俺はハッキリいってモテる。
自惚れではない。事実、告白された回数も両手の指に両足の指を足しても足りないくらいだ。
だが、俺は誰かと付き合ったことは無い。
なぜならば……………
俺には俺が生まれた時から奥さんがいるからだ。
「ん、や、ふあ……」
「あれ?ココだったっけ?」
お世辞にも大きいとは言えない嫁の胸、その左胸の先端を俺は指の腹で強く押していた。
「や、そこは…違います……」
部屋のテレビにはお笑い番組が付けっ放しになっている。見た事のある芸人がイグアナとキスをするシーンが流れていた。
「あれ?じゃあ、ココか?」
今度は右胸の頂をグッと力を込めて押す。
「きゃうっ!そ、そこも…違います……」
妻の嬌声が大きな笑い声の芸人と密閉された部屋に共鳴する。
俺にとって片方はノイズでしかない。早くテレビを消せばいいのだが、俺はまだ妻をイジめてやりたかった。
「も、もっと…下の方です……」
妻が頬を真っ赤に染めて潤んだ瞳で俺を見つめている。あぁ…なんて可愛いんだ……その表情が俺の欲情を煽るとも知らず……
「それじゃあココらへん?」
本当は場所など分かり切っているのだが、俺は意地悪く妻の閉じている花びらをぷにぷにと指で押す。
「ひゃあ!ち、違うっ!行き過ぎですぅ!!」
じんわりと湿っているそこを押され妻の声が1オクターブ高くなる。
テレビはチャンネルが変わり、何百匹もの巨大な芋虫のような怪物が行進するのを、青い服を着た少女が見つめていた。
少女の肩にはキツネだかリスだかよく分からん小動物が乗っている。
「ごめん、ごめん。どこだったか忘れちゃってさぁ……」
白々しい嘘も今の妻になら通用するだろう。上気した頬と潤んだ瞳がそれを証明している。
「場所、教えてよ」
その時の俺の顔は今まで生きてきた中で最高の笑顔だったろう。
もっとも、その理由は妻をイジめたいという嗜虐心からきているのだが…
「っ……こ、ここです……」
妻は軽く目を伏せながら、先程まで押されていた花びらの少し上を指で差した。
「え?ここじゃわからないよ。なんて名前だっけ?」
俺の三文芝居は続く。
「で、電源のスイッチです…」
「それはリモコンとしての名称でしょ?君のその体の場合だと何て言うの?」
妻はもう顔が真っ赤だ。今にも泣きだしそうな潤目でこちらを見ている。
「く、くりとりすです…」
「え?何?聞こえないよ?」
さすがに妻も俺の方へと強い視線を向けてきたが、俺は相変わらずニコニコ顔。
だって楽しくて仕方がないから。
「く、クリトリスですっ!!」
これ以上ないという位真っ赤な顔、潤んだ瞳から零れる一筋の涙、羞恥心によって蜜が溢れ出ている恥丘……
あぁ……全てが俺を満たす。全てを俺は愛す。
「そうだった、そうだった。それじゃ今からテレビ消すから」
思っていることを微塵も感じさせず、俺はニコニコ顔のまま妻の恥丘に顔を近付ける。
そして舌を…今度は優しく、触れるように舐める。
「ひゃぃっ!あっ、あふぁあ♪」
執拗に、ねちっこく、ねぶるように……それでいて優しく舌で愛撫を続ける。
「あれ?感度悪いなぁ…ちゃんと電波飛ばしてる?」
「ぁふっ♪だ、だって貴方が強くしてくれないから、あぁんっ!」
「へ〜、もっと強くやって欲しいんだ?」
上目遣いに妻を見る。その顔はやっぱり朱色に染まっていて…期待と羨望の眼差しで俺を見つめていた。
……ダメだ…我慢できない……
俺はその赤い真珠を口に含み、ちゅうぅっと勢い良く吸った。
「ひゃわっ!あっ♪あぁぅっ♪きゃあぁぁんっ♪♪」
妻が一際高い嬌声を放ち、体全体を大きく震わせる。
それと同時にテレビは黒い画面を映し出す。荒い呼吸をする妻を見ながら俺はぽつりと呟いた。
「ぁ、天気予報見なきゃ……」