自慢じゃないが、僕はちょっとした特技を持っている。
と言っても手品をしたりするわけじゃない。
正真正銘僕しかできない、世界唯一の特技だ。
というのは、実はちょっとした超能力が扱えること。
他人の体に触った時に、そこの神経を自由に刺激することが出来る。
医者が言うには僕の体の表面から特殊な電磁波が出ていて、
それが人体の微弱な電流に働きかけているらしい・・・とか。まあそんなことはどうでもいい。
別に今までこの能力で得をしたことはほぼ無いけど、だからといって使える能力をほったらかしにはしたくない。
そこでちょっとしたいたずらを思いついた僕は、腕試しがてらそれを実行することにした。
思い立ったが吉日とは言うが、何せ僕は学生だし、今日は平日なので、
もちろんながら僕は学校に行かなければならない。
それでも実験の妨げにならないどころか、むしろ絶好のチャンスとも言える。
先に話しておこう。僕の考えた実験の方法とは、痴漢だ。
・・・ちょっと待って。変な目で見ないで欲しい。僕はこの人生でまだ一度も痴漢なんかしたことないし、
家族以外の女性に触れたことも少ない。
その僕が他人に「ちょっと体を触らせて下さい」と・・・言ったとたんに補導される。
人混みに紛れて触ってしまえば、捕まることもないのではないか。
・・・本音を言えば、どうせ触るなら触れるだけ触っておこうと・・・うわごめんなさいほんの出来心です
そんなわけで僕は今不安と期待を胸に、少し緊張しながら、通学時間の満員電車に乗っているのだった。
何故満員電車を選んだのか。いくつかメリットはある。
いつもの通学ルートだから。なんとなくバレにくそうだから。ベタだから。ほかに思いつかなかったから。
えー、ゲフンゲフン、取りあえずまずはターゲットを探そう。
かわいいコが居なかったら別の日にしようかな・・・などと考えながら、辺りを見回すと、
そこには見覚えのある顔があった。黒髪のセミロングの彼女は・・・クラスメイトだ。
うちのクラスでのアイドル的存在だが、高慢で気が強く、さらには護身術まで習っているものだから、
敢えて近づこうとする男子も居ない。噂によると何度か痴漢を撃退したこともあるらしい。
前からかわいいとは思っていたけれど、当然ながら僕のような人間が彼女に話しかけられるわけがない。
つまり、顔見知り以上クラスメイト以下ってことだな。彼女が同じルートだとは知らなかった。
彼女はやめておこう、野獣に触れると怪我をするぞ、と僕の防衛本能が囁く。
しかし、同時に僕のリビドーは、彼女がいい、彼女にしろとわめき立ててくるのだった。
駅での人の乗り降りに乗じて彼女に近づいた僕は、彼女の後ろの絶好のポジションを手に入れた。
ここならば、手を伸ばすだけで彼女に届く。興奮と緊張が高まって、心臓の鼓動がやたら大きく聞こえた。
しかし、実際に行動に移るきっかけをつかめず、時間は刻々と流れていった。
ヤバイ、どうしよう。このままでは目的駅に着いてしまう。焦りがだんだん大きくなってきた頃に、
ガタン、と電車が大きく揺れた。
僕の手は即座に動き、ぶつかったフリをして彼女のお尻に、スカート越しに触れた。
彼女はぴくりと身じろぎしたが、まだ動いては居ない。バレてないのか、或いはとっくにバレているのか。
さて、ここからが勝負だ。精神を集中させ、手の平に力を集める。
僕は慎重に、能力を使った。手の平から微弱なエネルギーを放出させ、彼女の神経に働きかける。
触感神経を捉えたのを感じると、そこから出る信号を、出来る限り弱めた。
即席の局部麻酔のできあがりだ。痺れた感じもないからばれることはまず無い。
僕はその出来に満足して、改めて彼女のお尻の形を探り始めた。
柔らかくて張りのある女性のお尻の感触が、僕の指に伝わる。彼女は気付いた様子もない。
僕は初めての痴漢という行為に興奮し、ズボンの前を膨らませつつ、柔らかい感触を楽しんだ。
しかし、少しして気付いたことがあった。相手の反応がないと、つまらないということだ。
反応があることイコール相手が気付いているということであり、危険性があるのももちろん知っていた。
でも、僕は正常な判断を失うぐらいには興奮していたし、実験の第一段階が成功して自惚れてもいた。
しばらく迷った後、僕は新しい欲求に屈して、能力をさっきとは反対のベクトルに、集中させ始めた。
触感神経の信号を元に戻し、更にそれを増幅させる。局所的に敏感にさせるわけだ。
それが終り、僕がお尻をなで上げると、彼女はびくりと身をすくませ、緊張し始めた。
僕は内心ひやひやしていたが、指の動きは止めず、彼女のお尻を愛撫し続けた。
直ぐに手を捕まれるのだろうと思っていたが、予想に反して彼女からの動きはない。
彼女は少し潤んだ瞳で左右を探り、思わず漏れそうになった喘ぎ声を噛み殺すように歯を食いしばる。
痴漢に悪戯されて、思わず感じてしまう女の子。エロマンガではありがちなシチュエーションだけど、
現実ではそう見ることも出来ないだろう。僕は内心ほくそえんだ。
いつも教室で見せる勝ち気な笑顔とは違い、恥ずかしさと不安の入り交じった顔。
少し赤らんで、伏し目がちに視線を彷徨わす彼女の顔はとてもかわいくて、僕の興奮は更に高まった。
その顔に一瞬だけ見惚れていたのが、僕の失策だった。振り返ってきた彼女と、目が合った。
僕は直ぐ何食わぬ顔で視線をそらしたが、内心は動揺でいっぱいだった。
ヤバイ。今ので確実にバレた。どうしよう。僕の背中を冷や汗が流れる。
バレたからには手を離したほうがいいのだが、今すぐに離すとむしろ怪しいのでは。
そんなことを逡巡しているうちに、電車は駅に着いた。ドアが開いて乗客が入れ替わる。
彼女が動いたのはその時だった。すばやく僕の腕をつかみ、ぐいっと引っ張ると、電車の外へ連れ出した。
「いてっ、痛いってば、放してよ」
出来るだけ声を落として彼女に囁きかけるが、彼女は知らん振りだ。
僕の前をずんずん歩いていく彼女の力は予想外に強く、振りほどくどころか踏ん張ることも出来ない。
無論、そんなことをすれば周りに怪しまれて駅員がすっ飛んでくるだろうから、
結局僕は無抵抗で彼女についていくしか選択肢がないのだけど。
やっぱりこうなるのか、と諦めにも似た感情が頭に渦巻き、だから言ったのに、と防衛本能がため息をつく。
「あのさ、学校に行くんなら次の駅だと思うんだけど」
いつのまにやら人気のないところに入り込み、僕の言葉に彼女は振り返った。
「あんた、確か同じクラスの・・・」
どうやら彼女は僕の顔を覚えていてくれたらしい。名前までは覚えていないようだけど。
そんなことを喜ぶ隙もなく、彼女の鋭い視線が僕に突き刺さった。顔はまだ赤いけど、十分な迫力がある。
僕は思わず身をすくませ、おそるおそる彼女に問いかけた。
「で、僕をどうするつもり?どっかに突き出すんなら方向が逆じゃない?」
「そうね。でも、それはあんたに質問してからよ」
僕は判決を待つ被告人のような気持ちで、まだ腕を放してくれない彼女の問いかけを待った。
だが彼女は歯に何か挟まったような表情でしばらく迷っていた後、言いにくそうに口を開いた。
「・・・その、ええと。さっき、何をしたの?」
はあ?新手の羞恥プレイですか?と問いかける勇気もなく、僕は呆然として彼女を見つめた。
「いや、そんなことが聞きたいんじゃないの。えと、私。ほら、聞いたことあるでしょ」
さっぱり要領を得ない彼女の言葉に僕は首をかしげるばかりだ。
「今までも、何度か痴漢とか、されたことあるのよ。でも、その時はただ嫌で、気持ち悪いだけだったのに」
・・・なるほど。実験の第二段階も、しっかり成功していたって訳だ。僕はにやりと笑った。
「あ!こら、変な想像しないでよ!べ、別に私、そんなことは・・・」
「どんなこと?」
予期せぬ僕の反撃に、彼女の顔が赤くなる。僕は一層にやにやしながら続けた。
「僕のは、気持ち悪くなかったんだ?」
「う、うるさいっ!そんなこと、一言も言ってないでしょ!」
「じゃあ、何なの?」
言葉に詰まった彼女がうつむいて沈黙する。恥ずかしさに染まった彼女の顔はやっぱりかわいい。
見ていると、どんどん嗜虐的な欲求、彼女をもっと苛めたいという欲求が膨らんできた。
「じゃあ、さ。さっき僕が何したか、教えてあげるよ」
「う、うん」
戸惑いながら彼女が頷く。
「ただし、もう一度触らせてくれたら、ね」
僕の出した条件に、彼女は口を開けて絶句した。
「・・・そんな、バカなこと、できるわけが」
「あれ?知りたいんじゃなかったの?」
「さっきはそう言ったけどっ!」
「まあ、嫌ならいいんだけどさ」
彼女はしばらく黙り込んで、せめてもの主導権を握りたいと思ったのか、条件を出してきた。
「・・・やめてっていったら、直ぐやめなさい」
「うん」
「・・・お尻以外を触ったら、殺すからね」
「わかった」
「それと、あと・・・」
「何?」
「ここじゃ、誰か来るかも知れないでしょ」
「それで、トイレなんだ?」
「わ、悪かったわねっ!なんか文句あるの!?」
「いや、ただベタだな、と思ってさ」
駅構内の寂れた女子トイレの個室で、口論する男女二人。
僕は入るのに少し抵抗があったのだけど、彼女に逆らえるわけもなく、引きずられるようにしてここにいる。
「・・・それで、私はどうすればいいの?」
「別に。普通に立っててもいいし、壁に手をついてもいいけど」
便器は和式なので比較的邪魔にならないし、良く掃除されているせいか不潔感は余り無い。
彼女が壁に手をついてお尻を僕に向ける。僕は能力を使うために精神集中して手の平に力を集めた。
うん。この力にもだいぶ慣れてきた気がする。あとはどれだけ素早く集中できるかだな。
「・・・こんなこと、誰にも話しちゃダメだからね」
「わかってるよ、絶対話さないから」
もちろん僕も痴漢のこと他人に知られたくないしね、と心で呟きつつ、口では別のことを喋っていた。
「君が、お尻触られるだけで感じちゃうやらしい女の子だ、ってことはね」
「なっ、何言って・・・ひぁ!」
彼女のお尻を優しくなで上げるだけで、彼女の体がぞくりと震える。
この能力を使うと、お尻だろうが性感帯だろうがお構いなしだ。
敏感になったお尻をなで続けると、彼女の息が荒くなり、目が潤んできた。
「くぅっ、はぁっ・・・な、何でなのぉ・・・」
「ほら、誰もいないんだからさ。声我慢しなくたっていいよ」
「でも・・・あんたが居るじゃない・・・ひんっ」
そういえば、さっきから右手でしか触ってない。両手で力を使うのは初めてだけど。
右手はそのままお尻を揉み続け、僕は左手をそっともう片方のお尻に添えた。
「ひゃっ、ふぁ、ぅんん!駄目ぇっ」
両手での愛撫を、彼女は気に入ってくれたらしい。鼻にかかるかすれ声が一層高まった。
さっきもじっくり堪能したのに、指先の柔らかい感触に、まだ魅了され続けている。
飽きの来ないいいお尻だ。って自分でも何言ってるのか分からないけど。
でも、お尻ばっかりじゃ彼女も可哀想だよね。
「あのさ、お尻だけじゃつまんないだろうから・・・胸もしてあげよっか?」
「ふぁっ・・・何いってんのよっ、さっき、駄目って・・・んっ、やぁっ」
左手を伸ばして小さなふくらみに触れると、こちらも負けじと柔らかかった。
「あ、結構あるんだね。見ただけじゃ分からないけど」
「ばっ、馬鹿、やめなさいっ、やめてったら!・・・くぅぅっ」
胸とお尻、両方を同時に攻められて、彼女は涙目になって抗議する。
壁についていた手を離して胸を攻める僕の手を引きはがそうとするけど、
その力は弱々しくて、とても腕をふりほどけそうには思えなかった。
「ひっ、やだっ!ねぇ、止めてよっ!お願いだからぁ」
涙を流して懇願する彼女にはいつもの覇気と、男勝りな態度は一欠片も見えなかった。
全てのプライドと虚勢が表面から引きはがされ、ここにいるのは抵抗する力も持たない女の子だけだ。
だが、そんな彼女の様子を見ても僕の嗜虐心が満足することはなく・・・むしろ増大されていった。
「約束が違うでしょっ!だから、もう・・・」
「約束?あの時からもう、君には分かってたんじゃないの?こうなるってことが」
彼女の顔が絶望に固まった。
「して欲しいって言ったのは君だよ?それなのに、今度は『やめて』だって?」
「謝るからっ!お願いっ、もう許してよぉ・・・ぃやっ、ひぁうぅ・・・!!」
左手で彼女の乳房を握りしめると、彼女の顔が苦痛にゆがんだ。
だが、それを上回る快感も同時に感じているのだろう。彼女の膝から力が抜けて、僕はあわてて支えた。
そして、結果的に僕と彼女の体が密着することになり・・・
「・・・っ!!」
すでにギンギンになっていた僕の逸物が、彼女の柔らかいお尻に押し当てられる。
僕の焦りが顔に出るよりも早く、暴走し始めた僕の口は、彼女を追いつめる次の言葉を喋っていた。
「驚くほどのことでもないでしょ?君があんなにやらしい声出すから、僕もそろそろ我慢の限界なんだ」
「・・・ひっく、うぅ・・・もう嫌ぁ・・・」
彼女はついに泣き出してしまった。だけど、僕としても泣き声をずっと聞かされるのは趣味じゃない。
あんまりうるさくされても困るし、僕は彼女の口を塞ぐことにした。
「・・・えうぅ・・・ひ、あっ、んぐぅ」
人差し指と中指を口に突っ込まれて、彼女は少し抵抗したけど直ぐ大人しくなった。
たっぷりと指に唾液を絡ませた後、僕は彼女の口内を犯し始めた。
じゅぷじゅぷと卑猥な音を立てながら指が口の中を行き来し、敏感になった粘膜に触れあうと、
まるでディープキスをされているみたいに、彼女の頬が上気して、とろんとした目つきになる。
少しの間彼女はされるがままだったが、指の触れる場所が気持ちいいのに気付いたのかも知れない。
直ぐに彼女の方から積極的に舌を絡めてきた。
「ふぅ・・・んっ、くちゅ、はぁ・・・んんっ」
「随分熱心にしゃぶるんだね。フェラの素質があるんじゃないかな」
「んむぅっ、くぅ・・・ふわぁ・・・」
快楽に恍惚とした瞳で必死に口内奉仕を続ける彼女に、僕は笑いかけた。
口の中を犯し尽くすと、僕は指を抜き取った。彼女の口の端からよだれがこぼれて、すごく卑猥だ。
さて、上の口は十分満足してもらったようだし、今度は・・・。
「あっ、ひゃうっ、そこはぁっ!」
スカートの中に手を差し入れて、濡れた下着の上から軽く陰唇をなでると、彼女は短く嬌声を上げた。
「こんなにぐしょぐしょにして・・・さっき嫌だって言ってたのは誰かな?」
「ひぁんっ、駄目ぇ、触っちゃ・・・ふあぁんっ!」
もう声を抑える余裕もないのだろう、彼女のあられもない喘ぎ声を聞くうちに、
僕のリビドーも限界が近くなってきた。このままではなにもしないままズボンの中で暴発しそうだ。
僕はあわててジッパーを下ろし、震える手でペニスを取りだした。
固くそそり立ったペニスを彼女のお尻に擦りつけると、彼女も興奮するらしく、喘ぎ声が一層高まった。
下着越しに中指でくちゅくちゅと膣口を弄り、親指でクリトリスを探る。
親指に固く充血したクリトリスの感触が伝わり、指の腹で擦り上げると、彼女の体がびくんと痙攣した。
「ふあぁっ!ひぁ、あたし、もう駄目っ!おかしくなっちゃうよぉっ!」
「もう、イきそう?・・・くうっ、僕も・・・」
指の動きを早く小刻みにして、感度を最大まで増幅させる。射精感がだんだん高まって、
ペニスがびくびくと震えた。
親指でクリトリスを押しつぶし、中指と人差し指を膣口に突き立てると、
その瞬間、彼女の体がびくびくっと震えて、達したことを伝えてきた。
「ふああああぁぁぁぁぁぁっ!!!」
僕もほぼ同時に達していた。脈打つペニスから激しく白濁液が放たれ、彼女のお尻を汚した。
射精の快感が去ると、後悔と自責の念が津波のように押し寄せてきた。
相手の同意を取り付けた・・・かどうかさえ疑問だけど、泣いて嫌がる女の子に、あんなことを無理矢理・・・。
婦女暴行といわれてもまるで仕方のないことをしたように思える。
さっきまでの興奮もどこへやら、酔いが覚めるように消え去って、
射精後特有の倦怠感が、僕の内罰的な思考を加速していた。
彼女が気怠げに僕の腕を振り払うと、壁に背を預けて乱れた衣服を整え始めた。
彼女は完全に無言で、息をはあはあと荒げている以外は、何の音もない。
うつむいている顔はよく見えないけど、相当に怒っていることは間違いなさそうだ。
あまりに恐ろしすぎて、声をかけることすら出来ない。まるで金縛りにかかったみたいだ。
彼女が一歩、ふらりと僕の方に近づいてきた。思わず僕も一歩後ずさる。
一歩、また一歩と後ずさるが、狭いトイレの個室でのこと、数歩で背中に壁が当たってしまった。
逃げ場を無くした僕の両腕を、彼女がしっかりとつかむ。
ひぃ。これは本気でヤバイ。野獣に狩られる獲物の気持ちで、僕は独りごちた。
喰われる。喰い殺される。そんなことを半ば本気で考えて、僕は天にも祈りたい気持ちだった。
彼女の口が、獲物に食らいつくように開けられ、喉元にゆっくり近づいていく。
必死で顔をそらして目を閉じるが、壁に後頭部を押しつけるだけだった。
そのまま永劫とも思えるような時間が過ぎて、ようやく死を覚悟した僕の唇に、柔らかいものが押し当てられた。
僕が驚いて目を開けると、直ぐそこに彼女の瞳があった。
彼女の瞳は、これ以上ないくらいに淫らで、快楽に蕩け、そして美しかった。
どれくらい唇を合わせていたのかわからないけど、彼女がようやく唇を離した。
僕は唖然として、何を言って良いのか分からないくらい混乱していた。
「・・・あたしね、あんな風にイかされたの初めてなんだ・・・いや、違うの」
彼女が語り始めても、僕は何の反応をすることも出来ず、バカみたいに突っ立っていた。
「自分でイったこともないんだよ。いつも怖くなって途中でやめちゃうの。それなのに、あんな風にイかされて・・・」
彼女は絶頂の余韻を反芻しているのか、涙目になって僕に寄りかかってきた。
「自分が変になるみたいで、怖くなっちゃうほど気持ちよかった・・・」
ぞくぞくするような台詞と、間近にある彼女の体温に、萎んでいた欲望が、また鎌首をもたげてきた。
彼女が僕の腕を放し、恥ずかしがるように俯いて、囁くような声で言った。
「・・・あんなに気持ちよかったのに、もう一度感じてみたいって思ってる、あたしってやらしいのかな・・・」
前とはニュアンスの違う興奮が下半身を充血させ、僕のペニスはさっき欲望を放出したにもかかわらず、
完全に屹立して天井を向いた。
僕は問いかけには答えず、震える声で言葉をやっと絞り出した。
「・・・今までイったことがなかった、って本当?」
「うん・・・本当だよ。それと・・・」
彼女は少しもじもじしながら顔を赤くし、続けた。
「さっきのキスも・・・初めて・・・なんだ」
その台詞にこみ上げるものを押さえ切れなくなり、僕は彼女を乱暴に抱きしめて、唇を奪った。
さっきみたいに唇を合わせるだけのキスじゃなくて、唇から舌を侵入させ、
歯茎をなぞり、舌を絡め合わせ、ぴちゃぴちゃと唾液を交換するいやらしいキス。
彼女は少し驚いていたけど、直ぐに僕の舌に応戦し、舌を絡め合わせてきた。
彼女の目が潤んで、鼻息が荒くなる。僕はしっかり彼女の頭を抱きしめて、口の中の感触を味わった。
そのまま片手を彼女の胸に当てると、彼女の口からくぐもった抗議の声が聞こえて、僕は驚いて唇を離した。
「あの・・・先、服脱ぐから」
何だ、嫌だという意味ではなかったらしい。ほっとした僕は彼女に問いかけた。
「僕も手伝おうか?」
「ううん、自分でする」
女の子の服を脱がせるってのも、一度やってみたかったんだけどな。そんな台詞を口に出せるわけもなく、
僕は心の中でため息をついた。
僕に背を向けて服のボタンを外し、脱いでいく彼女。
シャツを脱ぎ、上半身ブラジャーだけの格好になった彼女は、やや躊躇いがちに僕の方を向いた。
「ん・・・なんか、恥ずかしい・・・かな」
彼女の着けているブラは飾りの少ないスポーティーなもので、よく似合っているように見える。
彼女のお腹はすべすべしていて、柔らかで女性的なラインを描いていた。
僕は彼女のブラにゆっくりと手を伸ばして、興奮でとぎれた集中を必死に手の平に集めた。
「・・・っ、ふぁっ」
そっとブラの表面に触れただけで彼女が軽い嬌声を上げる。
そのまま円を描くように軽く胸を揉んでいくと、彼女の声が上ずった切ないものに変化してきた。
「ねぇ・・・直接触ってもいい?」
「はあっ、ん、うん・・・いいよ・・・っ」
僕は左手をブラの下から潜り込ませ、右手はそのままブラの上から、両手で違う感触を楽しんだ。
左手の指先に小さく固い突起が当たり、乳首が勃起しているのが伝わってきた。
「くぅ・・・ひっ、ひゃうっ!」
人差し指で軽く乳首を弾くと、彼女がびくりと反応して短い悲鳴を上げた。
僕がブラをたくし上げると、小ぶりだが形はいい乳房が目の前に現れた。
ツンと尖った乳首に興奮し、顔を近づけてそっと息を吹きかけてみる。
僕はそのまま先端を口に含み、舌の上で転がして少し遊んだ後、軽く吸い上げた。
「・・・っ、ふわぁああっ!」
それだけで、彼女は軽く達してしまったらしい。さっき散々弄ったから、イきやすくなってるんだろうか。
足にきたのか、彼女が僕の肩に寄りかかって体重を支える。
そのまま片手でスカートの留め具を探り、外すとスカートがはらりと床に落ちた。
「はぁ・・・はぁ・・・もう、我慢できないよっ」
彼女の愛液と、僕の精液でびしょびしょになった下着を、焦れったそうにずり下げて、片足を引き抜く彼女。
「ねえ・・・あたしの初めて、もうひとつあげる・・・だから・・・」
涙目で訴えかける彼女に、僕は答えの代わりに、軽くキスをした。
彼女の背中を壁に当てて固定した後、急いでズボンとブリーフを脱ぎ捨てる。
超臨戦態勢な僕のペニスが姿を現し、彼女は少しおびえたようだけど、前ほどの恐怖感はないようだった。
彼女の腰を手でしっかりと支え、ペニスを膣口に宛てがう。僕が彼女の顔を見つめると、
彼女は小さく頷いて、僕の行動を促した。
膣口がペニスの先端を受け入れると、彼女が小さい呻き声を漏らした。
やっぱり、これだけ濡れていても、苦痛は結構あるらしい。僕は膣口の直ぐ上に指を当てて、
痛覚神経の働きを少し弱めてあげた。
そして彼女の腰をつかんで、膣道の奥深くまで、一気にペニスを沈めていく。
「っくああぁぁっ・・・!」
彼女が僕の頭をぎゅっと抱きしめて、必死に苦痛と喪失感に耐える。
僕も彼女の中のキツい締め付けと頭を揺さぶる灼熱感に、一瞬呼吸が止まった。
ペニスが根元まで挿入されたのを確認して、僕はいったん動きを止めて、彼女を見た。
「・・・大丈夫?痛かったでしょ?」
彼女は浅く短い呼吸を繰り返して、頬を伝う涙をぬぐってから答えた。
「うぅ・・・ん、思ったより・・・っ、平気」
さっきの麻酔が功を奏したのだろうか。強ち痴漢だけの能力でもないな、と僕はにやりと笑った。
改めて彼女の中の感触を確かめると、熱くてドロドロの肉壁がペニスを締め上げ、
少し動いただけで快感がダイレクトに伝わってくる。余り保たないかも知れないな、と僕は思った。
「じゃ、動かすよ」
最初はゆっくりとペニスを引き抜き、浅いところで止めて、一気に突き入れる。
それを何度か繰り返すと、突き入れるたびにだんだん彼女の声の質が変わってきた。
「ひあっ、はっ、くぅっ、ぅんんっ」
膣内を突き上げるごとに彼女は喘ぎ声を漏らすようになり、彼女の表情も苦痛と快楽がない交ぜになり始めた。
往復の周期を早めていくと、それにつられて彼女の声も高くなっていった。
「んあっ、やっ、あっ、あっ、はぁっ」
彼女の顔が全面的に快楽の色を見せ始めたころに、僕も臨界点が近づいてきているのを感じた。
彼女のつま先が床から離れ、僕は駅弁に近い格好で彼女に腰を打ち付け続けた。
往復運動は最大の速度に達して、僕は夢中で腰を動かした。
「ふぁ!あぁんっ!やっ、あたしっ、もう・・・!」
「はぁっ、僕も、くぅっ、だよ!」
「・・・────────っ!!!」
彼女の足が腰に絡みつき、彼女が声にならない悲鳴を上げて、ペニスが強烈に締め上げられた。
僕も一瞬後に、彼女の体の中に熱い精液を注ぎ込んでいた。
行為が終わって、ぐったりしている彼女からペニスを抜くと、白と赤の混じった液体が秘所からこぼれた。
・・・そういえば思っきし中出ししちゃったけど、大丈夫かな。
彼女が休んでいる間にトイレットペーパーを使ってお互いの体液で汚れた体を拭き清めて、
後は彼女が服を身に着けるのを待っていた。
「・・・それで、これからどうするの?」
彼女が目線で腕時計を指し示し、僕に言う。
もちろんこんな時間になっては、一時限目はまるまる逃がしたも同然だ。
僕が答えに窮していると、彼女がくすくす笑って手を振った。
「冗談だってば。二人で一緒に遅刻したら、変に思われるでしょ」
僕は、二人で無断欠席しても同じでしょ、とはとても言えなかった。
「どうせこんな時間だし、ちょっと付き合いなさいよ。それとも・・・」
彼女はすこし悪戯っぽい瞳で僕を見て、冗談めかしていった。
「女の子とシたあとで、デートは嫌?」
「もちろん、そんなことはないよ」
僕があわてて首を振ると、彼女は満足したらしかった。
・・・さっきまであんなに従順だった彼女に、なんで逆らえないんだろう。
彼女に腕を引っ張られて先導されながら、僕はずっと首をひねっていた。
___終___