「っ・・・まだ、出口に着かないのかな・・・」  
心なしか心細げな声が洞窟の中で反響した。  
少女は片手に雌の甲虫の死骸を括った蔦を持ち、片手に先程雄の甲虫を屠った小さなナイフを握り締めて洞窟の中を一人出口に向かって歩いていた。  
入った時はまだ日が高く、洞窟の中にもある程度の光は入り込んできていた。  
しかし今はもう日も沈みかけており洞窟の中は薄暗く、そのことが少女にやや焦りを感じさせていた。  
さらにそれだけではない。先程からどうも、足が重くなってきているような気がするのだ。  
破瓜の痛みが響いているのか、子宮に産み付けられた異物に対する一種の拒絶反応なのかは彼女にはわからない。  
だが確実に歩みは遅くなっている。そのことが少女の不安を掻き立てていた。  
そんな時だった。  
「あ・・・やだ、こんな時にっ」  
雲が太陽を覆ったのか、僅かながらも洞窟内に入り込んでいた光が突如ぷつりと途絶えた。  
光を絶たれてはじめて、少女は気付いた。  
数え切れないほどの赤い光が少女を見つめていたことに。  
 
その時、雲から太陽が抜けたのか再びわずかな光が差し込んできた。  
「ひっ、何なのっ?!」  
赤い光の正体を知った少女は戦慄する。  
蔦で縛って手にぶらさげている甲虫と同じ型で、だが幾分小型で体長は倍以上長く、全体に赤みを帯びているもの。  
先程てにしたナイフで屠ったもの―――紛れもなく、甲虫の雄だった。  
それが何匹、何十匹とそこにいたのだ。  
壁に張り付いて見下ろすもの、蔦の間から這い出してくるもの・・・そこらじゅうから気配を感じる。  
「・・・そうだ、剣・・・どこにいったの!?」  
この数では剣がないと切り抜けられない。確かこのあたりで剣を投げ出してしまったはず。  
周囲をぐるりと見回し探そうとした時、  
「きゃぁっ!!」  
急に体を捻ったことでバランスが崩れたのか、不意に何かに足を取られて思わず少女は後ろに倒れこむ。しかし咄嗟に肘を突いた事で尻餅程度ですむ。  
慌てて起き上がり、蔦に絡まったままにしていた剣を拾いにいこうとした。しかし起き上がれなかった。  
「!?」  
ぬちゃっとした感覚が腕から伝わる。  
腰のあたりまでが床に張り付き、起き上がろうとして張った肘も同じように動かせないために、肘を付いて上半身を起こしかけたような中途半端な格好で固まっていた。  
視点が随分下がった事で、それまで歩いてきた道がどのように成っていたかに気付いた。  
床一面に、例の粘着繊維が薄く撒かれていた。  
これが徐々に彼女の足の自由を奪いながら同時に体力を削っていっていたのだ。  
少女が動けなくなったことを悟ったのか、無数の音がじりじりと少女に近付いて来た。  
 
少女は知る由もなかったが、この甲虫は数十匹単位で雌雄の混じった群れを作り、卵を産み付ける獲物を狩る種類だった。  
雌の分泌物がサインとなって卵を産み付けられた獲物を識別し、それに雄が集まって射精を行うのだ。  
少女は今股間からそれを垂らしながら、同時に手に雌の死骸を持っていた。  
それが二重に雄の感度を高め、彼女が向かう先を補足出来たのだった。  
 
先程の陵辱の光景が思い出され、目から涙が溢れ出す。  
「やぁっ、嫌ぁあっ!来ないで、来ないでよっ!!」  
必死にもがくがもうどうにもならない。  
真っ先に少女に接近した甲虫が、脇腹を這い上がってビスチェの中に潜り込んだ。  
「ひゃうっ!・・・や、何か当たって・・・っ?」  
雌に蹂躙された時とはまた違う違和感が少女を襲った。  
甲虫の腹面に何か出っ張ったものが存在しているのだ。それが少女の柔肌を刺激している。  
その出っ張ったものの正体は、先程彼女が殺した雄にもあった例の長い筒状の器官だった。  
後に調べて分かる事だが、雌の分泌物は雄の追尾行動を促すほかに、雄としての機能に働きかけて獲物を捕らえたら直ぐに交尾に移れるようにする効果を持っている。  
そのため彼女に群がる雄は皆、既に準備が整っていたのだ。  
 
そして乳房に辿り着いた甲虫は、小ぶりな乳房を乳首を中心に細長い体で囲み、絞り上げるようにその円を縮めながら腹部の出っ張りを乳首に当てた。  
「ふぁっ!?」  
そして出っ張りから勢い良くさらに細い管を突き出し、乳首から乳房の中へ入ろうとするかのようにぐいぐいと管を押し付け食い込ませる。  
もう片方の乳房にも一匹絡み付き、同じ様に乳首に細い管を通そうとするかのように蠢く。  
「やめ、無理ぃっ・・・そこ、はぁっ、むりなのぉっ!」  
しかし子を産んだ訳でもない彼女の乳腺が開いている筈も無く・・・結果、硬くなった乳首を乳房に押し込むように突付きまわされ、弄られる。  
「やぁんっ!ひぁ・・・ふ、うぁあっ・・・」  
その頃いち早く少女の開いた脚の間に辿り着いた一匹が、鋭い顎でショーツを噛みきり布切れに変える。  
「あ、やだっ!!」  
隠すものが無くなった少女の秘唇からは、小さな白い卵が混じった黄色っぽい液体が漏れ出す。  
それに雄がしきりに動かしていた触角らしきものがそれに触れた途端、雄の腹部から  
それは雌にあった産卵管よりも太くて長く、先端からクリーム色の液体が流れ出していた。  
「ひっ!」  
怯える少女に構わず、甲虫はそのまま臍の辺りまで這い上がってくる。  
その動きでスカートがめくれ上がり、少女にも全てが見えるようになる。  
甲虫は今度は少し後退して大きく開かれたままの太腿に左右の後脚を掛けるような体勢を取る。  
そして、少女の股間に先程露出した器官を密着させるようにして伸ばし始めた。  
臍から秘所へ、滑った線が引かれる。  
「嫌・・・っいやぁぁあっ!!や、そんなものいれないでぇっ・・・!!」  
脚が開かれている事で、既にこじ開けられた彼女の秘唇は開ききっていた。  
唯一自由になる首を振って叫ぶが、やはり甲虫が聞き入れるはずも無い。  
 
「だ・・・だめぇ・・・いれちゃ・・っぁあ!!・・あっ・・・ひぁ・・ぁあっ・・ふぁっ!!」  
産卵管と同じく、絶えず粘ついた液体を分泌している管がそこに難なく潜り込み、徐々に少女の秘所深くに侵入していった。  
そして子宮口と先端が密着した途端に、雌の産卵管の動きよりも速いスピードで伸縮を始めた。  
「いや、抜いてぇっ・・・!!あっ、あっぁ、やぁっ、は、あぅんっ!」  
虫とは思えないような力強さで膣内を暴れ周り、少女は息が詰まりそうになりながら悶える。  
中に溜まっていた雌の甲虫と彼女自身の体液が混じり合った液が潤滑油となり、雄のスピードはますます速まる。  
(このままじゃ・・・)  
何とか腕だけでも外れないかとそちらを見たが、そこでは別の雄たちが口から透明な液体を溢れさせて蠢き、繊維に固定された少女の腕にそれを垂らしていた。  
どうやらあの粘着繊維は雄の分泌物で作られるらしい。足が重く感じていたのはこのためだったのだろう。  
しかし雌に犯された時にいた雄は一匹だけだったし、少女の傍には居なかった。  
(もしかして・・・)  
思い浮かぶ限りの最悪のパターンが頭に浮かんだ時、膣中の管が一気に膨れ上がるのを感じた。  
「あっ・・・まさか、や、やだぁ!出しちゃいやぁーーーーっ!!!!」  
声の限りに泣き叫ぶが、何も変わらなかった。  
一際膨張したかと思うと、根元の方から内側に向かって波打つようにブルブルと震える。  
そして同じ様に子宮の中にまで潜り込んでいる細い管も内部を通る何かに押し広げられるように一気に膨れ上がる、そして・・・。  
ごぷっ!!  
「あ・・・あぁぁ・・・」  
くぐもった音が子宮から響いて、同時に内部を冷水が満たしたような冷たい感覚が広がる。  
 
射精された。  
その事実を悟って愕然とすると同時に、一時忘れられていた恐怖が蘇ってくる。  
(たま・・・ごが、なかで・・・むしに、なっちゃ・・ぅ・・・?)  
産み付けられた卵が孵ったら自分はどうなるのか。  
先程浮かんだものがさらに現実味を帯びてくる。  
ここにいる雄全てが射精を終えるまで、自分は解放されないのではないか。  
「早く、どいてよぉ・・・!」  
それならば早く終わってしまってほしい。  
そして産み付けられた卵が孵る前に何とか取り除く。それまで解放が望めないならそうするしかない。  
「はやく・・・おわらせて・・・ふぁっ、ぁんっ!?」  
最初に彼女を犯した雄が、彼女の中に入ったまま再び伸縮を始めたのだ。  
彼女は気付いた。自分の考えの甘さに。  
雄は一度の射精などでは力尽きないという事に。  
終わりの見えない地獄の始まりに少女が絶望した瞬間、  
「ひ、ぁくっ!?」  
膣内に感じる違物感が増えた。  
雄の遺伝子がそうさせたのだろうか、少女の右の太ももの下に陣取っていた一匹がそこから例の管を伸ばして少女の膣に侵入したのだった。  
それを皮切りに、今か今かと待っていた他の雄達も少女の股間に殺到し、既に膨らみかけている管から細い管だけでもと伸ばし、侵入を試みる。  
「んあぁぁっ!!・・・き、気持ち悪いっ・・・いやぁっ、もう許してぇ・・・!!」  
子宮口に侵入する細い管が、二本、三本、四本…と増えていく。  
遂には本来何人をも通さないはずの子宮への入口が、侵入した何十という極細管によって広げられ、臍から秘所、太腿までに無数の甲虫が群がり、露出していた肌は不気味に黒光りする甲に覆われて全く見えなくなってしまった。  
 
「あっ・・あ・・うっ、うあぁっ・・・・くんっ、んっ、あ、あぁ、」  
既に吐き出した甲虫は他の雄よりも多く精を注ごうと、出遅れた甲虫は遅れを取り戻そうとそれぞれがさらに少女の中で終わらない蠕動を繰り返す。  
拷問とも言える責めに対し、三匹の雌に出された黄色い液体と彼女自身の体液と数十匹の雄に出されたクリーム色の液体が混じったものが少女の内部を滑らせて、その異常なまでの摩擦から辛うじて身を守っていた。  
しかし彼女はもう限界に近付いていた。  
虫に犯されている様をまざまざと見せ付けられながら、何も出来ない。  
「もぅ・・・や・・・いやぁぁぁぁぁああああ!!!」  
残された全ての力を搾り出したような絶叫を最後に、少女の意識は途絶えた。  
 
 
 
 

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