「ぁっ! …や、んっ…そ、そこばかり…ッ…!」  
 
 続けて柔かい耳の肉を味見するかのように舐め、唇で揺すり、甘噛みする。と、その度にぴくん、  
ぴくんと沙希は跳ね、抑え切れない刺激の受容を伝える。どうやらこの部位への愛撫にはかなり弱い  
らしく、抵抗の意志を示すはずの言葉にもまるで力がこもっていなかった。  
 弱点を攻めるのもいいがもっと色々な反応が見たくなり、尭は唇を耳から離し首筋へもっていく。  
 白い肌に熱い塊が触れる。そのまま子犬がするように、軽く優しく舐めてやった。  
 
「ふぁっ! …だ、駄目です! 尭さ…んんっ!」  
 
 沙希の反応は心なしか、さっきよりも大きく感じられた。一瞬ではあるものの確かに震えが走った  
のが、着物越しにも伝わってくる。  
 
「…何が、駄目なんだ?」  
 
 半暴走状態に近い尭はなんとか我慢して、沙希の言葉に耳を傾ける。  
 
「だ、だって、こんな…わたくしだけ…」  
 
 どうやら自分だけ攻められるのがお気に召さなかった様子である。  
 …いや。  
 それとも、与えられる快楽に戸惑っているのだろうか。  
 もし後者ならば…いや戸惑いを感じているかいないかは分からないが、快楽を感じているのは少な  
くとも間違ってはいなさそうである。それは尭にとって、大変喜ばしいことだった。  
 
「ひゃぁっ」  
 
 ポイントをずらし、今度は耳の裏を撫ぜる。と、沙希は声のトーンをオクターブ上げて鳴いた。耳  
の周辺は本格的に弱いらしい。  
 
「沙希が気持ちいいと、嬉しいから…俺はこれでいい」  
「で、でも、ゃっ」  
 
 意地悪く攻めてやる。ふっと行きを吹くと、沙希は痺れたように硬直した。  
 
「気持ちよく、ない?」  
「そ、それは、ですから…あぁ!」  
 
 まーだ抵抗しますかこの意地っ張りは。  
 そんな意を込めて再び耳たぶを口にくわえる。感度が上昇していたためか、先ほどそうした時より  
も明らかに強い反応があった。  
 
「気持ちいい?」  
 
 沙希の中で、駄目だ、逆らえないという声が強く響いてくる。  
 目の奥が妖しい光を帯びはじめ、表情がより蕩けていく。何かが脳を焼き焦がしているようだ。  
 
「…は、い…気持ち…いい、です…」  
 
 一瞬、尭は声を失った。  
 
――夕飯をご馳走になっている最中は、こんな顔を見ることになるとは夢にも思わなかったな…  
 
「ん…合格」  
 
 内心苦笑した後、とうとう口に出してしまった沙希に、正直に言ったご褒美とでも言わんばかりに  
通算三度目の深い口付けを敢行する。  
 
                     -*-+-*-+-*-  
 
「川上さん、一つご提案が」  
「? 何ですか?」  
「もう夜ですし、今晩はこのままお泊りになりませんか?」  
「え…いや、でも…」  
「ほら、この雨ですし…もし外で何かあったら申し訳が立ちません。ここはどうか…」  
「…そうですね。じゃあ、お言葉に甘えさせて戴いても…」  
「そうですか! ではお部屋の方は後々ご案内致しますので、今暫くくつろいでいて下さ  
いな」  
「お願いします…あれ沙希、どうしたの?」  
「…///」  
 
 そんな会話があったのはたしか夕食が終わる少し前だったと、尭は記憶している。  
 夕食会は屋敷の規模に合わせて、それはもう盛大に執り行われた。  
 もともと主に親類縁者が集まって開催されるものだったのだが…一体どれだけいただろう。百はい  
なかっただろうが五十人はいたかもしれない。  
 それにしてもそれだけの人数が一つの部屋に入ってしまうのだ、水瀬家の本領といったところか。  
 
――今思うと、沙希の親戚の人達が結構こちらを見ていたり、時にはわざわざ挨拶しに来たりしてい  
  たのは、今現在行われてる行為を読んでの事だったのかもしれないのだが――  
 
 それはともかく。  
 食事の内容ははやはり予想を裏切る事なく完全に和食に統一されていて、どこか学校の旅行で行っ  
た京都の旅館を錯覚させられた。  
 何やら想像の及ばない、思わず「これ、何?」と口走ってしまうような、珍味らしき物体のもあっ  
たが、手を付けてみるとこれがどれもこれも口に合う。沙希があらかじめ自分の好みを告げていたの  
だろうかと尭は思った。真偽は知る由もないけれども。  
 それもともかく。  
 問題はその後だった。  
 そう、確かその後会もお開きとなり、雨が強くなったことだし待たされていた部屋に置いた荷物を  
とってお暇しようとしたら、沙希の母・弥生から冒頭のように提案されたのだ。  
 
                     -*-+-*-+-*-  
 
 柔かく滑らかな布団の上に、それよりも抱き心地のよい沙希の肢体を押し倒し、横たえた。  
 明かりさえ消えていない沙希の部屋の中、唇を合わせたままの尭の手が沙希の髪をそっと撫で、指  
をくぐらせ遊ばせた後首から肩へゆっくり流れていく。  
 
「沙希―、っ…」  
 
 もはや一方的ではなくなった相互の口腔愛撫を止めた尭は、覆いかぶさったまま手を鎖骨のあたり  
に置いたところで何かを言いにくそうにする。  
 様々なメディアから溜め込んだ知識のみを武器に散々責めてきた尭だが、やはり今の今まで女の肌  
を知らないできただけのことはあった…いやそうでなくても思わず当惑してしまうかもしれない。  
 たとえ経験者でも、普通一般男性は和服の脱がし方まではわかるまい。  
 どうやって脱がせばいいかを尋ねることも、ましてや脱いでなどと言えるわけもなく、尭は先ほど  
までとは打って変わって硬化してしまった。  
 
 だが手の位置と尭の表情から、言葉を使わなくても沙希はその意を酌んだ。  
 
「わかり…ました」  
 
 了承の意味を込めて、そう告げる。尭のためだ、と意を決したのだ。  
 しかしながら、早く触ってほしいと思ってしまったのも事実で。  
 その考えを抱いた微熱と羞恥に顔を朱に染めながら、沙希は腰を浮かせ、尭の胸に添えていたその  
か細い両手を背に回す。  
 
 布が擦れた。  
 ふと、今までしっかり締められていた帯が緩む。紐解かれたそれは体の正面で交差を外される。  
 朱の顔にさらに紅を湛えながら、腕を引いて袖の中に潜らせ、そしてそのままもぞもぞと動かす。  
 きっと尭にはわからないだろう。和服の下に着る、襦袢の紐をほどいているのだ。  
 ややあって。  
 
「ど…どうぞ」  
 
 沙希は動きを止め腕を袖に残したまま、瞳を濡らしながら蚊の泣くような声で言った。  
 目の前で繰り広げられる光景を半ば茫然と眺めていた尭は、その合図を機に我に帰る。  
 一言も発することができないまま動作不良の機械のように、わずかに肌蹴た衿に手をかける。  
 
 何と言えばいいのか。  
 
 世界最高の宝箱が鍵と一緒に自ら手のひらに乗っかってきた時のような、いやそんなのよりもはる  
かに強く昴ぶり、高揚し、興奮している。そんな心境。  
 尭が確認の意味で目を遣ると、沙希は唇をきゅっと結び目を閉じていた。  
 
「…脱がすよ」  
 
 ようやく返事の分かりきった宣言をして、尭は服を握ったままの両手を左右に分かつ。  
 
 …宝箱の中身は、やはり最高の宝石だった。  
 
 いやどんな宝玉に例えようとしても、それは間違いなく不可能だ。そう尭は確信する。  
 襦袢ごと割り開いたため、袖に隠れた腕を除いた全てが尭の視界に顕わになっていた。  
 
「あき、尭さん、明かりを…!」  
 
 見た目で判断しても相当に豊かとわかる双丘を蒸気のように熱い息とともに上下させながら、沙希  
は今にも絶えてしまうかのような声で懇願する。  
 鮮やかな桃色の先端もそれに合わせて揺れ動き、尭の視線を釘付けにする。周囲の肌色はわずかな  
赤を帯びながら電灯の光を照り返していた。  
 何と綺麗な光景だろう。  
 
「明かりって…沙希の、もっと見たいんだけど」  
 
 中断していた手の移動を再開する。  
 鎖骨の下を、心臓のある側を通り、若くも大きな果実のもとへ。  
 
「んぅっ!」  
 
 隠しきれない悦びに、沙希はわなないた。  
 かなり手に余る柔かな肉は指の間からこぼれて溢れ、そのサイズをいやがおうでも――全然嫌じゃ  
ないのだが――実感させる。  
 手のひらに吸い付くような感触。弾力も相当に強く、押せば柔らかながら確かな抵抗を感じさせ、  
引けば逃がさない、もっと、とでも言わんばかりに追ってくる。  
 
「ぁ…んっ、ぅ…ひぁっ!」  
 
 揉みしだく合間に時折先端を優しく摘んだり、口に含んだり吸ったりしてやると、沙希は面白いよ  
うに反応した。高く外れた声を上げて身をよじり、呼吸を明らかに荒げる。  
 
(…もっと、気持ちよくしてやる)  
 
 もっと沙希を喜ばせてあげたいというのと、更に乱れた沙希が見たいという二つの欲求に導かれ、  
尭の空いた右手は腹を下り、小さくかわいらしい臍を滑らせ…とうとう控え目な茂みへと至った。  
 
「そ、そこは…ひぁ!」  
 
 尭の考えを悟った沙希は驚きと当惑の入り混じった表情を浮かべる。しかし手がそこにたどり着く  
と、電気が通じたような感覚に高く甘い声を上げた。  
 そこは既に、熱い池と化していた。  
 少なめの茂みの根は溢れた露に濡れ、指をスライドさせると粘着質のある音を発した。それは沙希  
に羞恥と期待とを、尭に欲と興奮をもたらす。  
 ぬるぬるとした感触に沙希の体の火照りを感じながら、尭はさらに手を動かしていく。  
 そうして茂みの奥、熱の源泉たる入り口へと到達した。  
 
「ここ…自分で触ったこと、ある?」  
 
 胸への刺激を止める事なく、ゆるゆると指で筋をなぞる。その度に沙希は甘い声を上げ、二カ所  
同時の責めに身悶えた。  
 
「んッ! は、はい…ありま…あっ!」  
 
 沙希は、正直に答えた。  
 抵抗や否定をする気は、もう起きなかった。好きな雄の与える快楽と自分のささやかな意地とを、  
天秤にかける事などできはしなかったのだ。  
 
「指を入れたことは?」  
 
 していて恥ずかしくなるような質問。  
 すんなりとできてしまうのは、目の前で痴態を見せるこの少女に、中毒にでもなっているからなの  
だろうか。  
 
「な、ないっ、です…ひゃぅ!」  
 
 それも事実だった。  
 そもそも沙希が自慰を覚えたのは、ちょうど高校一年の、去年の夏頃。  
 体育で女子の水泳の授業があった日、誰かが飛び込んだ時の水泡が当たった…水着越しにも確かに  
感じたあの妙な感覚は、今思えば当然快感だと言いきれる。  
 その夜、沙希は感じた心地良さを手繰り寄せるように、その場所に手を延ばし、擦り、達した。  
 以来どうしても熱を持て余した時にのみ、ということで週に二度、あるいは一度だけ、疼きを収め  
るべく身体を慰めてきたのだが――  
 尭の存在はそれすらも変えてしまった。  
 尭に惚れて以来、する時には必ず彼の顔が浮ぶようになった。  
 尭を思い浮かべての自己愛撫は格別に気持ち良かった。回数は明白に増加し、一晩で複数回達する  
ことも一度や二度ではなくなった。  
 自分の指を彼のそれに見立てて、身体を責める恋しさと切なさを抑えることができずにいろいろな  
所を触り、まさぐって慰めた。初めてその意図を持って揉みほぐした胸は僅か一週間で完全な性感帯  
として機能し始めたし、擬似的な彼の指に擦り上げられて、悦びの余り吐き出す蜜の量はおびただし  
いものになった。  
 どうしても自分の指では満たされないときには、枕に手が伸びた。涙以外で、枕が濡れた。  
 しかし雌としての肉体は満足しても、心が満たされず行為の後で不意に切なさが襲ってくることが  
ある。そんな日はもう一度、より一層激しく自分の身を掻き抱いた。  
 物欲しさに突き動かされ、濡れた瞳に浮かぶ幻の、クラスが同じになって初めて知った名を呼びな  
がら果てたことすらあった。  
 
 それでも恐くて、指だけは入れたことがなかった。  
 
「楽にして」  
 
 初めて入る異物が何であるか、それを考えるだけで身体が熱く悦んでいたのに。  
 
「あ、ああぁッ!!」  
 
 飲み込んだ瞬間には、達してしまっていた。  
 ひくひくと震えていた肉壁の襞は、待ち望んだ者の来訪に対し急激かつ強烈な締め付けで応える。  
 どろどろに溶けた鉄でできた万力で挟まれているような、そんな強力な挟み込みに尭は昴ぶりとと  
もに嬉しさを感じた。自分の愛撫が確かに沙希を喜ばせていたことの証を得たような気がして、更に  
愛しさを募らせる。  
 沙希の喜びも、並大抵でなかった。  
 歓喜を全身が表現し、局部は尭の手をはしたなく汚してしまう。何ヶ月も待っていた物がようやく  
与えられ、切なさからではなく沙希の眼は濡れていた。  
 
「…イッた?」  
 
 長きに渡る締め付けがようやく弛緩すると、尭はわかりきった事を尋ねる。  
 
「は…ぁっ……は、はい…」  
 
 口まわりを唾液で濡らした沙希らしくない陶然とした表情で答える。  
 
「…」  
 
 情欲をそそられる。  
 
「! ゃぁ! ぁ、ぁ、ぁ…!」  
 
 無言のまま、指を浅く抜き挿しし始めた。  
 
「やっ! こ、こんな…! らっ、だめっ…れす、これじゃ、あっ、あきら、さんが!」  
 
 沙希は半分呂律の回らない口で訴える。  
 『契り』とは想う殿方に身体で快楽を提供し、楽しませるものであると、そう母から教わった。  
 沙希もそう思ってきたし、だからこそ母にも、尭を楽しませるつもりで閨の技の教えを乞うた。  
 そこに自分の快楽を追求する余地はなかったはず。なのに今、自分だけがそれを与えられている。  
 それは確かに悦びであるのだが、しかし性交渉の持つ快感はほとんど全てを男性が享受すべきと信  
じる沙希は、このままではいけないと思い最後の理性で訴えた。  
 快感が自分でする時の比ではない。このままだと理性が焼き切れ、本能のみの獣になってしまう…  
押し流されそうな思考で、沙希は瞬間的にそう悟っていたのだ。  
 
「俺は…後でいい。痛い思いするのは沙希だけなんだから」  
 
 しかしながら、尭は聞く耳を持たない。  
 相変わらずはちきれんばかりに指からこぼれる胸を口と余った手で弄ぶ。  
 と同時に、処女であることを尭なりに気遣った浅めの、しかし確実に快楽を刻む速度の動きで陰部  
を掻き混ぜ、絡み付き誘う肉の壁を擦る。  
 沙希の体中はマグマのように熱く、そしてきゅっ、きゅっと断続的に締め付けてきた。このまま中  
に自分の性器を入れたら、きっと天上の快楽を味わうことになるだろうと尭は確信する。  
 
 …ここで断っておくが、尭に性行為の経験は無い。  
 いかに知識があろうとも、どうあがこうと完膚無きまでに女性の肌に触れたことがない。  
 正真正銘の童貞である。  
 だが尭は内心で、今まで保ってきた、少なくともそう信じてきた自分の貞操を疑いはじめていた。  
 過去の口腔責めも耳責めも、そして現在進行中である両胸・性器への三ヶ所同時責めも、当然今ま  
でに実践の機会があったわけでは全くない。  
 なのにどうして、こんなにまですんなりと沙希に絶頂を与えられ、自分の欲求を鋼の意志で押さえ  
込むことができるのだろうか。  
 そう思うと、珍妙な考えが頭にうかんできた。  
 実は経験があって悪の(悪?)組織に薬で記憶を消されているとか、沙希の身体に媚薬効果の魔法  
がかかっていて行為に及ぶ異性から性戯の潜在能力を引き出しているとか、実は夕食の中に精力剤や  
らナニやらが入っていたとか…  
 
(…)  
 
 実際珍味としか言えぬようなものを食べているだけあって否定できないことに気付き、尭はそんな  
はずはないと焦りながらその考えを振り払う。  
 それとも…単に自分が究極のアルティメットエロスなだけなのか。  
 
(…何と言うか…)  
 
 もしそうなら喜ぶべきか、やれやれと言うべきか。…いやいい事なのだけれど、結構複雑である。  
 
「で、でもそれでは、あきらさんが…あッ! ふああぁッ!!」  
 
 この期に及んでまだ口答えする沙希に、尭はそんな思考を他所にお仕置きの制裁措置を採る。  
 沙希は鳴いた。尭が差し込んだままの指を、内部を広げるように折ったのだ。  
 また達してしまった沙希はびくんびくんと爪先まで痙攣し、泉の奥からさらなる蜜をこんこんと湧  
き出す。再び膣内がきつく締まり、腰から全身が悦びにうち震える。  
 
「ぁ、はっ…ふ…ふ、うっ…」  
 
 ふつふつと理性の糸が切れる音を、沙希は聞いた気がした。  
 もう駄目だ。快楽から逃げられない。何より、我慢したくない。  
 沙希は悟り、受け入れる。  
 
「だから、今気持ちよくなっとかないと…それとも、嫌?」  
 
 そんなことは絶対にありえない。  
 尭がまだ沙希を知らない時から、数ヵ月、ずっと待っていた。ずっと、ずっと欲しかったのだ。  
 妖精の唄よりも高く、花の蜜よりも甘い声が、瞳を潤ませた沙希から自然と発せられる。  
 
「…い、いやじゃ、ないれす…もっと…もっと、してくらさい…」  
 
 もう呂律が回っていない。  
 
「…よしきた」  
 
 魅力的すぎる。  
 やはり中毒になっているのかもしれない。  
 脳のほとんどを灼かれつつある尭は内心そう苦笑し、要望に応えて指を速めた。  
 
「ぁっ、そ、そんな、いきな…ゃっ! ぃ、やぁッ!」  
 
 いやと言いつつも、沙希の歓喜は隠しようがなかった。  
 体は正直だ。気持ちよければ相手にそれだけを訴え、肉の悦びは顔に表れて全身を震わせる。  
 
「ふあ、あッ! やっ、も、もう、わたくしっ…ひぅ!」  
 
 感度が上がりきっていたため、沙希はあっという間に快楽の頂点へと押し上げられてしまう。  
 かわいらしく喘ぐ沙希。自分に痴態を見せてくれる沙希に絶頂を与えるべく、尭は親指をある場所  
に向かわせる。  
 
「沙希、…大好き」  
 
 肉の芽を押し、擦った。  
 
「やっ! あ、…ひあああっ…!!」  
 
 大好きな男に最も敏感な部分を触られて、沙希の中で何かが弾けた。  
 無意識のうちに腕を尭の首に絡め、勢いよく愛液を吐き出しながら、膣で尭を抱擁する。噴出は  
しばらく衰えることなく続き、沙希はその度に身体を強張らせる。  
 
「あ…あぁ、あ…ぁ…」  
 
 沙希は締め付けの連続に合わせて喘ぎ、だらしなく開いた口も下の口と同じく液体で汚れていく。  
 
(あ、熱い…)  
 
 どろどろの沙希のそこは、そろそろ尭の理性をも奪い始めていた。  
 
 確かに感じた熱は沙希のものなのか、それとも自分の中から生まれているのか。その区別すらはっ  
きりしなくなってきている。  
 
「沙希…」  
 
 余韻に浸っていた沙希を、そういう意味をこめて呼ぶ。  
 膝立ちになって借りていた浴衣の帯を解き、限界までそそり立つ己の肉槍を外気に晒す。  
 
「ぇ…? ぁ…こ、こんな…大きい…」  
 
 想像を超える姿に、沙希は思わず率直な感想を漏らしていた。  
 黒い茂みから真っ直ぐに硬くそびえ立つ、太く長い肉の剣。その先端には茸の傘のような桃色の肉  
塊が乗っている。  
 異形とも言える尭の大切な場所を視界に収め、沙希は尭が自分を呼んだ時に語気に込めた意味を理  
解した。  
 そして、それは沙希自身の渇望を満たすことのできる唯一の手段であった。  
 
「さ、さき……って、沙希!?」  
 
 欲しい。一つになりたい。  
 その願望に支配された沙希からは、理性などとうの昔に消えうせていた。  
 仰向けになった沙希は、腹を見せる小さな犬のように、またはひっくり返ったカエルのように足を  
浮かせ、折って広げ、アルファベットのエムの字に開脚する。  
 そうしてそのまま今度は、両手の指を秘所に添え…拡げる。  
 露に塗れた美しい桃色の花が、鮮烈にも尭の眼に飛び込み、激しい劣情を誘う。  
 倉にあった艶書で読んだのと同じ、この上なくしどけない、いやらしい格好。それが潜在意識下に  
あったからの行動なのだが、沙希は気付いていなかった。ただそれは確実に雄を誘う、本能を剥き出  
しにした雌の姿であり、どうしても我慢できなくなった沙希が一時だけ恥じらいを脱ぎ捨てることで  
ようやくできたことだった。  
 
「…お願いです、は、早く、あきらさんを…、くださいっ…!」  
 
 完璧に骨抜きにされた沙希のはしたないおねだりに、尭はとうとう、我慢に我慢を重ねてきた欲望  
を解き放つことにした。  
 

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