真由の手の動きは口を使っていたときと違い、どこかぎこちない。力加減がわからないのだろうか、ほとんど触れているだけである。  
 京一にとっては少々刺激が足りない。これでは焦らされているも同然である。  
 しかし、真剣な顔で自分のものを見つめながら手を動かしている真由にそれを言い出すことができない。  
 京一が勝手に焦らされているのも知らずに、真由はゆっくりと手を動かしている。  
 恐る恐る指を絡めていた真由だが、京一が痛みを感じていないのを確認すると、徐々に手の動きを早めていった。  
 にちにちというべとついた音がする中、真由が空いていた手を京一の股間に差し伸べる。  
 そっと袋の部分に触れると、優しげな手つきでやわやわと揉みだした。  
 そんなことまでしてもらえると思っていなかった京一は、一瞬驚いたが、すぐに新しい快感を貪欲に受け入れる。  
 だが、それでもどうにも物足りない。とうとう京一は真由に頼むことにした。  
「もうちょっと強くしてくれ」  
「ん」  
 素直に頷くと、真由は京一のものに絡ませている指に力を込める。  
「こんぐらいでええか?」  
「もうちょっと……それぐらい」  
「き、気持ちええか?」  
「いい」  
 言葉少なに応えた京一に、真由が場に似つかわしくない明るい笑顔を見せる。  
「んなら……」  
 真由は手で京一のものを愛撫しながら、その先端に口をすぼめて吸い付いた。  
「こへもきもひえひか?」  
 意識しているわけではないだろうが、真由がしゃべるたびに、唇と舌が絶妙な動きで亀頭を刺激する。  
「す、すごくいい」  
 情けない声で言いながら、京一は真由がいったいどんな修行をしたのか想像して、さらに股間を固くしてしまう。  
「跳ねひゃへんでよ」  
 ぴくりと揺れたペニスにあわせるように口元を動かして、真由はえらの張った先端に器用に吸い付く。もちろん指を動かすのも忘れない。  
 三種類もの刺激を受けて、京一はあっという間に達してしまった。  
「真由、またイク……!」  
「ひぇ? ん。なんへんれもらしてええよ」  
 ペニスから口を離さずに、もごもごと真由が唇を動かしたのがとどめになった。  
 京一は真由の頭を掴むと、口にペニスを突き入れた。  
 びくびく跳ね回り、真由の舌を犯しながら、一度目と変わらぬ勢いで精液をぶちまける。  
 真由の口内に精液が溢れかえる。  
 真由は必死でそれを飲み下そうとするが、残念ながら耐え切れず顔をあげてしまう。  
 ペニスは真由の口元に押し付けられながら、最後に真由の顔を白く汚して射精を終えた。  
「ほんに……ようけ出すねぇ……」  
 呆れたような、感心したような真由の口調に京一がさすがに照れる。頬をかきながらあさってのほうを眺めてしまう。  
「悪い」  
「いや、ええんよ。ようけ出してもろたほうがそんだけ気持ちええっちゅうことやから」  
 言いながら、真由は口元を指でぬぐい舐め取ると、さらに唇をぺろりと舌で舐めた。  
 自分の行為がどれだけ淫らに見えるかまるでわかっていないのだろう。  
 その行為のせいか、お神酒のせいかはわからないが、驚くべきことに京一のものは変わらず大きいままだった。  
 真由はなにも言わずにそれに舌を伸ばす。  
 ペニスにこびりついている精液を丹念に舌で掃除する。  
「にが……」  
 なぜか嬉しそうに眉をしかめながら、真由が呟いた。  
 その行為に、京一は妙にどきりとして落ち着かなくなる。  
 
 綺麗になった京一のものを見ると、真由の唇は満足げに弧を描いた。かと思うと、ぱっくりと開かれ楕円をつくる。  
 そこから舌を突き出すと、ペニスをつつくように刺激し始める。特に雁首の辺りを重点的につついてくる。  
 てちてちと卑猥な音をたてる真由は、まるで遊んでいるように楽しげである。  
 舌で亀頭を弾くと、棒全部が跳ねるのが面白かったらしい、二度、三度と繰り返す。  
 最後に、根元のほうから、ペニスの裏側をべろりと舐め上げると、大きく息をついた。  
 つやつやと己の唾液で光っているものをうっとりとした目で見つめ、真由はあんぐりと口を開けて顔を近づける。  
 今度は下のほうから、京一の股下をくぐるようにしてである。どうやら狙いは袋らしい。  
 京一はなにか言おうとしたが、股間が暖かいものに包まれた瞬間、なにを言おうとしていたのか頭から吹っ飛んだ。  
 今まで急所だとしか思っていなかった部分がこれほどの快感を与えてくれるとは。  
 真由は真剣な顔でもごもごと頬を動かす。  
「んん、ほむ……あぅむ。むぐ、ん、ひぇんな感触ら……」  
 ひとしきり感触を確かめたあと、真由は舌で柔らかい袋をマッサージするように愛撫しだした。  
 睾丸をころころと転がすように、巧みな愛撫である。  
 しばらくそうして京一の股間に吸い付いていたが、そのうち思い出したように手を伸ばし、柔らかい袋とは対照的に固くそそり立っているものに指を絡ませる。  
 窮屈そうな格好で頑張っているせいか、先ほどと違い真由の手に妙に力が入っている。  
 それがまた絶妙の刺激になって京一の快感を高める。  
 真由は上を向いているせいで、股間に押し付けるようにしている顔が、京一の目にもろに入ってくる。  
 自分の陰毛からペニスから袋からが真由の顔に触れている光景を突きつけられたのと、イッて間もないところに快感を与えられたせいか、京一の背筋をぞくぞくとしたものが駆け上がった。  
 京一は体を震わせると、短くうめいただけで射精してしまう。  
 一回り大きく膨らんだかと思うと、ペニスが精液を盛大に吹き出す。  
「ぃへっ!? んわっ!」  
 真由が陰嚢からよだれの糸を引きながら顔をあげる。  
 それがさらに京一の興奮をあおって白い欲望を真由の顔に振り掛ける。  
 真由はよけようともせずに、顔で京一の精液を受け止めた。  
「……はぁ、油断した」  
 京一が呟くが後の祭りである。  
 まぶたにかかった精液をぬぐいながら、真由がため息をついた。  
「はぁ、元気なんはええけんど、良すぎるっちゅうのも困りもんやなぁ。こんなにこぼしてしもて」  
 歯を見せて朗らかに笑いかけてくる真由に、京一は微妙な笑顔を返す。つい一瞬前まで自分のものを加えていた彼女に純粋なものを見て混乱してしまったのである。  
「お神酒のせいってことで勘弁してくれ」  
「んだなぁ、ほんに効果覿面っちゅうもんみてえだな」  
 真由の視線を追うと、さすがに京一は自分のことながらあきれ返った。  
 三度も連続して出したというのに、あいかわらず硬くそそり立っているのだ。  
「あのお神酒やばいもんでも入ってるんじゃないだろうな」  
「たぶん……大丈夫だと思う……」  
 真由の言葉に不安を感じながらも、京一があきらめたようにいった。  
「こうなったら出なくなるまでイかせてもらうしかないな……」  
「ほんに……」  
 真由は感心した声をあげると、飽きずに京一のものにくちづけた。  
 そのまま、初めにしたように、唇をペニスの形にそって開いていき、深くくわえ込む。  
「ほんろにまら硬ひ……さいひょとれんれん変わらんれぇ」  
 真由が頬をすぼめて熱心に自分のものに吸い付いているのを京一は心地よい思いで見下ろす。  
 やっていることはまさに男を求める淫乱女もかくや、というような行為である。  
 ちゅうちゅうと――場合によってはぢゅぷぢゅぷというぐらい下品に――はしたない音までたてて奉仕を続ける真由だが、なぜか彼女が自分の行為を恥ずかしがっている様子がさほどない。  
 京一の知っている彼女なら、とてもではないがこんな行為は耐えられないだろう。今更だが、それが不思議だった。  
 
 口元を卑猥によだれで濡らしながら、真由はそれをぬぐうこともなく熱心に頭を動かし、唇で京一のものを締め付ける。  
 舌をたくみに動かし、口内に溜まった唾液をかき回しながら亀頭の先端にある鈴口を刺激する。  
 いままでにない刺激に京一が、うっ、という声を漏らすと、真由が動きを止めて上目遣いで様子を探った。  
 自分を見つめる瞳に気づいた京一は、あいまいに笑ってしまう。なんだか奉仕されている自分のほうが、照れてしまったのである。  
 それを見た真由は目だけで微笑むと、再び熱心なフェラチオに戻った。  
 京一は真由の頭に手をやった。せめてものお礼というわけではないが、髪の毛を撫でてやろうと思ったのである。  
 さらりとした髪の毛を感じた瞬間、真由が猛烈なスピードで顔をあげた。  
「なっ、なっ……なにすっだ」  
 真由は驚いた顔で目をぱちぱちさせる。口には先ほどまでの奉仕のせいだろう、開いた唇の間に数本ねばついた糸がかかっている。  
「いや手持ち無沙汰だったから頭でも撫でようかなって……」  
「そったらことしねぇでもええから」  
 先ほどまでの玄人顔負けのフェラチオとはうってかわって、純朴なおぼこ娘の顔でそう言うと、真由は目を伏せた。  
 ほんのり染まった目じりが色っぽい。  
 突然もじもじし始めた真由を不思議に思ったが、嫌がっているようならやめようと、京一は素直に手を床についた。  
 それを見届けると、真由は額にかかった髪を払いのけ、京一の股間に顔をうずめる。  
「んっ、んむ……あぁぁむ、んちゅ……ふっ、むぅ……ぁっ……」  
 真由が規則的なリズムでペニスを唇でしごきたてる。柔らかい唇が硬く勃起したものによって形をゆがめられている。  
 薄く紅の引かれた美しい唇に、血管の浮いた男根が出入りするたびに淫靡な音がする。  
 真剣な表情で自分のものを頬張っている真由の顔を見ていると、京一は再度不思議な気分になってきた。  
 やはり奇妙なことだが、真由からいやらしいことをしているという感情が見えないのである。  
 もちろん彼女の奉仕はとても気持ちいい。現に何度もイッている。  
 だが、奇妙なことにその相手からいやらしさを感じられない。それがどうしても不思議だったのである。  
「――なんでだ?」  
「ん? どしただ。も、もすかすて気持ちよくねぇか」  
 知らないうちに声に出ていたらしい。京一の呟きに反応した真由が動きを止めた。  
「え、いや。なんでもない」  
「だども今なんでだっつって言ったでねぇか」  
 ペニスを握ったまま真剣な表情で真由が問う。  
「……いや、なんでこんなエロいことしてんのに真由がいやらしく見えないのかなと思って」  
 京一が言った言葉は真由の態度を一変させた。  
「なっ、な、な、なんちゅうこと言うだ!」  
 さすがにしまったと京一は思った。  
 相手にあまりに失礼なことを言ってしまったからである。まるで魅力がないと言っているようなものではないか。  
 慌てて謝ろうとしたが、その前に真由が顔を真っ赤にしてしゃべりだす。  
「だっ、大事な神事をエロいなんちゅうこと言うて、罰が当たるでねぇか。そもそもこの神事は……」  
 どうやら、京一の心配とはまったく違うことに真由は反応したらしい。流れるような早口で儀式について語り始めた。  
 そこで京一は唐突に気づいた。なぜ真由が比較的平気な顔をしてフェラチオできたかを。淫らな雰囲気がなかったのかを。  
 彼女は自分のしている行為を、フェラチオつまりセックスに関係する行為だと考えていたのだ。  
 だから初めに彼女の修行のことをフェラチオの練習と言ったときに、あれほどうろたえたのだろう。  
 あくまで自分は生贄であり、奉仕者でしかない。ようするに、真由は自分のしていることはあくまで神事にまつわる神聖な儀式であり、いやらしいものではない、と考えていた。  
 いや、そう思い込んで羞恥心を押さえ込もうとしていた。  
 そこへ、京一の言葉があったせいで、自分の行為の側面――どちらかというと通常は性行為というほうが前面だろうと思われるが――が露にされてしまった。  
 そのため真由はうろたえだしたのである。  
 
 京一は、当初の落ち着いた雰囲気をまるでなくして大騒ぎしている真由の肩に手を置いた。  
「真由」  
「……なっ、なんだっ!?」  
 急にきょときょとして、視線を合わそうとしない真由を見て、京一は今まで感じていなかった新たな興奮を覚えた。  
 ゆっくりと言葉を確かめるように京一が言う。  
「いいかよく聞けよ」  
 京一の態度に、真由がごくりとつばを飲み込んだ。  
「真由がいましてるのは儀式かもしれんが、フェラチオっていうやらしいことでもあるんだ」  
 絶句してなにも言えない真由に、京一はさらに言葉を続ける。  
「性行為。オーラルセックス。フェラ。口まんこ。わかるか」  
 猥褻な単語の数々に、真由は胸の辺りで両手を意味もなくわきわきと動かした。  
 純朴に育った田舎娘には刺激が強すぎるのだろう。羞恥のあまり目が大きく見開かれ、きらきらと潤んでいる。  
「そったらこと――」  
 真由は二の句が告げない。涙目で口をぱくぱく動かしている。  
「わかったら続きをしてもらおうか。真由は俺の生贄なんだろ。早く口まんこの続きしてくれよ」  
 真由が一番敏感に反応した単語を改めて口にすると、京一は彼女を促した。  
 しかし、真由は京一の股間を見つめたまま動かない。動けない。  
 恐る恐る手を伸ばしてペニスを掴もうとするものの、途中で躊躇してやめてしまう。  
「真由、早くしないと。口まんこは大事な神事なんだから」  
 京一の容赦ない言葉に真由はさらに固まってしまう。  
 それを見た京一は真由の手を取って強引に自分のものを握らせる。  
「あ……!」  
 真由が惚けたような声を出した。  
 真由は自分の手にしたものに驚いているようである。つい先ほどまで平気で手にして舐め、頬ずりまでしていたものなのに。  
「ほら、さっきやってたみたいにしごいてくれよ」  
「ん、んだ――」  
 震える声とともに、真由は手を動かしだした。しかし、先ほどまでの巫女ではなく、ただの真由に戻ってしまったせいで、その動きはたいそうぎこちない。  
 
 緊張と興奮がないまぜになった真由の荒い息が静かに室内に響く。  
 しばらくすると、京一は真由に次なる命令を与えた。  
「手はもういい。次は口でやってくれよ」  
 びくりと真由が動きを止める。  
 なにかを懇願するような瞳で京一をじっと見つめる。  
「早く」  
 腹に力を入れると、京一は真由に見せ付けるようにペニスをぴくりと動かして見せた。  
「っ……! あぁ……」  
 真由はただ京一の股間を見つめるばかりで動けない。手を京一のペニスからどかすことも忘れている。  
「仕方ないな」  
 京一は呟くと、立ち上がり真由の眼前に自分のものを突きつけた。  
「ほら。さっきみたいに舐めてくれないと。大事な神事なんだから」  
 内心に溢れる嗜虐心を隠そうともせずに京一が言った。  
 普段の彼は決してSというわけではないが、どこか現実感の薄い今の状況がそうさせているのだろうか。  
 腰を突き出し、真由の顔に自分のものをこすりつける。  
 彼女の柔らかい頬で亀頭をこすると、先ほどの残滓が筋をつくった。  
 ぐにぐにと顔中を蹂躙され、真由は我慢の限界を超えてしまったのか、開き直ったのか、おずおずと舌を伸ばし始める。  
「んっ、んぅぅ……」  
 はしたなく舌を突き出し、ペニスに舌先を伸ばす。  
「お、やっと口まんこしてくれる気になったか」  
「そ、そったらこと……言うでねぇ……」  
 弱々しくかすれ声で言った真由の頬を京一が撫でる。  
「でも神事は口まんこなんだからしかたないだろ。真由も言ってみろよ、口まんこって」  
「い、言えるわけね」  
「真由は俺の生贄なんだから言うことは聞かないといけないんじゃないか」  
 しばらく黙っていた真由が、おずおずと唇を開く。  
「く、口……くち、まん……こっ!」  
 真由が最後は息を吐くようにして、勢いでなんとか言い切る。  
 ペニスを押し付けられるようにしている唇から出た言葉だけに、ただでさえ卑猥な単語がこれ以上ないほど猥褻に聞こえる。  
「はい、よくできました。そしたら次は行動してもらおうか」  
 京一の言葉に、真由はペニスを横ぐわえにして、唇で挟み込む。  
「っ……」  
 京一が声を漏らすと、真由はゆっくりと唇を滑らせしごき始めた。先端から根元へ、根元から先端へ、丁寧に何往復もする。時折、いじめられた仕返しとばかりに歯で甘く幹を噛み刺激する。  
 いつの間にか、手は袋を揉みしだいている。  
 
 目を閉じて快感を享受していた京一だが、部分的な刺激では満足できなくなってきた。  
「真由、くわえてくれ」  
 真由はこっくり頷くと、頼みどおり口いっぱいに京一のものを頬張った。彼女はなにかに耐えるように目を閉じている。自分の行為を自覚しているせいか、さっきよりもいやらしく見える。  
 熱い口内でペニスがびくりと跳ねる。  
 真由は思わず目を開けてしまった。目を白黒させていると、京一と視線が合い、慌てて目をそらす。  
 京一は真由の初々しい様子に喜びを覚えた。  
「ほら、口まんこしてますって言ってみろ」  
 これ以上ないほど赤くなっていた真由の耳がさらに赤くなる。  
「ひゅ、ひゅひまんろしれまふ」  
 とろりとした目でしゃべる彼女の顔には、神事に携わる巫女の面影はかけらもない。  
 真由の口の端からよだれが一筋こぼれた。口中を占領しているもののせいで、唾液を飲み下しにくいのだろうが、まるで男を欲しがっているように見える。  
 そんな自分の姿を知らずに、真由は顔を動かし始めた。じゅぶじゅぶと粘着質な水音をさせながら、必死に頭を振る。  
 京一が髪に手をやっても拒まない。  
「あむ、ん、ずずっ、んちゅぅぅ……、ふぅん、んむ、ぁっ」  
 真由はよだれをすすり、頬をすぼめて必死で京一のものに吸い付いている。  
「ん、また……出そう、だ」  
 京一がうめくと、真由はよりいっそう激しく奉仕し始めた。今まで以上に舌をうごめかせ、ペニスに絡みつかせる。  
 亀頭を集中的に責められたのがとどめになった。  
「出るぞっ、真由の口まんこに出る……!」  
「だ、出ひれっ! あらすのくひまんろにらしれっ!」  
 神事のことなどすべて頭から出て行ってしまった真由が甘く蕩けきった声で絶叫すると、京一のペニスが膨れあがり、白濁液を発射した。  
 相変わらず大量の精液が、真由の口内を蹂躙し、満たす。青臭い匂いが彼女の鼻腔に広がる。  
「むぐぅっ、んん、れれるぅっ! くひにれれるっ! んむっ!」  
 勢いの良すぎた最後の発射が、真由ののどの奥へ吐き出され、真由がむせ返る。  
「えへっ、えへっ、けほっ――」  
 えづく真由の口から白いものが垂れ落ち、床を汚す。薄暗い室内に精液の匂いが漂う。  
「はぁ……良かった」  
 満足気に息をつくと、京一は手で支えをつくり、姿勢を崩した。  
 真由はというと、深呼吸して息を整えている。しかし、なかなか落ち着けず、ひゅうひゅうと掠れた音を出しながら呼吸して肩を上下させている。  
 それまでの射精後と違い、彼女はぼんやりした様子で、だらしなく口を開いている。そこから突き出すように顔を見せている舌から、とろりと白っぽい糸が引いて、彼女の袴を汚した。  
「んげっ、ふぅ、ふぅふぅ……飲む練習まではしとらんで……っはぁ、ようけこぼしてしまう」  
「できるだけ頑張ってるってことでいいんじゃないか。神様である俺が満足してんだ」  
「……んならまだ頑張らねばいかんっちゅうことだ」  
「え?」  
 うっとりとした真由が見つめる先にはいまだ変わらず勃起している京一のものがあった。  
 驚くべきことに、京一は最終的に合計十回も発射した。  
 
 
 
 儀式を終えた二人はお堂の裏にある川で体を洗った。特に真由は全身どろどろだった。  
 京一は嫌がったのだが、真由が京一の体を丁寧に清めた。これも儀式の一部だと強制的に洗ったのである。  
 川に入る際、今更だが巫女装束を脱ぎ、京一に裸身をさらすのを恥ずかしがった真由の姿に、京一が興奮して、追加の神事が行われることになったのは二人だけの秘密である。  
「――ん、よし。これでええ」  
 月明かりに照らされた京一の体を点検し終えると、真由が軽く京一の背中を叩いた。  
「ああ、ありが――」  
 京一が言葉を途切らせた。ふと顔をあげて空を見上げたせいである。  
 空には満天の星空と見事な満月。  
 京一は今更ながらこちらに来てから、ゆっくりと夜空を眺めたことがなかったことに気づいた。夜は家で宴会ばかりだったので、この光景に気づかなかったのだ。  
「凄いな……」  
 呆然と呟くと、京一は黙り込んでしまった。  
 感動のあまり、口をぽかんとあけてただ、空を見上げている京一を、真由が不思議そうに見る。  
 彼女にとっては生まれたときからずっと見ている当たり前の景色だから今更驚くにはあたいしない。  
 それでも、京一の感動は伝わってくる。  
 そっと京一の手を取ると、同じように夜空を見上げる。  
 草むらから虫の鳴く声が静かに聞こえる。遠くから聞こえてくる祭りの喧騒。  
 村に帰ったらまず叔父を一発ぶん殴ってやるぐらいのことはしようと考えていた京一だが、それがどうでもよくなってしまった。  
 
「まあ……いい目も見たしな」  
 京一は傍らに居た真由に目をやった。  
 そして思い出す。  
「そうだ。いまならいいんだよな」  
「ん?」  
 真由が首をかしげる。  
「あの、神社かなんかのところで言っただろ。祭りが終わったらって。だから……」  
 繋いだ指先に力が込められた。  
 二人が視線を交わす。  
 指先からお互いの緊張を感じる。  
 ふっ、と京一の体から力が抜けた。  
「俺はもう一回言ったんだから、今度は真由の番だな」  
「あっ、あたすのっ!?」  
 真由が肩をすくめ、素っ頓狂な声をあげる。  
「そう。早く」  
「あっ、そっ、そそそそれは――」  
 おたおたと真由が辺りを見まわすが、当然助けなどいない。  
「早く」  
「あっ、あたすは」  
「早く」  
「だから、あた、あたすは」  
「早く」  
「そんなにせかさんでっ!」  
 たまりかねた真由が足で川の水を跳ね上げた。  
「そっ、そんなに言われたらなんも考えられんようになってしまう! あたすどしたらええかなんてなんもわからんもん。  
 お、男の人好きになったん初めてだ。なんちゅうて伝えたらええかもわからんで……」  
「だからこんなことになったわけだ」  
 京一が、とても一言では説明できない状況を経て、全裸で水浴びをしている自分達の姿をからかった。  
 にやりと笑みを浮かべ、京一は真由の顎に手をやった。彼女の顔をわずかに持ち上げる。  
 胸の辺りで両手を握り、祈るような姿勢で、真由が緊張した面持ちで京一を見つめている。  
 京一がそのまま顔を近づけてきても、身を固くするだけで微動だにしない。  
 すっ、と京一が顔を離した。  
「あの……なんつうか目をつむってくれないとこっちとしては結構やりにくいんだけど」  
「すっ、すまね。初めてだもんでなんもわからんくて」  
「フェラは初めてのくせにすげえ上手だったけどな」  
 途端に真由が声を張り上げる。  
「あれは練習したから――」  
「じゃあこっちは練習してないわけだ」  
「……んだ」  
 しおらしく頷いた真由の顔に、京一は再び顔を近づける。  
 今度の真由はしっかりと目を閉じた。固く閉じすぎて、あまり優美とは言えなかったが、その初々しさが可愛らしい。  
 二人の唇が重なり合う。  
 その後、さらに追加の追加の神事があったのは二人だけのさらなる秘密である。  
 

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