私、神凪あずさは一見ただの高校生。  
けどそれは世をしのぶ仮の姿で、  
秘密だけど悪い妖怪を退治したり捕まえたりしている巫女なの。  
得意技は槍術と捕縄術、邪悪存在感知と……。  
あ、そうだ。もう一つ秘密ができたんだった。  
実は私、おとといの夜ゾンビになったんだよね。  
 
ほー。ほー。  
夜の高校の屋上、私はここに邪気を感じてやってきた。  
「出て来なさいッ。そこに誰かいるのは分かってるんだから。」  
「久しぶりだねぃ。神凪あずさ」  
「あなたは山崎千波さんッ、なぜここに?」  
給水タンクの裏から出てきたのは、長い茶髪に変なブレザーを着た長身の生徒でした。  
でも、今まで風紀委員として何度も対決してきたけど  
邪気を感じたことはなかったんだけど、何でだろう?  
「風紀実行部隊長、あんたなら何か知ってるじゃないかと思って  
 ここで待ってたんだがねぇ。まさかこんな時間に来るとはね。」  
「そこ、そんな役職で呼ばないッ。  
 それに……なんでそんなに邪気を撒き散らしてるの?」  
「ははッ、思ったより事が早く終わりそうだね。  
 それじゃまず力づくで話を聞かせてもらおうか。  
 今までの決着もつけないといけないしねぃ。」  
「決着?出合ってから今まで全部私の勝ちなのに?」  
「心が負けてない限り負けてないんだよぉ。  
 その減らず口、今日こそは黙らせてやるッ。」  
そういって回転しながら飛び掛ってくる千波さんは、常人の動きじゃなかった。  
 
「力、速さ共に上がってるみたいだけど、その程度じゃ私には勝てないよッ。」  
向かってきた彼女の両手を掴み、押し返していく私。  
「そうかい。それじゃこれはどうかなぁ?」  
彼女のロングスカートの中から、水生生物のような触手が一本飛び出してきた。  
それを見て、彼女を突き飛ばし間合いを取る。  
「山崎さん、そういうことするんだったら私も容赦しないですよッ。」  
私は神様からの賜りものの巫女装束と、薙刀で武装した。  
「それじゃ大人しくなって貰うよッ。」  
渾身の突きを彼女の胴目掛けて放った。  
けど彼女は跳び、それは避けられちゃった。  
「どうやらスピードは私の方が速いみたいだねぃ。……ああッ。」  
「まだ甘いよッ。」  
私は小腸を取り出して、空中にいた彼女を捕まえた。  
こういう無茶なことができるゾンビの身体は結構便利だよね。  
ずでーん。  
「痛たたたた。まさかあんたも化物だったとはねぇ。  
 そりゃ勝てなかったわけだ。」  
「ゾンビになったのは一昨日だから関係ないよ。  
 今日も私の勝ち。山崎さん、それじゃ話を聞かせてもらうね。」  
墜ちた彼女に近づきました。  
「ふぅ。じゃあ言うしかないか……甘いのは、そっちだよッ。」  
突然彼女のロングスカートが開いた。  
そこには脚はなく、その代わりに無数の触手がありました。  
そしてその触手に、私は両手両足を縛られてしまった。  
水生生物って時点で予測しておくべきだったな。  
うーん、ちょっとやばいかもしれない。  
「ははッ、とうとうやったよ。どうだい、あたしは優しいからね。  
 大人しく敗北を宣言し、無条件降伏するんなら放してやるよ。」  
「やです。」  
即答した。  
 
「……そうかい。じゃこうするしかないねぃ。」  
彼女は顔に青筋浮かべると、私を大の字にして宙に持ち上げた。  
「一体どうするつもりなのかな?」  
「降伏しないつーんなら、身体から敗北を教えるしかないねぃ。」  
「あッ。」  
触手に両胸を握られて、思わず声を出してしまった。  
「こんなこと、誰にもされたことなかったのにッ。」  
何故か既知感があるのはなんでだろう。  
考えてたら山崎さんの触手は私の胸をゆっくりと、  
そしてだんだんとペースを上げながら揉んできた。  
「う、ううぅ……。」  
気持ち良くて声を出しちゃった。  
身体の震えが止まんなくなってきた。  
「で、でもッ、まだ負けは認めないよッ。」  
「やっぱり前戯だけじゃ無理か。でも本番はどうかな?」  
山崎さん、余裕からか笑顔になってる。  
「絶対、絶対このままでは済まさないんだか…あぅッ。」  
ぬるっ。  
彼女の手も触手に変化し、私の秘所を撫でてきた。  
「きゃッ。」  
「あーあ。風紀実行部隊長ともあろう方がマンコ濡れまくりじゃないか。  
 あんた、ホントはイキたくて堪らないんじゃないのかねぃ?」  
「そ、そんなことないもんッ。」  
「嫌がるのかい。  
 だったらするしかないねぃ。  
 負けを認めさせるためにはッ。」  
このままでは負けを認めてしまうことになっちゃう。  
だから私のできること全てを持って何とかしないと。と考えたとき、  
触手が、私の胸を揉み、秘所を撫で、陰核を握り、そして膣で暴れてきた。  
「あ、あんッ。」  
同時に巻き起きる快感に、魂魄が揺さぶられ全身の力が抜かれてしまった。  
回らない頭で、どうにかする方法が思いつきそうになったのに。  
「ら、ららッ、ら、らめーッ。」  
ぶしゃーっ。  
屈辱的にも、おもらしさせられてしまった。  
今日の無念は、もう一生忘れられないよ、もうッ。  
ずだーん。  
「今日は私の勝ちねぃ。さあ、話を聞かせてもらおうかねぃ。」  
地面に堕ちた私に近づいてくる山崎さん。  
それで私は、今思いついた新しい技で逆転できると確信した。  
大きく息を吸い込み、消化液と共に噴出ッ。  
「な、何ぃ。ぎゃあー。」  
「これぞ新技、酸の吐息ッ。」  
山崎さんが目を押さえてる。  
その隙に薙刀を拾い、彼女の触手を全て切断する。  
「不意打ちなんて何度もできないのは知ってるよね。  
 というわけで今日も私の勝ちでいい?山崎さん。」  
「……あぃ。」  
「それじゃ話を聞かせてもらおうかな。」  
ようやく諦めたのか、全部話してくれました。  
 
山崎さんから聞いた話を纏めるとこんな感じだった。  
一昨日の夜、不良クンを束ねて港で遊んでいた。  
しかし倉庫で変な集団が儀式をしていて、  
それを見てしまった不良クンたちは狂ってしまった。  
彼女だけは平気だったけど、代わりに強い心の持ち主だということで捕まった。  
どうやら動けない邪神の現世での依代にされてしまったらしい。  
そうして現れたのが私と恋人の周クンが戦った蛸の怪物だったみたい。  
怪物になってからも山崎さんはその邪神の意思とずっと戦ってて、  
昨日になってようやく、邪神を屈服させたということだった。  
私を待ち伏せていたのは、怪物と戦うような人なら  
不良クンたちの精神を治せるからと考えてのことでした。  
それなら、もっと早く自分から話をすればよかったのにと思うけど。  
ちなみに今日になった理由は、昨日姉さんに粉々に吹き飛ばされて  
再生するのに丸一日掛かったということだった。  
 
このあと、不良クンたちの入院している病院に忍び込み治療してたら朝になりました。  
睡眠なくてもよくなったけど、やっぱり巫女のお仕事は大変です。  
 
おわり  
 

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