「……ふぅー」
学校帰りに突然もよおしてしまった俺は、通学路である土手を降りて、川沿いの草むらで安堵の溜息をつきながらチャックを下ろした。
幸い、夕方だけあって辺りに人気はなく誰に見咎められることもない。
安心して用を足しだしたとき。
「おーい!そんなところでなにやってんだ?」
突然、後ろから聞きなれた声がした。
ぎょっとして首を動かすと、後ろからクラスメイトの大山美冬がジャージ姿で草むらを掻き分けてこちらにやって来るのが見えた。
美冬は空手部のエースで、インターハイでも常に優勝争いに絡む強豪選手だ。
そんな風に聞くとゴリラみたいな女を想像するが、実際は真逆で、ショートカットの美人と言って良い、整った顔立ちをしている。
男勝りで、言葉遣いが多少乱暴なのが欠点と言えば欠点だが、そんなところもファンにとっては魅力らしい。
そう、この空手女は生意気にもファンがいるのだ。
格闘技をやっている女でここまでの美人と言うのはそうはいないらしく、初出場のインターハイで美人空手家としてTVで話題になってからというもの、男女問わず人気がある。
特に年下の女生徒から人気があるらしく、わざわざ他校からもファンの女の子が学校の道場にやって来る光景を良く見かける。
そのくせ、男関係の浮ついた話はまったく聞かない。
だからレズなんじゃないかって噂もあるぐらいだ。
俺とは男友達のような感じで、よく一緒に騒いでいる。
が、いくら男友達のようだと言っても相手は女だ。
立ちションしているところを見られるわけにはいかない。
俺はあせりながらも、どうすることもできない。
「ばっ、バカ!こっち来んな」
出し始めてしまったものを途中で止めることもできず、俺は必死で美冬を制止する。
しかし、美冬はニヤニヤと笑いながら、俺の言葉を無視して近づいてくる。
「なんだ?エロ本でも見つけたか?このスケベめ」
「ち、違う!もうすぐ終わるから、ちょっとだけでいいからそこで止まれ!」
「なにを隠してるんだよ?お姉さんにも見せてみなさい」
「やかましい!同い年だろうが!!」
上半身を動かしてなんとか美冬の気を逸らそうとするがあまり効果がない。
そんなことをしていたせいで、いつもより小便に時間がかかってしまう。
俺は自分の膀胱の大きさを呪った。
そうこうしている間に、美冬が俺のすぐ後ろにまでやって来た。
そこまで近づけば音で俺が何をしているかわかりそうなものだが、川の音で気づかないらしい。
ちくしょう!
一流の格闘家なら気配で察するぐらいのことしやがれ!
筋肉ばっか鍛えてるからそんな風になるんだよ!
心の中で悪態をついていると、人の気も知らず呑気な顔をして、肩越しに覗きこんできた。
どうとでもなれ、この空手バカが悪いんだ。
俺はあきらめた。
「どれどれ。なにを隠してるん、だーーーーー!!」
どうやら美冬は俺のものを直視したらしい。
耳元で叫び声をあげた。
「なっ、な、な、なにしてるんだよ!!はっ、早くしまえ!」
うろたえながら俺をがくがくと揺さぶる。
「立ちションだよ!だから来るなって言っただろ!このバカ!」
「わっ、わかったから、早くしまえ、へ、変態!」
「しまいたくても小便が終わらないとしまえねぇよ」
美冬にこれでもかと言うぐらいうろたえられて俺は、妙に落ち着いてしまった。
「じゃ、じゃあ早く……早く終われっ!」
「終わりたくても終われるもんじゃねえよ」
「あーー!」
美冬は頭を抱えて叫んでいる。
顔中を真っ赤にして、どうしていいかわからないようだ。
オロオロしている美冬を尻目にようやく立ちションを終えた俺は、首を後ろに向けながら言った。
「今、終わったから、ちょっと待って……」
ろ、を言おうとした俺の目に美冬の正拳突きが飛びこんでくる。
まさか、あの女、混乱のあまり目先の俺に攻撃を?
スローモーションで迫り来る拳を見ながら、俺は考えた。
やばい、まだ、しまって、ねぇ、よ。
そう思った瞬間、俺の意識は消えた。
なんだか、顔が痛い。
そうだ。
俺は美冬にぶん殴られて気を失って……。
くそっ!あの空手女ときたら。
いくら混乱したからっていきなりパンチはないだろ。
なんだ?何故か股間が妙にすうすうする。
そういえばしまおうとしたところで殴られたんだっけ。
俺はようやく、はっきりと状況を思い出した。
とりあえず、しまわなくては。
俺は痛みを我慢してゆっくりと目を開けた。
自分のものを確認するとやっぱり出しっぱなしだ。
ちくしょう。
この歳になってこんな格好でいたら通報されてしまう。
誰にも見つからないで良かった。
不幸中の幸いに感謝していると、誰かの視線を感じる。
あたりを見まわすと俺の横にしゃがみこんだ美冬が頬を染めながら俺のものを見ている。
チラチラと視線を逸らしたり、向けたり、興味津々と言った様子だ。
俺がそのまま観察していると、なんと美冬はゆっくりと俺のものに手を伸ばしだした。
そして、あと数センチと言うところまでくると引っ込めてしまう。
「だめだ!やっぱり触るなんてできない。……でも、出しっぱなしにしとくのも……」
どうやら俺のものをズボンにしまおうとしては、断念しているらしい。
一応、この間抜けな事態の責任が自分にあると思っているようだ。
出しっぱなしの股間に意識が向いているらしく、美冬は俺が起きていることにはまだ気づいていないようだ。
美冬は再び、ぶつぶつと呟きながら手を出したり引っ込めたりしだした。
俺はその光景を黙って見ていたが、自分のものを、空手バカとは言え、綺麗な同級生に見られて、なんだか妙な気分になってくる。
俺のものがむくむくと大きくなって勃ち出した。
「!」
突然の変化に冬香はびっくりして、目を逸らすこともせずに俺の股間に釘付けになった。
「うぁ……すごい。ほんとに男の……アレって大きくなるんだ……」
ぽかんとした顔をしてじっと俺のものを見つめている。
俺はいたずら心をおこして、力を込め、ぴくぴくと動かしてみた。
「わっ!」
小さく悲鳴を上げて、後ずさったものの、再び近づいてくる。
「今……動いたよね?」
自分に確認するような調子で呟くと俺のものに顔を近づけてきた。
「これって動くんだ……」
あまりに無防備なので俺は呆れかえった。
美冬はまじまじと俺の股間を観察している。
とてもじゃないが、年頃の女の行動とは思えない。
挙句の果てに、くんくんと鼻をひくつかせて匂いを嗅ぎだした。
「……変な匂い。でも、そんなに嫌な匂いじゃないな。こいつのだからかな?」
酔ったようにとろんとした表情で匂いを嗅ぎ続けている。
なんだか、ものすごくエロい気がする。
大きく匂いを吸いこみ首を傾げると、しばらく俺のものを見ていたが、美冬は意を決した顔をすると、舌を突き出して俺のものに徐々に近づけてきた。
その刺激的な行動に俺はとうとう耐えきれなくなった。
「そろそろしまいてぇんだけど」
俺は上半身を起こしながら美冬に声をかけた。
「えっ!」
美冬は妙な声を出しながらこちらを向いて硬直した。
もちろん舌は突き出したままだ。
そして、きっかり五秒後、飛び上がって距離をとった。
そのままの勢いで後ろを向くと直立不動の姿勢で固まってしまった。
「あの、その。違う、見たくて見てたわけじゃなくて、その、アレをしまってやろうとして……」
しどろもどろになって美冬がいいわけを始めた。
俺は立ち上がると、長い間出しっぱなしだったものをしまった。
大きくなってしまっていたので多少しまいにくかったが。
「おい。もうこっちむいてもいいぞ」
声をかけてやると、耳まで赤くなっている美冬が、ギギギと音がしそうなぐらいぎこちない動きで振りかえった。
「だから、な、なんて言うか。そのアレだよ、な!」
美冬はとりあえず勢いで喋ってごまかそうとしたらしいが、なんの役にも立たっていない。
「とりあえず落ち着け」
俺の言葉に美冬はようやく口を閉じた。
そして俺の顔を気まずそうに見ている。
しばらく二人でその場に突っ立っていたが、黙っていると美冬が消えそうな声で話しかけてきた。
「あの……いつから目が覚めてた?」
「触るなんてできない、のあたり」
「そんな前から!?なんでもっと早く声かけてくれなかったんだよ!」
「かけようとしたらお前が顔近づけたりしたから、かけにくかったんだよ。匂いまで嗅ぎ出すしな」
俺の言葉に美冬はさらに顔を朱に染めた。
もう首筋までピンクに染まっている。
「そ、それは……」
呟くと美冬は泣きそうな顔でうつむいてしまう。
そして、そのままの格好で俺に尋ねる。
「じゃ、じゃあ……、最後の私がしようとしてたことも見てた?」
「舌出したのが見えた」
あっさりした俺の返事を聞くと美冬はその場にへたり込んでしまった。
「……っ。うっ、うっ、うっ」
「なんだって?」
おれが顔を覗きこむと、美冬はぽろぽろと大粒の涙を流して泣いていた。
男勝りのこいつがこんなことでなくなんて。
いつもは強気一辺倒の顔が泣き顔になるなんて。
可愛らしい女の子を見ているみたいに心臓がどきどきする。
俺は静かに泣いている美冬を見て呆然としていたが、なんとか慰めよう、と思い口を開いた。
「えっと……その。泣くなよ。俺、今あったこと誰にも言わないし、忘れるから。な?」
「……そんなの意味ない」
俺の言葉はあまり効果がなかったようだ。
美冬はぐずりながら俺を見上げた。
「なんで?本当に俺約束するぜ」
「だって……」
「なんだよ」
「だって……好きな人にあんなことしてるとこ見られたらもう……生きていけない」
「誰も見てねぇよ。俺達二人しか知らないから、な」
俺は慰めの言葉を口にしながら美冬の肩に手をやった。
ちょっと待てよ?
今なにかひっかかるような?
「今……なんて言った?」
今度は俺がぎこちなくなった。
「……好きな人に見られた」
美冬が潤んだ瞳で俺を見上げる。
「まさか……好きな人って、俺か?」
美冬はこくりと頷いた。
「えっ!?なんだ!?これ。だってお前そんな素振り全然見せなかったじゃねぇか」
気が動転して、俺は自分でも何を言っているかわからない。
「お前がただの友達としか見てないってわかってたけど、一緒に入れるだけでいいやって思って。本当はお前の彼女になりたかったけど……私、小さい頃から空手しかやってこなかったから、なにすれば男が喜ぶとかわからなくて」
喋っているうちに少しは落ち着いてきたのか、美冬は泣き笑いの顔になっている。
「最悪の告白だ。へへ……」
美冬が涙の跡が残った顔で無理やり笑顔を作る。
「ごめん。なんか変なこと言っちゃって。もう相手してくれなくていいから。まぁ、あんなことしようとした女なんか相手にする気にならないか」
ゆっくりと立ちあがると美冬は、ばいばい、と哀しそうに呟いて、立ち去ろうとした。
「ちょっと待てよ」
俺は自分の言葉に自分で驚いた。
なにも喋る気はなかったのに勝手に口が動いたのだから。
美冬がぴたりと動きを止める。
「俺の返事も聞いていけよ。俺……お前の、美冬のこと好きだ」
驚いた顔をして美冬が振りかえった。
「告白して、振られて仲のいい友達でいられなくなったらどうしようかって思ってさ。まさか美冬が俺のこと好きとは思わねぇからな」
「ほんとに?」
信じられないと言った表情で美冬が問いかけてくる。
「本当だ」
美冬が飛びついてくる。
俺はしっかりと美冬を抱きとめると耳元でささやいた。
「美冬、好きだ」
「あのさ、お願いがあるんだけど」
美冬が俺の体に顔を埋めながら言った。
「なんだよ?」
俺は今ならどんな願いでも聞き入れてやれる気がした。
「その、付き合えることになったら……キスして欲かったんだ」
「キス?」
「ファーストキス、もらって欲しい」
聞き返した俺に美冬が頬を染めながら言う。
なんて可愛らしいお願いだろう。
俺は感激した。
しかしその直後、俺はそのファーストキスと言う言葉に驚いた。
「お前……キスしたこともないのに俺のを舐めようとしたのか?」
「ち、違う!いや、その、違わないけど。あれは気の迷いと言うか、なんと言うか」
さっきの自分の行動を思い出したのかオロオロと落ち着きをなくす美冬。
「よし、わかった。そのお願い叶えてやるよ」
「ほんと!?」
俺の言葉に満面の笑みを浮かべると、美冬は目を閉じた。
だが、俺はキスをしようとせず、美冬の顔を眺めている。
いつまでたってもキスをしてこない俺に不安になったのか、美冬はおそるおそる目を開けた。
「なんで?」
「美冬の望みを叶えるから、俺の望みも叶えて欲しい」
「わかった、私なんでもするよ。」
美冬は泣きそうな顔で決心を語った。
「じゃあさ、さっきの続きしてくれたらキスしてやる」
「さっきの続き?」
美冬はきょとんとした顔で俺を見ている。
俺はにっこりと笑い返すと言った。
「さっき俺の舐めようとしただろ。その続き」
俺の言葉に美冬は目に見えて動揺した。
「え!?そ、そんなことできるか!」
「じゃあキスしてやらない」
スッと離れようとした俺の動きに気づいて美冬が俺にしがみついてくる。
「わ、わっ、わかった。……お前の舐めるから……キスして」
先程の自分の姿を見られているからか、意外にあっさりと美冬は交換条件を飲んだ。
もっとも、この交換条件を断られたら、俺は大慌てで美冬に謝ってキスをしただろう。
俺だって美冬に嫌われたくない。
それに、好きな女にキスできるのだから、こちらの方が相手のお願いを聞かなければいけないぐらいだ。
そんな俺の心など知らずに美冬は緊張した面持ちで俺を見た。
「えっと……どうすればいい?私、空手意外のことほとんどわからないから教えて……」
「じゃあ、とりあえず俺の前にしゃがんで」
美冬が俺の前にしゃがみこむのを確認してから、俺はおもむろにジッパーを降ろして自分のものを出した。
俺のいきなりの行動に美冬は両手で顔を覆った。
「美冬、目を隠すなよ」
「で、でもそんなの見れない」
「さっきは見てたくせに」
その言葉に観念したのか美冬はためらいながら、俺の股間を見た。
「これがお前の……」
惚けたように呟くと真剣な表情で俺のものを見つめる。
約束を取り付けた時点で興奮していた俺のものは、すでに大きく勃っている。
「ほら、見てないで舐めてくれよ。匂いはさっき嗅いだだろ?」
先程のことを持ち出すと、美冬はとたんにおとなしくなる。
「……うん」
先程のように舌を出すと美冬はゆっくりと俺のものに顔を近づけてきた。
ぴと。
かすかな音をたてて美冬の舌の先端が俺のものに触れる。
「う……」
思わず声が漏れてしまった。
それを聞いて美冬が心配そうに見上げてくる。
「大丈夫。気持ち良くて声が出ただけだから」
そう言ってやると、美冬は嬉しそうな顔をして、もう一度舌を動かしてぺろりと舐めた。
「これでいいだろ?」
にこにこと嬉しそうに笑って言う。
「まだダメだ。もっと」
「そんな……まだするのか?もう恥ずかしいよ」
「はやく」
いつもの強気はどこかに消え失せたのか、妙にしおらしくなった美冬は、俺の言葉に少し哀しそうな顔をしたが、再度舌を動かしだす。
美冬はちろちろと先っぽを掠めるように舐めている。
顔をなるべく近づけないでいたいのか、舌だけを思いきり突き出して舐めているので、ひどくいやらしく見える。
「匂いは嫌じゃなかったんだろ?味はどうだ?」
「えと、その……いやな味じゃない……と思う」
羞恥で泣きそうになりながらなんとか感想を言う美冬。
「あんなちょっとじゃ味なんてわかんないだろ。もっとちゃんと舐めてくれよ」
俺の言葉に舌の動きを早める美冬。
亀頭の部分を突つくようにして舌を動かしている。
舌から伝わる刺激は気持ちいいというよりもくすぐったい。
触れるか触れないかの微妙な舐め方のせいだ。
美冬は相変わらず舌を突き出した体勢のまま跪いている。
「んっ、んっ」
その格好がつらいのかときどき声が洩れている。
「そんな先だけじゃなくて舌全部つかって舐めてくれよ」
じれったい刺激に耐えかねて俺が美冬に指示を出す。
「全部?」
「そう全部」
言うと俺はあかんべぇをするときのようにべろりと舌を出した。
俺の意図がわかったのだろう、美冬は目を見開いてびっくりしている。
「これを?」
言うとそのまま俺のものをじっと見つめた。
「そう」
俺がにんまりと笑うと、断ることはできないと思ったのか、美冬は舌を大きく突き出して、今度は舌だけでなく、顔全体を近づけてきた。
しかし、その動きは後僅かで俺のものに触れるというところで止まってしまう。
最後の一歩が踏み出せないらしい。
見かねた俺はぐいっと腰を突き出した。
自分から美冬の舌に俺のものを押しつけてやったのだ。
ぺとり、という音と共に唾液で濡れた美冬の舌に亀頭が触れる。
「ひゃっ!」
俺は驚いて頭を引っ込めようとした美冬の頭を押さえつけて動けなくした。
美冬は律儀にも舌を突き出したまま、なんとか離れようと頭を動かすが、俺がしっかりと上から押さえつけているので、結果的に俺のものに舌を擦りつけるような形になる。
「んんー」
しばらくその動きを繰り返していたが、ようやく舌を引っ込めればよいことに気づいたのか、美冬は舌を口の中に戻した。
そして涙を浮かべながら俺を見上げる。
「なにするんだよ!」
「あの調子じゃいつになるかわからなかったからな。俺からやってやったんだよ。一回舐めたんだ、これでやりやすくなっただろ」
「……うん」
不満げな顔をして頷く美冬。
「さあ続きやってくれ」
美冬は俺に促されて今度は舌全体を使ってぺろぺろと舐めだした。
ピチャピチャという音をさせ、ぎこちないながらも一生懸命舌を動かしている。
しかし、いろんな部分を責めるということを思いつかないのか、同じとことばかり舐めている。
「なあ、先っぽばかり舐めてないで他の部分も舐めれくれよ」
「恥ずかしい命令ばっかりするなよ」
「キスして欲しくないのか?」
「……して欲しい」
「だったらわかるだろ」
俺の無茶苦茶な取引にのってしまった美冬は、黙って顔を動かしながら、先っぽから幹の部分に下を動かしていく。
そして裏筋、の辺りをちろちろとくすぐるように刺激してくる。
俺の表情を見て、どこが気持ちいいのか研究しながら舐めているらしい。
時々、目が会うと真っ赤になって照れ臭そうに目を逸らしながら、一生懸命舐めてくれている。
その健気な姿が俺の興奮をより高める。
「ん?なんだこれ?なんかでてきてる」
動きを止めた美冬が俺のものをじっと見ている。
先の割れ目から先走りが出てきているのに気づいたようだ。
「これなんだ?おしっこじゃないよな?」
不安そうに尋ねてくる。
「違うって。小便じゃねぇよ、気持ち良くなると出てくるもんだよ」
「ってことは今、気持ちいいんだ。私が気持ち良くしてるんだ」
美冬は顔をほころばせて喜んでいる。
その笑顔が、やっていることとギャップがありすぎて、なんだか美冬を騙しているような気分になってしまう。
「なんか嬉しいな」
無邪気に言う美冬の笑顔を見て胸が締め付けられる気がした。
俺が美冬に見とれていると、別に汚いものではないとわかった美冬が、先走りに舌を伸ばしてペロリと掬い取るように舐める。
そして、そのままむぐむぐと口を動かして味わっている。
美冬がそんな大胆な行動に出るとは思わなかった俺は、びっくりしてしまった。
「なんか変な味。……でもお前のだと思うと嫌じゃないや、どきどきする味」
ぼんやりと、どこか酔ったような目で感想を言う美冬を俺がせかした。
「じゃ、じゃあ次は咥えてくれよ」
「これを!?……お前が気持ち良くなるんだったら頑張る」
俺がお願いをするたびに驚いた顔をする美冬だが、少しためらった後は必ず聞き入れてくれる。
内心で感謝していると、美冬が勢い良くぱくりと俺のものを咥えた。
突然、温かい粘膜に包まれた俺は思わず腰が引けてしまう。
「う」
声が洩れた俺を美冬が気遣う。
「……ん、ぷはっ。どうした?もしかして噛んじゃったか?」
慌てて口を離すと心配そうに尋ねてくる。
「いや、いきなり咥えられたからびっくりしてな。きもちよかったから続けてくれよ」
へへ、気持ち良かったんだ、嬉しそうにそう呟くと美冬は再び口を大きく開けて俺のものを咥え込む。
「そのまま中で舌を動かして舐めるんだ」
俺が指示をすると、なんとか言う通りにしようと、ぎこちないながら美冬が舌を動かし出した。
先程までのようにちろちろと舐められるのではなく、口の中で舌全体が絡みついてくるようだ。
快感の度合いは比べ物にならない。
「上手いぞ美冬」
俺が誉めると美冬は、ふぅん、と鼻から抜けるような声を出すと、目だけで嬉しさをあらわした。
徐々に唾液が溜まってきたのか、美冬が舌を動かすたびにクチュクチュといやらしい音がする。
ねろねろと暖かい舌が口の中で俺のものにそって這いまわっている。
カリの段差が自分の舌に引っかかる感触が気になるのか、美冬の舌は特にその辺りを重点的にうごめく。
ピンク色の吐息と共に。
「……むぐぅ、んっ。はむん」
不慣れなせいか、時折歯が当たるが、痛いというほどではなく、舌とは違う刺激となって俺に快感を与えてくれる。
夢中になって俺のものを咥えている美冬は口の端からよだれが零れ落ちるのも気にならないようだ。
口元を伝ってあごに流れ、そのままポタポタと地面にしみをつくる。
「よし、じゃあ次はそのまま頭を動かすんだ」
美冬の舌遣いがこなれてきたのに合わせて俺が再び指示を出す。
美冬はクエスチョンマークを浮かべた顔をして俺を見つめている。
その間も舌は絶えず動いている。
俺の言ったことを守ろうと必死のようだ。
「こう、するんだよ」
言うが早いか、俺は美冬の頭をがっしりと掴むと前後に動かし始めた。
ぐいぐいと力を込めて揺するようにすると、最初のうちは驚いて止まっていた舌が、次第に動き出す。
ときどき聞こえるズズッという、口内に溜まった唾液を啜り込む音が、俺の興奮を煽る。
「しかし、キスもしたことねぇのにフェラしてるってすげぇよな」
あらためて俺は感動した。
「むぐ?」
俺のものを咥えたまま、なにか言おうとして美冬はもごもごと口を動かした。
それが一風変わった刺激となって俺に快感を与える。
「ぷはっ。フェラってなんだよ?」
大きく息を吐くと、綺麗なピンク色の唇の周りをよだれまみれにした美冬が口を休めて問いかけてくる。
「なに?そんなことも知らずにしてたのかよ?」
美冬は自分があまりセックスに関して詳しくないことが恥ずかしいのか、口篭もりながら返事をする。
「だって、その……そういう……エッチなこと全然知らないから」
美冬は顔の正面に俺のものがあるのが気になるのだろう、やたらともじもじしている。
かといって俺の顔を見るのも恥ずかしいらしく、視線がうろうろと落ち着かない。
さっきまでそれを咥えていたくせに。
確かに、美冬は空手以外のいわゆる娯楽に関しては、練習漬けの毎日のせいでほとんど知らない。
ましてや高校空手界のエースに下ネタを振るやつはいないだろうから、きっと美冬の性知識は保健体育で習ったことがすべてなんだろう。
学校ではフェラなんて教えない。
「お前が今してるエロイことをフェラチオって言うんだよ。俺のを口に咥えて舐めてるだろ。よだれこぼしながら」
美冬の反応が楽しみで、俺はわざとニヤニヤ笑いながら教えてやった。
「うわっ!なんでもっと早く教えてくんないんだよ!」
慌てて美冬が口元に手をやり、よだれを確認するやいなや、ものすごい勢いでジャージの袖を使って拭いだした。
その作業を終えて少し落ち着くと、美冬は意外にも、嬉しそうな顔で俺の言葉を反復した。
「フェラ……チオって言うんだ……。へへっ」
はにかみながらも、今にも俺のものに頬擦りしかねない勢いだ。
そして、残念ながら頬擦りはしなかったが、パクリと自分から口を開けて咥えてくれた。
慣れないせいかときどき歯が俺のものに当たる。
そのうち噛みつかれるのではないかと、わけのわからない心配をしている俺のことなど知らずに、幸せそうに俺のものに奉仕している。
普段の態度からはわからなかったが、意外にもこいつは尽くすタイプなのかもしれない。
「んっ、んっ、んっ……」
俺の腕の動きに合わせて美冬からかすかに声が洩れる。
その規則正しいリズムを聞いていた俺は、それを崩してやりたくなって、のどの奥深くに無理矢理自分のものを押しこんだ。
「んっ、んえっ!」
えづくようにして俺のものを吐き出すと、ごほごほと咳き込んでいる。
「ばっ、ばか!いきなりなにするんだよ!」
涙を目に浮かべて俺を責める。
「ごめん、悪かったって。あんまり一生懸命だからちょっといたずらしたくなったんだ」
「お前がしてくれって言ったのになんで邪魔するんだよ」
当然のことだが、美冬は不満顔で俺に文句を言ってくる。
「なんか普段の美冬と違って素直に言うこと聞くし、可愛いから本物かなと思ってな」
可愛いの部分でピクリと体を動かすという、わかりやすい反応を美冬は見せてくれた。
「可愛いなんて言われたの初めてだ」
予想外の誉め言葉を聞いて照れ臭そうにしている美冬を見て、俺は驚いた。
そんな誉め言葉は聞き飽きていると思っていたからだ。
しかし、よくよく考えてみると、美冬は綺麗といわれるタイプではあっても、あまり可愛いというタイプではないかもしれない。
「綺麗って言ったほうが良かったか?」
「ううん。綺麗って言われるよりも嬉しかった」
照れ臭そうに頬を染めて幸せそうな笑顔を向けてくる。
俺はどきどきしてしまって、それを隠すためにぶっきらぼうに続きをせかした。
美冬もまだ誉められた余韻が残っているのか、ぎこちなく俺のものを咥える。
再び、ちゅぱちゅぱと俺のものを熱心に口で愛撫する音が聞こえだした。
俺がそんなに美味しいのか、まるで甘いキャンディを舐めているようだ、と思うほどに。
先程の誉め言葉を思い出しているのか、美冬はときどき、にへーと頬が緩む。
美冬は飲み込みが早いらしく、最初は口の中を使っていただけだったのが、次第に吸い込みが深くなり、先っぽが喉まで届くほどになった。
それにしたがって音にぐぽっ、というなにかを引き抜くような音が混じり出す。
引き抜くときに食道の入り口に引っかかるのか、少し苦しそうな顔をするのがなんともいえない。
ついさっきまで、俺に喉を突かれてむせていたのを思うと、素晴らしい進歩だ。
熱心に頭と舌を動かしているせいで、次第に美冬の息が荒くなってきた。
「んんっ、ふー、ふー、んむぅ。あむぅ、ん」
夢中で舐めているせいで、色気たっぷりの声が漏れているのにも気づいていないようだ。
どこか箍が緩んでしまったような、とろんとした目で俺を見ながらぐちゅぐちゅと音をたてている。
ぷちゅ、むちゅという音をたてて、柔らかい唇が俺のものに触れるのを見ていると、まるでキスしているみたいに見える。
俺はその顔を見ているだけで思わずイッてしまいそうになって、慌てて気を引き締める。
あまりに一生懸命に俺のものをしゃぶっている姿を見て俺は尋ねた。
「なぁフェラ好きか?」
「ひゅきぃ」
喋りながらも俺のものを離そうとしないのではっきりと聞き取れないが、その表情からなんと言ったかは想像できる。
美冬はよだれで口の周りをぐちょぐちょにしながら、今にも蕩けてしまいそうな、うっとりとした表情で答えているのだから。
「じゃ、次は袋だ」
「ふぇ?」
美冬はとろんとした表情のまま俺を見つめ返す。
俺は吸いついたままの美冬の唇からずるりと抜きとると、美冬の綺麗な顔にぐにぐにと押しつけた。
美しい顔と、赤黒い俺のものとの対比がひどくそそる。
美冬の顔が自身の唾液と、俺の先走り汁でベトベトになった。
それにかまわずに美冬は為されるままになっている。
時折、鼻をひくひく動かして匂いを嗅いでいるようだ。
「んむ、ふぁ……エッチな、匂いだ……」
陶酔しきった表情で頬を俺のものに擦りつけながら艶然と笑う。
俺は自分がゴクリとつばを飲み込む音がやけに大きく聞こえた。
とてもじゃないがキスもしたことのない処女のする顔とは思えない。
「ほら、ここを舐めるんだ」
俺は柔らかい美冬の頬を、むにむにと己のもので突くのをやめ、袋の部分を唇に押しつけた。
「ここって痛いんじゃないの?」
急所でしょ?と美冬は恥ずかしがりながらも心配してくれる。
「優しくしてくれれば大丈夫だから」
俺の言葉を聞いても不安が残ったのか、美冬が恐る恐る舌を伸ばす。
俺の顔が気持ち良さそうになっていくのがわかるのか、ゆっくりと舌に力を込めていく。
「……ふにふにしててなんか可愛い」
面白そうに笑うと、巧みに舌を操り、袋を刺激してくる。
「舐めるだけじゃなく、さっきみたいに口でもしてくれ」
「わかった。痛かったらすぐに言って」
はむ。
唇で甘噛みするようにして、やわやわと揉みしだく。
俺が舌も使ってくれ、と言おうとした瞬間、その心を読み取ったように舌がうねうねと動き出した。
「すげぇ……上手いぞ美冬」
俺が誉めると嬉しそうに笑う美冬が、抱きしめたくなるほど可愛い。
鼻先で棒の部分に触れながら大きく息を吸いこんでいる。
どうやら美冬は俺の匂いがお気に入りらしい。
息をするたびに愛おしそうに、うっとりした顔になる。
「ん……あむぅ」
胴着を着ているときは気合の声を発している口が、こんな淫らに使われている場面を、他のやつは想像したこともないだろう、そう思うとふつふつと優越感がわいてくる。
美冬が袋を吸いこみながら舐めている。
そこから伝わる快感のせいでどんどん先走り汁が出て、美冬の顔がぬるぬるの粘液で汚されていく。
「ベトベトして気持ち悪くないのか?」
「へ?ベトベト?なんかぬるぬるで気持ちいい。マッサージされてるみたい」
ドキリとするほど、さらりとエロいことを言ってのける。
俺が棒の部分でぬるぬるの顔を擦ると嬉しそうに目を細めた。
初めてなのにここまで受け入れられるとはすごいやつだ。
もしかして、こいつ真面目な顔して空手やってるが、かなりの淫乱なんじゃないか?
俺の疑問を肯定するように、美冬は夢中で俺のものに縋り付いて奉仕している。
「もう袋はいいから、また咥えてくれよ」
気持ちは良いものの、刺激不足を感じた俺はもう一度、あの暖かく柔らかい粘膜に包まれたくなった。
「んむ……ちゅっ」
先っぽに軽くキスをするように唇を触れさせてから、少しずつ、味わうように口に入れていく美冬。
唇がぬらぬらと光っている。
口内の粘膜がうごめいて俺のものを迎え入れた。
「あん、むぐぅ……んちゅ、くちゅ」
粘膜同士が触れ合ってひどくいやらしい音をたてている。
頭が動くたびに、唇の端からぬちゅぬちゅという音が零れ落ちる。
美冬の唇が俺のものを覆い隠したり、露出させたりするたびに、俺はじわじわと昇りつめていく。
最後の刺激を求めて、俺は美冬の頭を掴むと、相手のことなどお構いなしに、腰を動かした。
「んぐっ!?んん!?あっ、あっん」
いきなり俺の動きが荒々しくなったせいで、美冬が悲鳴を上げる。
「美冬!もうすぐイクぞ」
「ふぅん、むっ」
例えでもなんでもなく、俺は美冬の口を犯していた。
ぐちゅぐちょとよだれが口からこぼれるのもお構いなしに、俺は美冬の舌に自分のものを押し付け、思う存分、口内を蹂躙し尽くした。
美冬は諦めたのか俺の為すがままになっている。
「うっ!イクぞっ!」
俺はうめき声を上げると、美冬の喉に己のものを突き入れた。
そのまま、腰を震わせながら美冬の口に発射する。
「うぇっ!?んむっ、んっ、うぅ」
喉に粘液を流し込まれている美冬は苦しそうに咳き込むが、俺の射精は止まらない。
ドクドクと口の中に出し続ける。
美冬がじたばた暴れているが関係なかった。
いつもの倍は出ただろうか、俺は大きく息を吐きながら、美冬の口から自分のものを取り出した。
「うぇっ、けほっ、けほっ」
解放された美冬は大きく咳き込み、喉に絡まった精液を口からだらだらとこぼしている。
「ごめん、大丈夫か美冬?」
俺が心配して声をかけると、美冬はぼんやりした表情のまま自分の吐き出したものを見ている。
「……これが……精液なんだ。ごめん、ほとんど吐き出しちゃった」
謝らなければいけないのはこちらのほうだというのに、美冬は申し訳なさそうに謝った。
「そんなこと気にすんなよ。それより口の周りに、俺のがいっぱいついてるから拭けよ」
俺はカバンをあさって、ウエットティッシュを差し出した。
美冬はそれを受け取らずに、指で口の周りの精液を掬い取るとちゅうちゅう舐め始めた。
呆然と見守る俺をほって、美冬はぺろぺろと自分の指をしゃぶっている。
顔についている精液を全部掬い取って舐めてしまうと、ようやくウエットティッシュを受け取り、顔を拭きだした。
「お前、なんでわざわざ舐めたんだよ?不味いって聞くけど?」
俺は自分のものをしまいながら美冬に尋ねた。
「確かにあんまり美味しくないかな。匂いはエッチなんだけどなぁ」
顔を拭きながら、美冬は感想を述べた。
「だったらなんでわざわざ舐めたんだよ」
「ん?なんでだろ?」
美冬は頭をひねっている。
「うーん……、なんかせっかくお前が気持ち良くなった証拠なのに、もったいないような気がしたからかなぁ……」
俺は感動したあと、なにかしてやりたくなって、美冬の顔をウエットティッシュで拭いてやる。
最初は遠慮したものの、俺がいいから、と言うと目を細めて為すがままになった。
「よし!綺麗になった」
「へへっ。ありがと」
美冬はにこにこしながら俺を見ている。
「じゃあ、約束のキス……しようか」
俺の言葉に美冬は驚いて、目を大きく見開いた。
「あっ!そうだ。そのためだったんだ」
「忘れてた……。なんか気持ち良くなってくれてるのが嬉しくて」
「バカかお前は」
言葉とは裏腹に自分の顔がにやけているのが自分でもわかる。
「バカとはなんだよ」
美冬はわざとらしく頬を膨らませた、それでも目だけは笑っている。
「それじゃあ、キスするか?」
俺が言うと美冬は悩んだ顔をして頭を軽く振った。
「え?しないのか?」
「だって……なんか汚れちゃったから。今は悪い気がする」
美冬は少し残念そうな顔をして言った。
「汚れたって言っても自分の出したもんだし……」
そりゃ自分のものを味わいたくはないが、綺麗に拭いたあとだし、なにより俺がキスしたかった。
「それに、もっとなんて言うか……その……、こんな感じじゃなくて……」
口篭もり、次第に声が小さくなっていく美冬を、俺はじっと見続けた。
俺がなにも言わないので諦めたのか、かすかに、なんとか聞き取れるぐらいの小さな声で美冬は呟いた。
「もっと、ロマンチックにしたい……」
必死の思いで呟いた美冬の言葉を聞いた俺は、馬鹿みたいに口を開けて、馬鹿みたいに美冬の顔を見つめた。
「なんか言えよっ!」
よほど恥ずかしかったのだろう、耳まで赤くした美冬が沈黙に耐えかねて大声で叫んだ。
「っ、はははははは!ロマンチック!?あっはっは!」
それが引き金になって、俺は爆笑した。
目から涙に涙がにじんだ。
俺は腹を折って笑い続けた。
しばらくの間、顔を赤く染めたまま、黙って俺を見ていた美冬は、我慢の限界に達したらしい。
気合と共に俺のみぞおちに綺麗な正拳突きを極めてくれた。
「ぐぇっ!」
「なんだよバカっ!人が真剣に言ったのに!!」
うめいて崩れ落ちる俺を見下ろして、美冬が怒っている。
「げっ、ほ。ん、ごほっ。……悪かったって。そんなに怒るなよ、俺が悪かった」
「ほんとにそう思ってんのか?」
俺がせっかく謝っているのに、疑いの目で見られて、もう一発食らっては堪らない。
「思ってる。思ってるから、許してくれって。そのうち美冬が涙流して喜ぶほどロマンチックなキスをしてやるから」
俺が全面降伏の証に両手を上げて美冬に言った。
フェラチオしといてロマンチックなファーストキスを望んでいる。
そのギャップがひどく大事なもののような気がした。
そして、俺は今度はふざけた表情を消し、真剣に約束した。
「約束だ」
「……約束だな?」
なおも疑いのまなざしを向けてくる美冬。
「約束するから。許してくれよ。いい加減暗くなってきたからそろそろ帰ろうぜ」
言いながら、地面に落ちているカバンを拾い上げる。
「わかった!許してやるから……その、あれだ」
「なんだよ?」
近づいてくる美冬に俺は、もう一発殴らせろ、とでもくるのかと身を固くした。
「……手、つないで帰っていい?」
不安そうに俺に問い掛けてくるジャージ姿の空手女を見て、練習で走ってたんじゃねぇのかよ、ぼやきながら俺は、暖かく柔らかいその手を取った。