オートロックちゃん
「おい、開けてくれ!」
僕はガチャガチャとドアノブを回した。鍵を掛けた覚えはないのに、帰ってきてみたら扉が開かなくなっている。ボロいアパートの一室。当然、オートロックなど付いていない。にも関わらず、なぜ勝手に鍵が掛かっているのかというと――。
「はぁーい」
間の抜けた声が聞こえたかと思うと、ガチャリと錠の外れる音がした。
「ったく、ゴミ捨てに行っただけじゃないか。いちいち鍵閉めなくていいってば」
「えぇ〜、ちょっとでも家を空けるときは鍵掛けないとダメなんだよー。泥棒さんは5分もあればヘソクリから通帳まで全部持ってっちゃうんだよー」
僕が家を空けてたのはせいぜい2,3分だろ。そう言いながら部屋の中に入る。先ほどまでは確かに声が聞こえていたが、室内には誰の姿も見えない。それもそのはず。彼女は人ではないからだ。
「どこにいるんだ? 姿を見せろよ」
「えへへー」
ふやけたような笑い声が聞こえると同時に、背中に重みがかかった。腰には細い腕が回されている。
振り返るとそこにいたのは銀髪の美少女だった。
彼女は錠の付喪神だ。先ほどアパートの鍵を開け閉めしたように、どんな鍵でも自在に解錠、施錠することができる。それは物理的な鍵に止まらず、電子的なパスワードも含めて、およそ鍵と名の付くものならば、自由自在に扱うことが可能だ。
祖父の家で見つけた南京錠。それが彼女だった。
「ねぇー」
甘い声を出して彼女が抱きついてきた。彼女は背が低いので僕の腹に顔をうずめる格好になっている。
「おいおい、こんな朝っぱらからか?」
からかうような口調で僕が言うと、彼女はうぅーと唸りながらますます強く顔を押しつけてきた。
「はいはい。分かったよ」
彼女の体をひょいと抱え上げて、ベッドまで運ぶ。横たえられた彼女の瞳は既に色っぽく潤んでいた。
ぴちゅ、ぺちゃ
唇を合わせながら、片手で耳を弄る。もう片方の手は、さわさわと服の上から薄い胸を撫で回した。
口を離して一息吐くと、彼女の顔は赤く上気していた。はぁ、はぁ、と甘い吐息が漏れる。
「すっかりできあがってる感じだな。ちょっと早すぎるぞ」
僕がそう言うと、彼女は恥ずかしそうに、イヤイヤと首を左右に振った。
「脱がすぞ」
上着を脱がせ胸を露出させる。緩やかに隆起した白い肌、その頂上にある桜色の小さな乳首が目に飛び込んできた。
「もう乳首勃っちゃってるぞ」
さわさわと乳房の周辺を軽いタッチでくすぐる。円を描くようになだらかな丘に指を這わせ、徐々に頂上へと近づけていく。そして頂点へ触れる直前ですっと指を引く。するとそれを追いかけるように彼女が背を反らして胸を突き出した。
その様子を見て僕は目だけで笑うと、今度は顔を胸へと近づけた。期待するような彼女の視線を感じる。僕は彼女の乳首へ口を近づけると、ふっと息を吹きかけた。
「もぉ〜、意地悪〜」
彼女は身を捩らせながらそう言った。
「ちゃんとして欲しい?」
そう言うと、彼女は無言でこくり、と頷いた。
舌を伸ばして、べろりと舐め上げる。そして唇の先で乳首をくわえたまま、舌先でちろちろと舐った。
「んぅ〜〜っ」
彼女が押し殺したような声を出す。そこで今度はちゅーっと強く吸い上げてみた。
「あぁん。いやぁーっ」
歓喜の声を上げて彼女が背筋を仰け反らせた。しばらくその状態で体を硬直させ、やがてぱたりと崩れ落ちた。
「ひょっとしてイっちゃった? そんなに溜まってたのか」
そう言いながら、次にスカートを脱がすと、パンティの上からでも彼女の秘所が濡れそぼっているのが分かった。くちゅくちゅ、と下着の上から刺激を加える。
「もうこんなに濡れちゃってるよ?」
荒い息を吐きながらぼおっとしていた彼女だが、僕の言葉を聞くと、かっと顔を赤らめた。
パンティを脱がせると、べったりと涎を垂らした秘部が目に入った。
親指でコリコリとクリトリスを刺激しながら、人差し指を膣に突き刺す。そこは既にしっとりと濡れ、物欲しそうにチュウチュウと指に吸い付いてきた。
「ねぇ、もういいから、来て」
僕は素早く服を脱ぎ、一物を取り出すと一気に彼女の膣に突き入れた。
「あぁんっ、奥まで、来てるっ」
膣全体がペニスを締め付けてくる。軽く抜き差しすると、ちゅぷちゅぷといやらしい音が響いた。
――僕もあんまり長持ちしそうじゃないな。
そう思いながら、腰を打ち付けていく。彼女がぎゅっと抱きついて、背中に爪を立ててきた。二人の荒い息が混じる。
「あっ、私、もうっ、イきそう」
「僕も、そろそろっ」
そう言って僕はぐっとペニスを奥まで押し込んで、子宮口に強く押し当てた。
「ああぁーーっ!」
彼女が絶頂の悲鳴を上げると同時に、僕も精を解き放っていた。
行為が終わった後、横たわる彼女を抱きしめながら僕は言った。
「しかし、お前の片割れは一体どこにいるんだろうなぁ」
そう、彼女の本体である南京錠を見つけたとき、それは鍵の掛かった状態で、ぽつんと床の上に放置されてあったのだ。周囲を探しても開けるための鍵を見つけることはできなかった。
「そんなのなくっていいの」
そう言って彼女は、思わず僕が見とれてしまうような顔で笑った。
「私の穴はあなた専用だから♪」
終わり