「えっと……次はコレをロードして、と……」  
 
「よい……しょっと」  
 やたらと大きなファイルをメディアプレイヤーに放り込むと、  
 ほどなくして動画の再生が始まった。  
 
「これで一段落っと」  
 ふぅ、と軽くため息をつき、近くに積んであったファイルに腰を下ろす。  
 動画の再生というのは、CPUにとっては重労働だが  
 OSである私にとっては起動させてしまえば後は他の仕事とさほど変わらない。  
 動画の再生中はマスターが他の作業をしなくなる分、むしろ楽な方だ。  
 
「……それにしても」  
 ディスプレイには、体中に群がる小人のHなイタズラに  
 体をくねらせて喘ぎ声をあげるアニメの美少女が映っている。  
 どこぞ怪しげなサイトからダウンロードしてきた18禁動画だ。  
「飽きないね〜……」  
 マスターの趣味はアンダーグラウンドサイト巡り。……しかし。  
 一応ウィルス対策ソフトはインストールしてあるが、他に大した対策は取られていない。  
 その上、妙なリンクでもすぐ踏むし、変なプログラムも構わずダウンロードするときている。  
「いつか痛い目にあっても知らないよ?」  
 半ば呆れ、半ば心配から出た言葉だが、無論私の声がマスターに届くことは無い。  
 
「……でもそれで酷い目に遭うのって、私?」  
 ちょっと不安になったが、あえて深く考えないことにする。  
 
 動画が終わるまでは、仕事も少ないだろう。  
 気を取り直し、つかの間の休息をどう楽しもうかと思案しかけた、その時。  
「ひゃっ!?」  
 突然、お尻の下でもぞもぞと何かが動いた感覚に思わず間の抜けた声をあげてしまった。  
「な、なに?」  
 慌てて立ち上がり、自分の腰掛けていたファイルを確認する。しかし、異常はない。  
「今、何か居た……よね?」  
 辺りも見回してみるが、異常は見当たらない。  
 いつも通りの見慣れた空間。しかし、今はそれが返って私を不安にさせた。  
「落ち着いて……」  
 自分に言い聞かせ、もう一度ゆっくりと周囲を探る。だが  
「きゃっ! あっ!?」  
 いきなり何かが私の胸に飛びついてきた。  
 驚いて振り払おうとした私は、自分の胸に張り付いたものを見て、更に驚いた。  
 
「え!? こ、これって……ウィルス!?」  
 私の手の平より小さいくらいのサイズで、色も形もはっきりとしない。  
 ただ、ノイズが集まって蠢いているかのようなソレに対する不快感だけははっきりと感じた。  
「どうしてっ……ウィルス対策ソフトだってちゃんとっ……」  
 混乱しかけるが、今はまずこれを何とかしなければいけない。  
 ウィルス対策ソフトに助けを求めなければ。  
 
 すーっと息を吸い込み、助けを求める声を上げる。  
「――ッ!」  
 だが、私が声を上げようとした瞬間、どこから湧いて出たのか  
 新たなウィルスが飛び込んできて私の口を塞いだ。  
「んっ、んむっっ、んんっ」  
 そのまま口内に押し入ってきて、動き回る。  
 熱いような、冷たいような、ザラついているような、なのに滑らかでねっとりとしているような  
 異様な感触で私の口内を蹂躙する。  
 口から唾液があふれて伝い垂れるのを感じ、恥辱感に顔が熱くなる。  
 
 どうにか追い出そうとあれこれ試してみるが、  
 舌で押し出そうとしても、手で引っ張り出そうとしても、  
 どういうわけか、私ではウィルスをまともに捕らえることができなかった。  
(や、やだっ! これじゃ助けを呼べない!  
 コイツからは触れてくるのに、こっちからは触れないの……!?)  
 
 焦って周囲に視線を送るが、助けになりそうなものは何も無い。  
 と、さっきまで腰掛けていたファイルが目にとまる。  
(! あのファイルがっ!)  
 さっき見た時には異常はなかったはず、なのに。  
 今それが勝手に開いて、しかも次々にウィルスをコピーしては吐き出している。  
(そんな、どうして!? あのファイルはついこの間スキャンしたはずなのにっ!  
 ――あっ。パターンファイルの日付……もしかして新種のっ!)  
 新種のウィルス。 しかし、それと分かったところで対処できなければ意味がない。  
 考えている間にもウィルスはどんどんその数を増やして私の方に集まってくる。  
 
(ど、どうしよう?! どうしよう?!)  
 私はもうパニック寸前だった。しかし。  
「ん……ぷはっ」  
 唐突に私の口から忌々しいウィルスが出て行った。  
「え? あっ! や、やったっ!」  
 声が出せるっ! 声さえ出せれば!  
 ウィルス対策ソフトを呼んで、パターンファイルも更新させて!  
 すぐに一匹残らず駆除してやるっ!  
「…………」  
 あれ?  
「…………」  
 え? え?  
 しかしどういうわけか、ウィルス対策ソフトに助けを求める声が出ない。  
 
 と、自分の右胸がふるる、と揺れる感触にハッとする。  
「あっ! まさか……こいつ!?」  
 最初に胸に取り付いた後、目立った動きも無く、  
 取り付かれている事すら忘れかけていた最初の一匹。  
 だが気付けばスーツの右胸の部分にすっかり大穴を開けられ、  
 窮屈そうな胸が今にもこぼれそうになってしまっている。  
 
――しまった!  
 後悔したが既に遅い。  
 どうやらこいつは私の命令を装ってウィルス対策ソフトを停止させ、  
 さらに私から呼び出すことができないよう、システム設定を書き換えていたらしい。  
 口を塞いでいたのはそのための時間稼ぎと、それを私に気づかせないための囮……。  
 
「そ、そんな……」  
 私にはまともに触れることすらできない。  
 頼みの綱のウィルス対策ソフトも呼べない。  
 本当は一番頼りにするべき筈のマスターも、この異常に気付いてくれることは、多分無い。  
 
――私が完全に支配されてしまうまでは。  
 
「あ、あ……」  
 私は自分を取り囲む数え切れない程のウィルス達を見て  
 これから起こるであろう事を想像し、絶望的な恐怖を感じた。  
 
 そして何かを合図としたのか、ついにウィルス達が一斉に私に襲い掛かってきた。  
「いっ、いやあぁぁっ!」  
 
 自慢のボディラインにぴったりフィットしたお気に入りのスーツが  
 みるみるうちに侵食され、引き裂かれたタイツのようになって体に食い込んでくる。  
「やぁ、やめてぇ! お願いっ!」  
 勿論やめてくれるハズもなく、ウィルス達が剥き出しになった素肌の上を自在に撫で回してくる。  
「っ、〜〜っ! っく……ふっ、はっ……んぅ!」  
 自分でも信じられないくらい甘い声が漏れそうになる。  
 なんとか理性を働かせ、恥ずかしい声をあげないように自分を叱りつける……のだが  
「ん、はぁ、はっ、んぁっ、や、やめぇ……っはぁっ」  
 全身をまさぐられる感覚が、鈍く、鋭く、甘い刺激を伝えてきて次第に声を抑えきれなくなる。  
 そのうち立っていることもできなくなり、その場に崩れ落ちてしう。  
 
 ウィルス達は、一匹一匹が好き勝手に動いているようでもあり、  
 私の弱点を知り抜いていて連携してそこを責めてくるかのようでもあって……。  
 私はウィルス達の予測できない愛撫に完全に翻弄されてしまっていた。  
 
「ふぁっ、んっ、やぁ、はっ……」  
 唇を吸われたかと思えば足の指をくすぐられ、  
 太ももを撫でられたかと思えば耳たぶを甘噛みされ、  
 首筋に息を吹きかけられたかと思えば脇の下を舐められる。  
 いったい何匹がかりで私を弄んでいるのか――  
「やっ、だめぇ……あぅっ、はぁん、ああ、あっ、あんっ……!」  
 止められない喘ぎ声が恥ずかしくて泣きそうになる。  
 
 何とか抵抗しようと、自由な両腕で自分の体を抱いても、  
 ウィルス達の行動を阻害することは少しもできなかった。  
 むしろ、胸を抱きかかえて寄せ上げるような格好になってしまい  
 穴だらけになったスーツから支えきれなくなった胸が、ぷるん、とこぼれ落ちた。  
 大きさも形も自信がある、自慢の胸。  
 その真ん中で痛い程に立ち上がっている乳首も露わになってしまっている。  
 そして、ウィルス達がそれを見逃してくれるはずもない。  
 
「あ……やっ、だめぇっ!」  
 ウィルス達はためらいなくそこに狙いを定めると、飲み込むように覆い被さってきた。  
「んああっ! やっ、ぁああ!」  
 両方の乳首をねぶられるような感触に、痺れるような快感が脳天から爪先まで駆け巡る。  
 と、同時に  
「はあっ、あっ!? ん、あぁっ! あぁん!」  
 突然、股間に鋭い刺激を感じて体がびくんと痙攣する。  
 いつの間にか数匹のウィルスが股を割って秘所に取り付いていた。  
 
(やだっ!?)  
 私に侵入しようと、中から支配しようとしている。  
 ウィルス達の意図を感じて急に理性と恐怖感を取り戻した。  
 慌てて開きかけていた脚を閉じようとしたのだが  
「えっ!? う、動かない……?」  
 どんなに力を入れても脚は私の意思に従ってくれない。  
 逆にウィルス達を歓迎するかのようにより大きく開いていく。  
「えぇっ!? や、やだっ、どうしてっ!? ぃやぁっ!」  
(これもウィルスの仕業なの!?)  
 
 ウィルス達に向けて脚を開かされ、その中心がぱっくりと口を開けてしまっているのが分かる。  
 ひくん、ひくん、とそこが何かを欲してひくついているのも、  
 涎のようにだらしなく愛液が流れて出てしまっているのも、嫌でも分かった。  
 
 快楽に囚われた体の芯が熱く疼いている。  
――ナカに入られたら……もうきっと自分を保っていられない。  
 
「いやっ! ぜっ、絶対ダメェッ!」  
 私は理性とプライドと意地のすべてをかけて秘所を両手で覆い隠した。  
 それが、私の最後の抵抗、だった。  
 
 私の抵抗を合図として再びウィルス達が這い寄ってくる。  
 
 そもそも私からは望んで触れることができないのだから、  
 手で覆ったところでウィルス達にとっては何の障害にもならない。  
 手の甲に何かが触れたと思ったら、しゅるしゅると指の間を通り抜けて、難なく私の秘所にたどり着く。  
 次々に隙間を抜けては秘所に取り付いてきて、  
 私はそれを自分の手で股間に押し付けるような格好になってしまった。  
 
 次の瞬間、目の前で火花が散った。  
「ッ……!!」  
 クリトリスへの愛撫。意識がすべてそこに集中する。  
 と、いつからか止まっていた全身への愛撫が再開され、今度は意識が全身へと引き戻される。  
「っはぁっ! ぅあっ! あんっ! ふぁ、あぁ、ああ、っん……」  
 敏感な部分への集中攻撃と、体全体への愛撫が交互にくり返され、私の意識も強烈に揺さぶられる。  
 頭の中が快感一色で塗りつぶされ、何も考えられなくなってしまう。  
(だめ、意識を……しっかり、しなくちゃ……ああ……でも……)  
 
 ウィルス達は私の体も、こころも、完全に支配しようと、愛撫の手を緩めない。  
 そしてとうとう股間に張り付いた数匹が蕩けきった私のナカへと侵入を始め――  
 体に私の愛液をからめてにゅるりと滑り込んできた。  
「あっ、やっ! あ、ああぁぁああんっ!」  
 その瞬間、懸命に快感を拒否しようとしていた私の理性も、ついに屈した。  
 
 ウィルスはその不定形の特性を存分に活かして私を快楽の淵に引きずり込んでいった。  
 棒のような形状で出入りされていたかと思えば、中から舐め回されているような、  
 かと思えばぐにぐにとあちこちを不規則に刺激してきて――。  
「あぁぅっ、やだぁっ、な、ナカでぇ、私のっ、ナカでぇっ……!」  
 私の内側の弱点を的確に見つけ出しては擦り上げ、圧迫し、舐め上げる。  
 
 内側を責められている間も、全身への愛撫は止まっていない。  
 口、耳、首、背中、胸、脇、お腹、太もも、ふくらはぎから足の指に至るまで。  
 膣内に入らなかったものが、クリトリスやお尻まで愛撫してくる。  
 
 中から外から打ち寄せる感覚が私を追い詰めていく。  
(もう……ダメ……)  
「あ、ああっ、あっ、だめ、ぇ、イ、っちゃぅ、よぉっ」  
 全身の神経が快感に支配され、ついに私は絶頂に達してしまった。  
「っ……はぁっ!」  
 びくん、と腰が跳ね上がり、続けて2度3度、快感の波に合わせて腰が踊る。  
 全身が断続的な快感と心地よい気だるさに包まれ、頭の中はまっ白になって何も考えられない。  
 もう、このまま何も考えずに気を失ってしまいたいような感覚。  
 
「ぁ……ぅ?」  
 しかし、ウィルス達の動きは止まらなかった。  
 絶頂の余韻が残る体を更に責め立ててくる。  
「ぁ……やぁ、ダメェ……今っ、イッたばかり、なのにぃ……!  
 ……あ、や、あんっ、あ、またっ……!」  
 
「やあん……! イッ……ちゃうぅッ!」  
 涙と涎を垂らして全身を痙攣させ、噴き出した愛液が小さな水溜りを作る。  
 だが、意識を支配するあまりの快感にそんな自分の痴態を認識することすらできず、  
 ガクガクと跳ねる腰が自分のものなのかも、もうよく分からなかった。  
 
「だっ、めぇ……! やっ、あぁ!」  
 もう何度目の絶頂なのかも分からない。  
 ウィルス達は飽くことなく私を貪り続け、  
 私の体は既にいいように反応する彼らのオモチャだった。  
 
「はぁ……ん……」  
 またウィルス達が私を求めている。  
 たった今絶頂を迎えたばかりのはずの体も、すぐに次の快楽に沈み込んでいく。  
 
 体もこころも完全に支配され、私はもう、逆らえない……  
 

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