「もしもし、私メリーさん。今駅前にいるの。今からあなたの所へ行くわ」
「もしもし?私メリーさん。今大通りに出たんだけど、こっからどう行けばいいの?
あ、ちょっと待・・・・・・」プツッ、ツーッ、ツーッ
「もしもし。私メリーさん。ホントにこっちの方であってるのかな?
人通りも少なくなってきたし・・・・・・」
「もしもし?なんだか変な団地に迷い込んじゃって、どうやったら出られるんだろ・・・・・・。
もう疲れてきた・・・・・・」
「・・・・・・もしもし。今公園でコンビニ弁当食べてる。あんまり美味しくない・・・・・・。
そろそろ日が暮れるし、だんだん寒くなってきたし、どーしよ・・・・・・」
「もしもし。お巡りさんに道聞いたんだけど。どうして早くそうしなかったんだろ。
というか、あんたが道順教えてくれないからじゃないのっ」
「もしもし・・・・・・寒い、風邪引きそう・・・・・・。引いたら呪ってやるからね。
このあたりで合ってるはずなんだけど・・・・・・北ってどっち?」
「もしもし。こちらスネーク、目標のアパート入り口に到着した・・・・・・って冗談冗談。
え?しないわよ一階上る毎に電話なんて。面倒くさいし」
「もしもし?今あなたの部屋の前よ。待ってなさい。今すぐ至高の恐怖を・・・・・・(ガチャ)
・・・・・・って、何で誰もいないの!? はぁ、バイト中ぅ!?
そう言うことは先に言いなさいっての!このバカ!
ともかく、帰ってくるまで部屋に上がらせてもらうわよ。
独りじゃ寂し・・・・・・もとい、玩具がいないと退屈だから、早く帰ってきなさいよ!」
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俺は無理言って早めに仕事を上がらせてもらい、家路に急いだ。
鍵を開けて(そういえば彼女はどうやってドアを開けたんだろう)扉を開けると、
部屋の電気、テレビ、エアコンはつけっぱなしで、床には買いだめしておいたスナック菓子の袋が落ちている。
そして、ソファーにはかわいらしい少女がすやすやと安らかな顔で眠っていた。
「・・・・・・ったく、他人の部屋をなんだと思って・・・・・・」
俺はぼやきながらテレビを消し、エアコンの温度を調節して、ゴミを捨てた。
そして彼女を抱え上げると、寝室まで連れて行って、布団を掛けてあげた。
額に軽くキスをすると、彼女の顔が少し赤くなったように見えたのは、気のせいだろうか。
俺はそのまま寝室を出て、ソファーに腰を下ろすと、煙草に火を付けて煙を吐いた。
「さて、せっかく借りてきたAVも見れないし、どうするかな・・・・・・」