梨乃はこの教室がきらいだった。  
 
古びたマンションの突き当たり、窓一つ無い防音材だらけの無機質な部屋。  
そして何より生気のない幽霊のような音楽教師。  
今、母親と話し込んでいるその教師はちらちらと梨乃の姿を伺っていた。  
そのおぞましい視線はよそゆきの晴れ着を着てきた梨乃の頭からつま先までを舐めるようにながめている。  
せっかく着てきた黒いビロード地のワンピースと上に羽織ったアンサンブルが視線で汚されるような気がして、梨乃は不快になった。  
 
「石川さん、これがお話ししていましたバイオリンです」  
教師は古びたケースを梨乃と母親の目の前で開けてみせる。  
そこには薄気味の悪い黒ずんだ小さなバイオリンがあった。  
「300年ほど前に造られた名器ですよ。お嬢さんにはさぞお似合いでしょうね」  
「これさえあれば、今度のコンクールにも・・・」  
「そうですとも!たとえどんな相手であっても負けることはありませんよ」  
 
音楽の世界に勝ち負けというのは意味のあることなのだろうか?  
梨乃はライバルの綾小路に勝てなくても悔しいと思ったことはない。  
しかし母は梨乃が常に2番であることに不満を覚えている。  
今日もこんな怪しい音楽教室まで探し出して、「名器」とやらを演奏させようとしているのだ。  
けれども梨乃はそんな母親に逆らった事など一度もなかった。  
だから今日も母親に言われるままにこんな遠くにまでやってきたのだ。  
 
「さあ梨乃さん、弾いてご覧なさい」  
そう言われて梨乃は現実に引き戻された。  
あわてて教師から弓とバイオリンを受け取る。  
「あなたの体にちょうどいい大きさのはずですよ」  
左手をすっと伸ばして胴を顎で挟むと確かにちょうど梨乃の体格にあった大きさだ。  
梨乃は弓を現に当ててみた。  
見かけによらない、美しい旋律が響く。  
梨乃は少し驚きながら練習曲を奏で始めた。  
 
いい。  
梨乃は教師や母親の存在を忘れて一心に弓をすべらせる。  
繊細な音色が楽器を伝い指先にも心地よく感じられた。  
自然と演奏にも熱が入り、掌が汗ばんでくる。  
心なしか、バイオリンも熱を帯びているようだ。  
いや、バイオリンは確かに熱くなっている!  
不安に思った梨乃は演奏を止めようとした。  
しかし腕は自分の意志とは関係なく、楽曲を弾き続けている。  
 
ねとっ・・  
バイオリンを握る左手首に何かが絡みついてきた。  
びくりと身を震わせて、梨乃はバイオリンに目をやる。  
バイオリンは名状しがたい形に変わり、うねうねと蠢いていた。  
バイオリンから伸びた漆黒の触手が梨乃の手首にまとわりついている。  
梨乃は驚き、バイオリンを振り放そうとしたが体の自由が効かない。  
「お・・お母さま!」  
梨乃はやっとのことで声を絞り出し、母を呼ぶ。  
しかし返事はなかった。  
 
「お母様は隣の部屋でお休みですよ・・・」  
梨乃の耳元で教師がいやらしくささやく。  
「さあ演奏を続けましょう。このバイオリンもあなたの才能がとても気に入ったようです。どうも最後まで演奏させてくれるようですよ」  
教師の言葉に応えるかのように梨乃の右手が踊り出した。  
それとともに手首をつかんでいる触手からさらに細い弦のような無数の触手が伸びて、アンサンブルの袖口から中へと入ってくる。  
「あっ・・・やあぁんっ・・・」  
腕をさわさわとくすぐられた梨乃はあどけない声をあげた。  
弦のような触手は細い腕を伝い、肘から二の腕へとのぼってくる。  
こそばゆさが左脇にぞくりと走った。  
 
「く、くすぐったい!やめてください!」  
梨乃は愛らしく頭をふった。  
肩まで伸びた長くつややかな黒髪がふわりと舞う。  
「残念だがわたしはバイオリンの妖精に逆らうことはできないのですよ・・」  
「妖精?これが?」  
梨乃には童話に出てくるような可愛らしい妖精しか思い描くことはできない。  
この黒くぐねぐねとしたものが妖精とはとうてい思えなかった。  
「そう、音楽の才能に長けた少女を愛でる妖精です。この妖精に見込まれたことを誇らしく思いなさい。ただしその代償は高くつきますがね・・」  
「え?・・・あっ、やめてっ!」  
 
梨乃の顎で支えられているバイオリンの底部からも黒く細長い触手が伸びて、頸に絡みついてくる。  
ぞぞっとする感触が頸から耳にそって這い上がった。  
白いのど元を撫でさわりながら触手は大きく開いたワンピースの丸い襟ぐりから胸元へ入り込んでくる。  
ぺたんとした薄い胸元がさわさわとくすぐられ、梨乃は悲鳴を上げた。  
「いやっいやっ!へんなところをさわらないでください!」  
背丈がそこそこあるわりに第1次性徴は遅れている梨乃はまだブラをしていない。  
ほのかな膨らみはワンピースの上からはわからないほどだ。  
触手は薄い綿のインナーの内側に滑り込んで膨らみをすすっとなで下ろした。  
 
「やっ!」  
胸の先端にこそばゆい感触が走り、梨乃は小さくあえいだ。  
軽く触れられただけのはずなのに、耐え難いこそばゆさが先端に余韻のように響いた。  
胸を触られた衝撃で梨乃は身をこわばらせている。  
小さな胸に頸から肩口から触手が群がってきた。  
黒い触手が薄い胸肉を縛り上げていく。  
「や・・・やめて、さわらないでくださいっ!」  
ようやく我に返って梨乃は身悶えしたが、触手の動きは止まらない。  
きりきりきり・・・  
黒い細引きに似た触手は小さな膨らみを上下から挟み込むように胸板を縛り上げていった。  
「い、痛い・・・」  
痛みを覚えるほど強く締め上げられた膨らみの先端では、ソロバン玉のように小さな乳頭が充血し飛び出していた。  
妖精に操られるままに弦を操る右腕の動きで乳頭とインナーが擦れて、恥ずかしいこそばゆさがほとばしる。  
 
「や・・・いやん・・・やめてください・・・」  
胸の先からほとばしる恥ずかしさは梨乃の全身を駆けめぐっていた。  
喉の中にまで恥ずかしさがいっぱいになって、大きな声を出すことすらできない。  
また腰から下の方もなぜかもぞもぞとした恥ずかしさがわき上がってくる。  
梨乃は膝頭を重ねるように、肉付きの少ない腿をもじもじと擦り合わせた。  
「梨乃さん、演奏時の姿勢は大事ですよ・・・」  
教師は手を伸ばして梨乃の細い腰を両脇から支えた。  
びくりっ  
梨乃の背が反射的に反り返る。  
「や・・や・・・さわらないでください・・・」  
異性に触れられた恐怖、そして背筋を走ったおぞましい恥ずかしさに梨乃の下は回らない。  
教師は薄い骨盤に手を添えながらぴたりと梨乃に身を寄せてきた。  
ワンピースごしに異性の高い体温がうじうじと伝わってくる。  
 
「さわらないで!お、お母様にいいつけますよ!」  
梨乃は半泣きになりながら教師から身を離そうとしたが、靴の裏が床に吸い付いたように動けない。  
「安心しなさい。どんなに梨乃さんをさわりたくてもこれ以上は妖精が許してくれないのですよ。ですからわたしはこうして体を支えているだけです・・・」  
そう言いながらも教師はズボンの中で硬くなっているこわばりを梨乃のワンピースにすりつけていた。  
びくり。  
おしりに明らかに違和感を感じて、梨乃の腰は反り返った。  
「変質者」・・・教室で聞きかじった言葉が思い出される。  
「へ・・変質者!あなたは変質者なのね?」  
勇気を出し口走った言葉自体が梨乃の頬を真っ赤に染める。  
「・・・・先生を変質者呼ばわりするとはいけない生徒だな・・・」  
明らかに気分を害されたのか、教師の額に青筋が立った。  
「そんないけない生徒にはおしおきだっ!」  
 
ばっ  
教師の腕がワンピースの裾をつかんで大きくめくりあげる。  
白い木綿のショーツに包まれた小さなおしりが丸見えになった。  
「き、きゃあぁっ!!」  
梨乃は黄色い声をあげて身をよじる。  
「ほ、本当の変質者というのはこういう事をするのだっ!」  
教師はもう一方の手をのばしておしりをすすっと撫で上げた。  
「いっ、いやあぁ〜んっ!」  
おしりにぞくりとした感触が走って、梨乃は泣き声をあげる。  
「へへへっ・・・生徒のくせに先生をバカにするから・・・うっ!ぐわあぁぁあっ!!」  
突然教師が頭を抱えて床に転がった。  
大人の男があげるとは思えない泣き苦しむ悲鳴が部屋中に響き渡る。  
「・・・すみません妖精様!もうしわけありません・・・」  
悲鳴の中でとぎれとぎれにわびの言葉が紡ぎ出された。  
 
梨乃はぞっとした。  
バイオリンの妖精の力がこんなに強いものなのだろうか?  
妖精に逆らうとこんな事になるのか?  
いつしか教師は気を失い、悲鳴はかき消えていた。  
部屋の中にはバイオリンの音色だけが響いている。  
ぞくり。  
胸からおへその方へと服の中を這い進んでくるものがある。  
触手がインナーの中を伝い下りているのだ。  
おなかがぞくぞくと恥ずかしくくすぐられると同時に背中にも同じ感触が這いおりていく。  
虫が這うようなそのこそばゆさはおへそを越えてもとどまろうとしない。  
ああ・・・まさか・・・  
自分に降りかかるとは信じられない事を脳裏に描いた梨乃は震え上がった。  
その事に思い至ったと同時にショーツのゴムが前後からつまみ上げられる。  
つつーっ・・・  
下腹部に恥ずかしいこそばゆさがほと走る。  
ショーツの中に触手が這い込んできたのだ。  
 
梨乃は助けを呼ぼうとした。  
しかし怖ろしさのあまり舌先が痺れて声が出ない。  
隣には母親がいるはずなのに、助けに来る気配もない。  
恐怖で身をこわばらせた梨乃の平坦な下腹部に沿い、這い進んだ触手がつるりとした恥丘を越えて浅いスリットを撫でた。  
びくっ!  
これまでの恥ずかしさとは比べものにならない甘い疼きが下腹部に走り、梨乃は弾かれたように腰を引いた。  
一瞬撫でられただけなのに、脚のあいだがかぁっと熱くなる。  
心臓がどきどきと鼓動を早め、頭の奥までが恥ずかしさで満たされてしまう。  
下腹部を触られることがこんなに恥ずかしいだなんて!  
これ以上さわられてはいけないと、梨乃は懸命に腰を引いて触手から逃れようとした。  
しかし足は床に吸い付けられたように動かない。  
梨乃はつま先立ちとなって不安定な姿勢でなんとか触手から身を避けようと、涙ぐましい努力をした。  
だがそれでは逃げられる範囲にも限界がある。  
よろよろとふらつく下腹部を追いつめるように群れ集った触手がなだらかな恥丘に、そして小さく丸い尻肉に巻き付いていく。  
 
「くぅっ・・・」  
剥きたてのゆで卵のようにつるりとした恥丘にくい込んだ触手がデリケートな肌をうねうねとなで回した。  
と同時に背後でもおしりの膨らみに巻き付いた触手がきゅっきゅっと締め上げてくる。  
体の前後から襲ってくる恥ずかしさに、梨乃は耐えかねたようなあえぎをあげた。  
触手はおしりの膨らみだけでなく、その谷間にもまとわりついてくる。  
谷底の肌は敏感すぎて、かすかに触れられただけでおぞましい感触が背筋に走った。  
「やぁ・・やぁん・・・・」  
漆黒のワンピースに包まれたきゃしゃな少女の肢体がのけぞり倒れそうになる。  
しかし胸と腰に巻き付いた触手が体を支え、梨乃は倒れることなく演奏を強いられた。  
「くぅ・・くうぅん・・・ゆるしてぇ・・・」  
恥ずかしさが指先にまで充ち満ちて、弓の振動が伝わるだけで甘い疼きが走る。  
梨乃は黒いエナメル靴の中で小さなつま先を切なげにくねらせながら、ただひたすら赦しを乞うた。  
 
触手にうじうじと責め立てられ、いつしかショーツの中はじっとりと汗ばんでいる。  
浅いスリットの内部もわずかに湿り気を帯びていた。  
そのスリットの奥を探るかのように1本また1本と触手が侵入していく。  
かすかに潤っている小さな腟口を探りあてた触手が粘膜のほころびの縁をつつっと撫でた。  
「あっ・・・」  
おなかの中にじんっとする疼きが走り、梨乃はびくりと腰を引きながらかすかにあえいだ。  
肌をなでられるのとはまた違った、どろどろとした恥ずかしさが腰の奥にこみ上げてくる。  
小指の先程しかない腟口に触手は何本も群がってきた。  
繊細な粘膜を探る触手の数が増えるほど腰の奥は次第に熱くなっていく。  
「あ・・・ああっ・・・」  
身動きするだけで脚のあいだから何かがほとばしりそうになる。  
梨乃の下半身は大きく反り返り、びくびくと痙攣した。  
数を増した触手は薄い処女膜をめくりあげながら幼腟の内側をなでていく。  
蠢く触手の刺激によって未熟な腟壁分泌腺が無理矢理成熟へと導かれていった。  
幼腟からこぼれ落ちた透明な愛液がショーツを湿らせ、内股に沿い流れていく。  
 
「ひ・・・ひやあぁん・・・」  
濡れた処女膜が限界までめくりあげられた。  
親指大にまで拡がった腟口に無数の触手が殺到する。  
絡み合った極細の触手は1本の肉棒と化して幼腟を突き上げた。  
「あんっ・・・あんっ・・・」  
バイオリンの旋律に合わせて繰り出される肉棒に体の奥底を突かれ、梨乃はあどけなく声をあげた。  
強烈な性感覚がパルスのように押し寄せ、細い腰がくの字に曲がる。  
バイオリンの演奏が佳境に近づくにつれて肉棒の繰り出しが早さを増して、性感がさらに高ぶっていく。  
白い靴下とリボンのついた黒いエナメル靴はもうぐっしょりと濡れていた。  
「はぅ・・・はぅ・・・だめぇ・・・!!」  
梨乃の薄い腰がぶるりと痙攣する。  
 
一度だけでなく二度三度と腰を震わせながら、梨乃の細い喉から愛らしい歓喜の声が上がった。  
かぼそい肢体が反り返り、絶頂を迎える。  
それは同時にバイオリンの独奏が終わったことを示していた・・・  
 
 
ジュニアコンサートの演奏で審査員たちから高く評価された梨乃はその後、屈指のバイオリニストとして世に出た。  
その甘美な音色に聴衆は皆歓喜の涙を流す。  
しかし同時に、梨乃も歓喜の涙を流していた。  
梨乃の体は弦に弓を滑らせるだけで感じるように調教されてしまったのだ。  
演奏会でバイオリンを弾きながら、梨乃の股間はしとどに濡れていた。  
おびただしい愛液は時にくるぶしのあたりにまでしたたり落ちてくる。  
何時他人がそれに気づくのか?  
梨乃は怯えながらも、誰かが気づいてくれることを密かに待っていた・・・  
 

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