全体が豪奢な調度でととのえられていて  
主の趣味の良さが伝わってくる上品な部屋。  
 
 その部屋の中に三人の人間がいる。  
一人はソファに腰を掛けた、  
いかにも素封家の令息とでもいった趣の青年。  
もう一人は初老の男、仕立ての良いスーツに包まれた恰幅の良い体で、  
恭しく、控えるようにして立っている。  
そして最後の一人、  
頭の天辺から足元まで、フードのついた外套のようなものに覆われ、  
男か女かさえも定かでない。  
ただ、外套の裾から僅かにこぼれ見える足先、奇妙なことに素足のそれが、  
やや暗い照明だけの、この部屋の中で、眩しいほど白かった。  
その人物は初老の男の後ろに連れられるように佇んでいる。  
   
 青年がわずかに顎をしゃくる。  
それを無言の催促だと理解した男はくるりと向きを変えると、  
後ろの者から外套を一気に剥ぎ取る。  
 
「ほう」  
 
 青年は一つ息を吐いた。  
そこに露になったのは一人の少女。  
雪石膏から彫り出されたような見事な肌が余すことなくさらけ出される。  
ただ一箇所、右の大腿部をぐるりと取り囲む、  
金属製と思しきリングが着けられているほかは。  
 
 年のころは15、6だろうか。  
儚げな美貌と、それを縁取る淡い色の髪が微妙な表情にゆれている。  
男は少女の肩に手をかけると、身体を回転させて後ろを向かせようとする。  
少女はおどおどとした様子でそれに従う。  
 
 瑞々しくそれでいて、適度な堅さを備えていると思える  
真っ白な臀部が着座している青年の目前にちょうど晒された。  
男が手を伸ばし少女の臀部に触れる。  
少女の尻たぶを割り開くようにひろげると、  
色素の薄い、淡いピンクの菊花があらわれる。  
 
「一度の排泄さえ経験したことのない、  
正真正銘の清浄な肛門です、  
一度足りとて経口で摂食をおこなったことがないのですから当然ですな」  
 
 そんな事を完璧なセールスマンの態で言いながらも、  
男は胸の中では『このヘンタイが』と思っている、  
だがもちろんそれを表面に出すことはしない、  
顔には人の良さそうな笑みを張り付けたままだ。  
青年は非合法の快楽に、いくらでも金を出す、  
ブローカーの彼にとって、得難い取引相手なのだから。  
 
「全ての栄養分はここから摂り入れます」  
 
 透明な液体の詰まった容器を懐から取り出すと、  
男は少女の右の太腿のリングに手をかけ、備え付けられた留め金を外し、  
その内部を露出させる。  
カチリと音を立てて容器をリングの内に嵌め込む。  
 
「これがこの娘の餌という訳です、セットでお安くしておきますよ」  
 
 言って男は、今度は少女のアナルに手を伸ばすと其処を微妙に刺激し始める。  
それに耐えかねて、少女は美しい弧を描くその眉の根を寄せる。  
 
「もちろん性感帯としての、開発は完璧です」  
 
「こっちのほうは、どうなっている?」  
 
 青年は自分のこめかみに指を当ててコツコツと叩いてみせる。  
 
「知識は猫のようなものですが、感情面の発達は十分に、ご要望どうりです」  
 
「ただの人形など嬲っても面白くもないからな」  
 
「どうです>>25さま?」  
「ああ気に入ったよ」  
 

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