季節の変わり目となる今の季節は、ちょうどネコ風邪が流行る時期だったりする。  
 正式名称はなんかあるらしいけど、俺らは簡単にネコ風邪と呼んでる。  
 読んで字のごとく、俺やミコトちゃんみたいなヒトは感染しないのに、ご主人様とかだけが感染する謎の風邪。  
 主な症状は熱と関節痛と倦怠感と肉体疲労。ついでに咳。  
 まあ、そういうわけだから……  
 近頃は、とかく俺もミコトちゃんも忙しい。  
 なにしろ道場もほとんど開店休業状態で、元気なのはヒトと数人の獅子……と、なぜか少し前から居候してるネコの女の子。  
「なんでネコ風邪なのにサーシャさんが元気なんですか」  
「だって私、獅子の民じゃないもん」  
「いや、だってネコじゃないですか……」  
「うーん……だってネコの国じゃ、こんな変な風邪はないし」  
「…………」  
 世の中って不思議だ。  
 
 まあ、それはともかく。  
 そういうわけだから、こっちは薬を作ったり料理をしたり洗濯をしたりと大わらわ。  
 ミコトちゃんも、最初に出会ったころは儚げな美少女って感じだったけど……ああ見えてしっかりしてる。  
「キョータさんのお仕事は、こっちに書いておきました」  
「……多くね?」  
「体力と身体特性に合わせて的確に配分しました」  
「……さいですか」  
 つくづく、俺らって奴隷なんだなと痛感させられる。  
「はいはい、お洗濯終わったからこっちも干しといてね〜」  
 そこに、サーシャさんが持ってきた洗濯物の山。  
「…………」  
「ほらほら、元気良く返事返事。『はい』とか『わかりました』とか『喜んで』とか」  
 ……つまり、拒否権はないんですね。  
 
 とまあ、日暮れまでそんな感じ。  
 夜になったら何とか開放される。  
 ……わけがない。  
 夜は夜で、ご主人様の世話が待ち構えてる。  
「はい、あーんしてください」  
「はむはむ……」  
 病気のせいか、妙にしおらしい。  
「……甘くておいしいね」  
 地黄のせいかも。  
 どんな突然変異を起こしたのか、こっちの地黄はやたらと甘い。  
「ねぇ、キョータくん……」  
「何ですか?」  
 妙にいたずらっぽい流し目でこっちを見る。こういうとき、ご主人様はたいていロクでもないことを考えている。  
「口移しで食べさせてくれないの?」  
「しませんっ!」  
 襲うぞ、しまいに。  
「……つまんない」  
「病人はおとなしく寝ててください」  
「む゙〜……」  
 こっちを不満げに見るご主人様。  
「キョータくんが病気になったとき、十倍返しで返してやるんだから」  
 怖いことを言わないでください。  
「治ったら何でもしてあげますから」  
 そう言ってなだめる。  
 正確には、何でもしてあげるというか……力づくで何でもさせられるというか……  
「……じゃあ、今して」  
「あのですねぇ……」  
 頼むから、人の理性を叩き壊すような潤んだ目で見ないでください。  
「据え膳食わぬは男の恥だよ」  
 この場合、それは違う様な気が。  
 人が困ってるのを見て、ご主人様はさっきから笑いをかみ殺している。  
「ほんっと、キョータくんって、いつまでたってもウブだよねぇ」  
「病人を襲うような真似が出来るか」  
「ふーん……」  
 また、いたずらっぽい目つき。  
「じゃあ、ボクの看護ならいいよね」  
「…………?」  
「ボク、熱っぽくて身体が汗ばんでるんだ」  
「……拭けと?」  
「ご名答♪」  
 そう言って、また俺の目を覗き込んでくる。  
「ねえねえ、ボクの身体拭いて」  
「……あのなぁ……」  
「もし、キョータ君がボクを見捨てて、そのせいで汗で身体が冷えて風邪が悪化して肺炎で死んだら、キョータくんのせいだからね」  
「…………」  
「そうなったら夜な夜な化けて出てやるんだから」  
 何で俺は病人に脅迫されなきゃならんのだ。  
 
 ご主人様の布団を横にずらす。  
 寝巻きの帯を解き、前をはだける。  
 ご主人様の肌は熱っぽく火照り、汗が浮いている。  
「きょーたくん……」  
 こっちを見ているご主人様。さっきまで元気そうにはしてたけど、こう見ると正直病状は良くない気がする。  
「よっ……と」  
 手桶の水で手ぬぐいを洗い、絞る。  
 それで、ご主人様の身体の汗をぬぐう。  
「んっ……」  
 ご主人様が、目を閉じて小さく声を上げる。  
 すぅと、肌をなでるように拭く。  
「ん……」  
 ひんやりとした刺激に、小さく身体が動く。  
 首筋からわき腹、手、おなかの汗をぬぐう。  
 そのたびに、小刻みに身体が震える。  
 それから、胸に向かう。  
 むきだしの火照った乳房が、汗ばんで上下に動いていて、それが妙になまめかしい。  
 濡れ手拭で、円を描くように乳房の汗をぬぐう。  
「あっ……」  
 ご主人様がかすかに、身をよじらせる。  
「あれ、感じちゃいました?」  
 わざと、聞いてみる。  
「ち、違うもん……」  
 横を向いてそう答えるご主人様。  
 否定はしても、桃色の乳頭は少し固くなっている。  
 まあ、いまはそれ以上責めたりせずに、別の部分をぬぐう。  
 足のつま先から上へと、舐めるように全体をぬぐっていく。  
「…………」  
 つま先からふくらはぎ、ふくらはぎから太ももと、手拭いが上に向かうにつれ、ご主人様の身体がこわばっているのがわかる。  
 ちょっとだけ、悪戯心がわいた。  
 手ぬぐいで太ももの辺りをぬぐいながら、もう一方の手で、その先にある繁みをかるくまさぐってみた。  
「ひゃんっ!」  
 悲鳴を上げ、大きく身体をそらすご主人様。  
 が、すぐにまたへたりこみ、苦しそうな息で胸を上下させる。  
「い、いまの……反則だよ……」  
「ごめんごめん」  
「キョータ君のばかぁ……」  
 すねたような声が返ってきた。  
 
 身体の前面の汗をぬぐい、そしてうつぶせにしてから背中の汗もぬぐう。  
 力のない尻尾を片手で持って、お尻を触る。  
 それから、汗で濡れた寝巻きはたたんで洗濯籠に。  
 残ったのは、病気で動けない、裸のご主人様。  
「鍵……閉めた?」  
「閉めてます」  
「……そっか」  
 俺の方を、じっと見ている。  
「なんだか……ボク、ドキドキしてる」  
 熱っぽい瞳と、桃色の肌のご主人様が言う。  
「ボク、動けないから……キョータくんに何されても抵抗できないから」  
 普段の元気な声とは違って、病気のせいか苦しそうにしている。  
「だから……キョータくんの好きにしていいよ」  
 そう言って、目を閉じる。  
「キョータくんになら……何されてもいいから」  
 
 全身を、掌と指で愛撫する。  
「っ……」  
 声を漏らさないように、唇を閉じて我慢しているご主人様。  
 全身がこわばり、快感に耐えているのがわかる。  
「がまんしてると身体に悪いよ」  
 そういいながら、全身を指先でくすぐるように責める。  
「んっ、んんっ……」  
 目を閉じ、顔を向こう側に向けるご主人様。  
 ぴくん、ぴくんと小刻みに震えている。  
 でも、いくらがまんしていても、病気になっている今は身体の方が持たない。  
 すぐに耐え切れなくなって、ご主人様は大きく息をする。  
 そのタイミングにあわせて、指をうごかす。  
「あっ、いや、まってよっ……」  
 ご主人様が口を閉じようとするたびに、敏感な部分をくすぐって抵抗できないようにする。  
「だ、だめ、ちょっとまっ……あんっ」  
 しばらく愛撫すると、それだけで体力を消耗したご主人様は、ぐったりと横たわって荒い息をついていた。  
「はぁっ……はぁ……はぁ……」  
 その息を邪魔するように唇を吸う。  
「んっ……」  
 少し苦しそうなご主人様。  
 だけど、今のご主人様に抵抗する力はない。  
 
 首に手を回して逃げられなくしてから、舌を絡ませると、抵抗らしい抵抗もせずになすがままに任せてくる。  
 少し、薬のにおいがするけど、まあそれも悪くはない。  
 そして、キスをつづけながら、右手をご主人様の下腹部にもぐりこませる。  
「んっ……」  
 少しだけ抵抗して、唇を離そうとするけど、衰弱しきったご主人様の力ではどうにもできない。  
「んん……ん〜っ……」  
 声にならない声が漏れるけど、無視してキスと愛撫を続ける。  
 ご主人様の陰肉が、指でもてあそぶたびにひくひくと蠢き、蜜を吐き出す。  
 太ももを閉じて拒もうとするけど、その中に無理やり指をねじ込むと、抵抗した分だけ大きく指を動かす。  
「ん〜っ……」  
 拒絶しているのか、喘いでいるのかわからない声がする。  
 しばらく反応を楽しんでから、俺はご主人様を解放した。  
「……キョータくん……ひどいよぉ……」  
「そんなこといいながら感じてたくせに」  
「違うもん……感じてなんかないもん……」  
 小さな声で抗弁するご主人様。  
「本当に?」  
 そういいながら、顔を近づける。  
「こんなの……感じたうちに入らないもん」  
 強がるご主人様。  
「じゃあ、ここは?」  
 そういいながら乳首を指で責める。  
「んっ……」  
 目を閉じ、かすかに身をよじらせる。  
「気持ちよくなってきた?」  
「違うもん……」  
「ここは?」  
 胸を責めながら、同時にうなじから鎖骨に向けて指を動かす。  
「あっ……」  
 ぴくんと、反応が返ってくる。  
「気持ちいい?」  
「ま、まだだもん……」  
「じゃあ、これなら?」  
 ちゅっと、口で乳房を吸いながら舌先で桃色の乳頭を転がしながら、左右の指で別々の場所を攻める。  
 左の指がうなじと鎖骨を愛撫しながら、右の指がおへそと腹部をまさぐる。  
 
「あっ、ま、まってよ、そこは……」  
「感じる?」  
「ち、ちがうもん、感じてなんか……あっ……」  
 口では強がっているけど、身体の方はすっかりとろけてしまってほとんど抵抗しない。  
 念を入れて、もう少し十分に蕩けさせておいてから、舌と指を離す。  
「……はぁっ……はぁ……はぁん……」  
 抵抗する力もなくなったご主人様。  
「そういえば」  
 医療函の中から、包帯を取り出す。  
「一度、こういうのやってみたくて」  
 そういいながら、ご主人様をうつぶせにして、後ろ手にまわす。  
「……キョータくん、それって……」  
「一度、ご主人様を縛ってみたくて」  
「ち、ちょっと、そんなの、ボクは……」  
「ものはためしって言うし」  
 ご主人様の抗議を無視して、包帯をくるくると巻きつける。  
 後ろ手にまわして手首を拘束すると、衰弱したご主人様は抵抗も出来ずに縛られてしまう。  
 さらに、くるくると包帯を巻きつけ、完全に両腕の自由を奪ってしまう。  
「ん゙〜……」  
 拗ねたような顔のご主人様。  
「ボク、こんなことまで許してないもん……」  
「何事も体験」  
 そういいながら、ご主人様を抱きかかえて乳首に舌を這わせる。  
「んっ……」  
 抵抗できないご主人様。どんなことをされても、身を捩じらせて悶えるしかできない。  
「気持ちいい?」  
「そ、そんなの……ボク、こんなので感じるようなヘンタイじゃ……」  
「ないとは言わせないぞ」  
 そういいながら、無抵抗なご主人様の全身を責める。  
「あっ……」  
 責められるたびに、かわいい声を上げて喘ぐご主人様。  
 病身を無理に悶えさせているせいか、すぐに肌は火照り、全身に汗をかいている。  
 その汗を、時々舌でなめたり指でぬぐったりしてみる。  
「そ、そんなの……ダメだよ……反則……」  
 力なく抗議するご主人様。  
 口ではいくら強がってみても、ご主人様の性感帯はほとんど全身にあるから、どこを責めても新鮮な反応が返ってくる。  
 
 半刻ぐらい、そうやってご主人様を転がしてから。  
「挿れていい?」  
 やっぱり、病人だし。  
 挿れる時くらいは聞いた方がいいかと思う。  
「……嫌って言ってもやめないくせに」  
「そんなことないって」  
「じゃあ、嫌」  
「……わかった」  
 まあ、病人だし。  
 包帯を解こうとすると、驚いたようにご主人様が言う。  
「ほんとにやめないでよ」  
「って」  
「もぉ……こんなにしたんだから、嫌がるボクを無理やり押し倒してリョージョクするのが男じゃないかぁ」  
「いや、それは違うだろ」  
 ご主人様の男性観というのが、時々わからなくなってくる。  
「じゃあ、挿れていいのか」  
「嫌って言うけど、挿れていいよ」  
「…………わかった」  
 寝台の上に上がる。  
 さすがに病人に騎上位とか後背位は危険だろう。  
 そうでなくても包帯でぐるぐる巻きにしてるし。  
 仰向けにして、ご主人様の両脚を広げる。  
「……キョータくん」  
「ん?」  
「ボクね、ほんとはこんなのもやってみたかったんだ」  
「だと思った」  
「こーいうのも、悪くないね」  
「病み付きになる?」  
「キョータくん以外の人はお断りだけどね」  
「そいつぁ光栄です、ご主人様」  
 言いながら、肉棒を入れる。  
 絡みつきながら締まってくるような肉の感触。  
 少し力を入れて、腰を動かす。  
「んっ……」  
 少し涙目のご主人様。  
「はあっ……んはぁ……ひうっ……」  
 腰を動かすと、それにあわせてご主人様の口から声が漏れる。  
 
「あっ、あん、キョウタくん、そこっ……」  
 弱弱しい声だけど、衝くたびに淫声を上げて乱れる。  
「気持ちいい?」  
「いい……気持ちいいよぉ……」  
 泣きそうな声で、そう答えてくるご主人様。  
 縛られたまま何度も絶頂を迎え、それでも半泣きになって次をねだってくる。  
 こっちの腰が持つのかどうかものすごく疑問だけど、正直ご主人様が潤んだ瞳でおねだりしてきたら、それでも断れるほど俺は禁欲主義者じゃない。  
 
──しかし……  
我を忘れて乱れているご主人様を見て、俺はふと不安になる。  
──ミコトちゃんの見つけてきたあの薬草……アレってなんだったんだ?  
 
そのころ。  
「……ミコト……これは似てるけど違う」  
 フェイレンが、困ったような顔をして二つの薬草を見せながらミコトに説明している。  
「こっちが大命(タイメイ)。これは大犀(タイサイ)って言って……まあ確かに、滋養強壮の特効薬だけど……」  
「だけど?」  
「なんというか……媚薬だ」  
「びやく?」  
「……賭けてもいいけど、明日はキョータくん、足腰立たなくなってると思うぞ」  
「…………」  
「まあ、明日は僕がキョータくんの仕事はやるとしよう」  
「もうしわけありません……」  
「まあ、キョータくんにとっては役得かもしれないけど……」  
 心の中で、そっと手を合わせた。  
 

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