夜が明けて・・・いつものように、TVでよく見る美人タレントを抱いていた俺は、
いつものように、けたたましい金属音で叩き起こされた。
「なんで、いつもいい所で夢から覚めますかねえ・・・」
そんな事をぼやきながら、布団から手だけを出して目覚ましを止める。
目の前に浮かぶボロアパートの天井に、夢で見たスイートルームのそれを重ねため息を吐く。
そして俺は、夢から覚めてもなお快感の続く、俺の股間に目をむけた。
そこにあるのはむっくりと膨らんだ、人一人分くらいの大きさの膨らみ。
それを見て、俺はもう一度盛大な溜息を吐く。そして、おもむろに布団を剥ぎ取った。
ズボンを脱がされ剥き出しになっていた下半身が、朝の健やかな空気に晒される。
「朝っぱらから、何してやがる」
大きくそそり立ったものを横目に見ながら、俺は傍らに除けられた布団にむけて文句を言う。
「うう、いわゆるナニですけ・・・はぶ!」
俺の疑問に答える少女の声・・・とりあえず、下ネタを言われるのは嫌いなので、布団をグーで殴る。
その一撃を受けて、俺のものを舐めていた少女――正確には布団だが――は沈黙した。
そう、俺が今まで被っていた布団。それには何故か、女の子がくっついていた。
思えば、リサイクルショップで見かけた時から、曰くありげな雰囲気はしていたのだ。
馬鹿みたいに安い値段で手に入れて、意気揚揚と部屋に持ちかえって、袋から引きずり出した途端、
「あの・・・ふつつかものですが、よろしくお願いします・・・」
と、布団の中から出てきた、少女の顔に言われたときには、泣きたくなったものだ。
・・・もっとも、一見すると気ぐるみのようにしか見えないのだが・・・
「ひどいですよ・・・いつも、素敵な夢を見せてあげてるのに・・・」
「毎度毎度、いざ本番ってとこで終わるけどな!」
そう言って、畳の上に正座する布団という、とてつもなくシュールなそれをもう一発グーで殴る。
彼女の能力―好きな夢を見せる事ができるという能力を聞かされ、
俺は彼女の返品を取りやめたのだが・・・
「まったく、いい女を抱く夢って頼んだら、一度だって、まともに夢を見れたためしはないし・・・
起きたら起きたで、夢の褒美だとか言って、スタミナが尽きるまで搾り取られるし・・・」
「そ、それは・・・」
そう、彼女が能力を使用する為には、人間の精気を吸う必要があるらしく・・・
朝起きるたびに少女を抱く羽目になった俺は、ここ一週間の間に、何度か講義を自主休講していた。
「大体さ・・・金持ちになる夢とか美味しい物を食べる夢だったら大丈夫なのに、
なんで、いい女だと最後まで見れなかったりするんだよ・・・」
俺のぼやきに、少女は顔を俯かせる。
「だって・・・だって、貴方が他の女の人を抱くのが・・・その、嫌っていうか・・・」
そう言って、もじもじと畳にのの字を書く少女。
俺は三度目の盛大な溜息を吐き、少女を押し倒した・・・どうやら今日も自主休講のようだ。