護摩の焚かれた部屋・・・。  
中央に祭壇らしきものがある以外何も無い部屋・・・。  
その祭壇の前で巫女らしき女性が何かを唱えている。  
「………」  
その巫女を見守るようにこちらも同じく、しかし多少装飾を落とした巫女服を着た女性が部屋の入り口の横に控えていた。  
祭壇の前の巫女が唱える文に神を讃える言があることを見ると何かの儀式か・・・。  
特に滞りなく進んでいるように見えたが控えている巫女にはなにやら引っかかるものを感じていた。  
どこが変か?と問われてもすぐには答えることができない、とにかく違和感を感じるのだ。  
程なくして違和感の正体が見えて来た。  
妙に吐息が荒い、頬も上気している様だ。  
この儀式、この国の国政を支える降神の儀の最中は、巫女は神をその身に降ろすため一種のトランス状態に入る。  
 
トランス状態にあるときは巫女の体にも精神にも大きな負担がかかるため、多少吐息が荒くなろうと問題ないのだが、今回は荒すぎる。  
控えている巫女が儀式の最中の巫女に話しかけるかどうか戸惑っていたそのとき、締め切っているはずの部屋に突然風が吹き始めた。  
「?! 何が?」  
控えている巫女は何が起こったのかわからなく、一瞬パニックに陥りかける。  
「ハッ! 姫様っ!」  
声をかける、だが届いてない。  
トランス状態にある巫女は今もなお呪文を唱え続けている。  
「………」  
そうこうしている間にも風はどんどん強くなっていく。  
「?!」  
控えていた巫女はその目を疑った。  
祭壇の上の空間に穴が開いているのである。  
「何が起きようとしているのです?」  
その問いに答えられるものは誰もいない。  
「クッ、姫様!」  
「………」  
グァオ!  
「キャッ!」  
突然吹いた強烈な風に吹き飛ばされて、控えていた巫女は壁に強く打ち付けられ気を失った。  
そして空間に開いた穴から一人の少年が落ちてきたとき、吹き荒れていた風は収まり、穴も閉じた。  
 
目を開ける・・・。  
見覚えの無い部屋・・・。  
突然見知らぬ場所で気が付いたのにも拘らず、少年は自分がとても落ち着いていることに小さな驚きを感じていた。  
「ここはどこだろう・・・」  
部屋を見渡してみる、大きな祭壇とその前に佇む巫女らしき女性、壁にもたれて気を失っているこちらも巫女らしき女性。  
ただ頭の上に大きな耳が、腰の辺りからふさふさとした尻尾が見えている。  
祭壇の前の巫女は金色に輝き、気を失っている巫女は黒ずんだ狐色だ、見たところ狐かなにかか。  
「コスプレ?」  
普通の常識で考えればそう思うのも当然だろう、だがここでの常識は違っていた。  
「こすぷれって何?」  
「仮装のことです」  
「仮装ではないわよ、仕事着とでも言うのかしら?」  
「耳と尻尾のことですが・・・」  
「これ? ああ、キミヒトね? この耳も尻尾も自前よ」  
 
「そうなんですか」  
少年が振り向く、そこには祭壇の前にいた巫女がちょっと怪しい笑みを浮かべてすぐ後ろにいた。  
「ヒトが落ちてくるところなんて始めて見たわ」  
怪しい笑みをその顔に浮かべたまま金毛の巫女が迫ってくる、少年は後ろに下がろうとするが金毛の巫女に腰を掴まれ下がることができない。  
金毛の巫女に抱かれている形になるとその体の柔らかさと漂ってくるいい香りに頭がくらくらする。  
「あの・・・」  
「大丈夫、怖くないから」  
「何がです?」  
金毛の巫女はその問いに答えず顔を近づけてくる。  
このまま行ったら・・・。  
少年の予想通り巫女に唇を奪われる。  
「むぅっ・・・」  
クチュクチュと舌が絡み合う音が暫く部屋に響く。  
その情熱的な口付けに少年は何も考えられなくなる。  
 
「プァッ、うふふ・・・初めてだったのかしら? 顔を真っ赤にしちゃって可愛い」  
少年は顔を真っ赤にしたまま硬直している、どうやら頭がショートしてしまったようだ。  
「うふふ・・・」  
そのまま金毛の巫女は少年をその場に押し倒す。  
金毛の巫女の手が少年の股間に触れたとき、少年の回路がつながったようだ。  
「あ、あの・・・ いきなり何を?」  
「何って、こういう状況でする事といったら一つじゃない?」  
「あちらの方は気絶しているようですが?」  
「息はしっかりしているようだから問題は無いでしょ」  
気を失っている黒毛の巫女のほうをちらりと見る。  
確かに、少し遠目なのではっきりとは言えないが特に怪我があるようには見えない。  
「それとも、起きてて見られている方がよかった?」  
にんまりと、まさに妖艶と言うべき笑みを浮かべ金毛の巫女は再び少年の唇を奪う。  
「ん・・・」  
今度は数瞬で離す。  
 
「やっと大きくなってきた♪」  
先ほどからまさぐっていた股間に反応があることに喜ぶ金毛の巫女、その感情を表したように尻尾がファサファサと揺れる、まるで犬のようだが毛の量が圧倒的に多いので衣擦れのような音を出している。  
ここでまた少年は驚きを感じた、尻尾が一本ではないのである。  
(いわゆる妖狐ってやつなのかな?)  
興味深い目で尻尾を眺めていると、その視線に気が付いた金毛の巫女が少年の手を取る。  
「そんなに尻尾が珍しいなら触ってみる?」  
少年の手を引いて腰の辺りに回させる。  
ふわ・・・。  
とても柔らかく、暖かい。  
その手触りは極上の絹にも勝るとも劣らないものだった。  
少年は思わず尻尾を撫でる事に夢中になってしまった。  
「んっ、荒っぽくしちゃダメ。もっと優しくするの」  
「は、はい」  
 
言われたとおりに優しく撫でる。  
「そう、上手じゃない」  
相変わらず股間をまさぐったまま恍惚とした表情を浮かべる金毛の巫女。  
股間をまさぐる優しい手つきといい、尻尾の柔らかい感触といい、今までに感じたことの無い快感に少年の意識が飛びそうになる。  
「ほんとにいい表情(かお)するのね、キミ。そろそろガマン出来なくなって来てるんじゃない? 今楽にしてあげるね♪」  
金毛の巫女は少年の袴を脱がすといきり勃った肉棒にそっと舌を這わせる。  
「んっ、ああっ」  
どくっ、どくっ・・・  
すでに極限まで来ていた少年はあっけなく果ててしまった。  
「うふ、いっぱい出したね」  
顔に飛び散った白濁液を指で掬い口に持っていき舐め取る。  
「ん、おいし♪」  
その姿は巫女という神聖な皮を被った淫魔そのものだ。  
 
「気持ちよかった?」  
開放の余韻に浸っている少年はゆっくり頷いて答える。  
「でもね、私はまだなの。次は私が気持ちよくなる番だよ」  
金毛の巫女は素早く服を脱ぎ去り少年に跨ると、今だ硬さを保っている肉棒と己の秘所を合わせた。  
クチュ・・・  
すでに濡れそぼっているそこは肉棒と擦れる度に音を出す。  
「行くよ・・・」  
金毛の巫女はゆっくりと腰を下ろし秘所に肉棒を咥え込んで行く。  
「ん、ふうっ」  
柔らかく、温かい肉壁に包まれる。  
キモチイイ・・・  
自慰行為ですらろくに経験していない少年は、それだけで果ててしまいそうになる。  
肉棒が半ばまで埋まったとき何かに当たる。  
少年が疑問に思うよりも早く、金毛の巫女は一気に腰を下ろしその膜を突き破った。  
 
「んあっ、あああっ」  
少年の肉棒がすべて金毛の巫女の秘所に埋まる。  
結合部分から赤い液体が漏れるが、金毛の巫女は痛みを感じていないのか構わずに腰を振り続ける。  
「ああぁっ」  
少年は金毛の巫女の処女を貫いたことに気付かず、快感に身をよだねる。  
「んっ、んっ、ふあぁっ!」  
少年は身動きを取れずに、ただ金毛の巫女の成すがままにある。  
「んんっ! いいよっ、とってもいいよっっ!」  
大きく、激しく腰を打ち付ける。  
金毛の巫女が腰を打ちつけるたびにその大きな尻尾も、大きく衣擦れのような音を立てながら揺れる。  
「来る、何か来るのっ」  
「ぼ、僕も・・・。また出ちゃいます」  
「ふあっ、あああああぁぁぁぁっっ!!」  
「んああぁっ!」  
最後に一段と強く腰を打ちつけたときに二人は同時に達した。  
 
「ふぁ・・・」  
「っとと」  
絶頂に達して気を失った金毛の巫女を、少年は優しく抱きとめる。  
少年はそこで始めて自分が金毛の巫女の処女を貫いたことに気が付いた。  
「え・・・と?」  
「貴方は何をしているのです?」  
少年が混乱していると後ろからいやに冷たい声が響いてきた。  
「え?」  
振り向くとそこには、今まで気を失っていた黒毛の巫女がやけに恐ろしいオーラを纏いながら仁王立ちしていた。  
「貴方は何をしているのかと聞いているのです!」  
黒毛の巫女が肩をいからせながらずんずんと近づいてくる。  
「答えなさい! 姫様に何をしたのです!」  
「あ、あの・・・」  
混乱する少年に近づきながら問い詰める黒毛の巫女、だが・・・  
 
「いい加減に、キャァ!」  
「あっ」  
そこには二人の行為の結果として、汗などが飛び散り、小さい水溜りができていた、そしてこの部屋は板張りである、そこに黒毛の巫女は特に考えもしないで踏み込んできたのだ。  
濡れた板張りの床、当然滑る。  
少年は失神している金毛の巫女を抱いたまま体の向きを変え、倒れこんでくる黒毛の巫女も抱きとめようとする。  
黒毛の巫女の体を抱きとめることには成功したが黒毛の巫女の体は勢いが付きすぎていた。  
「〜〜!!」  
少年は激しく打ちつけた後頭部の痛みを感じると同時に唇に柔らかい感触を感じた。  
疑問に思いながら目を開けると、目の前に目を見開いた顔がある。  
「!!!!!!!!!!!!!!!!」  
ガバッ!  
倒れた拍子に口付けをしてしまった黒毛の巫女は慌てて少年から離れる。  
 
「あっ・・、あっ・・。とっ、殿方と。せっ、せっぷあぁ・・・」  
黒毛の巫女はその余りのショックに再び気を失ってしまった。  
「えーと・・・」  
さすがにこの状況でどうしたら良いかなどと思いつくはずも無く、少年はしばし途方にくれる。  
「あら?翡翠ったらどうしたの?」  
少年の腕に抱かれていた金毛の巫女が目を覚ます。  
「あの・・・その・・・」  
少年は混乱状態にあるのでうまく喋ることができない。  
「うわぁ、体がベトベト。ちょっと気持ち悪い」  
汗と愛液と精液で金毛の巫女の体はドロドロである。  
「ねぇ」  
「はい?」  
「お風呂入ろ♪」  
「はいぃ?!」  
突然の金毛の巫女の申し出に少年の声が裏返る。  
 
「キミは突然こっちに落ちて来たでしょ? その原因とかこれからのこととかあるじゃない」  
「そうですが・・・」  
「でもこのままじゃベトベトして気持ち悪くてそれどころじゃないのよ、だからお風呂」  
「僕もですか?」  
「大丈夫、ここのお風呂は広いから10人位でもゆっくりできるよ」  
「僕男ですが」  
「気にしない、気にしない」  
金毛の巫女は起き上がると少年の手を引いて部屋を出ようとする。  
「あの、あの人はどうするんですか?」  
「翡翠のこと? 見たところただ寝ているだけでしょ。そのうち目が覚めるわよ」  
「そんなんでいいんですか・・・?」  
「気にしない、気にしない」  
話は終わったとばかりに金毛の巫女は少年の手を引いて部屋を出る。  
 
「そう言えばまだ名前を聞いてなかったね。私は天藍、あそこで寝ているのが翡翠、キミは?」  
優しく微笑みながら問いかける天藍。  
少年はその微笑みに・・・  
「僕は・・・」  
強く惹かれながら・・・  
「僕の名前は」  
自分の居場所を見つけたような気がした。  
「菫青です」  
 

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