「あうぅ〜ん!お兄ちゃんっそこ痛い!」
「ほれ、動くんじゃない。我慢しろよ」
コイツの穴に入れ、さらに掻き出す作業は俺としても結構神経を使うが、身悶えする妹を叱りながら続ける。
「くぅ〜ん」
横目で見つめて来るその瞳は、痛がりつつも甘い悦びを感じているようにも見える。
…腹違いの兄をそんな目で見るのは、俺としてもどうかと思うが。
「ほれ、こんなになってるぞ」
「ひぃん! こんなに大きいのが…」
「ああ、こいつがお前の中に入ってたんだ」
「うっ、そんな恥ずかしいこと言わないでよぉ…」
羞恥に身を捩る妹の目の前に、見せ付けるようにソレを置いてやる。
「そろそろ道具を変えてみようか」
「えっ、まさかアレを使うの?」
俺はベッドの脇に置いておいた金属製の道具を手に取る。
ひんやり硬い手触りの金具を、俺はカチカチと妹の目前で鳴らしてやる。
「いやぁん…」
「馬鹿、怖がることはないだろ。初めてでもないだろうに」
「初めてじゃなくっても嫌なのぉ! それを私の奥に入れちゃうんでしょ?」
「入れるだけじゃない、挟んだり引っ張ったり引っ掻いたりするんだ」
「怖いよう」
妹の抗議を無視して俺はソレを俺の目の前にある穴にそっと入れる。
「大丈夫だって、ゆっくりやるから」
もし暴れられたらさらにコイツに苦痛を与えてしまうことになる。
慎重に穴の中を金具で俺は探っていく。
そしてここだという所で、俺は道具を掴む指に力を込める。
「ううぅ」
引き出されるのが痛いのだろうが、ここで時間をかけても意味が無い。
俺は慎重に、しかし思い切って金具を動かす。
バ リ ッ
避けるような、破けるような感触と共に、道具は妹の穴から取り出される。
「あう! 痛かったよぉ」
「悪い、でももうコレで終わりだ…… フー、フー、」
「あうぅ、息吹きかけられるの気持ちいいよ〜」
「…お前は昔からここに息吹きかけられるの好きだったな」
「そうだよぉ、それ今でもすっごく好き」
喜んでいる妹を他所に、俺は穴から取り出した道具をティッシュで拭う。
「ほれ、次はこっちの穴だ」
「うう」
「じたばたしないで、向きを変えろ」
しぶしぶといった感じで、妹は身体を入れ替える。
「じゃあ…お願いします………」
「はいはい、……どれどれ」
そして俺は、コイツのもう一つの穴を覗き込む。
「そ、そんなにジロジロ見ないで欲しーなっ!」
「馬鹿者。見なきゃどうやったら良いか分からんだろ」
そして俺は竹の道具を再び手に取る。
「しかし、お前もいい歳なんだからそろそろ『耳掃除』くらい自分でやれよ」
「あうー、お兄ちゃんにやってもらうのが好きなんだもん」
「…その割には怖がってるみたいだが?」
「分かって無いなぁ、その怖さが良いんじゃないの!」
俺の膝に頭を乗せ、力説する我が愚妹。
コイツはこの年になっても俺に耳掻きしてくれとせがんで来る。
そういえば雪奈の奴も時々耳掻きしろって甘えてくるなぁ。
俺は別に他人に耳掃除をしてもらう趣味は無いのだが、そういった性癖の人間もいるのだろうか?
「じゃあ行くぞー」
「は〜い… あううっ、すっごい大きいのが入ったらどうしよう!」
相変わらず分からん奴だ。
俺がコイツを理解する日はほぼ永久にこないだろう。
(終わり)