「精密発育検査」  
 
 
『各学校から対象者を抽出し、指定病院にて発育検査を行う。対象となる生徒には親権者の  
同意書が提出させる。生徒の選出について詳細は各校に委ねられる』  
 
 この日、この病院では、女子生徒のみで検査が行われる。日程の都合である。少女たちは  
朝早く、一般の待合室のすぐ隣に集合する。いくつかの理由から、ある程度の大きさの部屋が  
必要であるが、ときにはこの病院のように、待合室に隣接したホールしか条件を満たさないこと  
もある。病院では通常の診察も行われている。また、この病院では、後学や雑用のため、多く  
の医学生を動員している。  
 
 連れてこられた生徒たちは、この検査についてよくわかっていない者がほとんどである。発育  
検査を初めて受ける者が大半であるからである。対象者選出時には、意図して詳しい説明が  
省かれることが多い。検査の都合があるので起床後はできるだけトイレを使用してこないよう  
に、と指示されている程度である。  
 
 彼女たちはすでに、在学中毎年同じ検査を受けることに同意している。そして、ほとんどの  
生徒は次年度以降の検査も拒否しない。検査の協力の見返りに、生徒あるいは生徒の家庭  
では、なんらかの形で「謝礼」を受け取ってしまっている。生徒たちにはそれぞれの事情があり、  
検査を拒否することは(多くは家庭において)不都合を招きかねないのである。そういった少女  
たちは、検査の内容を知った来年以降も、逃れられない悪夢として、この検査を待たなくてはいけない。  
 
 時間になるとその場で点呼が行われ、出欠が確認される。続いて彼女たちは大まかな検査  
の説明を受ける。生徒たちの眼前には、すでに、多くの検査用機器が並べてある。ここにきて、  
手順の話や周囲の状況で、検査の内容をある程度察した少女から、血の気が引いていく。し  
かし、いまさら逃げることはできない。  
 
 最後まで話をよく聞いていなかった者も、この場で服を脱いでパンツ一枚になるよう伝えら  
れると、あきらかに動揺を示す。周囲には若い男子医学生も多い。だが医師から早くするよう  
に強くいわれ、他の生徒も脱ぎだすと、多くはあきらめて従う。抗議する者は、看護師に「あな  
たたちはまだ子供なのに、なにを意識しているのか、いやらしい娘だ」と叱責される。女子生徒  
たちのなかにはすでに充分に成長し、大人の体となっている者もいるが、看護師の態度は変わ  
らない。体がまだ幼い者であればなおさらである。  
 
 彼女たちの脱いだ服は、ひとりひとりに用意された袋に入れられる。邪魔になるからと学生  
によって集められ、片付けられてしまう。これで少女たちはすべての検査が終わるまで衣服を  
身につけることはできなくなる。  
 
 病院を訪れていた一般の患者たちは、次々と服を脱ぎだす女子生徒たちを見て、何事が始  
まったのかと驚くが、それぞれ勝手に了解するのか、特にたずねることはしない。ひまつぶし  
に少女たちの様子を見物する者もいる。  
 
 パンツ一枚になった女子生徒たちは、まず、順に問診を受ける。問診では身体に関するあら  
ゆること、初潮の開始時期や生理の様子、性行為や自慰経験の有無まで詳細に尋ねられる。  
性的経験ありと答えれば、行為時の様子も尋ねられるのである。少女たちはたいてい、できる  
だけ小さな声でか細く答えようとするが、医師たちは念のため復唱し確認を取る。その結果、  
問答の内容はすぐ後ろに並ぶ他の生徒たちや医学生たちにも聞こえてしまう。  
 
 そのあとは身体測定となる。ほとんどの生徒たちは、それまで恥ずかしそうに胸を隠している  
のだが、身長を測るために気をつけをとるようにいわれ、仕方なく手を下ろす。身長の他、体重、  
座高、胸囲、胴囲、腰囲、さらには腕や足の長さなど、ありとあらゆる場所が計測される。股間  
に測定者の手が当たり、思わず声を上げる者もいる。このとき、測定係が記載係に結果を伝え  
るためいちいち数値を読み上げるので、少女たちの秘密の数字はやはり周囲の者にも聞こえてしまう。  
 
 心電図検査や視力検査・聴覚検査、その他一般的な検査も、この姿で行われる。これらの  
検査は同じ順番ではなく、適当に割り振られて行う。ほとんどの検査機器はこの場に集められ  
ているが、レントゲン撮影など、移動が難しい専門機器を必要とする検査では、少女たちはその  
場所まで歩いていかなければならない。フロアの移動についてはスリッパが貸与され、必要に  
応じて学生が案内する。途中、無関係な患者とすれ違い、下着一枚の姿を興味深げに眺められることもある。  
 レントゲン検査や、モアレ検査などでは、正確な結果を出すため、パンツも脱ぐよう指示される。  
モアレ検査は骨格がゆがんでいないか調べる検査であるが、そのために裸の背中を撮影し、  
写真を解析する必要がある。レントゲンと違い通常の写真であり、しかも密室で行われるわけ  
ではないので、少女たちの抵抗感は大きい。すぐそばを他の患者たちが通っていく場所で、  
たった一枚残った下着も脱ぐようにいわれるのである。  
 
 しかし、検査を拒否しようとする女子生徒に対しては、強く叱りつける役の看護師があらかじめ  
決められている。生徒の態度によっては、何人かで抵抗する少女を押さえつけ、パンツをむり  
やり脱がし、裸のしりを他の者にも見せながら平手打ちにするのである。恥ずかしさや痛みで、  
その生徒は泣いて謝りだす。しかし、すぐには許してもらえない。赤くはれあがるしりや太ももを  
見せ、他の少女たちにも充分な恐怖感を与えてからやっと開放される。この生徒に下着が返さ  
れることはない。彼女は速やかに行動しなかった罰として、残りの検査を素っ裸で受けなくてはいけない。  
 
 これ以後は、女子生徒たちが医師や看護師の命令に逆らうことはほとんどない。  
 
 ここからいよいよ本格的に少女たちの屈辱が始まる。皮膚検査では、全裸に剥かれた少女  
たちは、ベッドの上でひとりずつ、数人の医師や学生たちに囲まれてひたすら耐えなければなら  
ない。少女たちは顔面蒼白となって眼を泳がせ、羞恥に震えるが、体を隠すことは許されない。  
この検査では、犬のような四つんばいや、オムツを替えられる赤ん坊のような姿勢など、さまざま  
なポーズをとらされる。オムツ交換の姿勢では、性器の形状・大きさが直接メジャーをあてて計測  
される。さらに性器の汚れやかぶれにも注意が払われ、恥垢の採取が行われる。検査の障害と  
なる場合は剃毛も行う。初めて性器に触れられる少女も多い。入浴時にあまり洗っていなかった  
のか、清楚な顔に似合わず性器の汚れがひどい生徒もいる。そういった少女は、こすり取られた  
自分の恥垢を見せられ、これからは清潔にしたほうがよいと注意を受ける。  
 
 ここでは内診も行われる。女子生徒たちは四つんばいから胸をベッドにつけ、ひざを立てて  
性器を突き出す。少女たちはその姿勢で、自分たちの体内に見知らぬ男の指を受け入れなくて  
はいけない。ただし処女であれば免除される。しかし、直腸検査は全員に行われる。肛門に指を  
突っ込まれた少女は、多くは苦痛を感じるが、なかには思わぬ快感を得て、知らず知らずのうち  
に声を上げる女子もいる。われに返りそのことに気づいた少女はひどく赤面する。  
 
 また、体の隅々まで念入りに調べられるのと同時に、写真撮影も行われる。今度は背面では  
なく正面の撮影である。少女たちは顔をゆがめるものの、しりたたきの見せしめの効果は大きく、  
指示どおりのポーズをとって、レンズに裸身をさらす。全身写真以外に局部のアップも必要で  
ある。特に二次性徴の態様は重要なため、生徒たちの性器は、さまざまな角度から多くの写真によって記録される。  
 
 こういった検査のとき、女子生徒たちに残されたたったひとつの私物である下着は、脱がされ  
無造作にベッドのすみに置かれている。学生のなかには、この下着を勝手に手にとって広げ、  
どんなものか観察している者もいる。ひどい者になると匂いを嗅いでいることもある。そういった  
行為を見つけても、文句をいう勇気が残っている生徒は少ない。へらへらと笑いながら下着を  
返す学生に、礼をいってしまう少女さえいる。  
 
 次に女子生徒たちを尿検査が待ち受けている。この検査は二種類の方法で行われる。グル  
ープを無作為に半分に分け、片方は一般的な検尿に近い。もう一方のグループはカテーテル  
採尿による。通常に近い検尿を指示されたグループには、その場で特別なポータブルトイレが  
用意される。周囲からまるで隠されていないトイレに、少女たちは目を丸くし驚くが、さきほどの  
指示に逆らった少女の悲劇を思い出し、しぶしぶ従う。このポータブルトイレでは、尿機能に関  
するいくつかの検査が行われる。放尿量の検査もそのひとつである。少女たちはガラス容器に  
入れられた自分の尿を見せられてしまう。  
 
 他人の目があるなか放尿を強制される女子生徒たちを横目に、もう一方のグループは、やや  
奥に連れて行かれる。こちらのグループで運がよかったと考えている少女もいる。しかし、その  
考えはすぐに消える。彼女たちの前に並べてあるものは、婦人科用の診察台である。その道具  
の使用方法を理解した生徒たちの表情は、死刑宣告を受けた囚人そのものとなる。唯一の布  
切れが取り払われた少女たちは、半ば強引に診察台に乗せられ、下半身を固定される。この  
診察台は簡易的なものではあるが、少女たちの両足を限界まで開かせる機能は充分である。  
少女の足は左右に遠くはなれ、開脚状態で固定される。  
 
 こちらのグループが受けるのは、尿道へのカテーテル挿入による直接採尿検査である。たい  
ていの生徒には生まれて初めての経験となる。彼女たちは自分でもろくに見たことのない性器  
を押し開かれ、異物をねじ込まれていく。いくらか麻酔効果のあるゼリーは使用されているものの、  
カテーテル挿入は少女たちにとって苦痛以外のなにものでもない。涙を流す者がほとんどである。  
激痛に耐えかね、泣き叫ぶ者も少なくない。しかし検査が中止されるわけはなく、女子生徒たち  
の悲鳴が途切れることもない。  
 
 多くの女子はあまりの恐怖にあらがうことすらできないが、なかには狂乱し暴れる者もいる。  
あまりに抵抗がひどい場合、少女は数人がかり、力づくで両手足とも診察台に縛りつけられる。  
完全に身動きできなくなったところで「動き回るので固めのカテーテルを使用しなければいけない」  
旨が伝えられる。その苦痛は通常のカテーテル使用時を上回る。その生徒は唯一自由になる  
足首の先を痙攣のように震わせながら、他の者が耳を覆わんばかりの悲鳴を上げる。こうした  
光景を見せつけられた少女たちで、あえて抵抗しようとする者はいない。  
 
 ポータブルトイレで検尿を行っていたグループにもカテーテル採尿を受けている少女たちの  
泣き声は聞こえてくる。それだけでなく、検尿が終わった者から奥に連れて行かれ、その姿を  
直接見ることになる。現場はまさに阿鼻叫喚の様である。彼女たちは検尿はすでに終了して  
いるので、同様の検尿を受ける必要はないことが説明される。少女たちは怯えながらも、自ら  
の幸運に安堵する。しかし、彼女たちも含めて全員、このあとに尿機能に関する残りの検査を  
受けることになっていると伝えられる。それは、やはりカテーテルを尿道に挿入し、生理食塩水を  
注入して行われる検査である。さらに、造影剤を用いての放尿しながらの撮影検査も行われる。  
 
 説明を聞くうちに、彼女たちも泣き叫ぶ少女たちと同様の苦しみを受けることになることを理解  
する。泣いて嫌がる者も多いが、素直に検査を受けない生徒がどうなるか目の前で実演されると、  
それ以上の抵抗はない。  
 
 尿機能検査が開始されると、悲鳴の数は増える。しかし、やがて大声を上げるのに泣きつか  
れてしまうため、検査会場は次第に静穏を取り戻す。じっと我慢し、平静を装って耐え続ける  
少女もいるが、やはり少数である。逆にその場にへたり込んでしまい、車椅子に乗せられたり  
学生に支えられたりして移動させられる生徒もいる。 
 
 尿機能検査まで終わると、女子生徒たちはみなふらふらになっている。朝から始まった検査も、  
すでに午後に大きく割り込んでいるが、ここで休憩が取られる。ほとんどの少女の眼は赤く、  
ホールを離れる者は少ない。休憩の間も彼女たちは下着一枚のままである。懲罰のため、その  
一枚すら取り上げられた少女は、体を小さく丸めうずくまっている。  
 
 空調は暖かめに設定してあるため、体調を崩すことはない。午後の診察が開始されると、  
一般の患者たちが女子生徒たちの休憩するホールをすり抜けていく。少女たちは互いに身を  
寄せ合い、露出した肌を少しでも隠そうと努力する。  
 
 女子生徒たちが落ち着きを取り戻したころ、検査が再開される。まず、現在少しでも便意が  
あるか尋ねられる。この質問により女子生徒たちはまたグループごとに分けられる。便意が  
あると答える少女はさすがに少ない。問いにどちらともいえないと答えた生徒は、人数の都合  
で分けられてしまう。この場合は便意のあるグループである。  
 
 便意のある者のグループでは、ベッドの上に平たい容器が便器として用意され、そこで排泄  
するよう命じられる。あきらめてどんな検査も覚悟していた少女たちでも、これには顔色を変える。  
便意がない者のグループでは、直接採便による検査が試みられる。検査棒を直接肛門に挿入し、  
大便を採取する検査である。そのことが伝えられる少女たちの表情も暗い。  
 
 どちらのグループも、ついたてやカーテンなど、周囲からの視線をさえぎるものはいっさい  
用意されていない。医師や看護師、学生以外に、少なくない数の一般患者も女子生徒たちの  
様子をうかがっている。  
 
 しかし少女たちの心情は無視され、医師は名簿に従って最初の生徒を読み上げる。呼ばれた  
生徒がためらっていると、グズグズしているなら診察台に乗ってやってもらうと脅かされる。少女は  
診察台で受けた苦しみが脳裏に浮かび、あわてて指示されたベッドに向かい、パンツを脱ぐ。  
 
 一番初めの少女の恥ずかしさはいっそうである。呼び出される患者の名前以外はいつの間にか  
静まり返ったホールで、彼女は誰にも聞かせたことのない音を響かせなければいけない。  
 
 女子生徒たちのためらいは大きく、排便には時間がかかる。しかし、この検査はあくまで自然排便による。  
 
 やがて少女の排泄が始まる。  
 
 見られながらの排便に、女子生徒の羞恥は最高潮に達する。ベッドの上で少女は至近距離  
から学生に囲まれているため、音も臭いもなにひとつ隠すことができず、死にたいほどの屈辱を  
感じる。少女たちは歯をくいしばり、涙を流す。  
 
 生徒たちそれぞれ、恥ずかしい姿を強要される。便は出ず、おならだけを何度も繰り返し、  
男子学生の失笑を浴びる少女もいれば、大量の排便をしてしまい、あまりの臭いに周囲の者  
たちの顔をしかめさせてしまう少女もいる。悪臭は少女とその近辺に漂うが、フル稼働する空調  
の結果、その臭いはホール以外にはほとんど漏れない。ホールに響く排泄音には女子生徒の  
すすり泣く声が混じる。長時間いきんでも排便ができない生徒は、直接採便検査に移動する。  
 
 便器は女子生徒の排便が終了するごとに取り替えられる。取り違えを防ぐため、便器には  
女子生徒の名前の書かれた紙が張られる。このまま検査にまわされるのである。  
 
 直接採便のグループでも、同時に検査は進む。この検査はベッドの上で体を横向きに寝て、  
ひざを折り曲げ体につける姿勢で行われる。カテーテル採尿と同様、多くの女子生徒には初の体験となる。  
 
 検査棒はそれほど太くなく、また潤滑用グリスも用意されているものの、異物の挿入感は充分  
である。こらえきれず悲鳴を上げる者もいる。もっとも衆人環視下の排便に比べれば、少女たち  
の苦痛はいくらか少ないようである。棒を挿入しても便が採取できない場合では、より深く突き刺  
され、なにかしら得られるまで棒を動かされることになる。  
 
 この検査の途中で、肛門を刺激され、急に便意をもよおす生徒もある。そうした場合、その  
ことを医師に告げると排便検査に移動させられてしまうため、恥ずかしさから、ほとんどの生徒は  
そのことを黙っている。結果、棒を抜いたときに大便を漏らしてしまう少女もいる。こうした場合、  
その女子生徒は厳しく叱責され、さらに排便のグループに移動となる。両方の屈辱を受けること  
になってしまうのである。   
 
 これらの検査がいちおう終了した少女は、肛門を学生に拭かれたあと、順に移動する。そこで  
次の検査が告げられる。内容は浣腸の効果検査である。やっとの思いで検便を終わらせたと  
思っていた少女たちは愕然とする。しかし眼の前に設置された診察台は、彼女たちの抵抗する  
気力を完全に奪う。指示の言葉に逆らえば、その台に縛りつけられてしまうのである。  
 
 浣腸執行時の格好は全員同じではない。採便のときと同じように横向きでひざを抱える姿勢  
を取らされる生徒はまだましといえる。胸をベッドに押し付けてしりを高く突き出される者、ひざを  
曲げて大きく開かれ、解剖を待つカエルのような姿にされる者、足を高く持ち上げられ左右に  
広げられる者。使用されるのはベッドのみで、診察台は使われない。また、浣腸の方法にもいくつ  
か種類がある。大きな浣腸器が直接肛門に差し込まれる者、カテーテルを通す者、また点滴の  
ように高所から薬液が流し込まれる者などである。女子生徒たちがいろいろな体位・手法を受け  
させられるのは、この検査が学生の実習も兼ねているためである。どんな姿勢・手段となるのか  
は、医師が適宜決定するため、少女たちは自分の番が来るまでわからない。  
 
 浣腸の効果調査であるため、容量もまた、無作為に決定される。極端な数字が示されることは  
ないが、ときには、小柄な少女に大量の浣腸が注入されることもある。この検査では、可能な限り  
我慢するように伝えられる。そのままでもほとんどの少女たちは限界まで我慢するが、なかには  
努力をあきらめ、さっさと検査をこなそうと考える生徒が出てこないとも限らない。この検査では、  
女子生徒たちに本心から自力のみで我慢してもらう必要がある。そのために少女たちの羞恥心  
をあおるのがよいと考えられる。しかし、すでに真っ裸で男性に囲まれて検査を受けている少女  
たちの羞恥心を刺激するには、なんらかの工夫が必要である。  
 
 女子生徒の周囲には複数のライトにしか見えない物体がある(実際ライトとしても使用されている)  
のだが、これはビデオカメラである。三脚とキャスターにより場所を自由に移動できる。生徒は  
浣腸液が注入されると、ベッドの脇にあるモニターを見るようにいわれる。直前までその画面は  
布で隠されている。少女たちが見ると、その画面にはあられもない自分の姿が映し出されている。  
しかも複数で、全身、顔・肛門のアップなどである。排泄までの様子はすべてビデオ映像で記録  
されることが教えられる。このモニターは、ちょうど浣腸を受ける少女と列を作る少女たちの間に  
置かれているため、待っている少女にはなにが映っているのかわからない。  
 
 写真撮影や、他の屈辱的な検査を受けてきた女子生徒であっても、ビデオ撮影には驚愕する。  
実は、これまでの検査でも写真撮影のほか、少女たちの気づかない間にビデオ撮影が行われて  
いるのだが、少女たちの認識としては、このときが初めてとなる。とまどう少女に医師は、記録が  
必要であるので撮影を中止することはできないと告げ、さらに「通常なら単なる記録として保管  
されるだけだが、浣腸開始から排泄までの時間が短ければ、逆に教材として適切であるため、  
講義の資料として多くの学生に見せることになるだろう」とつけくわえる。まったくいい加減な説明で  
あるのだが、この話を聞いた少女は、自分の排便姿をそんなことに使用されてはたまらないので、  
必死に我慢するようになる。我慢した時間が長ければ長いほど、誰かに見られる可能性も低く  
なると信じるのである。  
 
 浣腸液の力は強く、どんなに女子生徒たちが努力しても、限界はおとずれる。その瞬間の様子  
はさまざまである。悲痛な叫びをもらす者や、静かに涙を流すだけの者、ほとんど表情は変えない  
が、顔を紅潮させる者もいる。すでに排便や採便を一度すませているのだが、注入された薬液は、  
腸の奥からそこにあったものを根こそぎ引きずり出す。用意されている便器は、少女の汚物でいっぱいとなる。  
 
 この検査は、これで終わりではない。貴重なデータが得られる機会であるので、女子生徒たち  
は、薬液を変え、量を変え、二度、三度と浣腸を受けることになっている。なにもかも終わったと  
思っていた少女たちは、回数も知らされないまま幾度も薬液を出しては入れられ、入れられては出すのである。  
 
 もう嫌気がさしたのか、あまり無理に我慢しなくなったように見える生徒がいると、医師は「今度  
は今までで一番短いな、教材にいいな」などとつぶやく。そうすると、多くの少女はもう一度気力を  
振り絞って、便意に耐えるのである。  
 
 度重なる排泄に、へとへとになった女子生徒は、最後の浣腸効果検査として、診察台に乗せ  
られる。今度は、例外なく両手足完全拘束である。少女たちはいっさいの身動きが取れない。  
その不安はかつてないほど高まる。  
 
 最後の検査では、浣腸が患者に与える苦痛について調べられる。少女の裸体に、多数のコード  
が取り付けられる。それは心電図検査に似ている。準備が終われば、薬液の注入である。量は  
それほどでもない。しかし、続いてバルーンが挿入される。バルーンは内部にぬるま湯が注入され  
ふくらみ、少女の肛門を完全にふさぐ。さらにガーゼがおかれ、ゴム製の丁字帯が装着される。  
この丁字帯はふんどしのように少女の陰部をきつく締め上げる。これらの器具を取り付けることに  
より、浣腸を受けた生徒がいきんでも、ちょっとやそっとでは排泄することができなくなる。この作業  
だけはカーテンがしかれ、本人に見えないように実行される。このあと少女は数十分放置されて  
しまう。実際は放置されているのではなく、別の場所から常に状態を観察されている。  
 
 検査に時間がかかるため、そのうち診察台が全部使用中となる。次はベッドが使用されていく。  
女子生徒たちは、ベッドのパイプに、大の字の形に拘束されるのである。この場合では丁字帯  
の装着後に足が縛られる。  
 
 女子生徒はしばらく待つようにとだけいわれて、医師も看護師も離れていってしまう。このとき、  
態度の悪い学生で生徒に話しかける者もいる。立場の弱い少女は、恥ずかしく苦しい状態のまま、  
愛想よくしなければいけない。そうしないと、少女の言動に勝手に怒り、腹立ち紛れに体を触って  
いく学生もいるからである。胸や、丁字帯からはみ出た陰毛などがよく触られる。手足を縛られて  
いる少女は当然抵抗することができない。調子に乗った学生は、少女の身体についてあれこれ  
いったり、問診用紙にある「性的経験」について話題にしたりする。さらに悪質な学生になると、  
横に置いてある生徒の下着を手にとってその持ち主をからかったり、「うっかり」とその下着に  
薬品をこぼしてしまったりもするのである。生徒たちは怯えながらやめてくれるよう頼むことしか  
できない。不運な少女は、命じられるままに、恥ずかしい経験を何度もいわされたりする。 
 
 この間も、薬液は少女の体内で効果を発揮していく。便意が高まっても、次の指示が出される  
気配がないので、少女は次第に困惑する。そばにいる学生に尋ねても、そのまま待つように  
いわれるだけである。  
 
 腹痛は高まる一方で、徐々に耐えられなくなっていく。そうなると、少女は、近くを通りかかった  
看護師などに、もう限界であることを告げる。しかし、看護師の返答は少女の期待を裏切る。  
看護師も、学生と変わらず、そのまま待つようにとだけいうのである。少女の困惑はさらに大きくなる。  
 
 次々と襲ってくる腹痛と便意の波に、どんなに羞恥心の強い女子生徒であっても、ついに大声で  
排便を訴えるようになる。しかし、そこまでしてやっとあらわれた医師は、どんな状態か尋ねるが、  
あと少しだけ我慢するように伝えると、またも消えてしまう。恥ずかしさを押し殺して排泄を求めて  
いるのに、少女は結局解放されない。  
 
 もう耐えられないと感じた少女は、とうとうあきらめ、何度目かの波で、その欲求のままにしよう  
とする。しかし、排泄することはできない。厳重なガードが、肛門の使用を許さないのである。少女  
たちの多くは、器具が装着されたままであることはわかっていても、これほど強力に肛門をふさぐ  
ものだとは思っていない。ところがかなり強くいきんでも薬液はまるで出せないのである。このこと  
に気づいて少女は呆然となる。手足の自由がないため自分で丁字帯をはずすこともできない。  
 
 最終的に、女子生徒は身をよじらせ、だれかれにかまわず拘束を解いてくれるよう泣きながら  
嘆願する。苦痛はとっくに我慢の限界を超えているのである。それでも医師はあらわれない。  
もだえながら哀願を繰り返す少女たちに、一部の学生はさすがに同情するが、彼らには少女を  
救うことは許されていない。これ以上の検査の続行は身体に悪影響を与えてしまうと判断された  
とき、医師や看護師があらわれ、少女の苦痛は取り除かれる。ようやく少女を苦しめていた薬液  
が排出されるが、生徒たちはほとんど放心状態であり、されるがままである。  
 
 検査は最大の山場を越える。  
 
 すべての検査が終わったあと、少女たちは休息を取らされる。このときでもまだ、衣服の着用  
は許可されていない。昼の休憩時より、全裸となっている者が増えている。全員が全部の検査  
を終了し、集合すると、最後の指示が与えられる。  
 
 現在の姿のままでの体操である。命令にはみな素直に従う。多くはパンツ一枚で、運のなかった  
少女は生まれたままの姿で一斉に手足を動かす。この様子も、カメラで撮影される。撮影に使われ  
ているカメラには、学生の私物もある。学生がカメラを扱うため、多少撮影者の数が変化していても  
わからないのである。私的に撮影された女子生徒たちの映像は、学生たちの仲間内で保管される。  
 
 生徒たちに衣服の返却と、検査の終了が告げられ、帰宅の許可が出される。病院の診察時間  
はすでに終了し、一般患者は残っていない。少女たちはのろのろと服を着用する。パンツを「学生  
のミス」で汚されてしまった少女は、なにもはかずに帰るしかない。女子生徒たちは重い足取りで帰途につく。  
 
 毎年同じ検査を受けなければいけないことに気づいてショックを受けるのは、たいてい後日の  
ことである。ときには、翌年の検査の直前まで気づかない少女もいる。  
 
 
(了)  
 

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