手で触れることは出来るけど、心が中途半端にしか繋がっていない。そんな曖昧な距離を保って私とあいつはここ数年を過ごしてきた。
高校に入るまではお互いの考えてることなんてすぐに分かったのに、今では分からない事が多い。
成長した、とかいう自覚は私にはないし、見ている分ではあいつもたいして変わってないとおもう。というより、変わってないと思いたい。
それと、何故かここ最近あいつのことが気にかかる。何もする事が無いときとか気付けばあいつのこと考えててたり、授業中にふとあいつの席に目がいったり。
この行動が世間一般にどう言われるか私でも分かってるけど、認めてやるつもりはない。
認めてしまえば今まで作り上げてきた家族としての立ち位置が崩れてしまう。なによりまともにあいつの顔が見られなくなりそうで。
私はあいつ、悠樹との距離をもう一歩、言葉は届くけれど触れられない所まで広げた。