「いらっしゃーい!」  
ドアの鍵を開け、そのまま押し開くと、わたしは従兄の洋ちゃんを笑顔で迎えた。  
「おー、沙希。久しぶりだなあ。すっかり大きくなったじゃん」  
「大きくなってないって! 前会ったの去年でしょ。背ほとんど伸びてないよ」  
もう、と口をとがらせ、自分の頭のてっぺんに手を当てて、洋ちゃんの背と比べる。  
わたしの頭が洋ちゃんの目と同じ高さ。一年前と変わらない。洋ちゃんはあまり背が高くないのだ。  
比べながら、わたしは洋ちゃんの顔の近さにひそかにどきどきする。  
「一年っつったら長いよ。沙希は成長期だからな。大きくなっててもちっとも不思議じゃない」  
「だから伸びてないんだってば!」  
「じゃあ俺が縮んだんだな」  
「そんな年じゃないでしょ、もー」  
そうして二人で笑う。一年ぶりのやりとりが胸にじんとしみる。  
「おじさんもおばさんもいる?」  
「うん。そろそろかな、もうそろそろかなって、みんなで待ってたんだよ」  
ドアを広く押し開け、わたしはうちに泊まりに来た従兄を我が家に招き入れた。  
 
洋ちゃんは、ほんとうは洋平という名前で、父方の従兄だ。  
二つ離れた県にあるお父さんの実家で暮らしていて、今は大学に通っている。  
中学二年のわたしより六つ年上だ。  
小さいころから、お盆や年末年始にはよく帰省して、そこでわたしは洋ちゃんに遊んでもらっていた。  
わたしも洋ちゃんも一人っ子で、年の近い親類も近くにはほかにいなかったため、  
特に幼いうちは、わたしは洋ちゃんのあとをずっとついていたように思う。  
わたしが大きくなるにつれて洋ちゃんとの距離は少しずつ開いていったけど、  
今でも仲のいい従兄妹にかわりはない。  
 
「今回は明穂ちゃんの部屋を使ってね」  
階段をのぼりながら告げる。  
「ちゃーんと片付けてあるから、好きなように使っていいよ。  
 お母さんと二人できっちりきれいにしたからね」  
洋ちゃんを泊める部屋は、二階にある二部屋のうち、わたしのじゃないほうの部屋だ。  
三月までは、母方の従姉である明穂ちゃんが大学に通うため下宿していた。  
彼女が就職して引っ越したので、今ではお客さん用の部屋となっている。  
そこに洋ちゃんを迎え入れるのだ。  
階段をのぼりきり、右手の部屋のドアを開ける。  
「じゃーん。どう、すっかりすっぱりきれいにしてあるでしょ」  
夏用の白いシーツをしいたベッド。スタンダードな勉強机。ありふれた十四型のテレビ。  
方々の壁に残るピンの痕を除けば、明穂ちゃんの面影を残すものはない。  
「うわ、変わったなぁ。もうほんと、明穂さんいなくなったって感じだなぁ」  
洋ちゃんの口調が寂しそうなことに、胸の奥がちりっと疼く。  
洋ちゃんは三年前の夏にも泊まりに来ていて、以前のこの部屋を見てる。以前の明穂ちゃんを見てる。  
大人びてて、音楽が好きで、ウェーブをかけた髪が似合ってて、壁にミュージシャンのポスターを貼ってて、  
嫌煙派のうちの親に隠れて窓を開けタバコをくわえて物憂げにしていた、きれいな秋穂ちゃんを。  
買い物に連れ回したあげく、公園で三人での缶チューハイパーティーを催した、ちょっとオトナの明穂ちゃんを。  
それでも。  
「明穂ちゃんと、会ったりしてる?」  
「いや、全然だな。あれ以来声も聞いてないや。実家に帰ったんだっけ?」  
「うん」  
三年前、洋ちゃんがはじめてうちに泊まったときには、一階で洋ちゃんは寝た。  
二階の部屋にはそのころまだ大学生だった明穂ちゃんがいたから。  
もと明穂ちゃんの部屋でも、今回はあのときより洋ちゃんとの距離が近い。  
そのことは、素直に喜べるのだった。  
 
先にシャワーを浴びた洋ちゃんと、夕食の席につく。  
今日の主菜は天ぷらだ。種々の食材が揚げられて大きなお皿に盛られている。  
チラリと見ると、洋ちゃんの表情も山盛りの天ぷらに緩んでいた。  
天ぷら好きなんだな、と思い、わたしもなんだか嬉しくなる。  
 
食べ始めながらお互いの近況などを一通りしゃべったころ、お母さんが突然話題を変えた。  
「洋ちゃん、ここに泊まりに来ちゃって、彼女のことはほっぽらかし?」  
わたしはその言葉にびっくりした。  
「えっ、彼女? って、洋ちゃんの!?」  
わたしの反応にお母さんは笑みを浮かべてしゃべりだす。  
「なんだかね、四月だったかな、そのころから付きあってる子がいるんだって話をね、  
 恭子さんがしてて、あ、私も詳しい話が知りたいなあって思ったんだけどね、  
 恭子さんも聞いてないって、なんだか洋平が教えてくれないんだって言ってたのよ」  
恋愛話はお母さんお好みの分野だ。  
わたしも、彼氏の一人でも二人でもつくって、夕食にでも連れておいでよ、などとよく言われる。  
「でね、それでも名前だけは聞けちゃってね。茜ちゃんっていうんだって。  
 恭子さんが電話を取り次いだことがあって、そのとき耳にして、あとから確認とったっていうから」  
お母さんが楽しげにしゃべってる間じゅう、洋ちゃんはまるで関係ないという感じで黙々と食べていた。  
レンコンの天ぷらを大根おろしなしで口に入れてる。  
シャクシャク噛んでる音がわたしにはなぜかよく聞こえる。  
「で、どうしたの? 彼女も連れてくれば良かったのに。  
 うちは一人増えたって構わないし、顔ぐらい見させてよ」  
「……それは、ちょっと、できないですよ」  
レンコンは飲み込んだようで、洋ちゃんはおずおずと答え始める。  
「突然おじゃまして泊めてもらうのもあれですし、  
 うちの彼女、夏休みはバイトと遊びを満喫するんだっていってけっこう予定入ってるんですよ。  
 今日は海に行っちゃってますね」  
「残念ねぇ。それじゃいつでも遊びに来てくれていいから、って伝えといて。  
 ほかならぬ洋ちゃんの彼女なんだからって」  
お母さんの言葉でその話は締めくくられた。  
洋ちゃんができて間もない彼女を叔父一家の家に泊めに連れてこないのは当然だ。  
ただわたしは、うちの彼女、という言葉に、また、胸の奥がちりっと疼くのを感じた。  
嫉妬、してるのかな、わたし。  
いつも構ってくれてた洋ちゃんに、わたしよりもっと大切な人ができて。  
自分の気持ちは、よくわからなかった。  
 
夕食後、ひとしきりテレビを見て、それからシャワーを浴びる。  
自分の部屋に上がるころには、十時を回っていた。  
洗い髪に手を入れて、ふうっと一息ついたとき、  
「沙希、入っていい?」  
部屋のドアがノックされ、洋ちゃんの声がした。  
「いいよー、どうぞー」  
何も考えず答えを返してしまってから、突然どきっとする。  
わたし、パジャマだ。  
淡い黄色の地に山吹色のチェックの柄が入った、夏用の半袖パジャマ。下は同じ柄の長ズボン。  
そして、ブラをつけてない。  
カチャッとノブが回され、洋ちゃんの顔がのぞく。  
中に入ってこないまま、室内を一通り見回す。  
「おお〜」  
感心したような声。  
わたしはとても気恥ずかしくなる。  
普段どおりの自分の部屋を見られることも、無防備なパジャマ姿も。  
「なによー、そんなとこで立ったまま。とりあえず入っちゃってよ」  
わたしはベッドに腰かけ、洋ちゃんは勧めた椅子を断って、閉めたドアに寄りかかった。  
英字入りの白いTシャツに、黒のハーフパンツを履いている。  
「おじさんとおばさんはもう寝るって言ってたけど、まだ早いだろって思って。  
 沙希は何時ごろ寝るの?」  
「んー、だいたい十二時ごろかなあ。休み前はもうちょっと早かったんだけど。  
 あ、お父さんお母さんはほんと早いね。親なのに子供より早寝って。  
 なんか八時間は寝ないと調子が出ない、とか二人そろって言っちゃって」  
「そっか。……明日にでも花火やらない? 夕飯早めに食べちゃって、それからでも」  
「いーねー。ま、花火はやるつもりでいたんだけどさ。  
 まだ買ってないから、明日いっしょに買いに行こっか」  
「おう」  
そのとき、突然強烈な違和感を覚えた。  
部屋の空気がピィンと張りつめるような。  
そして、洋ちゃんの姿が一瞬ぼやけた後、まばたきするほどの間に、部屋には異様な光景が現れていた。  
 
いつもの洋ちゃんがいなくなり、洋ちゃんが、たくさんの小さな洋ちゃんになってた。  
何が起こったのかわからない。  
小さな洋ちゃんの身長は三センチくらい。それがたぶん何万人も、部屋の床を埋め尽くしてる。  
Tシャツにハーフパンツという服装さえ変わらないそれらは、  
動かなければ洋ちゃんそっくりの人形に見えたかもしれない。  
実際には周りを見回し、左右で目を交し合い、目的もないかのようにうろうろするそれらは、  
童話かホラー映画のキャラクターのようだった。  
わたしはふらっと立ち上がり、しかし何もできなかった。  
床は小人で埋まって足も動かせず、そもそもどうすればいいのかわかるはずもないのだから。  
と、そのとき、  
「私たちは転移に失敗した」  
小さな洋ちゃんの群れのどこかからそんな声が聞こえた。  
洋ちゃんの声とは似ても似つかない、小さく高い声。  
「少女。私たちはおまえからエネルギーを奪ってここから去る。  
 おまえは私たちがすることを受け入れていればいい。おまえの身体に害はない」  
そして、何を言っているのかわからず立ちつくすわたしの足に、小人たちは殺到した。  
わたしは悲鳴をあげただろうか。  
わからない。  
ただ、驚きに体勢を崩して手と膝を床につき、ブチブチと洋ちゃんのミニチュアが  
何十人分もつぶれる感触にわたしははっとした。  
小さな洋ちゃんたちがわたしのパジャマをつかんで登り、しだいに身体中を覆っていく。  
現実感のわかないまま、恐怖が心に忍び寄る。  
と、また小さな高い声が鋭く響いた。  
「少女! 動くな! 私たちはここにいた存在を構成していた物質でできている。  
 私たちが多く減ると、ここにいた存在が元に戻れなくなる。気をつけろ!」  
「洋ちゃん!」  
私は思わず叫んでいた。  
ここにいた存在、というのは洋ちゃんのことだ。  
こいつらをたくさんつぶしちゃうと、洋ちゃんは元に戻れなくなる。  
床についた手も膝も、スーッと冷たくなる気がした。  
まだ、大丈夫なんだろうか。  
まだ、洋ちゃんは元に戻れるんだろうか。  
「洋ちゃんは、……ここにいた人は、まだ元に戻れるの?」  
 
わたしは身体に取りついてなお床にひしめく小人たちに問いかけた。  
答えは返ってくるんだろうか。答えを返すような律儀な奴らなんだろうか。  
そんな不安を破り、すぐに答えは返された。  
「現段階で、ここにいた存在は、元に戻れる。おまえは、もう動かないほうがいい」  
ほっと息をつく。  
でももうほんとに動けない。  
身体にも床にも小人たちが大勢はりついているから。  
 
と。  
小人たちがパジャマのボタンを外しはじめた。  
一つのボタンに何人も群がって、共同作業で外していく。  
わたしは四つん這いのまま、ボタンがすべて外され、重力にしたがってパジャマの前が開くのをただ見ていた。  
胸の小さなふくらみが空気にさらされる。  
次いで、パジャマに取りついていた小人たちが、わたしの上半身に散らばる。  
首筋に、鎖骨のくぼみに、胸のふもとに、乳首のわきに、脇腹に、パジャマの中へもぐりこみ腋や背中へも、  
そして耳たぶや耳の後ろ、うなじにまで。  
 
下半身では、ズボンの裾のゆったりとした開口部から入りこみ、足を次々とのぼってくる小人たち。  
その先頭は腰に達し、パンツの中にまでもぞもぞともぐりこんでくる。  
割れ目のすぐそばにまで手をかけよじのぼり、気持ち悪くはいずって、一部はおしりの上に、  
一部は割れ目のまわりに、それぞれ場所を決めたように動きをとめる。  
腿にもふくらはぎにもまんべんなく小人たちは散らばり、足の裏から足指の先まで  
豆粒ほどの小人が何かを待つようにじっとしている。  
 
何をされるのかわからない。  
いや、何となくはわかるのだ。  
この小人たちが、時が来ればいっせいに動き始めるだろうことは。  
でもそれは何のため?  
わたしをどうしようとしてるの?  
 
「始めろ!」  
高い声が鋭く響く。  
「きゃあああっ」  
小人たちがいっせいに動き出した。  
手で肌をこすられる。舌で肌を舐めあげられる。  
身体中をいっぺんに責められ、ぞわぞわと粟立つ肌。震えが起こってとまらない。  
 
耳たぶの襞と耳の後ろを同時に舌がなぞり、思わずしゃくりあげ首をちぢこめる。  
「少女! 動くな!」  
わたしははっと身体を強張らせる。  
「私たちは、ここから去るためのエネルギーを得るために、こうしている。  
 動かず、我慢していろ」  
そうだ。洋ちゃんが元に戻るために、こいつらをつぶさないようにしなきゃいけないんだ。  
さっき、顎を引いたとき、何人かつぶした感触があった。  
動かないようにしないと。洋ちゃんのために。また元の洋ちゃんに会うために。  
 
身体中を触られつづけるうちに、だんだん震えはおさまっていく。  
そのかわりに、身体が熱をもってくる。  
乳首がたくさんの舌に舐められてる。何人かで囲んで舐めあげてるんだ。  
小さなからだが胸にへばりついてる。  
どくん、どくんと鼓動が響く。  
荒い呼吸が不規則な痙攣を伴い、おなかにさざなみを立てる。  
気持ちいい。  
身体の奥からとけちゃいそうに感じる。  
背中の上でも何十もの舌がぬるっぬるりとわたしを責める。  
腰に堪えられない熱がたまっていく。  
足の指の股を舐める舌。  
足の甲を舐める舌。  
足首を舐められふくらはぎを舐められ膝の裏を舐められ腿の裏を舐められ、  
わたしのあそこはじんわりとしびれて潤んでいく。  
細く小さな舌に責めたてられる。身体中を、くまなく。  
 
洋ちゃんがわたしを舐めてる。洋ちゃんの舌がわたしを狂わせる。  
そう思いこもうとした。  
それならいい。洋ちゃんなら許せる。洋ちゃんになら何をされてもいい。  
こんな現実はひどい。  
洋ちゃんの身体からできてる小人は洋ちゃんじゃない。ここには洋ちゃんの意志はない。  
それでも、だからこそ、わたしを喘がせ悶えさせてるのは洋ちゃんであってほしいのだ。  
 
熱くぬかるんだ身体の中心のすぐ上、いちばん敏感な芽が小さな手でさすられている。  
「洋ちゃんっ」  
さする手が増える。三つの手でこすこすとさすってる。  
わたしは高い声をもらす。腰がびくびくっと痙攣するのを止められない。  
襞を広げられ、膣口に細い細い指がかけられ、そしてもぐりこんでくる。  
洋ちゃんの姿をした小人の、髪を感じ、顎を感じ、Tシャツごしの肩を感じ、腹を感じ、  
ハーフパンツに包まれたおしりを感じ、膝を感じ、足を感じて、  
わたしは洋ちゃんが入ってきたことを感じる。長いため息をもらす。  
「はああぁ……洋ちゃん……」  
膣の中をくりくりとなでられる。れろれろと舌が這う。  
また洋ちゃんが入ってきたことを感じる。わたしは声を抑えられない。  
「ああぁ、あぁ、きもちいーよ、もっと……よーちゃん、もっとぉ……」  
膣の中で這いつくばって、襞を舐めてるのが一人。  
やみくもに襞をこすりまくってるのが一人。  
わたしの狭い穴は入り口のあたりで多少広げられて、ちょっとだけ痛い。  
その痛みが心地いい。  
「さすって……こすって……あんっ、しびれる……、よーちゃん……すごぉい、あああぁ」  
わたしのはじめての人は洋ちゃんなんだ。そうに決まってる。  
だって、洋ちゃんがわたしの中に入ってきてるんだから。  
「もっと、いっぱいして、動いて……あぁ、舐めるの、すごぉい……」  
おっぱいの先っぽもびりびりして、あそこに気持ちよさを送ってくる。  
ずっとずっと、舐められつづけてる。どこもかしこも。  
わたしはもう我慢できなくなって。腰を振りたてたくてたまらなくて。  
でも動けない。ほんとの洋ちゃんはまだ戻ってきてないから。  
だから、声をあげるしかなくて。  
「あん、あぁ、あっ、ああぁ……よーちゃん、よーちゃんっ……」  
頭が白くなってく。身体中の熱があそこに集まって、うねって、もうおかしくなりそう。  
「よーちゃんが……わたしのなかで、ああぁ、うごいて……ああっ、あぁ、ああぁ――っ!」  
そしてわたしは真っ白になった。  
背中がきゅっとしなって、手も足も指をくっと折り曲げて、歯がかちかち鳴って。  
わたしは涙をこぼした。  
泣きながら洋ちゃんを思って、小さな洋ちゃんの入ってくれたあそこを思って、  
ただ泣きながら暗い世界に意識が落ちた。  
 
 
「夏休みあとどーするの?」  
「あー、まあちょっとバイトしたり、友達と飯食ったり、あーあとやりたいゲームもあるなぁ。  
 ゲームってマジでやると時間くうからなぁ」  
「ふーん。……で、彼女とは?」  
 
あのあと。  
わたしが目を覚ましたとき、洋ちゃんは床に倒れて眠っていた。一時間も経っていなかった。  
身体中が小人たちの唾液でねとねとしてたので、洋ちゃんをベッドに寝かせておき、  
わたしはシャワーを浴びてパジャマも下着も取り替えた。  
無事起きてくれた洋ちゃんはやっぱり何も憶えてなかったから、  
急に眠っちゃって全然起きないから冷や汗かいちゃって、とりあえずシャワーを浴びてきたんだと説明した。  
そしてその後は何事もなく。  
洋ちゃんとウィンドウショッピングをしたり、夜は約束どおり花火をしたりして。  
あっけなく洋ちゃんの帰る日となった。  
 
「あ、海に行くのと、映画見に行くのと、服とか買いに行くのと、……あー、まあそんなとこかな」  
「何その『そんなとこ』って。ていうか、彼女忙しいとかいって、実はけっこう一緒に過ごすんじゃん」  
「んー、いいんだよそんなことは。そもそも沙希に関係ないだろ」  
 
わたしは、洋ちゃんに抱かれたい。  
あのわけのわからない小人たちに気持ちよさだけ味わわされて、膣の中までいじくられて、  
しかもそれは、洋ちゃんの身体を利用されてやられたことなのだ。  
洋ちゃんの恋人になりたいのかどうかはわからない。  
ただ、あんな中途半端なかたちじゃなく、ちゃんと洋ちゃんとえっちしたい。  
一度でいいから、わたしをしっかり見てくれる洋ちゃんに抱かれたい。  
洋ちゃんにわたしのほんとの初めてをあげたい。  
 
だからわたしは勇気を出して言ったのだ。  
「あのね、洋ちゃんが彼女とラブラブなのはわかってる。  
 でもこれだけは言っとくよ。  
 もし、もし万が一洋ちゃんがフラれたら、そのときは、わたしが洋ちゃんをもらっちゃうんだからね」  
 
(終)  
 

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