「気づかれたかな」  
 俺が梓のことを好きだってことに。  
 とっさにあぁ言ったけど、明らかに不自然だ。  
 この気持ちは梓には知られないように一生を過ごそうと思ったのに。  
「馬鹿だよな。俺」  
 一人グラスを傾けながら自分自身に対して愚痴る。  
 雄一は居ない。今日は一人で飲みたい気分だったから。  
 未成年ってこともあり、酒はほとんど飲まないのが今日は心から飲みたかった。  
「梓」  
 梓を異性として見るようになったのは今から2年前。  
 まだアイツが中学にあがりたての頃だ。  
 馬鹿やって少年院に入って、親にすら見捨てられた俺を梓だけは暖かく迎えてくれた。  
 その時から梓だけは守ってやりたいと思い、そして、それは愛へと発展した。  
 喧嘩から足を洗い、勉強だってやった。  
 梓の兄として誇りをもって胸を張れるように。  
 けど、梓は俺とは逆にバンドへの道に進み、気づけば在りし日の俺の姿に近かった。  
 俺には梓のすることを反対出来なかったし、しようとも思わなかった。  
「苦い」  
 好きだった日本酒の味も旨みがまったく感じられない。  
 俺はどうすればいいんだろうか。  
 このまま兄妹を貫くのが一番の最善策・・・だよな。  
「あれ」  
 涙が流れている。  
 結局、答えの出ないまま、俺は携帯を握った。  
 
「言わなきゃよかった」  
 私がお兄ちゃんを好きだってことを。  
 お兄ちゃんは私のこと妹としか思って無かったんだ。  
 この気持ちは伝えないで一生を過ごせばよかった。  
「馬鹿だよ。私」  
 全ての未練を断ち切るためにギターの弦をペンチで切る。  
 これでもうバンドは出来ない。  
 もちろん弦を張り直せば出来るけど、そうしたいとは思わない。  
「お兄ちゃん」  
 お兄ちゃんを好きになったのは小学校4年の時。  
 毎日のように喧嘩して、お父さんもお母さんもお兄ちゃんを見なくなった。  
 それが一層、お兄ちゃんを孤独にさせて、一人で部屋で泣いているのを見た時、胸が苦しくなった。  
 そして、それが異性への気持ちだと気づいたのは中学1年。  
 少年院に入っているお兄ちゃんを想って何度も泣いて、そして自分を慰めた。  
 私は、強いお兄ちゃんが好きだった。  
 けど、お兄ちゃんは変わった。急に勉強をし始めて、最低ランクの高校から初の大学入学者となるくらいに。  
 私は反発した。バンドをやって言葉遣いや性格だって変えた。  
 でも、それは意味がなかったんだよね。  
「・・・お兄ちゃん」  
 お兄ちゃんの買ってくれた服にはさみをあてる。  
 これを切ってお兄ちゃんへの想いも一緒に断ち切りたい。  
 でも。  
「無理だよ」  
 服に私の涙の染みが広がる。  
 強いお兄ちゃんより優しいお兄ちゃんが好き。  
 私だけを見てくれた今のお兄ちゃんが好き。  
 私の泣き声と携帯の音が部屋に響いた。  
 
「梓」  
「お兄ちゃん」  
 今、俺たちは駅前のシティホテルの一室にいる。  
 家じゃない場所でゆっくりと話がしたかったから。  
「ごめんな。こんな場所に呼び出して」  
「ううん」  
 梓はベッドに腰掛けている。  
 俺は梓に背を向けて窓の外を見ていた。  
「話って何?」  
 俺はどう切り出すかいまだに迷っていた。  
 梓か妹か。  
 もっとも、一度、梓をふった俺だ、今更、梓に好きだと伝えてそれがうまく行くとは限らない。  
 俺は何も言えず、部屋の中には沈黙が訪れた。  
「ダメだよ。お兄ちゃん」  
 沈黙を破ったのは梓だった。  
 どんな顔をしているのだろう。悲しい顔?笑顔?それとも怒っているか?  
「こんな場所につれてこられたら、期待しちゃうよ」  
 梓に好きだと言って、許してもらえるのだろうか。  
 世間にも親にも許してもらえなくていい、ただ梓にだけ許してもらいたい。  
「ねぇ・・・お兄ちゃん」  
 梓が俺の背に抱き付く。  
「何も答えなくていいから聞いてて。私ねお兄ちゃんが好き。ここに来た時もすごく嬉しかったんだよ。  
 実はね、お兄ちゃんにふられちゃった後、お兄ちゃんにもらったものを全部捨てようと思ったの。  
 でも、出来なかった。お兄ちゃんの思い出も全部、一つも忘れたくなかった」  
 その腕の力が強くなる。  
「お兄ちゃん。私を好きじゃなくていい、妹でもいい。だけど、私の最初の人になって」  
「・・・梓。ごめん」  
「・・・そっか」  
 梓の腕が離れる。  
 俺は振り向くと梓を抱きしめた。  
「おにい・・・ちゃん?」  
「ダメな兄だ。俺は梓に別れを伝えるつもりで呼んだのに、頭の中では梓がまだ俺を好きでいてくれるか。  
 それだけがずっと気がかりだった」  
「それって」  
「兄としては最低な決断かもしれない。でも、俺も梓とずっと一緒に居たい。好きだ。梓」  
 梓の体から力が抜ける。  
「お兄ちゃん」  
「梓」  
 俺たちは見つめ合い、口付けを交わした。  
 
「ぁっ、っっ、ゃ・・・きゃっ」  
 舌を絡める濃厚なキスをしながら、ベッドに倒れこむ。  
 梓は俺の上で嬉しそうに目を瞑っている。  
「幸せだよ・・・お兄ちゃん」  
「俺も幸せだ」  
 梓と抱き合いながら服を脱がし、ブラジャーを取る。  
 梓の視線が少し冷たい。  
「どうした?」  
「手馴れてるなぁと思って・・・ちょっとショック」  
「そりゃ、まぁ」  
 俺は初めてじゃないわけで。  
「・・・ぶぅ」  
 膨れている梓の頬にキスをする。  
「今、俺が好きなのは梓だけだ。それじゃあ、ダメか?」  
「ひきょうだよ・・・そんなこと言われたら。ぁっ」  
 梓の首筋に舌を這わせ、そのまま肩まで舐める。  
 そのまま胸まで降りてきて、柔らかい乳房を甘噛みするようにしゃぶりつく。  
「や、あっ、んっ」  
 梓が身をよじって逃げようとするが、俺の両手がそれを許さない。  
 逃げようとした罰だ。  
 俺はすでに大きくなっている乳首を口に含む、歯を立てて軽く噛む。  
「んっぁぁぁぁぁ・・・はぁはぁ・・・なんか、電気が走ったみたい」  
 随分と感じやすいみたいだ。  
 ひょっとして弱点かな?  
「ダメ。そこ、感じすぎて。あっ、あぁぁ」  
 舌で乳首を転がす俺の頭を一生懸命離そうとする。  
 けど、その腕にはもう力が入って居ない。  
「お兄ちゃん・・・そこだけじゃなくて、下も・・・して」  
 俺が頭を離すと、梓がほっとするのがわかる。  
「ぇ」  
 俺は左手で梓のスカートを下ろしつつ、右手で胸を揉み、乳首をなぶる。  
「ゃ、それ、んっっ。せつなく、なっちゃう」  
 
 スカートとパンツを脱がす。  
 そこはすでに濡れており、指を当てればヌルリとした愛液が大量についた。  
「すごいな。いつもこんなに濡れるのか?」  
「・・・今日はお兄ちゃんがしてくれたから」  
 俺は梓の腰を掴むと、少し持ち上げ秘部にキスをする。  
「ぁ、ぁぁ。はぁ・・・幸せ・・・ずっと・・・ずっと・・・こうして欲しかった」  
 わざと音を立てて、梓の愛液を吸う。  
「ゃぁ。音、立てないで・・・恥かしい」  
「梓。いいか?」  
「うん」  
 俺は梓の上に覆いかぶさるような態勢を取る。  
 梓。  
 妹なんだよな・・・妹の初めてを・・・  
「あ、あれ」  
「どうしたの?」  
「すまん。少し待ってくれ」  
 くそ。ペニスが縮んでいる。  
 梓のことは好きだが、妹だと考えるとどうしても。  
「お兄ちゃん。私・・・」  
「俺は」  
「そのまま動かないでね」  
 梓が四つんばいになっている俺の間をもぞもぞと動いていく。  
 丁度、俺のペニスの位置に梓の顔が来るように。  
「んっ」  
 ペニスの先に柔らかいものが当たる。  
 梓の舌だ。  
「知識があるだけだから上手くはないけど、でも、んっ、はぁ・・・ちゅむ・・・はむ」  
 梓が俺のを口に含む。  
「少し、大きく。ここは、経験ある?」  
「うくっ」  
 梓の指が俺の尻の穴に入ってくる。  
 この感覚は。  
「梓、指、動かすな」  
「えへへ。でも、お兄ちゃんの・・・さっきよりずっと大きいよ」  
 気持ちいいというか、なんというか。  
 変な感じだ。  
「梓。もういい・・・ありがとう・・・最後は一緒に」  
「うん」  
 俺はその場から抱いて梓を抱き上げる。  
 
「っ・・・ぁ・・・くぅ」  
 梓の目に涙が浮かび、流れ落ちる。  
「力抜いて、大きく呼吸すると楽になるぞ」  
「は、ぁ、む、むり。くぅぁぁ」  
 ゆっくりと梓の中に入っていく。  
 処女膜を破っただけで、これだけの痛みなら。今日は動くのは無理そうだな。  
「入ったよ」  
「・・・うそ・・・もっと、奥までちゃんと・・・」  
「でも」  
「いいの・・・大丈夫だから」  
 梓の手が俺の背中に回る。  
 抱きしめキスをしてくる。  
「行くぞ。少し我慢しろよ」  
 小さくうなずく。  
「くぁ。はぁ・・・や・・・っっぅ」  
「はぁはぁ・・・奥まで入ったぞ」  
 もう一度キスをする。  
 本当に一つになった。妹・・・いや、梓と。  
「ありがとう・・・お兄ちゃん」  
「梓・・・俺の事、大河って呼んでくれ」  
「・・・うん。大河」  
 動かなくても梓の中は俺のを強い力で刺激してくる。  
 このまま果ててしまいそうになるのを懸命に耐える。  
「大河・・・愛してる」  
「俺も。愛してる」  
 耳元でそう囁くと、膣がキュッと締まる。  
「うあ。お前の中。ちょっと、よすぎ」  
「ホント?」  
「あぁ」  
「今までのどの女より?」  
「あぁ。ここまでいいヤツ・・・初めて。動いて無いのにヤバイ」  
 う。マジでダメだ。  
 少し痛いけど梓には我慢してもらて抜かないと。  
「いいよ」  
「え?」  
「中に出して・・・ね」  
 さらに中が締まる。  
 俺は何も考えられぬまま梓の中に精液を出してしまった。  
 
「大丈夫か?」  
「何が?」  
「・・・精液」  
 梓が俺の腕の中で考えるそぶりを見せる。  
「わかんない。けど、お兄ちゃんの子供なら」  
「いや、さすがにダメだろ。まぁ・・・もし出来ても・・・責任は何とか取るけど」  
「うん・・・一緒に・・・ね」  
 
 俺と梓は毎晩のように体を重ねている。  
 多分、親もそれに気づいている。けど、何も言えないのだ。  
 俺とは中学の頃から話をしないし、梓もバンドを始めてから親とは疎遠になっていた。  
 だから、俺たち二人が家を出てアパートに暮らすことにも反対しなかった。  
「んっ。お兄ちゃん」  
 梓は俺の事を未だに兄と呼ぶ。  
 兄と呼ばれると未だに背徳感はあるのだが、今ではそれも気に入っている。  
「だめ、いく、いく・・・ぁ、ぁ、あぁ・・・くぅぅぅ」  
 騎乗位のまま梓が背を反らせ、微かに痙攣する。  
 ぐったりとなった体を俺の上に倒す。  
「明日からまた学校だね」  
「だな」  
 俺には貯金があった。  
 馬鹿やってた頃の、馬鹿な行為で得た金だが。それが今は役にたっている。  
 バイトも始めたし、しばらくはこれで安泰だろう。  
「ねぇ」  
「ん?」  
「ゴムなしでしよう」  
「ダメ。初めての時は偶然大丈夫だったけど、これからは危ない」  
「でも」  
「俺たちはいいけど、子供が可愛そうだろ・・・」  
「そっか」  
 俺の胸の上で梓が悲しそうな顔をする。  
「それに。梓は・・・俺だけの人だ・・・子供にだって・・・渡したく無い」  
「へへ・・・お兄ちゃんの方がずっと子供だよ・・・でも。うん・・・わかった」  
 俺たちはキスをした。  
 そして、いつものように眠りについた。  
 

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