六時間目のチャイムが鳴った。
俺はすぐに下校の支度を始めた。友達の香恵と一緒に帰るからだ。
「隼人ー、まだですかー?」
「分かったって、すぐ行くよ!」
俺は今高校二年生。まあ……いわゆる年頃って奴だろう。
毎日女の子と一緒に帰るので、いつも男子には茶化される。
「おい隼人、また今日もお出迎えか?」
「ホンットに色男ですのぉ〜〜」
「違うってそんなんじゃねえっつの!」
香恵とは小学校時代からの友達だ。恋人とかでは全然ない。
単に同じ団地に住んでいて、両親同士の交流も深かった。それだけの話。
ただ、縁が切れるようなきっかけもなかった。この一緒に登下校するのも小学校時代の名残である。
香恵は、いつも強気な女の子だ。
登下校も、俺を引っ張ってどんどん歩いて行くし、口げんかでもいつも彼女が勝っている。
俺のことを何のためらいもなくひっぱたくし、とにかく彼女の気迫には圧倒されるばかりだ。
二人で学校を出る。
「さーて、今日はどの道で行きましょうかねー?」
登下校のルートはいつも彼女が決めている。それも昔からのことだった。
「……あのさ」
「んー?何か文句でもあるんですか?」
何か言おうとするとすぐこの喧嘩腰だから困る。俺は少し語調を弱めて言った。
「いつも思うんだけどさ、このしゃべり方ってどうにかならないの?」
「は?」
危ない。彼女の顔があからさまに怖い。でも、もう後には引けない。
「だ…だってさ、いつもそんな語尾でさ、恥ずかしく……」
「なんですって!」
俺が言い終わらない内に、いきなり彼女は俺の顔にビンタを喰らわした。
強烈な痛みが右頬を襲う。あらかじめ覚悟はしていたものの、やはり痛い。
普通人が人を殴る時、ある程度加減してやりそうなものを、彼女はそれを全くやらない。
「このしゃべり方はですね、ずっと昔から癖になってますし、直らないんです!
何年も一緒にいるのに今更聞かないで下さい!」
そう、香恵とは何年も一緒にいる。しかし、やはり慣れない。
香恵の語尾はかなり変だ。敬語でもあるまいし「です」「ます」を使う。
実際こんな人がいたら不気味なモノだ。同性である女子には尚更であろう。
そんな変なところがあっても、彼女はそれを元にいじめられたりするようなことは無かった。
やはり、そこは彼女の強さなのだろう。
「今日はこの山を通って行きましょう!」
香恵はスギの木に包まれた小高い山を指さした。
懐かしい裏山。よくあの山に登ってセミとかを獲って遊んだものだ。
「でも……ちょっとしんどくないコレ?」
「そんなことばっかし言ってるとまた体育2ですよ!ほら、しゃきしゃき登ります!」
彼女は俺を置いて先に行ってしまった。
「悪かったな運動神経ゼロで!」
しょうがないから俺も付いて行く。
高校生になってからは一度も登ったことがなかったが、また登ることになるとは。
香恵はどんどん登っていく。俺は走って追いかけなければならなかった。
山の中には、子供の姿は見当たらなかった。
8月、夏の真っ盛りだというのに。最近の子供達は外では遊ばないのだろうか。
山のちょうど真ん中くらいまで登ったところで、不意に香恵は足を止めた。
「よし!誰もいないですね!」
と言って、香恵は俺の方に向き直った。俺は何が何だか分からなかった。
「今日は隼人に質問があります!」
「え?何だよそれ」
香恵は大きく息を吸い込んで言った。
「隼人には私以外の女の子はいますか?」
いきなりそんなことを聞かれて、俺は動揺してしまった。
確かに、俺には特別コレといった女友達はいないし、いるとすれば、今目の前にいる……。
って違う。そんな間柄じゃないっつーの!
「ないからどうしたんだよ」
「あらら〜それは男として何ともみっともないですね」
「うっせーよ手前に言われる筋合いは……」
と言ったところで、俺は腕で顔をガードした。また香恵に殴られる。そう感づいたからだ。
しばらくの間、俺はそのままでいた。一日に二発も喰らいたくはない。
が、香恵は殴って来ることはなかった。俺はおそるおそる腕をのけた。
すると驚いたことに、香恵は制服を脱ぎ始めていた!
上着を脱ぎ、すっとした体のラインが現れていた。今ちょうどスカートに手をかけている。
「お、おい!何のマネだよちょっと待てよ、待て待て待て待て待て!」
俺が驚いて叫んだが、彼女は脱ぐのを止めようとしない。彼女は上下とも下着姿になった。
「だめですよー隼人、そんな大声出したら見つかっちゃいますから」
いや見つかるとか以前に、男の前で着ていたモノを脱ぐとかって、一般常識ではあり得ないっていうか……!
まだ香恵の脱衣は止まらない。俺が何も出来ずただ驚いているのを尻目に、とうとう全裸の姿になった。
「今日はですね、隼人くんに色々教えてあげたいと思ったんですよー」
は、色々……?
「ちょ、ちょっと待てよ本当に!俺はお前と何かやりたいとは一度も思ってないし、それに」
「本当にそうですか?じゃあちょっと体に聞いてみましょうねー」
と、香恵は俺の元に迫ってきた。普段通り、何のためらいもなく。
危ない。この状況は危ない。逃げなきゃ……。
しかし、こういう時に限って男は弱い。腰を抜かしてしまって歩くことも出来なくなってしまった。
とうとう香恵は俺のすぐそこに来て、
「ほらほら、今からやりますから!」
なんつって、俺のズボンのベルトを外し始めた。
俺はこの状況の中で必死の抵抗をした。暴れまくった。
しかし、腰が抜けてしまった状態で何をしても、香恵にとっては魚がピチピチ跳ねているのと一緒だった。
とうとうズボンを脱がされた。そればかりでなく、その下にある最後の砦まで。
俺は女の前で初めて自分の突起物を晒してしまった。
年頃の女の子の裸体を前にしているのだ。当然、俺のモノは固く反り返っていた。
「ほーらスッゴイ大きい、やっぱり体は正直ですねー」
「しょうがないだろそんな……男なんだからさ」
「そうですね、男ですからやってしまいましょう!」
だから、そういう訳にはいかないって!
俺は、香恵の体から必死に目を反らそうとした。自分の興奮を静めるためだ。
が、それは出来なかった。普段は彼女から色気なんか感じたこともないというのに、
どうしても目線が香恵の体に向いてしまう。まるで見えない引力が働いているかのように。
「さて、やりますか!」
香恵はいきなり俺の突起物をつかみ、握った手を上下させ始めた。
もう俺は観念した。もう何もなすすべなく、無言でただ興奮を感じていた。
意外にも優しい手つきだった。珍しい気遣いであった。俺一人でやる時より刺激ははるかに弱い。
しかし、目の前にいる異性に対してやられると、一度辺りの精神的興奮は相当なものだ。
段々と、極限は近づいてきていた。
「あとちょっと、あとちょっと……」
香恵は根気よくしごいていく。段々と液が登っていくのが分かる。
「香恵、とうとう出ちゃうよこれ!」
「いいですよー、ぜんっぜんお構いなく!」
「ぐっ、ぐっ、ぐわああああああああああああっ!!!」
真っ白の白濁液がどっと吹き出る。まるで水鉄砲のようだ。
彼女の体にもその鉄砲が命中した。しかも、ほとんどの液が。
その濡れ方たるや、俺が普段一人でやる時の想像を遙かに超えていた。まさか、こんなに出るものだとは。
「ぬ、濡れちゃってるけど……」
「私は良いですから、隼人の方きれーにしてあげますよー」
香恵は俺のあそこを自分の口でくわえ、じっくりと舐め始めた。
最初は上の方からちびちびと、徐々に大きく加え始め、香恵は上手に舌を使って、俺をもてあそんだ。
香恵がこんなことを知っていたとは思わなかった。しかも上手い。
俺の突起物はいつの間にか元通りになっていた。
「よし、今度は隼人が私にやる番です」
「い、今何と?」
「『隼人が私にやる番』。だって、隼人ばかりが楽しくしてるのはずるいです」
香恵の目は本気だった。
お前がやり始めたことだろうに。思ったが、口が裂けても言えなかった。
香恵は俺の横にあおむけの状態で転がった。やれという意味だ。
そして、自分の胸のふくらみを指さした。
女の子の胸をやれ、だと?俺は自分の目を疑い、香恵の顔の方を向いた。
「本当……に?」
香恵は何も答えなかった代わりに、俺の方をじっと見つめた。いつもとは違う、力の抜けた目で。
誘っているんだ。一瞬、体に軽く電気が突き抜けたような気がした。
改めて香恵の胸に目を戻して、よく見てみた。
あまり大きくはないものの、形としてはよく、逆にそれが体の曲線美を綺麗にしているように思えた。
よくよく考えれば、こんなことやるなんて変態だ。だが、今の俺はそういうことを考えられる余裕はなかった。
俺はおそるおそる、彼女の胸を揉み始めた。
「あっ、痛……」
突然、香恵が苦しそうな声を上げた。俺は少しばかり躊躇し、手を止めた。
「痛かった?」
「あなたの番の時に言ったはずです!私のことはいいから、さっさとやって下さいって!」
そんなことを言われたって、やはり痛い痛い言ってる人をやる気にはなれない。
俺は少しばかり理性を取り戻し、手を戻した。
「やっぱり……、止めよう」
しかし、俺の言うことに素直に従う香恵ではない。
ちょっとの間固まっていたが、香恵は目をつり上げて言った。
「全く、隼人のヘタレっぷりもいい加減にして貰いたいですね!」
「な、なんだってー!!」
「男ならもっと欲望のままに動くんです!それを何、『やっぱり……、止めよう』?
もう、こうなったら……こうしてやりますよ!」
突然俺は押し倒され、目の前が真っ暗になった。
「こうなったら止められないはずです!」
香恵は自信たっぷりに言い放った。どうやら、俺の顔のところがちょうど香恵の乳房の間に来ているようだ。
いきなり胸を押しつけられ、息苦しいのと彼女の出す汗を感じるのとで俺の理性は再び失われた。
俺は、自分の口に当たっているモノを舐め始めた。
くちゅ、じゅる、ずずっ、くちゅっ、
「痛……、いや、ぜひ続けて下さい」
今度はもう止めることはなかった。ただ、俺は自分の舌で香恵の胸の感覚を味わっていた。
若干薄い気がするけど、おっぱいってこんなに暖くてやわらかいものだったっけ。
香恵のあえぐ声も聞こえてきて、ますます俺は欲望に溶け込んでいった。
「女の子はですね、んっ!嫌がったような声を上げても、あんっ!
本当は好きなことの裏返しなんですっ、んああっ!!」
彼女は苦しさの中叫んだ。
待てよ……?んじゃ俺への今までの態度も、好きなことの裏返しだって言うのか?
今度は、香恵は俺の右手を取って、彼女の足の線に沿って滑らせていく。
右手は彼女の太ももを徐々に登っていき、やがて、その出発点へと導いた。
「いじって……、」
香恵は、いつもの語尾「下さい」が言えない。相当感じている様子だ。
もうすっかり理性を失っていた俺は、こう思っていた。
これ以上感じることはあるのか、と。
指を割れ目の中に入れてみた。
「うわっ、ああああっ!!」
しめた。予想以上の反応ではないか。その指を今度は回してみる。
「あっ、待ってく、ああああああああっっ!!!」
すごい。すっかり俺は夢中になっていた。遊びだった。
「ああああっ!!くゎっ!あっ!あっ!いやあああああ!!!」
色んな回し方、素早い抜き差し。色々試してみた。
今や香恵の悲鳴は気にならないどころか快感でもあった。
香恵の叫びが突然激しくなってきた。どうやら来たみたいだ。
さっきのお返しに言ってやった。
「気にしないで一気にやってね!」
素早く、前後に抜き差し。
「あ――――」
最早、声にもならなかった悲鳴と共に、香恵は己の愛液を噴き上げた。
しばらく香恵は力無く横たわっていたが、いきなり、俺に向かって言い放った。
「とうとう、ですよ!」
そう言うと、香恵は俺の体をぎゅっと抱きしめ、一気に上下をひっくり返した。
つまり、俺が上、香恵が下にいるのだ。
このシチュエーション。やるべきことは決まっている。
「今度はさっきまでとは違いますから、一応許可貰います。……いいですか?」
香恵はまた急に目の力を抜いた。もう吸い込まれそうな瞳だ。
ここまで誘ってといて……断る訳がない。
「やるよ」
俺は香恵の体を抱きしめた。意外なことに、彼女の体は俺より細かった。
いつも見せない弱弱しい体。だからこそなお、俺は出来る限り腕に力を込めた。
そして、後は自分の触感に従い、香恵の中を探っていった。
ズブズブズブ……。まるで本当にそういう音が聞こえるかのように、俺は香恵の中に入っていった。
「……」
香恵は何も言うことがなかった。言葉に表せない快感。遂にそこまでに到達したのだ。
半分くらいのところまで入れた。ここから先は、本当に一線を越えることになる。
俺は決心をつけ、彼女の膣の奥底まで一気に入れ込んでいった。
「う、うわあああああああああああああああ!!!」
「こ、これは……」
香恵の足根の間からは、赤い液体がどくどくと垂れていた。破ったのだ。
俺はしばらくこの様子に見とれて、何も出来なかった。すると待ちきれなくなった香恵が、
「どうしたの!さっさとやって下さいよ!」
と言って、俺をいっそう強く抱いた。いや、むしろ絞めた。
「くっ……ゲホゲホ、分かったよ、ごめん!」
八月の暑い日。汗がお互いの裸をびしょびしょに濡らしている。
腕はお互いの体をきつくつなぎ止め、脚はお互いの本能のままに暴れ回っていた。
もう俺は、ここが裏山だとか、人に見られるかも知れないとか、そういう余計なことは考えることが出来なかった。
ただ、俺は香恵の全てを味わっていた。
情熱的に動く脚線美、熱い抱擁、香恵の中の感触。
何もかもが気持ちよかった。
俺は、ただひたすら腰を上下させる。その度に彼女は大きな悲鳴を上げる。
「ぬううっ!ぬううっ!あんんっ!ぐううっ!はわあっ!」
叫び声には色んなバリエーションがあるらしく、それに俺はなおいっそう魅せられていった。
より激しく、より強く――。限界が近づいていたが、スピードが緩まることはなかった。
ただ、本能のままに腰を上下に動かした。
とうとう来るべき時が来たようだ。
「香恵、出そうだよ!!」
「隼人、一気にやっちゃって下さ……」
ドピュッ!ドピュッ!ビュッ!
「ぐ、ぐわぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」
「あ、ぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」
お互い、精一杯のものを出し合った。
「好きです……」香恵が言った。
「うん、こっちも……」俺も答えた。
俺は最後の力で、香恵とキスをした。柔らかくて、しっとりとしていた。
お互い、そのまま力尽き果てた。
その後
もうすっかり夕暮れの空の下、俺を香恵は山を下った。
「分かっていますよね」
「え?何が?」
突然、香恵は俺の頭を引っぱたいた。今日はこれで二回目か……
「言わなくたって分かるでしょ?ホンットに隼人は鈍感ですね!
いいですか、今日あったことはナ・イ・ショ!恥ずかしいったらありゃしませんよ!」
やれやれ……、頭の中がグラグラいってどうしようもない。
まだまだ彼女は俺を嫌がってくれそうだ。
END