「は〜あ、もうお正月も終わりだねぇ」
まるで世界が終わったかのように、コタツで悲嘆の声を上げる妹。
俺はみかんの皮を剥きながら、その様子を眺めていた。
「そうだな、ついでに冬休みももうすぐ終わりだぞ」
「いやぁん、お兄ちゃん!そんな哀しいこと思い出させないでよぉ」
「俺は暇をもてあましたお前に付きまとわれなくなるので嬉しいぞ」
こいつは暇と性欲をもてあます傾向が有るからな・・・全く始末におえん。
「ぶーぶー!お兄ちゃんのイケズぅ!!
今年の冬休みはあんまりえっちぃ事してくれなかったじゃないのぉ」
「当たり前だ、この馬鹿。
休みに入った直後には『サンタクロースプレイをしろ』だの、
大掃除の時には『最近ご無沙汰だから、アソコに埃が溜まっちゃったなぁ、そこもすす払いして』だの、
大晦日には『一年の締めくくりに姫納めしよう』だの、
除夜の鐘が鳴り出したら『初詣に行こう。そこでエッチして二年嵌めしちゃお』だの、
年が明けたら『おせち料理の女体盛り〜』だの…
本当に俺は気が休まる暇が無かったぞ」
「ぐぅ…」
そもそも年末年始のこの時期は、他の女たちとの交遊スケジュールが厳しいのに…
ちっとは兄に気を使えと言いたい。
「はぁん、でも結局姫初めで悪代官ごっこして貰っただけで終わっちゃったなぁ」
「お前は…着物を着る度にそれやりたがるな」
「うーん、お約束ってヤツ? 夏の浴衣と正月の着物はアレをやる為に着るようなものだよね!」
同意を求められても困る…
「お兄ちゃんの悪代官役もハマってるよね〜、着物脱がすのホントに巧いよぉ」
そりゃ、この正月も慶花や瀬里奈と『「良いではないか×2」「あ〜れ〜」』ってやったしな。
古き良き日本の伝統というものは、こうやって若い世代にも継承されていくのだろう…
と感慨に耽る俺であったが、何やら妹がモゾモゾ蠢いている。
「…何やってるんだ?」
「えーっと、折角お兄ちゃんとコタツに入ってるんだから、『コタツ隠れ』でもしようかな〜って」
「………」
「あれ、ひょっとしてお兄ちゃんは『コタツがかり』の方が好きだった?」
嗚呼、この国の女どもときたら、
哲子は『姫始めは獅子舞で決まりよねっ』と言い出すし…
寧々は『いい初夢見るためにも、今夜は宝船でイかせて』とゴネるし…
「えへへ、お兄ちゃん!今年も宜しくお願いしますね!」
「はいはい、もう好きにしてくれや…」
(終わり)