「精密発育検査・杉原菜月の場合」 8  
 
 
 見てあげなさいよ、との言葉を聞き流すことなく、看護師たちは忠実に従った。  
 若い看護師たちがかわるがわる菜月の股間を覗きこんだ。  
「触って確かめなさい、これも検査のうちよ」  
 年上の看護師に逆らえないのか、それともこんな言葉でさえも免罪符だと考えたのか、彼  
女たちは見ているだけでなく、次々と菜月の性器に手を伸ばす。  
 幾本の指が、肉の亀裂をこじ開けるようになでまわしていった。  
「んうううぅっ」  
 こうなってくると菜月の意思に関係なく、体が勝手に反応してしまう。  
 その様子に満足したのか、中年の看護師の菜月を責めたてる言葉は本当に楽しそうだっ  
た。  
「この子ったらちょっと触られただけで感じちゃって、エッチなおつゆ垂れ流しちゃって、まあ」  
 若い看護師たちも顔では気の毒そうにしたり顔を赤らめたりしているものの、それだけだ。  
菜月の四肢を抑える手をゆるめることはないし、陰部を触ることを拒否するわけでもない。  
もちろん顔を背けたりなどしない。  
 彼女たちは彼女たちなりに菜月をあわれみながらもこの状況を楽しんでいるのではない  
かと思えた。  
 人の屈辱に悦びを見出すことはどんな人間にもあるだろう。屈辱に震えているのが可憐  
な少女だったとしても、いやだからこそか、彼女たちは独特の優越感に満たされているよう  
だった。  
 数分たって、若い看護師たちの菜月の性器への「確認」は終わった。だが、問題の看護  
師はまだ菜月をいじめるのをやめるつもりはないようだった。菜月の秘裂を押し開き、陰核  
への刺激を再開する。  
「なあに、ずいぶん気持ちよくなってるみたいじゃない。オナニーしたことないって書いてある  
けど本当なのぉ? 正直に答えてくれないと困るわ」  
「……ほ、本当、わたし、こんなのってっ」  
 菜月は混乱しきっていて、的確な反論ができない。  
「じゃあ、あなたはもともとすごくエッチな女の子だったのね。普通だったら初めてでこんな  
にはならないもの」  
 そんなことまでいわれても、まるっきりわけがわからなくなっている菜月にはそれ以上いい  
返す余裕はなかった。  
「そ、そんな、あ、あっ」  
 菜月がなんと答えるにしても次の行動は決めていたのか、いい返そうとするのを待たず、  
巧みに強弱をつけて指を動かし、菜月をもだえさせる。  
「ひん、ふぁ、あうッ」  
 あえぎ声を混じらせながらの菜月の否定では、誰が見たところでこっけいなものでしかな  
かった。  
「やっぱりこっちでも感じてるの?」  
 その看護師はそういって、今度はおしりの穴を広げた。  
「やだやだ、こんなとこに指突っ込まれてあえいでいるなんて、どうしようもない子ね。それも  
人に見られてうれしがってるなんて、あなた変態なのかしら」  
「――――っ」  
 敏感な箇所をなぶられ続けて声が出せない菜月は、彼女の言葉に首をブンブンと振るく  
らいしかできなかった。  
「まだ検査の途中なんだから、あんまりアンアン悦ばないでよね――」  
 思い出したように「検査」といいながら、看護師は菜月の性器をようやく解放した。  
 
「あんまりエッチな子だと、手間ばっかりかかるわ」  
「うぅ、はあ、はあ」  
「拭かなきゃダメね」  
 そんなことをつぶやいて、白い布をつまみ取る。  
 それは薄く柔らかい布で、看護師は適当に折りたたんで菜月の股間に押し当てた。無論、  
陰部をうるおすように分泌された菜月の体液を拭き取るためだ。  
 といっても、そのまままともに菜月の性器を拭くのではなかった。もともとそのつもりだった  
のだろう、彼女の布を動かす手には不必要に力が入る。  
「う、う、う」  
 彼女は当然のように敏感な突起をねらってこするように布を動かした。布越しとはいえ敏  
感になっている体には充分な刺激だ。さらに布を押し込むように陰唇に食い込ませてきたり  
もする。菜月が抵抗できないことはわかっているので、好き放題にしているのだ。  
 とても股間を拭いているとはいえない行為だった。  
 もっとも、その布は吸水がよく作られているのか、そんなやり方であっても、やがて菜月の  
陰部から余分な分泌物は拭き取られていった。  
「ふふ、ぐっしょり」  
 看護師は菜月の性器をぬぐった布を広げる。  
 もちろん、彼女がいう表現が似合うほど布は水分を吸い取っているわけではない。だが、  
一目でそれとわかる程度には濡れている。  
「いやぁ……」  
 もはや菜月は反論どころか、首を振ることさえできなかった。  
 しばらく楽しそうに布を他の看護師たちに見せつけていたが、菜月がなにもいえないでい  
ると、彼女はあっさりと布を横に片付けた。  
「まあいいわ、検査をすすめましょう」  
 看護師自身の気持ちとしても、そろそろ本来の検査に戻るつもりだったようだ。  
 彼女は採便に使う棒を持つと、菜月に見えるようにその目前で振り回した。  
「力を抜くのよ、今からこの棒をおしりの穴に入れますからね」  
 今度は指ではなく棒。その言葉を聞いたところでいまさらなにもできることなどないまま、  
菜月は肛門にその器具を突っ込まれた。それほど太さのない棒だが、指よりずっと硬いそ  
れは、充分な違和感となって菜月を襲う。  
「うっうんんっー、あッ、アッ」  
 看護師は菜月への辱めをやめたわけではなかった。  
 棒を絶妙に動かすことはもちろん、指を添えて肛門を刺激することも忘れない。  
「ちょっと、また割れ目ちゃんが濡れてきてるわよ、おしりの穴までエッチなのが好きなのねぇ」  
 執拗な看護師の言葉に、菜月はほとんど最後の力を振り絞って反論する。  
「わたし、本当に、そんなのじゃない、そんなんじゃないですっ」  
 看護師は菜月に応えず、黙って棒をぐりぐりと動かした。  
「あぁんっ、アッ、ウウッ」  
 菜月の声は完全に裏返った。  
 看護師はさらに空いている手で軽く拳を握って菜月の股間に押し当てる。指の関節を曲  
げてできた角を少女の亀裂にぴったりとあわせて、小刻みな振動を始めた。  
「アアッ、いっ、アッ、アッ」  
「もう、あんたがなんといおうと、みんなあなたがいやらしい女の子だってわかってるのよ。  
普通の子は裸を見られて恥ずかしがりはしても、息を荒くしてアソコを濡らしたりはしないもの」  
「――も、もうやめてぇ、あ、あぅっ」  
「ましてや、おしりに棒を突っ込まれて感じるなんてね。ホント、これじゃ検査にならないわ」  
 これまでと同じようにわざとらしくため息をついた。  
 それから、とうとう検査でもなんでもないセリフを、看護師は菜月にだけささやいた。  
「……ほら、イっちゃいなさいな」  
 
 涙をためながら哀願する少女に看護師は容赦しなかった。指と棒を組み合わせて動かし、  
すでに探り当てていた菜月の性感帯を一度に刺激する。  
 多数の看護師たちに押さえつけられたままの菜月に、彼女の巧妙な責めを逃れる手段は  
なかった。  
「――あああッ、や、だ、ダメェッ、アッあぁぁんっ……」  
 菜月は秘部をあらわにしたまま、最高の快感を得たことを示すようにヒクヒクと体全体を  
震わせた。  
 菜月は看護師の目論見どおりとなってしまったのだった。  
 陶然と、しかしどこかとぎすまされる感覚の中で、菜月はそのことだけははっきりと理解し  
た。知識やこれまでの体験はともかく、自分になにが起こったのか程度のことはわかる。  
(ううっ、なに、こんなのって、そんな、こんなに大勢の人の見ている前で、わたし、いや、もう  
……)  
 若い看護師たちもまた、みだらな姿をさらす菜月を見ていたからなのか、顔を上気させ、  
空いている手を口にやって成り行きを見守るだけだった。  
「――まったく」  
 何度目だろう、その看護師のため息が聞こえた。菜月が気づかない間に引き抜いたのか、  
手には検査棒を持っている。  
「ちょっと便を取るだけの検査なのに、勝手に感じちゃって。あえぐは、もだえるは、人前で  
よくやるわ。末恐ろしい子ね」  
(…………ッ)  
 めちゃくちゃないい分だが、今の菜月にはいい返すことができない。  
 なんといっても彼女たちの眼の前で恥ずかしい姿をさらしてしまった。性的快感を受けて  
いたことは否定しようがない。  
「まあ、もういいわ。ほら、放してあげて」  
 結局最初の目的であった便は取れなかったらしい。いったいなんのためにこんな目にあっ  
たのかと悲しくなるが、口にする気力は残っていなかった。  
 若い看護師の一人が菜月の下着を手に持ってきてくれていた。  
 これまでは菜月が自分で探していたものだったが、ささやかな罪悪感あたりが彼女にそう  
させたのだろうか。  
 下着を受け取って、のそのそと力なく動く菜月に例の看護師が近づいてきた。  
 菜月の耳に例のささやきをそそぐ。  
「まあ、次のところなら今度こそうんちも出るわよ」  
 菜月は一瞬、意味がわからずきょとんとした。  
 菜月に検査とほとんど無関係の辱めを与えたこの女性は、また、いやな笑みを見せた。  
 
 看護師の言葉の意味はすぐに知れた。  
 沈んだ表情を並べて列を作る女子生徒たちの先のベッドでは、少女がおしりの穴に大き  
な注射器のようなもので薬液を注入されているところだった。病院に縁のなかった生徒だっ  
て、考えるまでもなくそれがなんなのかはわかる。  
 彼女たちはこれから浣腸を受けなくてはいけないのだ。  
 すでに公開での排泄を強制されてしまった少女であってもふたたび屈辱を受けることにな  
るとは思ってもみなかっただろう。菜月のように排便姿を見られることを逃れてきた一部の  
少女であっては恐怖もいっそうだ。  
 この処置にはどんな幸運も抵抗もありえない。  
 浣腸液は少女たちの腸に存分にしみわたり、彼女たちのおぞましい汚物を今度こそ白日  
の下にさらすのにちがいないのだ。  
 女子生徒たちの眼の前には、使われることのない診察台が一台設置してあった。それは  
通用路の交差点に位置して、待っている生徒たちや医者たちから一番目立つ場所に置い  
てある。  
 
 その診察台には不必要と思えるほどたくさんの拘束帯が用意してあった。両手・両足にそ  
れぞれ二本ずつ、さらにおなかや胸の位置に巻くベルト。頭を固定するものまである。  
 いわれるまでもなく生徒たちは理解した。今度の検査でいうとおりにできない少女は、見せ  
しめのためにこの診察台にがんじがらめに縛り付けられて、浣腸から排泄までこの検査場  
のすべての人間に見られながらすることになるのだと。  
 少女たちは逆らわなかった。というより少しでも目をつけられないように医師や看護師の  
指示に過剰なまでに気を使っていた。  
 菜月にいたっては先ほどの経験があるため、指示を予想して先回りして動くこともできず、  
せめて指示の言葉を聞き逃さないように神経を尖らせるばかりだ。  
 今度の検査は内容が内容なので時間がかかっているようだった。列の歩みが遅い。  
 この間にすでに女子生徒全員の検査が終了したところもあるようで、その検査場所は病  
院のスタッフたちによってあわただしく片付けられていた。空いた場所には診察用に小さめ  
のベッドが次々に並べられていく。それは結構な数だった。どうもこの検査の時間がかかる  
ためなのか、検査場所を増やしているらしい。  
 菜月の前の少女まで順番がきた。  
 菜月は自分の順番だと思ったのだが、まだその手前だった。  
 ベッドの配置によって、他の生徒から見える場所とあまりよく見えない場所がある。菜月  
の列は仕切りがあってあまりよく見えないベッドに向かうもので、どうやら検査を受ける生徒  
とその直後の生徒だけが仕切りの奥に入って待つ仕組みであったようだ。  
 菜月の前の番となった少女はすでにこれまでの検査で疲れきっていて、あまり感情をあら  
わにすることなく医者の指示に従っていた。下着を脱いだときも、肛門を広げられたときも、  
浣腸液を注入されたときもそれは変わらなかった。  
 しかし、医者からとある器具を見るようにいわれ、なにごとか説明を受けると、表情が変わ  
った。それまで無感動に「なるようになれ」という感じだった彼女が、思いつめた表情であた  
りを見回すのがわかった。  
 医者が説明した器具は、彼女の寝ているベッドと待っている菜月の間に置かれているた  
め、ベッド側からどう見えているのかわからない。その器具にこれまでひどい検査を受けて  
きた少女の顔色をあらためて変えるほどの秘密があるのだろうか。  
 浣腸されてしばらくたって、少女の表情がまた別のものに変わってきた。  
 とても苦しげに便意をこらえているのがわかる。  
 すでに排泄されているところを見られているにしろ、菜月のようにまだであるにしても、彼  
女は非常に我慢強かった。なんども限界としか思えないほど苦しそうな表情を見せるのだ  
が、そのたびに波を乗り越えていく。  
 菜月はさすがに意外に思った。説明を受け、顔色を変える以前の彼女なら、とっくにあき  
らめて排泄をしていてもおかしくなかったと思ったのだ。なんといっても、どれほど我慢して  
も結末が同じだとわかっているのだ。救いがまるでない状況では、苦痛に耐えるのにも限界  
が近くなるだろう。  
 確かに人前での排泄は恥ずかしいだろうが、先延ばしにしたところで結局それを回避する  
ことはできない。しかも、周囲の状況はさらにひどい。周囲にいる若い男性の医者の中には、  
便意を我慢する少女たちの姿を見て明らかに楽しんでいる者がいるのだ。  
 対象にされている少女は、高まる便意を我慢するのに精一杯で、彼らを気にする余裕は  
ないが、知らないわけではないだろう。菜月のように待っている間にだって気づくはずだ。  
 彼らは体を硬直させて顔をゆがめる少女たちをながめておもしろがりながら、何度も自分  
たちの時計に目をやっていた。  
 なにをしているのか、と菜月がいぶかしんだちょうどそのとき、菜月の近くに立っていたそ  
の男性がつい必要以上の声で、隣の者に話しかけた。  
 
 
 
(続く)  
 

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