都心からはやや離れているとはいえ、緑の多い大きな邸宅が集まるこの地域は、
元々、伝統を誇る名家や経済を動かす富豪、高名な碩学が住まうとされていた。
閑静な住宅街には、朝が来ても通勤ラッシュを支える交通機関の音も届かない。
その静かな一角に、この屋敷もあった。
3階建ての洋館の母屋の玄関に続く道路を挟んで芝生が広がっている。
左手の芝生の奥には、亭(あずまや)に続いて、葡萄の茂る棚がある。
棚をくぐると行く手を塞ぐ池があり、橋が架かって池の中の島に続いている。
島にはまた亭があり、その向こうには対岸に続く橋がある。
対岸には、テラス。テラスは別棟の2階建ての洋館から出入りできるように
なっていた。別棟の2階には、3つの客用の部屋があり、それぞれにお付き部屋を
付属する大がかりな客間であった。
客間にも、同じように朝が来る。昨夜よりこの客間に滞在しているのは、
年の頃13-4歳の少年であった。まだ声変わりせず、華奢な体の少年は、
慣れない館の臥所でどのような夜をすごしただろうか。
しかし、ベッドに横たわり、未だ目覚めぬ少年の体にはある種の異変が
起こっていた。
年の頃なら二十二三、長い黒髪をひっつめにして、三つ編みにしたうえで
編み込んでまとめ、カチューシャというよりはヘッドドレスをつけている。
知性と敏捷さ、段取りと抜け目なさを感じさせる表情は、端正というより
やり手の女性というタイプの顔で、しかも、黒縁の眼鏡が美貌にワンポイントを
加えていた。時々、くっと力の入る顎の筋肉、次第に寄っては緩む眉根。
見れば見るほど悩ましい表情でありながら、声を漏らすことなく無音であった。
洗濯したてで糊の利いた白いエプロンは、両肩にフリルがつき、胸当てと
前垂れの部分にもフリルで縁取られていた。エプロンの下には、この館の
ユニフォームなのか、くすんだ黒のワンピースを着ていた。しかしその
ワンピースのふわりとしたスカート部分は、彼女の両手でたくし上げられ、
彼女の上体の動きに連れて揺れていた。
スカートの下は、ガーターベルトから釣られた黒のストッキングと、
透き通るような白い太股があらわになっていた。
そしてその太股の合わせ目の黒い茂みの下では、少年のまだ幼い
陽の気の凝る逸物が、ぬるぬるとこすり挙げられ、絞られているのであった。
少年に背を向け、つるんとした、それでいて動きで揺れる円尻を少年の細く
平らな腹にぶつけ、彼女の透き通った太股は勤勉に、太股の主の上体を
上下動させるのであった。別人格のような腰が、上下動の他に、円運動
をするたびに彼女の眉根はより、そしてゆるむのであった。