「よくぞここまで辿りついたな!勇者ディルスよ!」
頑強な鎧を身につけ白銀に輝く剣を携えた少年と、闇色のローブをまとった巨大な悪魔が向かい合う。
「魔王ラグナルアス!!貴様を倒す!」
少年は剣を手に魔王へと斬りかかる。だが次の瞬間魔王の巨大な右腕が剣をはじく。
「なっ・・・!」
「甘いわ勇者よ!その程度でワシを倒せると思うのか!」
「くっ!」
少年は剣を再び構えるが、同時に魔王の口から魔の言葉が発せられる。
「我が魔術を食らうがいい!エアロ!」
強力な風圧が少年を襲い、吹き飛ばされ・・・
「あだぁっ!?」
少年の頭が教室の壁に衝突する。
「アンタ。アタシの授業で寝るなんていい度胸だねぇ?」
教室中の生徒がチラチラ少年を見ながらクスクスと笑う。
「ま・・・魔王は?」
「誰が魔王だい!もう一度エアロ食らうかい!」
教壇に立つハーピーと呼ばれる翼を持った女性が少年を睨む。
「あ、いや!違います!夢の話で・・・」
クラスからまた笑い声が漏れる。
「もういいから席に戻りな!」
「は、はい!」
少年が席に戻ると隣の席の茶色いセミロングの髪の少女が笑いかけてきた。
「ディル君、また変な夢見てたんだ〜」
「うるせーよメルン」
メルンと呼ばれたこの少女は頭からは犬のような耳、体から尻尾を生やした
ワーウルフと呼ばれる種族である。
「では、戦後の歴史に社会の仕組みについてだが・・・こそこそ何やら話しているメルン!読め」
「あ、え・・・え〜と・・・
人間と魔物の戦争の後、人間と魔物はこれまでにないほどお互い協力して生活するようになりました」
「よし、何故人間と魔物は仲良くなった?答えろ」
「え〜っと・・・終戦の理由が人間の希望だった勇者と、魔物達の女王。つまり魔王が恋人になっちゃったから?」
「そうだ。座っていいぞ。
・・・勇者と魔王はそれをきっかけに二人分の巨大な魔力を使い、解けることのない呪いを世界中にかけた。
お前達も知ってるとおり、人間には男しか生まれず、魔物には女しか生まれないのだ。
ゆえに人間と魔物はともに暮らすようになったのだ」
ゴ〜ン!
「おっと、終わりのベルだ。それでは、次の授業までに76ページを予習しておくように」
ベルとともにハーピーの女教師は挨拶もせずにさっさと教室を出て行ってしまった。
「や〜っとだるい授業が終わったぜ・・・」
「もー、ディル君。寝てばっかじゃバカになっちゃうよ?」
俺の名前はディルス。剣術が特技のナイスガイだ。
この犬みたいな女はワーウルフのメルン。一応俺の幼馴染だ。
「ねー、ディル君。この後どうするの?」
「そうだな・・・だるいし帰るわ」
「ということは、何も用事ないんだよね!」
メルンが尻尾をパタパタさせながら聞いてくる
「そうだけど」
「よーっし!じゃあ、私の家まで来てよ!」
「なんでだよ」
「なんででも!」
「しかたねーな・・・」
いつもこんな調子で俺はメルンに振り回される。どうせ嫌だと言っても聞いてくれない。
メルンの家は俺の住む集落から北へ少し歩いた山の中にある。
「なー・・・なんでお前の家なんて行かないといけねーんだよ」
「ないしょだよ」
「いつもじゃねーか」
「いつも私の料理食べて満足そうに帰っていくじゃん」
メルンはバカっぽく見えるが実は料理が得意だ。味も悪くない。
毎回内緒といいつつ、料理をご馳走してくれるので今回もそうだろう。
父親が他界して収入の安定しない我家にとっては一食浮くだけでもありがたい。
「ほら!ついたよ!」
山に住むワーウルフの家は決まって質素な家であり、ぶっちゃけ俺んちよりぼろい。
元々野性的でサバイバルの得意なワーウルフ達は家が無くても暮らしていけるのだ。
「私、料理作るから少し待っててね」
「おうおう。期待してっぞ〜」
俺はそういうとゴロリと仰向けに寝転び、ボロいメルンの家の中をボーっと眺める。
周りには彼女の服を入れるクロゼット。メルンは結構あれでいてオシャレが大好きだ。
いつも新しい服を買った時は俺に真っ先に自慢してくる。
クロゼットの隣のテーブルには俺があげた誕生日プレゼント・・・5歳ごろのものから
一週間前に渡した16歳のプレゼントであるネックレスが飾ってある。大切にしてくれてるんだな。
飾らずちゃんと付けて欲しいとは思うが。
「ディル君〜。甘口にする?辛口にする?」
さてはカレーだな。俺は辛いものは苦手だ。
「甘口だね。もう少し待っててね〜」
聞いといて、俺が答える前に勝手に結論を出す。
当然だ。メルンとは長い付き合いだ。俺のことなら何でも知っていると自負していた。
ここまで来ると鈍い俺でもとっくに気づいているが、彼女は俺に惚れている。
自分で言うのもなんだが、こんなバカ男のどこがいいんだか・・・
実は、メルンは俺のことなら何でも知っている。と言っているが
1つだけ知らないことがあった。俺もメルンのことが好きなのだ。
照れ隠しで無愛想なフリをしているが、かなり前から彼女に惚れていた。
両想いなんだし、さっさと告白しろ。と思うかもしれないが、それが問題なのである。
何故なら、告白とはすなわちメルンと性交することなのだ。
どうしてかは知らないが、勇者と魔王の呪いが世界を覆ってから、ずっとこうなのだ。
性交をすることでお互いを永遠の伴侶にすると近い合う。告白とは重い事なのだ。
戦前は軽々と口だけで告白し、何人も彼女を作る男も居たらしいが。
だから、俺はまだメルンには告白していない。
クラスにはもうすでに告白を済ませた友人も居る。
人間の男とサキュバスのカップルだが、そのバカップルぶりはすごく殺したくなるが羨ましくもあるのだ。
「じゃじゃーん!メルンちゃん特性激甘カレーで〜っす!」
メルンが尻尾をパタパタさせながら料理を運んでくる。
「おー・・・何かすごい色してるな。何いれたんだ?」
「え〜っと、ホワイトチョコを混ぜてみました!」
いつもこんな料理である。これでいつも美味いんだから不思議だ。
メルンがいつもどおり食べるまで尻尾をパタパタさせながら俺のことをジーっと見る。
「それじゃ、いただきますっと・・・」
おそるおそる口に入れる。今回も美味かった。
「おー、見た目がコレだけどやっぱお前の料理は美味いな」
「えへへ〜、いっぱい食べてね!」
メルンがにんまりと笑う。笑うと同時に口の端からよだれが垂れる。
「なんだ?お前も腹減ってるなら食えよ。よだれ垂れてるぞ」
「え?ううん!ちがうの!私はおなかいっぱいだよ!」
「そうか?」
よだれをぬぐう彼女の尻尾を見る。尻尾がピンと立っている。
隠し事をしているときは尻尾に出るから分かりやすい。
何を隠しているのか知らないが、食べてから考えることにした。
「・・・ふぅ〜」
食べた後、すぐ動くのもだるかったのでメルンの家でゴロゴロしている。
彼女は何やらご機嫌で口笛を吹きながら食器を洗っている。
「さて、俺はそろそろ帰りますか〜っと・・・」
むっくりと立ち上がったその時、俺は自らの異変にを感じた。
「なんだ?体が熱いな・・・メルン。風邪薬もってないか?」
「風邪薬なんて必要ないよ」
台所から半笑いのメルンが顔を向ける。
「なんでだよ・・・」
「だって病気じゃないもん」
メルンが笑ったまま俺のとなりに座り込む。
「風邪じゃなかったらなんな・・・んぐっ!?」
突然メルンの唇が俺の口を塞ぐ。
「うふふ・・・どう?」
「ぷはっ!な・・・なんのつもりだ!?」
唇から開放された俺は彼女を見てゾっとした。
メルンがこれまで見せた事もないような妖艶な笑みを浮かべていた。
「あのカレーにね。ラウネちゃんの蜜をいれてたの」
ラウネというのはクラスメイトのアルラウネの事である。
アルラウネ族の蜜はそれだけで強力な媚薬となるのだ。
「な・・・なんでそんなもんを?」
火照って仕方が無い俺の体にメルンが腕を絡めてくる。
「だってだって・・・ディル君、私の事襲ってくれないんだもん!」
「バ・・バカかお前!襲うわけないだろ!」
「なんで?ディル君、私のこと嫌いなの?
修学旅行のとき、ディル君のベッドにもぐりこんだのに、何もしてくれなかったよ?」
「だって、それ・・・お前その時は部屋間違えたって言ってたじゃねーか!」
「そんなの、嘘に決まってるじゃない・・・」
メルンは昔から奥手だった。だが、最近になってからは何かと俺にアプローチをかけるようになっていた。
それもそのはずだ。ワーウルフという種族は元々そういうものなのだ。
群れのリーダーに従う元々の特性から一途であり、他の種族よりも理性より本能が強く
そして尽きぬ事を知らぬ性欲を持つと言われる種族である。
これまで彼女は我慢していたのだ。
だが、俺には勇気がなかったため彼女のアプローチをすべてかわしていたのである。
「ねえ・・・どうなの?ディル君は私のこと・・・」
「好きだ」
「えっ・・・?」
「もう一度言うぜ?好きだ!」
「ほ・・・本当に?」
「ああ、ごめんな。これまでお前に告白する勇気がなかったんだ
でもお前は我慢してたんだな・・・」
「ディル君・・・!」
メルンを引き寄せ唇を重ねる。お互いの舌をお互いの口内へと滑り込ませるディープキス。
「ぷはぁっ・・・うれしいよ・・・」
お互いの口から唾液の糸をひく。
俺は艶やかに笑うメルンの体を押し倒す。
「はぁ・・・ディル君、もう我慢できないよね・・・ごめんね。媚薬なんて使って・・・」
「いいんだ。お前は媚薬なんてなくても我慢できないんだろ?」
「う・・・うん。だから・・・お願い」
彼女の口からそう言葉が漏れた。
彼女が今日着ているタンクトップを剥ぐと、少しひかえめの胸が姿をあらわした。
すがるような目で見つめる彼女の胸に手をかけ、まずは優しく揉む。
「はぁっ・・・ぁっ!」
彼女は嬌声をあげるとともに耳をぴくん、ぴくんと動かす。
「わかりやすくて可愛いな。お前」
「ディル君・・・そんなこと・・・あぁっ!」
彼女が言い終わる前に胸を揉む力を強める。
「あぁっ!・・・はぁ・・・はぁ・・・でぃ・・ディル君・・・」
「なんだよ?」
「・・・そっちじゃない」
「え?」
彼女はそう言うと、自らで下半身を覆っていたミニスカートを脱ぎ捨て
指で秘所を広げて見せた。
「ほらぁ・・・こんなにびしょびしょ・・・」
自分で広げたり、閉じたり。目も据わっている。
どうやら野生のスイッチが入ってしまったらしい。
「はやくぅ・・・」
甘えた声でねだる彼女の体に媚薬で火照ったペニスを突き立てる。
「あ・・あはぁ・・・」
ゆっくりと巨根を彼女へといれる。
初めてのはずの彼女は恍惚とした表情を浮かべていて、苦痛の色はない。
「はぁ・・・はぁ・・・入ったぞ?大丈夫か?」
「う・・・うん・・・はやくうごいてぇ・・・」
彼女のおねだりに俺は腰を少し動かしてみる。
「あぁっ!・・・はぁ・・・もっとぉ・・・」
その様子を見て激しく腰を振る。
「はぁ・・・あはぁっ・・・きもちいいよぉ・・・」
「もっと・・・大好きだよ・・・ディオくん」
淫らな表情でそう言う彼女が可愛くてたまらない。
「はぁ・・・あぁ・・・ずっとこうなりたかったのぉ・・・」
「ごめんな・・・これからはお前に我慢させないから」
「う、うん・・・約束だよ」
お互い痺れるような快感に任せ腰を振る。
気持ちよくて堪らない。好きな人とつながるということはこんなにも気持ちよかったのか。
「はぁ・・・はぁ・・・うっ!」
「は・・・ああぁぁぁぁ!!」
俺も彼女も同時に限界がやってきた。あろうことか彼女の中に精液を吐き出してしまった。
「ご・・・ごめん!」
「はぁ・・・何で謝るの?」
「さ、流石に中はまずかったんじゃ・・・」
「いいよぉ・・・だって、ディオ君は私の・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・ぁぁ!」
メルンが嬌声を発しながら俺の上に乗り激しく腰を振る。
「うっ・・・メルン・・・はげしすぎ・・・」
流石、獣というべきか・・・。日に日に性行為が激しくなっていく。
「ごめんなさい・・・あぁ・・・ご主人さまぁ・・・」
彼女はあれから、俺のことを「ご主人様」と呼ぶようになった。
どういうわけか知らないがワーウルフ族の掟だそうだ。
「うっ・・・もうだめだ・・・うぁ!」
三度目の精液を彼女の中に盛大にぶちまける。
「あ・・・はぁ・・・」
恍惚の表情で体へと飲み込むメルン。
「はぁ・・・はぁ・・・なぁ、もう今日はそろそろ・・・」
「メルンはまだ足りないです・・・
もっとご主人様と繋がっていたいです・・・。
お願いしますご主人さまぁ・・・」
ダメだ。断れない。
こうして俺とメルンの関係は仲睦まじくも、俺は毎晩、尻に敷かれているのだった。