「エカ様〜、ちょっとまってくださ〜い!」 
 僕が声をかけるとエカ様が足を止め、振り向いて待ってくれる。城を出てからもう十何回も同じ事を繰り返してるけど、エカ様はそのたびに待っていてくれる。 
「ん」 
 僕が追いついてきたのを待って、またエカ様が歩き出す。 
 エカ様の歩みはとてもゆったりに見えるけど、僕とは歩幅が違いすぎるので結果的に遅れてしまう。 
 僕はブラウン。ヒト奴隷だ。そして僕の前を歩いている方が僕の御主人様。シロクマの国の第三公女にあらせらるエカテリーナ様だ。 
 12歳のただのヒトの僕と、成人したシロクマの中でもひときわ背の高いエカ様が並んで歩くのは相当無理があるとみんなが言う。けれどエカ様は馬に乗るのを嫌がるし、エカ様が歩いているのに僕が馬に乗るわけにも行かないので結局こうなる。 
 背中に背負ったお弁当がなければもっと早く歩けるんだろうけども流石にエカ様に持たせるわけにはいかない。ただでさえ画材道具はエカ様が持ってるわけだし。 
 厳寒の大陸北方にあるシロクマの国にも、短いけれども春は来る。今日は城の近くにも雪割草が咲き始めたという話をきいたエカ様がそれをスケッチに行くことに決めたのだった。 
 街と城をつなぐ道を脇にそれて小川沿いを山の方にてくてく歩く。ここら辺は王家の狩り場で道も整備されてるので歩くのにそれほど不便はない。そこかしこにちらりほらりと雪割草が生えているけど、エカ様のお目にかなう物はなかなかないらしく一瞥し首を傾げては先に進む。 
「だめですか」 
「ん」 
 肯定の返事。雪割草が生えているのを見るたびに足を止めて考えるので置いていかれることはないけども、どんどんと山の奥にいくのは正直不安だ。 
 そんなふうにずるずると川沿いの道を山の中に入っていくこと数十分。岩肌に生えた苔と寄り添うように咲く雪割草にエカ様は目をつけた。画板を組み立て、黒炭でスケッチを始める。 
 しばらくそのまま川のせせらぎの音と黒炭がキャンパスをひっかく音が続く。そろそろだと思ったので、僕はリュックから魔法瓶を取り出した。 
「ラウ、お茶」 
「はい、エカ様」 
 火の呪文が刻み込んである猫の国製の魔法瓶から熱いお茶をホーローのマグカップに注ぐ。濃いめの紅茶にたっぷりと混ぜたスノウベリージャムの香りが広がった。 
 カップを受け取ったエカ様は、はふはふとお茶を冷ましつつスケッチをする手は止めない。かなりの集中具合なので、お昼前にはスケッチは終わるだろう。 
 そのあと、二回お茶のおかわりをしてスケッチは完成した。キャンパスの角度を二、三回変えてみてエカ様が頷く。満足の出来みたいだ。 
 頃合いを見計らってお弁当を広げ始めるとエカ様は何も言わずに僕の隣に座った。エカ様のお腹が、きゅうと音を立てる。 
「はい、エカ様の分です」 
「ん」 
 どことなく嬉しそうな声音で特大の・・・・・・実にリュックの中身の4分の3を占めていたお弁当箱を受け取る。僕もお弁当箱を取り出した。ついでにコートの胸元から聖印も取り出す。 
「いと高き所にあらせられます我らの主よ。今日の恵みを感謝します。この祈りがあなたの所に届きますように。かくあれかし」 
「まむむむまみ」 
 サンドイッチをほおばったままお祈りの言葉を口にするエカ様。 
「エカ様ー!!お祈りの前に食べちゃダメでしょー!!」 
「ん」 
 僕が叱ってもエカ様は無表情にもぐもぐするだけ。ちっとも気にしてないみたい。 
「むー。侍従長の前ではやらないのにー」 
 僕がお説教しても聞いてくれないのは、やっぱり僕がちっちゃいからだろうか。ああ、神様。お金も彼女もいりませんから僕にも少し背を下さい。 
 そんな悩みを抱えた僕の頭に大きな手が乗せられた。 
「ん」 
「そうですね、まだ成長期ですから・・・・・・って、エカ様が慰めないで下さいよー!!」 
「ん」 
 僕の抗議も涼しい顔で受け流しエカ様はサンドイッチをほおばった。 
 しばし黙々とご飯を食べる。時折エカ様が差し出すカップにお茶を注いだりするけど基本的に無言。これはエカ様が無口なのもあるけど、それ以上に食べるのに集中してるから。 
 だから僕がそれに先に気がついた。 
 先にお弁当を食べ終えた僕がふと対岸に目を向けると・・・・・・灰色熊と目があった。あってしまった。 
 どうしよう。 
 その時期に穴から出てくる熊は冬ごもりの空腹に耐えかねてるから出てくるわけで、即ち例外なく腹ペコなわけで。で、灰色熊さんは人間も食べちゃうわけで。 
 あ、熊さんが笑った。 
 と同時にこっちに向かってまっしぐら!! 
「エ、エカ様ーっ!!」 
 腰が抜ける以前に逃げると言うことにすら考えが及ばない。熊さんは狼狽える僕を嘲笑うかのように一気に川を走り抜けて僕たちに跳びかかる。おっきな鉤爪のついた太い腕が振り下ろされそうになって・・・・・・。 
 いきなり熊さんは仰向けに倒れた。 
 いつのまにかエカ様が右手でサンドイッチを食べながら、左手を前に突き出していた。 
 もむもむと最後の一切れを口の中に詰め込みエカ様が立ち上がる。熊さんも何が起こったのか理解できないようで仰向けのままきょとんとしていた。 
 その間にエカ様は手近に生えていた木を何気なく引き抜いた。 
 木。 
 この辺の森に良く生えている、ごく一般的なもみの木。それの具合を確かめるようにエカ様が軽く振ると、枝につもっていた雪が散らばった。 
 普段見る機会がないから忘れがちになるけど、エカ様はすごい力持ちだ。いや、すごいというか非常識。猫の国にはすごく強い武人の姫様がいるそうだけど、単純な腕力ではエカ様は大陸一じゃないかなと思う。シロクマの騎士団には石を握って砕く人はたくさんいたけど、砂を握って石にできる人はエカ様以外に知らない。 
 仰向けにひっくり返った熊さんも、ようやく目の前の光景の意味を理解したらしく、仰向けのまま後ずさる。そのまま熊さんが川の中まで入った時、エカ様が木を大上段に振りかぶった。 
「えい」 
 軽いかけ声と共にエカ様が木を振り下ろす。一瞬早く熊さんが横に転がって避ける。川面に丸太が叩きつけられ爆発したみたいに水しぶきが上がった。 
 その水しぶきが全て落ちる前に熊さんは泡を食って逃げ出した。雨のようなしぶきが収まった後、そこに残っているのは川底をえぐられた川とそこに突き刺さりへし折れたもみの木。そしてずぶぬれになったエカ様だった。 
「・・・・・・寒い」 
 
「もー!!後先考えて行動して下さいって、いつも言ってるでしょー!!」 
「ラウ、危なかった」 
「だからってエカ様が風邪引く理由にはならないでしょー!!」 
 あの後、大急ぎで管理人の山小屋に避難して、火をおこしてやっと一息。エカ様の服は暖炉で乾かしてる所なので、エカ様は裸で毛布にくるまってぬくぬくしていた。 
 春先で今日は晴れているとはいえ、濡れた服なんか着てたら命に関わる。近くの山小屋を思い出せてホントに良かった。 
「エカ様のお優しさは嬉しい限りですけど、ちゃんとご自身のこともお気にかけて下さい」 
「・・・・・・」 
「エカ様!」 
「ん」 
「まったく、もう・・・・・・」 
 『反省してないけど、とりあえず納得した振りしておけ』感ばりばりの返事に思わずため息がでる。やっぱり身長が足りないから説得力が足りないのかなあ。 
 エカ様が何喰わぬ顔でお茶を啜っているのを背中越しに見ながら濡れたセーターの様子をみる。まだ大分かかりそうだ。 
「ラウ、おかわり」 
「はい」 
 差し出されたマグカップにお茶を注ぐ。注ぎ終わった所で腕を掴まれた。 
「え?」 
 僕が何かする前に、エカ様がひょいっと僕を持ち上げる。なすすべもなく、僕はエカ様の膝の上に乗っけられた。 
「ぬく」 
 女の子がぬいぐるみを抱きかかえるみたいにされてしまう。向かい合う形だから、僕の顔にエカ様のおっきな胸が当たっちゃう。 
 僕は、ヒト奴隷としてこの世界で生まれて、その、必要なことは一通り教育を受けているわけで。そのなかには当然Hの事も含まれてるわけで・・・・・・。 
 う〜〜〜。普通なら誘ってるってシチュエーションなんだけど、エカ様の場合は。 
 
 ずず〜〜 
 
「エカ様、音たててすすっちゃだめです」 
「ん」 
 
 ずず〜〜 
 
 はぅ、素でやってるんだもんなあ。迂闊にHなことするとエカ様怒るし。 
 実は僕のはもうおっきくなってるんだけど、奴隷の僕からHねだるわけにもいかないし・・・・・・。おっぱい当たってるのに生殺しだよう。 
 
 しばらく僕がふにふにおっぱい生殺し地獄で苦しんでると、突然背中の方でからんと音がした。 
 そのマグカップの落ちた音でようやく気付いたんだけど、頭の上で聞こえるエカ様の呼吸がゆっくりで深い呼吸になってる。生殺し地獄から顔を上げると、エカ様は目をつむっていつもの無表情で寝息を立てていた。 
 ・・・・・・寝てるよね。 
 ・・・・・・熟睡してるよね。 
 ・・・・・・ちょっとだけならばれないよね。 
 膝の上に座ったままちょっとだけ背伸びして無防備な唇に軽くキスしちゃう。ぷるぷるのエカ様の唇はとっても気持ちいいけど、あんまりキスしてると息苦しくてばれちゃうかも知れないからここは我慢。 
 代わりにおっぱいの間に慎重に顔を入れていく。ゆっくりゆっくり、ばれないように。顔を押し込んでいくと、毛布の皮が自然に剥けてエカ様の真っ白い肌が現れる。赤ちゃんの肌みたいにきめ細やかでほっぺに当たった所が吸い付いて来るみたい。そんな肌なのに、おっぱいは釣り鐘型のGカップ。おまけに、乳輪は盛り上がり気味のちっちゃめで陥没乳首。しかも色はピンク。 
 反則です、おっぱいの神様。これはルール無用の残虐超人も思わずレフリーに抗議してしまうぐらい反則のおっぱいです。けしからんにもほどがあります。大好きですが。 
 乳肌にキスマークを付けるとばれちゃうかも知れないので、こっそり舌を這わせてみる。ちるちる舐めてくと、エカ様の汗とおっぱいの甘い味がする。それをもっと味わいたくて、それに我慢ができなくなって舌がおっぱいの谷間から裾野を行進しちゃう。 
 もう、おっぱいから毛布をはぎ取っちゃってる。どんな芸術品もかなわないエカ様のおっぱいが、今僕の物になっている。指で押すとふにふにと柔らかく、唇で触れるとぷりんぷりん、あまつさえぷるぷると揺れたりするから、もう。 
 閨房術の先生だったネコのおねーさんに『あんたは超☆一流のおっぱい星人だ』と言われた僕には、感動の余り涙さえ浮かんでくるような光景ですよー!? 
 はみ。 
 あくまでやさしく、こっそりと唇でおっぱいのやーらかさを味わう。ゆっくりと裾野から乳首の近くまではみはみと辿っていく。 
 あ、もう少しでピンクの所に。 
 ・・・・・・ちょっとだけならばれないよね。 
 左の乳首を、いきなり触るのはこわいのでまずはその周囲を、じっくりと舐めてく。そのあいだに手は残ったおっぱいの表面を撫でさするように動く。なるたけ先っぽには触れないように円を描くようにゆっくりと。 
 うあ、ちょっと乳輪が盛り上がってきたかも。そのせいか、エカ様の陥没乳首がまるで唇みたいにみえてくる。怯えてるけど誘ってる見たいに震えるおっぱい唇に、僕の唇も震えながら近づいていく。 
 軽くキス。一瞬で離れて、もう一回。 
 こんどは軽く触れたまま長くキス。 
 そのうち我慢ができなくなって顔ごと押し込んでいっちゃう。 
 吸ったりはしないで、舌を出してちろちろって愛撫。時々すごいゆっくりに、時々すごく速く。舌先でエカ様のおっぱい唇を味わう。 
 おっぱいで真っ白な視界の中で全神経を舌先に集中させてると、エカ様の乳首がじわーっと大きくなってくるのが判る。唇を離してみると、充血した乳首がまるで地面から起きあがる麦の芽みたいに。 
 あんまりにも健気なんで、ご褒美に指先の雨を優しく降らせてあげる。すると、その雨をぐんぐん吸収して僕の小指の先ぐらいに大きくなっちゃった。 
 おっきな真っ白い山の頂上で、ピンクの若葉がちょこんとHに震えてる。感動の余り、ぼくはそれを迷わずくわえちゃう。 
「んっ」 
 ・・・・・・。 
 くわえたまま視線を上げるとエカ様と目があった。 
 起きたんですね。 
 ・・・・・・。 
「わああ!ごめんなさい!」 
 急いで離れようとするけど、エカ様の手が肩を掴むともうそれだけで動けない。間髪入れず、エカ様のゲンコツがこちんと僕の額に当たった。 
「あうっ」 
 いたたたた。十分以上に手加減されてるけど、とっても痛い。ちょっと膨れてきてるので、後でこぶになると思う。 
「あうう、エカ様、申し訳ありません・・・・・・」 
「・・・・・・ん」 
 膝のままに乗っけられたまま僕が謝ると、エカ様は顔を真っ赤にしたまま目をそらして右のおっぱいを突き出してきた。まだ触ってないそっちの乳首も僅かに膨らんできてる。 
 どうやらエカ様も我慢できないみたい。 
「エカ様・・・・・・えっち」 
「ん」 
 僕の余計な一言に、エカ様はさっき叩いたとこを指先で押して復讐する。鈍い痛みが走るけど、そんなことよりエカ様の左右のおっぱいがアンバランスであることが問題です。 
「ちゅ、ちゅちゅ〜」 
「んっ」 
 すでに盛り上がりかけていたそこに、躊躇なく吸い付く。ほんの少しの塩味と僕の味蕾だけが感じるおっぱい味が口の中で渾然一体になってとろけちゃう。 
 あっさりと左のとおそろいになった乳首からいったん唇を離して、両手でおっぱいを寄せると左右の乳首同士がごっつんこする。 
「んにっ!」 
 そのまま手でおっぱいを揺すると、くっついた左右のピンク色がいちゃいちゃする。そのバカップル振りが羨ましくなっちゃった僕は、怪獣みたいにぱくっと一呑みに食べちゃった。 
 唇で歯で舌でやわやわと良く噛んだら、ちゅーって吸っちゃう。 
「んんーっ!」 
 僕怪獣の残虐シーンにエカ様が悲鳴を上げてのけぞる。 
 軽くいっちゃった拍子に、エカ様の座り方が浅くなる。僕も我慢できなくなっちゃってるのでおっぱいから顔を離さないまま、エカ様の脚の間に腰を入れた。 
 ズボンから僕のを取り出すと、びんびんのかちかちで先っぽはもうだらだら。エカ様のそこを指先で探ると、エカ様も僕と同じになってた。 
 おっぱいの谷間からエカ様の顔を伺うと、涙目でこくんと頷いた。 
「・・・・・・いきますっ」 
「んっ」 
 ずにゅーっとエカ様の奥に入っていく。エカ様のそこは怪力に見合わず締め付けは弱い。けど、ひだひだが良く動く。僕の根本から尖端に向けて絞り上げるように、ぐにぐにでうねうねする。 
「エカさまあっ!!」 
「んっ!んっ!んっ!」 
 Hな欲しがりエカ様に、僕は一定のリズムで突き込む。このとき方向を微妙に変えるのがコツ。 
 僕のほっぺに擦れながらたゆんたゆんと揺れるおっぱいにも手を伸ばす。腰とリズムを合わせて、こちらは握る力の強弱を変える。 
 一定のリズムを保ったまま、動きでエカ様を愛してあげる。チェロとかコントラバスの大きな楽器を演奏するみたいな気分になる。 
 返ってくるのは音色じゃなくて、気持ちよさ。ふかふかでやわやわでおっきくて、Hなエカ様が音色そのもの。 
「エカ様、素敵です。大好きです」 
「んん〜〜〜〜っ」 
 うわごとみたいにエカ様の心臓に語りかけると、エカ様が僕の後頭部に手を回してもっと胸に埋めてくる。息苦しいけど、これ、大好き。 
「エカ様っエカ様っ、エカさまあっ!!」 
「ぅん〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」 
 エカ様の中がきゅ〜っと吸い込んできたのに耐えきれず、僕はたくさん出しちゃいました・・・・・・。 
 
 城への帰り道を今度は急いで歩く。まだお日様は出てるけど、白夜が近いから出ているだけで時計の針はもう7時に近いし。陛下もお后様も心配していらしていると思うので夜が来る前に早く帰らなきゃ。 
 エカ様の今日の収穫はスケッチ一枚だけだけど、エカ様はそれで満足みたいでどことなく足取りは上機嫌だ。 
「それは絵にするんですか?」 
「ん」 
 肯定の返事。明日の予定はアトリエでお絵かきみたいだ。帰ったらお掃除しておこう。 
 

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