「エルカぁっ!! ――っ!?」  
 友人の名を叫びながら教会の門を蹴り開け、目の前の光景に絶句してしまった。  
「あっ…! やだっ…! もう、止めてよぉ! うあっ!? そ、そんなに激しくしちゃ…だめ、!   
 私壊れ、ちゃうよっ」  
「文句ばっかり言ってる割には、アソコはぐちょぐちょだぜ!」  
「おらぁ、手もしっかり動かせよこの淫売!」  
「ほら、俺様のチンポ舐めさせてやるよ! 口を開けろ!」  
 教会の中で、ファシスの仲間の傭兵達十人に、エルカは輪姦されていた。  
 シスター服をずたぼろに引き裂かれ、ヴァギナだけではなくアナルと口にまで男根を突っ込まれている。  
 華奢な手にも一本ずつ肉棒を扱かせられ、自慢の栗色の長髪もずりネタにされていた。  
「んんっ…! んむうううっ!」  
「おう、おう! なんだよ全然うまいじゃねえか! さっすがエルカちゃん!  
 料理だけじゃなくてスケベな事も上手だったんだな!」  
「本当に、スケベな体だぜ! 俺、もう出ちまう!」  
「ああくそ、俺もだ!」  
「全員で、一斉に出してやるからな!」  
『うおおおっ!』  
 男達が一斉に吼えた。  
 どびゅううぅぅっ!! どびゅるるるるっ!!  
「ん――――っっっ!?」  
 びちゃびちゃと、エルカの体に白濁液が降り注ぐ。シャワーを頭から被ったように、  
 布切れとなったシスター服を、滑らかな髪を、あどけない顔を、瑞々しい肉体を汚していく。  
 当然のように、三つの穴にも、同じように汚液を注がれていた。  
「はあはあっ…! どうだエルカちゃん。ザー汁まみれになった気分は?」  
 体の内側に三人分、外側に七人分。計十人分の精液を受けたエルカの体は、中も外もどろどろだった。  
「んう…っ――げほっ、げほっ!」  
「そうかまだ足りねえか!?」  
「や、違っ」  
「よーしお前達! 二週目だ!」  
「いやあああぁぁっ!?」  
 汚されている。エルカが、滅茶苦茶に犯されていく。  
「き…っ、貴様らあああぁぁぁっっ!!」  
 頭に血が上ったファシスは剣を抜いて、最愛の友の下へと駆けた。  
「――おう? ファシスじゃねえか、どうだお前も混ざ――べ!?」  
 引き抜いた剣の腹で、仲間の顔面を叩きつける。本当は殺してやりたい衝動に駆られたが、  
 それでは悪魔の思う壺だろう。憎しみで我を忘れるのを必死で堪え、だが容赦なくファシスは仲間の顔面に、  
 剣の腹で、もしくは鞘を叩き込んでいく。  
「ぐあっ!」  
 十人目の仲間を昏倒させるのに、五秒と掛からなかった。  
 
「エルカ! 大丈夫か!?」  
 エルカに組み付いた男達を引き剥がし、彼女を救出する。抱き寄せた体は、男達の欲望で穢れ、  
 ファシスの体も汚していく。吐き気を催すような悪臭がするが、レイプされたエルカの事を思えば、  
 これくらいなんでもなかった。  
「ふぁ、ファシス…! ファシスぅ! ふええぇん!」  
「エルカ、もう、大丈夫だっ。大丈夫だから…」  
 泣きついてくるエルカをあやす。  
(やはり、エルカはエルカだ。悪魔になったなんて、とうてい思えない)  
 その身を汚す事になったしまったが、エルカの反応に、ファシスは安心した。  
 だが。  
「ああ、それは違うよファシス」  
「何?」  
(今、何に対して違う、と?)  
「だからあ。悪魔になったなんて思えない、っていう事に」  
 首元から聞こえてくるエルカの声は、どこかいたずらっぽく聞こえる。  
(私の、心を、読んでいる!?)  
「だって悪魔だもん☆」  
 どす、と首筋に、何かが突き立てられた。  
「うああっ!?」  
 いきなりの激痛にパニックを起こして、ファシスは悶え、暴れた。  
「ちゅーっ☆」  
 だが、ひ弱な筈のシスターにがっちりと体を押さえ付けられてしまう。  
 ファシスには知る由もないが、十人分の精気を同時に吸った今のエルカの力はファシスより数段強い。  
 かくして、ファシスはエルカに大量の血液と、微量の精気を吸収されてしまう。  
「――ぷあ。ご馳走様っ」  
 首筋から顔を離したエルカと見詰め合う。彼女の口の端からは、牙が生えていた。  
「エルカ…そんな、まさか…」  
「うん。私、もう完全な悪魔になってるんだよ? 身も心もね☆」  
「だが、その姿は…!」  
 真紅の瞳や猫目。牙は人のものではないがそれ以外に異常は見られない。  
「ああ、これ? ファシスを騙す為に羽の尻尾は魔術で隠してるの――そうだなあ。  
 服もぼろぼろだし、折角悪魔になったんだから、服も新しくしようかな」  
 エルカがファシスから離れる。その手を掴もうとするが、体が痺れたように動かない。  
「ああ、さっき血を吸った時に麻痺の魔術を掛けてあげたから、しばらく動けないよ?」  
 言うと、エルカの真下に魔方陣が現れ、赤く輝きだした。  
 エルカの体を汚していた精液が魔力へと変換され、溶けていく。  
 
 そして、ぼろ布同然のシスター服が姿を変えていった。  
 
 長いスカートはそのまま、前面にばっくりと入ったスリット。それは魔方陣から溢れる余波に仰がれて、  
 その内側にある黒い下着とガーダーが丸見えだ。  
 また、襟元の白い部分はごっそりと無くなって、豊かな胸を半分近くを露出させている。  
 胸元の谷間へと吊り下げられたアクセサリは母親から譲り受けたロザリオを逆さま――逆十にしたネックレスだ。 長い袖は上腕部分で切り取られ、露出した腕を覆うように黒い手袋が嵌められる。  
 背中の生地が、背骨中心に尾てい骨辺りまで消え失せる。  
 逆二等辺三角形状に露出した背から、赤黒い、グロテスクな色の蝙蝠の羽が生え、晒された肌の下端――  
 つまり尾てい骨辺りから尻尾が生え出す。  
 
 露出した肌の部分に黒い紋様が浮かび上がると、赤い魔方陣は光の粒子となって消えた。  
「――うん。こんなところかな?」  
 エルカがファシスの瞳を覗き込み、そこに映った自分の姿を確認する。  
 神を冒涜し、男を惑わす格好をした悪魔は挑発するようなポーズを取る。  
「あわっ、ちょっとエッチ過ぎるかなっ? あ、でも、せくしーだね。ねえ、ファシスはどう思う?」  
「……あ、う、嘘だ…こんな事…」  
 完全な悪魔となった友人を目の当たりにして、ファシスは呆然と呟く。  
「おー、やってるねー」  
 教会の窓から、この事態を招いた張本人、いや、悪魔が侵入した。  
 教会を覆う結界は、既にその効果を無くしているらしかった。   
「うっわ、エッロ!」  
「う、そうかな?」  
「そーよぉ。肌の露出はアタシより少ないけどさあ。服のデザイン自体がメッチャきわどい。  
 あー、しかもベースにしたのがシスター服? よくもまあ、こんなの思いつくわね」  
「えへへぇ」  
「それにしてもデッカイおっぱいねー。何食ったらこんなになるのさ?」  
「わっ、やだっ、コノットたらぁっ…あんっ☆」  
「……っ、な…?」  
(どういう事だ?)  
 エルカとコノットの、あまりの仲の良さに、ファシスは開いた口が塞がらない。同じ悪魔になったからと言って、 悪魔はファシスとエルカにとって家族の仇だ。それが何故、仲睦まじき姿を見せているのか。  
「この男共からタップリ精気を奪ったんでしょ? 少しはアタシに分けなさいよ」  
 コノットがエルカの唇を奪う。  
 舌を伸ばし、唾液をこぼすほど濃厚なキスを、ファシスは羨望の眼差しで見詰めた。  
 同時にコノットの言葉にファシスは耳を疑った。先ほどの傭兵達の輪姦。  
 あれはエルカが望んでやった事だというのだろうか。  
「待て。それでは、先ほどエルカが襲われていたのは…」  
「ちゅっ、ちゅぷっ、ちゅうぅぅっ…! ――ぷはっ」  
 コノットが唇を離すと満足そうな顔をしていた。少量ではあるが精気を分けてもらったようだ。  
 そして犬が餌を平らげた直後のように口周りをぺろりと舐めると、  
 勝ち誇ったような笑みを浮かべながらファシスに言った。  
 
「あれはエルカが自分から進んでしてたのよ? ねー、エルカ?」  
「うん。私って意外と演技力あるのかもね。ファシスったら必死になって傭兵さん達を気絶させるんだもん」  
「そんな、嘘だろう?」  
 エルカは、傭兵達が押しかけてきた時、彼らの暑苦しさに苦笑いを浮かべていた。  
 そんな彼女が、いきなりレイプされ、輪姦されるのを自ら望んでいたというのか。  
「本当だよぉ。実はね、皆にレイプされてる間、気持ち良くてエッチな声が出ちゃいそうだったんだから。  
 また、して欲しいかも」  
「またMっ気の強い悪魔っ娘になったわねえ」  
「そうかなぁ。だって精液って、臭くてどろどろしてるけど、美味しいよ? エッチだって気持ち良いし」  
「やめろエルカ! そんな事を言うな!」  
「ぶー。どうして? 本当の事なのに」  
「まあ、ファシスはアタシ達に比べてまだまだガキだからね」  
「あーそっか。ファシス処女だっけ? エッチ知らないんだもんね。  
 さっき私の部屋でしたのはエッチの内に入らないし」  
「なっ…!?」  
 エルカの部屋で繰り広げられた濃厚なレズプレイを思い出して、ファシスは顔を真っ赤にした。  
(まさか、あれで戯れのつもりだったと言うのか!?)  
「じゃあ、本番してみよっか?」  
「ついでに精気も吸って少し大人しくさせたら?」  
「そうだね。ファシスの精気、味見しよう☆」  
 二匹の悪魔は邪悪な笑みを浮かべると、エルカだけが歩み寄ってくる。  
 親友の、人間の時には見る事のなかった嗜虐的な笑みに、ファシスは恐怖を覚えた。  
(エルカに、精気を吸われる!?)  
「エルカ、馬鹿な真似は止め――っ!?」  
 制止の言葉は、エルカの強引なキスによって中断されてしまう。  
(え、エルカの、舌が入って!?)  
 何て乱れで破廉恥な行為だろうと思う反面。先程、羨ましいと思って見ていた行為を、  
 今自分が受けているという充足感がある。何しろ相手は愛しのエルカだ。  
 理由がどうであれ、状況がどうであれ。唇を重ねるという事が嬉しかった。  
「ちゅっ、ちゅぴっ、ちゅぅっ」  
 唇を啄ばまれ、口内粘膜を嘗め回される。舌を舌で絡まれ、思い切り吸われると、快楽すら感じた。  
 それだけではない。大量に流し込まれる唾液を飲み込むと、体に力が漲って来る。  
 相変わらず体は痺れたままだったが、じっとしていられなくなる。  
「――ぷはっ。うふふっ。さっき私達の事じいっと羨ましそうな目で見てたでしょう?」  
「そ、それは…!」  
「キス、気持ち良かった?」  
「あーうー…!」  
 言い訳が思い付かなくて幼児のような言葉になってしまう。  
「ファシスったら可愛い☆ それじゃあ、もっといい事しようねっ」  
 エルカが、ファシスの体に手を伸ばすと、鼻歌を歌いながら鎧を外していった。  
「止めろ!」  
「あ!?」  
「おっ?」  
 
 ファシスの叫びも空しく、二匹の悪魔が鎧の下から現れた下着を見て反応した。それもその筈。  
 ファシスの下着は、エルカに破られた時のまま、秘部と乳房だけを露出させていたのだ。  
「ナニよこれ? アタシの事淫乱とか痴女とか貧乳とか言っておいてっ、ファシスも十分変態じゃん!」  
「違う、これは! エルカが――ひゃあっ!?」  
 丸出しの秘所――それも皮越しに敏感な肉芽を揉まれ、ファシスは間の抜けた声を出した。  
「うん? 私が、どうかした?」  
 犯人のエルカはにこやかな顔で、だが容赦なくファシスのクリトリスを責める。  
(ううっ!? 何だ!? アソコが、燃えそうに熱い!)  
 正確には揉まれ続けているピンク色の真珠が、熱せられた鉄棒が中に入っているのではないか、  
 と思うような熱さを持っている。強すぎる刺激に自分の股間を恐る恐る覗き込む。  
 どうやら麻痺の魔術は効果が切れているようだった。  
「ひっ!?」  
 ファシスは見てしまった。男根が血を集め勃起するように、クリトリスが体積を増していく光景を。  
 ぎちぎちと皮を押し広げながら、やがてファシスの肉豆はペニスと同等の形、大きさになった。  
「出来上がりー☆」  
「うわあああぁぁっ!?」  
 ショックの余り、ファシスは情けない悲鳴を上げてしまった。  
「もう、大げさだなぁ」  
「ナニ言ってんのよ? エルカだってチンコ生えた時は似たような反応してたじゃん?」  
「え、ええ? そう、だったかな?」  
「そうよぉ。まあ、一回抜いたら大人しくなったけどね」  
「うーんそうかも。ファシスも、男の子の快楽を知ったら、きっと気に入ると思うよ? と言う訳で――あむっ☆」  
「ひゃあっ!?」  
 エルカに擬似男根の亀頭部分を咥えられる。  
 ぺろぺろぴちゃぴちゃ、飴でも舐めるように舌を這わされると、おぞましい官能が背筋を駆け抜けた。  
「ふっ…! はっ…! くぅ!?」  
「にしししっ。かっわいー声出しちゃってさ。エルカにフタナリチンポ舐められて感じてるのぉ?」  
「感じてなど――ひきっ!?」  
 鈴口に舌先を捻じ込まれ、苦痛と、それ以上の快楽を感じてしまう。  
「れろれろ――んー? ファシスは相変わらず嘘つきさんだね。おちんちんの先からお汁が出てるよ?」  
「う、嘘だ!」  
「男の子もね、感じると濡れちゃうんだよ? ――うふふっ。  
 ファシスのおちんちん、びくびく動いて、べとべとで、すっごいやらしいよ。  
 ちゃんと男の子の臭いだってしてるし――はあっ…なんだか興奮してきちゃった」  
「あのさー。折角でっかいオッパイがあるんだからパイズリでもしてあげたら? ファシス超喜ぶんじゃない?」  
(何だそれは…!)  
「あー。そうだね。さっすがコノット! ――それじゃあ、早速」  
「待て! 何を――!?」  
 言い終える前に、雄器官が豊かな二つの膨らみに包まれる。  
 絹のような肌越しに柔らかい脂肪が、敏感な粘膜を刺激した。  
「うっ!? はあっ!」  
 
「うふふふっ」  
 エルカは怪しい笑みを浮かべると舌を出し、自分の胸の谷間へと唾液を垂らしていく。  
 先走りと唾液で胸が淫靡な光沢を放つのを確認すると、こねる様に乳房を揉みしだき始めた。  
「うんっ、はあっ、あふっ、んんっ、乳首が、ファシスのおちんちんに擦れてっ――はぁん☆ 気持ち良いよぅ」  
 既に破廉恥なまでに勃起した乳首を、肉棒に押し当てて、エルカが官能に表情を緩ませる。  
「はっ! あっ! エルカ! そんな、だめだ! はあっ!?」  
 色っぽい声と共に肉棒が刺激される。  
(何て柔らかいんだ! それに、暖かい!)  
 異形の器官が胸に埋もれると、にちゃにちゃと粘液が攪拌される音がする。フェラと違い、  
 ペニス全体に満遍なく刺激を受けると、ファシスは尿道近くがぞわぞわする感覚を覚えた。  
「はあ、はあ、あふんっ、ああんっ」  
 エルカの吐息が、亀頭部分にかかってくすぐったい。  
 快楽に悶えていると少し離れた所でニヤニヤと笑っているコノットが語りかけてきた。  
「ファシスったらだらしないわねえ。エルカにばっかり奉仕させて自分はちっとも動かないんだから」  
「ん、そうだよぉ、動いてもいいんだよ? さっき精気を少し分けてあげたからね。  
 本当は体が熱くってしょうがないんでしょ?」  
「だが!」  
「いいからぁ、ほら、こうして――」  
「はあっ!?」  
 エルカが胸を掴んでリズミカルに上下に動かす。ペニスが扱きたてられる感触に、ファシスは腰が浮いた。  
「はあっ、はあっ――れろっ」  
「…っ…っ!」  
 エルカは胸で擬似ペニスを扱きつつ、飛び出してくる亀頭部分に舌を這わす。  
(駄目だ! 腰が!?)  
 性感が高められたところで、フェラを受ける。すると、あまりの快楽に腰が勝手に動き始めた。  
「はあ、はあ! すまない、エルカぁ! 腰が、勝手に――はあぁっ! 」  
「あ!? はんっ! …そう! そうだよファシス! もっといやらしく、腰を振って! はあっ、れろ!」  
「っ! エルカ、エルカぁ!」  
(あ!? 何かが、こみ上げてくる!?)  
「あん!? ファシスのおちんちん、びくんってなったよっ? うふふっ、もうすぐ射精するんだねっ」  
「射精っ? 駄目だ! そんな事、出来ない!」  
 今射精したら、エルカが汚れてしまう。  
「いいの! 私、ファシスの精液が欲しいの! だから、出してぇ! ファシスので、私を汚して!」  
 上目遣いのまま言ったエルカの言葉が、ファシスの理性を崩していく。事の成り行きを見守っていたコノットも、  
 淫らな行為に当てられたように、はあはあと息を荒げて興奮していた。  
「う、うあああっ!」  
 どぷっ、どぴゅっ!  
 絶叫を上げ、ファシスはとうとう男の絶頂に達してしまった。擬似ペニス内の輸精管をどろどろとした粘液が、  
 大量に駆け抜け、鈴口から飛び出していく。その未知の快楽に、ファシスは腰が抜けそうになる。  
 
「あっ、やあぁんっ☆」  
 エルカは顔面と胸元に白濁液の洗礼を受けると、甘ったるい声を出してその熱さを感じていた。  
「あああっ! ――あぁっ……はあっ…!」  
 かくかくとはしたなく続いていた空腰が、急に止まる。男のアクメ――その余韻は気だるく、  
 急速に力を失っていく気がした。体内で暴れていた淫気が、射精と共にエルカに吸収されたのだ。  
「はあ…っ、んっ…これが、ファシスの精液…っ」  
 エルカが自分を汚す白濁液の量にうっとりとする。精気を提供されたファシスが吐き出したその量は、  
 通常の二倍近い。  
「うふふっ――ちゅるっ」  
 胸元を汚している粘液を両手で弄ぶと、つまみ食いでもするように口に含んだ。  
「…!? エルカ! 駄目だ! 汚い!」   
「ファシスのだから、平気だよお。それに、ファシスの、私への愛が沢山詰まってて、美味しい☆」  
「…っ…! ば、馬鹿な事言うんじゃない!」  
「あ、アタシも味見させてーっ」  
「貴様も便乗するな!」  
 ファシスの精気に寄せられるようにコノットがエルカに飛びついた。  
エルカの顔に付着した汚液を、犬が甘えるように舐め取っていく。  
「うわ、ホントだ。ファシスのスペルマ、すっごい濃い♪」  
「うん、臭いも、とっても素敵☆ 頭がくらくらしてくるっ」  
 ぺちゃぺちゃと、二匹の悪魔がファシスの欲望を啜り、食らっていく。  
「お前達…! 馬鹿な事は止めろ…!」  
 言いながら、二人の美少女が白濁液を舐め取り合う光景に、  
再び股間の無礼者が力を取り戻しつつある事に気付いた。  
(何とはしたない体だ! 悪魔に襲われているというのに!)  
「なーによぉ。偉ぶっちゃってさ、チンコはしっかり勃起させてるじゃん」  
「う、うるさい! 元々私の物ではないんだ!」  
「ファシスったらほんと意地っ張りだよね。素直にエッチしたい、って言えば良いのに」  
「まあ、ウブな娘みたいだからねー。アタシ達がリードしてあげるしかないわねー?」  
「そうだね☆ という訳でファシス、本番いこっか?」  
「今何と言ったっ?」  
「えー? だからぁ、今から本番だよ、って言ったの」  
「な!?」  
(それはつまり、この体で、エルカと…!)  
「セックスするって言ってるのよ!」  
 コノットの直球な言葉にファシスは狼狽した。  
「馬鹿な!」  
「疲れてる? いいよ、ファシスは動かなくても」  
 怪しい笑みを浮かべたエルカがファシスへと近づき、自らの下着を下ろしていく。  
「そうではない! エルカも、軽々しく――うああ!?」  
 
 全てを言い終える前に。エルカはそそり立った肉棒へと腰を下ろした。  
ずちゅり、という音がすると敏感な粘膜が温かく、どろどろとした膣壁に包まれる。  
「ん、ふっ…どうっ? ファシス、女の子の中はっ?」  
「は、あぁあっ!」  
 肉壷内部がぞわぞわと動き、ファシスの擬似ペニスを締め付ける。  
未知なる快楽にファシスは声を裏返して喘いだ。  
「動いて、あげるねっ――んっ、んっ、はぁ、ふぅっ」  
「うあぁっ!? あっ! ああっ! 駄目! 駄目だぁ! エルカぁ!」  
「あっ、んっ、んん…! うふふっ、ファシスの、おちんちん、私の中で、びくびく、してるよ?  
 気持ち良いんだね? ――んっ、はんっ!」  
 エルカの体が上下へと動く度に、豊かな二つの膨らみが跳ね、その先端が汗や精液を飛ばす。  
結合部からは雌の発情臭が漂い始め、ぐちゅぐちゅという水音と共に、ファシスの理性を溶かし始めた。  
(気持ち良すぎる!)  
 それだけではない。自分の体を跨ぎ、腰を使うエルカの姿が。  
体を汗ばませ、淫臭を発し、控えめな喘ぎ声を上げるエルカの姿が。  
とても色っぽく、そして愛おしく思える。  
その体はすでに人間のものではなくなってしまったが、それでもエルカに対する気持ちは変わらなかった。  
「エルカ!」  
「きゃんっ!? ファシスっ? ――はっ、ん! やっ…あん!」  
 溢れる愛おしさを劣情へと変換させる。エルカを感じたい一心でその体を貪る事にした。  
 手を伸ばし、跳ね回る乳房を掴む。おぞましい男根の存在を受け入れ、エルカを突き上げる。  
「エルカ! はあっ! 好きだ! はあっ! はっ! 愛してる!」  
「私もっ、あっ! ファシスの事、んっ! 好き! はんっ! 大好き!」  
 淫らなシスター服からこぼれた胸を力任せに揉む。優しくするつもりが溢れる情動がそうさせてくれない。  
「んっ!? もっと、もっと激しく! ファシス! 私をもっとめちゃくちゃにして!」  
「エルカ、エルカ!」  
 狂ったように名前を叫びながら腰を何度も突き上げる。限界はすぐに訪れた。  
「好きだあぁぁぁっっ!!」  
「ファシスぅっ!」  
 どぷっ! どぴゅっ!    
 子宮口へと擦りつけた亀頭から、欲望と愛情の塊を吐き出した。  
   
 ――もし自分が男だったら――そう考える事が何度もあった。  
 エルカが好き。だが自分は女。女同士が果たして結ばれる事が出来るのか?  
 どうして自分は男ではないのか? もし、男であったなら――  
 
「願い、叶ったじゃん」  
「――う、貴様…?」  
 傍観を決め込んでいたコノットが近づき、ファシスの顔を覗き込む。  
 
「エルカとエッチするの、望んでたでしょ?」  
「……そうだ。悪いか…!?」  
「はあ、はあ…悪くないよぉ」  
 心地よい疲労に息を荒げるエルカが微笑む。  
「でも、悪魔に願いを叶えてもらったんだから。それなりの代償を払ってもらわないとね?」  
「…エルカ? ――っ!?」  
 その言葉の意味を理解する前に、急速に体から力が抜けていくのを感じた。  
(精気を、吸われて!?)  
「んっ、あぁん…いいよぅ…☆」  
「…エルカ…そんな…」  
 官能的な吐息を漏らしながらエルカが体を震わせる。その様子を見ていると、先程の激しい交わりさえ、  
 今の彼女にとっては精気を吸う為の『ただの余興』に過ぎない、という事に気付いてしまった。  
(私の愛を受け止めてくれたのではなかったのか?)  
「ぷっ――あはははっ!」  
「何が、おかしいっ」  
 気だるい体に鞭打ってコノットを睨みつける。  
「うーわ乙女チック! 聞いてるこっちが恥ずかしいわよっ! アンタねえ、アタシ達は悪魔よ?  
 人間とエッチするのは、精気を吸う為に決まってるじゃん。それを勝手に、  
 ぷぷぷっ、愛とか、好きとか、バッカみたい!」  
「そ、そんな事は…!」  
 縋るようにエルカを見詰める。悪魔になってもエルカはエルカだ。  
 ファシスの心を受け止めてくれる、優しい親友の筈だ。  
 だが、  
「んー? ファシス? どうだった? 燃えたでしょ? 私、頑張って演技したからね」  
 足元の地面が崩れたような気がする。演技? さっきの交わりが? 好きだと言ってくれたのも?  
(嘘だ…)  
「嘘じゃないよう。だってそうした方が、ファシスもその気になるじゃない。  
 そうしたら、効率よく精気も採取出来るから」  
「わああぁっ!」  
 ファシスは頭を抱えて叫んだ。  
 悪魔は悪魔。そこに人の優しさは存在しない。あるのは狡猾な知恵と、欲望に忠実な思考のみ。  
 愛を語ったファシスは、ただの道化に過ぎなかった。  
「ふふふ、相当参ってるわね。いい気味よ」  
「ファシス、その顔、とっても素敵だよぉ」  
「ひっ」  
 二匹の悪魔が邪悪な表情を浮かべる。この瞬間、ファシスの心は恐怖に支配された。  
(食われるっ、この悪魔共に、身も心も…!)  
「あーあ、なによ、その反応は? こんな美少女二人に囲まれて、失礼しちゃうわね」  
「そうだよぉ。これからもっと良い事するんだからぁ。もっと仲良くしようよぉ」  
「え…!?」  
 今、なんと言ったのか。  
「まだまだ、宴は続くのよ。覚悟しなさい♪」  
 無邪気な笑顔で、ピンク髪の悪魔が宣告した。  
 

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