最終幕 きせきのひと  
 
とにもかくにも、ゆかりの勘違いということで、一件落着だ。  
「ご、ごめんなさいぃー!!」と謝るゆかりの声の後には、笑い声が続いた。  
 
ゆかりは確かにいろいろ言ったが、なぜか本気で憎たらしいとは誰も思っていない。  
それはこの娘に、見かけのことだけでない愛嬌があるからだし、みんなもそれを気に入っていた。  
 
そんな魅力を持つ人は稀有で、だが確かにいるのだ。  
今だって、さんざあしざまに言われて怒っていたジョンとマーロットも、ゆかりの謝るのを聞いたら  
すぐに笑顔になってしまった。  
 
そんな奇跡みたいな人が、いるのだ。自分の近くに。  
ティムはそう思って、だとしたら、その奇跡の恩恵を一番受けているのは自分だ、と思った。  
なぜなら、ゆかりがきて一番楽しんでいるのは僕だ。そういう自負があったのだ。  
 
 
その夜、ティムはずっと昔のこの日に生まれたという人にすこし感謝をして、笑顔のまま、ぐっすりと眠った。  
 
 
 
 
 
 
                        クリスマスに奇跡が・終わり  
 
 
 

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