姫様が現れた。ぼくはその見知った顔に大声で叫んで駈け寄る。
「あっ、ユナ様っ!! どうしたんです?こんな所から?」
目の前に現れたのはユナ様。錫色の髪はいつものツインテール。そして黒の
ゴシックロリータのドレス・・・というか、今日はフリルなしで地味に黒のワンピースを
着ていた。しかし、ユナ様が見せたのは不思議な反応。
『ビクっ!! 』と心底驚いたように耳とシッポを逆立てるとぼくと反対側に逃げるように走り出す。
「ユ、ユナ様っ!? どうしたんですか?ぼくですよ〜!! 」
ぼくも慌ててスピードを上げてユナ様を追跡。誰もいなくて心細いからぼくも必死なのだ。
しかしユナ様はイジワルに叫ぶ。
「なんですの――っ!! お前なんて知らないですの――っ!! 」
「そ、そんなっ!! イジワル言わないで下さいよ〜!! 」
と二人、誰もいない東ウイングの廊下を全力疾走で鬼ごっこをする。
と二人、誰もいない東ウイングの廊下を全力疾走で鬼ごっこをする。
「助けてですの――っ!! 」
と、人聞きの悪い悲鳴を上げるユナ様。そして廊下の突き当たりに・・・
ぼくはユナ様を追い詰める(?)が・・・
『ガチャリ』とドアが開いてもう一人のネコ姫が飛び出した。慌ててその
背中に隠れるユナ様。ぼくはそのネコ姫を見て立ち尽くす・・・
「にゃにゃっ!! 怪しいヤツにゃ、あのババァからのまわしものにゃ!? 」
「・・・・・・!? !? !? 」
腰に手をあて、仁王立ちに現れたのは・・・140cm足らずの小さなネコ姫・・・
この寒いのにデニムの半ズボン、そこから伸びるのはまだ肉付きは悪いが
スラリとした足。上半身といえばだぶだぶの麻の長袖Tシャツを着ている、
その胸のふくらみはまだ微妙・・・そしてパッチリとした大きなつり目は金色。
濡れたような黒のネコ耳。そして、髪の毛はポニーテール・・・というか、長さが
足りないのでそれはチョンマゲのように真後ろにピュッと出ている・・・ぼくは
素っ頓狂な声をあげた。
「ご、ご主人様!? ・・・の子供?そ、そんな・・・」
駈け寄るぼく。幼いご主人様が腕まくりしてなんか言ってるけどぼくは衝撃で
ほとんど耳に入らない・・・
「にゃふ、ユナをいじめるやつはゆるさにゃいにゃ!! リナも出て来いにゃっ!! 」
「で、でも・・・」
と、扉の影からおっかなびっくりで現れたのは赤毛のひょろっとしたネコ姫さま。
イメージ的には先端が赤いマッチ棒と言う感じ・・・身長150cm程、手にはモップを
持っているが、プルプルとモップの雑巾が震えてる・・・。その気弱な様子では
脅しの意味もなさそうだ・・・
「リナ・・・さま?」
ご主人様・・・の子供バージョンが言った言葉を聞いてぼくは慄く・・・もしかして・・・
「えと・・・あの、今日はもしかして・・・フローラ女王の220年の9月ですか・・・?」
恐る恐る聞くぼくに、ユナ様がスパッと答える。
「なに言ってるんですの――っ!! 今日は210年の12月ですの――っ」
「なんですって!! 」
いきなり叫ぶぼくに、ビクッと驚く三姉妹。ぼくはフローラ女王の言葉を
思いだした・・・たしか、あの魔道式を暴走させてしまった空間転移装置を
使ったときに・・・
『・・・『時代』と『場所』は、まだ指定できないがな・・・』
と言ってたということは・・・
「十年前の・・・ほ、本物のご主人様・・・」
ぼくは思わずフラフラと三姉妹に近寄り・・・
「ご、ご主人様かわいい―――っ!! 」
と考え無しに抱きしめる。ネコはたった10年で爆発的に育ってしまう
らしい・・・でもなぜかユナ様だけ成長してない・・・ぼくの胸の中で
もぞもぞと暴れながらご主人様が言う。
「くっ・・・お前は、なれなれしいにゃ―――っ!! 天・地・ネコ・・・爆来っ!」
『ぼぅん!! 』と小爆発に吹き飛ばされるぼく。さすがですぅ・・・よろよろと
起き上がれば、捨て台詞を吐くご主人様。
「どういう魂胆か知らにゃいけど、ババァに協力するのは真っ平にゃ・・・
おとといきやがれにゃあ・・・」
と言って、まだコゲ目のついてないドアの向こうに消えるご主人様。
「マナ姉の魔法はすごいんですの――っ!! 」
『べぇ!! 』とユナ様も舌を出して部屋に引っ込む。
そして、最後に取り残されそうになって慌てて部屋に戻ろうとしたリナ様だが、
不意に下腹を抱えてしゃがみ込む・・・
「イタタタ・・・」
「リナ様大丈夫?」
慌てて聞くぼく。素直なリナ様は小さく頷くが、ドアの影から伸びた手に部屋の
中に引っ張り込まれる・・・そしてドアのカギの閉まる音。
我に返ったぼくは慌ててドアに駈け寄る。
「ご、ご主人様っ!! ぼくですよ、ご主人様の召使いですってば・・・」
ドアを叩きながら言うぼくに部屋から冷たい声。
「ワケの判らにゃいこと言うにゃっ!! 今度は本気で黒コゲの
コゲコゲにするにゃよ!! 」
「そんなぁ・・・ぼく、これからどうすれば・・・クスン・・・」
じわじわと涙が出て来そう・・・ぼくはズルズルと扉の側に崩れ落ちる。
もう夜も更けていく・・・12月の寒さは厳しいだろう・・・
ぼくは廊下のすぐ側の蒸気ヒーターの側にしゃがみ込む。12月、しかも
末日なので他のネコ達は全て里帰りしているらしく、いつもガンガン
動いているはずのヒーターの蒸気の巡りが少ない。ぼくは震えながら
廊下の片隅に丸くなる。頭の中で他愛の無い考えがグルグルと回った。
きっと、これは夢に違いない。ぼくは初めから女王には会いに行ってなくて、
十年前のシュバルツカッツェ城に迷い込んだなんていうのは、タダの幻覚・・・
そう、いまここで眠って明日、目が覚めたら元の姿のご主人様に会えて・・・
ぼくはクスンと鼻をすすり上げて小さく呟く。
『ご主人様・・・』
「・・・あした会えたら・・・」
(続く・・・)