ベッドの上で仰向けになっている理沙の、短く切断された足を吉川が掴んだ。そしてそれを左右に大きく割り広げる。体重をかけて広げられ、理沙はうっと呻いた。
「なあに、痛いの?」
「は……はい……ちょっと痛い、です」
「ふうん。理沙ちゃんって体が固いのね。お酢でも飲んでみる?」
「え……あの、私、お酢は苦手で……」
「大丈夫よ。また胃カテーテルで直接入れてあげるから」
「あ、なんなら下のお口から飲んでもらってもいいかもね」
意地悪く笑いながら石本が理沙の顔を覗き込む。え……と理沙は戸惑いの表情を浮かべた。足に固定用のバンドを巻きながら、吉川が理沙に尋ねる。
「理沙ちゃんはお酢の浣腸はされたことない?」
「え、ええ……」
「うふふ。なんなら今度してあげましょうか」
「え? あの、ただのお浣腸……ですよね」
「酢酸浣腸はね」
理沙の腕を押さえながら、石本が言葉を続けた。
「普通のグリセリン浣腸なんかとは比べ物にならないほど、痛くて沁みるのよ。そりゃもう、火がついたみたいにね。……理沙ちゃんは内痔核もあるみたいだから、きっともの凄く痛いわよ?」
「ひ……っ!」
「でもアナルで感じる変態マゾの理沙ちゃんなら、気持ちよくてひいひい喘いじゃうかも」
「そ、そんな……嫌です……やめて……!」
理沙が目に涙をためながら石本を見上げた。じっと理沙の顔を見つめていた石本が突然ぷーっと噴き出す。吉川も薬瓶を手に取りながら楽しそうに笑った。
「あはは、冗談よ。そもそもお酢で体が柔らかくなるってのは迷信だし」
「う……ひどいです」
「なに? お酢浣腸してほしかったの?」
吉川が瓶の蓋を開け、中に綿棒を突っ込みながら笑った。理沙は顔を赤く染め、ぷいと横を向いた。吉川が薬瓶を置いて、綿棒を手にゆっくりと理沙の股の間に顔を近づける。
そして石本が、理沙の腕を持つ手にぐっと力をこめる。あ、と理沙は小さく呻いた。頭を持ち上げ、股間越しに吉川の様子を窺う。吉川は理沙の秘部に片手をあてがった。そしてゆっくりと陰唇を開いていく。
「あ……」
陰核が周囲の皮膚に引っ張られた。まだ未熟なサーモンピンクの陰唇が割り広げられると、その中央に赤くなった尿道が露になる。
「まだ軽い炎症ね。オシッコのときに沁みるでしょ?」
「は、はい……」
「ところで今、尿意はない? これから尿道に綿棒を突っ込むけど、最低一時間はオシッコしちゃだめだからね」
「はい……お風呂の中で、済ませてきました……」
「あら。お風呂はトイレじゃないのよ?」
吉川が呆れたように溜息をついた。石本がくすっと笑う。理沙は何か言いかけたがその言葉を飲み込んだ。それよりむしろ、吉川が陰唇に添えているのとは逆の手に持つ綿棒に、理沙の視線が集まっていた。
「あ、あの……その綿棒……」
「ん? ああ」
理沙の怯えるような視線に気づいて、吉川が綿棒を指先で軽く振った。
綿棒は柄の部分が細いアルミニウムで出来ていた。その先端には固く巻かれた綿がついており、茶色い薬がたっぷり塗られている。綿は薬で膨らみ、柄と比較して一層太く見えた。
「これをこれから理沙ちゃんの尿道に入れるのよ」
「う……でもその、ちょっと太くない……ですか?」
「あら、怖いの?」
石本が屈みこんで、理沙の顔に自らの顔を近づけた。理沙はごくりと唾を飲み込む。吉川は軽く理沙の尿道口に触れながら説明を始めた。
「これから綿棒を入れます。……膀胱近くまで入れるから結構奥までいくわよ。それからよく薬が行き届くように、ゆっくりと抜いていきます。下手に暴れると膀胱に穴が開いたりすることもあるから、絶対に動かないでね」
「うう……」
理沙がこれから加えられる拷問のような苦痛を想像し、きつく目を閉じた。あわせてひくっと肛門が締まり、吉川が軽く唇の端で笑う。そして彼女は改めて綿棒を指先に持ち直すと、その先端を理沙の尿道にあてがった。
ひやりとした感触に理沙の体がびくっと震えた。石本が理沙の腕を固定する手に力をこめる。理沙はせめて痛みが和らぐよう、下半身の力を抜いた。が、綿棒の先端部が尿道に侵入し始めると、ぎゅっと尿道が異物を締め上げる。
「ひ……ひぃ……っ、いた、いたぁ……痛ぁい、いやぁ痛ぁぁぁい!」
「ほら、そんなに締めてるとなかなか奥に入らないでしょ。もっと力を抜きなさい」
「ダメ……無理ですぅ……ひぎぃ……いっ!」
理沙は背を反らせて痛みを逃そうとするが、石本が強く押さえつけるためほとんど動くことができない。そのため理沙は、唯一自由に動かすことができる首から上を激しく振って、懸命に痛みを逃がそうとした。
吉川はそれでも遠慮なく理沙の尿道に綿棒を侵入させ続けた。力づくで侵入させた場合、一気に奥まで入り膀胱を傷つけるおそれもある。理沙の呼吸具合をみながら、吉川は慎重に指先を動かす。そして、ようやく綿棒の先端が膀胱付近に達した。
ふ、と息をついて吉川が綿棒を持ち直す。
「じゃあ理沙ちゃん。これからゆっくり抜いていきますからね」
「は、はひ……ひいっ!」
荒い息の合間に返事をした理沙が、直後に悲鳴を上げた。吉川はゆっくりと綿棒を引き抜き始めていた。ただし薬が充分塗布できるよう、綿棒の軸をじわりじわりと回しながら抜いていく。
単なる前後運動だけではなく、尿道の中でネジのように回る綿棒に理沙は白目を剥いた。患部に薬が沁み、今どのあたりに綿棒の先端があるのか如実にわかる。理沙はあまりの痛みに気を失いかけたが、絶え間なく襲いくる次の痛みがそれを許さない。
結局理沙は、尿道から綿棒が抜かれるまで意識を失う直前の極限状態を味わわされた。
「ひあ……ああっ!」
無限に続く拷問のような痛みは、尿道口から綿棒の先端が抜けるまで続いた。綿棒をようやく押し戻した途端にきゅっと尿道が締まり、理沙はようやく気を失うことができた。石本が理沙の腕からそっと手を離す。そして手を振りながら吉川のもとへ歩み寄った。
「ふふ、凄い悲鳴だったわね」
「そりゃそうよ。この薬、効き目は抜群だけどその分物凄く沁みるから」
「……あら? でも理沙ちゃんのアソコ、ビショビショじゃない。……オシッコ、じゃないわよね」
石本が理沙の秘部を覗き込んだ。陰唇に添えられていた吉川の指は既に離れているが、それでもまだ微かに開いている。そしてその筋の間からは透明な雫がつつっと流れていた。
「ふふ。この治療でこんなに感じるなんて……。主人の藤原さんがうらやましいわ」
「それだけ理沙ちゃんはが変態さんということよ」
そう言って石本は、理沙の肛門の手前まで垂れていた雫を指先に掬った。それをしばらく見つめたあとそっと口に運ぶ。ちょっとしょっぱい、理沙の味がした。ふふ、と吉川が笑う。
「さて、じゃあ理沙ちゃんが目覚める前に、次の治療の準備をしちゃいましょうか」
んう、と理沙が呻いた。顔面に固い布に触れた感触が伝わってくる。ゆっくり目を開くと、そこにはベッドの床があった。
「……え?」
「あ、目が覚めたみたいね。……こら、動いちゃだめよ」
うつ伏せにベッドに寝転がる理沙の尻を、吉川が軽く叩いた。鞭で赤く腫れた尻にはそれでも充分すぎるほどの痛みが走る。理沙は歯を食いしばって肩越しに自分の体をみた。
腹の下に枕が敷かれ、尻を持ち上げた格好で理沙は吉川に股間を晒している。おそらく肛門だけではなく、秘裂も露になっているだろう。秘裂に奇妙な違和感があった。ひく、とそこを無意識に収縮させた理沙の頭の上から石本の声がした。
「どう、尿道はまだ痛む? オシッコしたくなったりしてない?」
「あ……はい、大丈夫ですけど」
理沙は腕を立てて頭上の石本を見上げた。しかし石本は笑いながら彼女の腕に手を掛け、元に戻す。再びベッドに顎をつけながら、理沙は上目遣いに石本を見た。その視線に石本が気づき、ちらりと吉川をみた。そして再び理沙に視線を戻す。
「ああ、アソコに何かくっついている……そんな気がするんでしょ」
「は、はい……あの、なんなんですかこれ?」
「ただの脱脂綿よ。薬をしみこませてあるけど」
言いながら石本は傍らのワゴンから大きな綿の塊とテープを手に取った。
「理沙ちゃんのエッチなお露で、薬が流れちゃうといけないでしょ? だから尿道口付近に脱脂綿を貼り付けたの。もちろん、しっかり患部に固定できるよう、かわいい陰唇もテープでぱっくり開かせてもらってるけど」
「え、ええっ?」
「あら、膣口がきゅって締まったわよ。嬉しいの?」
足元で理沙の股間を覗き込みながら吉川が笑った。理沙はかあっと頬を染め、ベッドに顔を伏せた。
しかし理沙の意識は膣口に集中していた。テープで大きく広げられ、薬が塗られた秘裂は空気に触れてスースーしている。特に膣口は、今まで看護師たちも刺激を避けてきた場所だけに敏感になっていた。
とろりと秘壷から理沙の愛液が溢れてきた。膣口から垂れたその液体は、ゆっくりと割れ目にそっておりていきやがて脱脂綿に吸収される。理沙はその雫がどこを流れているのか明確に感じていた。熱い液体が秘裂を潤し、それが却って薬の清涼感を復活させる。
再び理沙は、ひく、と秘裂を動かした。途端に露が数滴こぼれ、理沙の秘裂を流れ落ちていく。
「なあに理沙ちゃん。アソコの奥まで覗かれてる感じてるの?」
「ち、ちがいます……。感じてなんか」
「はいはい。そういうことにしておきましょうか」
笑いながら吉川はラテックス製の手袋を嵌めた。そして傍らのテーブルから薬を取り出すと、手袋の先に塗りつける。
「違います……本当に感じてなんて……はうっ!」
理沙が振り返って訴えようとしたとき、突然吉川の指が理沙の肛門に触れた。赤く腫れあがった痔核が激しく痛み、理沙は歯を食いしばってベッドに顔をうずめる。
石本が心配そうに理沙の頭を撫でた。
「大丈夫? 沁みるのかな」
「だ……だいじょ……ぶです……くうっ!」
一方、吉川は理沙の様子を気にする風もなく、指先を細かく動かし続けていた。手に塗った薬を、理沙のひくひくと蠢く肛門に丁寧に塗りつけていく。
理沙の肛門は、右側だけがぷっくりと膨らんでいた。鬱血のせいか青黒くなっている。吉川は特にその部分を丁寧にマッサージした。膨らんだ患部をこね、つつき、肛門内部へ押し込んでいく。しばらくそれを続けたかと思うと今度は肛門全体を愛撫しはじめる。
緩急をつたそのマッサージに、理沙はやがて口から漏れる吐息を押し殺すためにベッドに顔を強く押し付けるようになった。痔核に触れられるたびに飛び上がるほど痛むのに、その痛みがひいていくともう一度いじってほしくなる。
理沙は必死にその感覚に耐え続けていたが、吉川は鼻に抜ける笑いを一度浮かべたあと、空いている片手に脱脂綿をとった。そしてそっと理沙の膣口にそれをあてがう。
「ひい……! なっ、なんですか?」
「なんですかって理沙ちゃん、凄い濡れ方よ。これじゃ尿道口の脱脂綿がはがれちゃうわ」
言いながら吉川は膣口もあわせて脱脂綿で刺激し始めた。思わず顔を上げた理沙は、目の前で石本がにやにや笑っているのに気づいた。理沙は再びベッドに顔をうずめる。
(バレてたんだ……お尻の穴をマッサージされて感じてたの、気づかれてたんだ……!)
理沙の目から涙が溢れた。さらに羞恥心を呷るように吉川が告げる。
「あら、肛門が内側から膨らんできたわよ?」
「くう……言わないで……恥ずかしい……」
「恥ずかしがることないわよ。ほら、指が入るわよ」
「え、あ、あ、やだ……あ、ああっ!」
理沙は伏せていた頭を反らした。吉川の細い指がゆっくりと窄まりをこじ開ける。思わずぎゅっと締めかけた肛門に薬が沁みて、理沙はさらに悲鳴を上げた。石本が理沙の背中を抑える。
指は第一関節が入ったところで止まった。先端がようやく肛門の内側を越えたあたりにある。理沙は浅い呼吸を繰り返した。吉川はそのまま指を止めている。これからどのような責めがされるのか、不安と期待の入り混じった複雑な感情となって理沙を苛んだ。
やがて吉川が、指を時計回りに大きく回し始めた。窄まりから抜けることもなく、また入るわけでもなく、ただ肛門だけが丸くかき回されている。
「うあ……!」
理沙は歯を食いしばった。奥歯が何本も抜かれているため強い力が入らない。それでもそうしなければ、肛門から伝わる感触におかしくなってしまいそうだった。
直腸には一切触れられていない。排泄時のような快感でもなく、挿入されるときの背徳感でもない、ただ純粋に肛門だけに加えられる強烈な痛み。吉川の指先が描く円は、一周するたびに少しずつ大きくなっていく。
「も……もうダメ……痛い……痛いですぅっ」
理沙がかすれた声で叫んだ。肌が赤く上気し、全身から汗が噴き出ている。すると吉川はあっさりと指を抜いた。その指先をみつめながら、傍らから針のついていない小さな注射器を取り出す。
石本が理沙の背中から手を離した。理沙の汗でべっとりと濡れた手をぬぐいながら、ワゴンの上にある吸い口に冷たい水を注ぐ。それを理沙の顔に近づけると、理沙は貪るように飲んだ。吸い口が空になり、はあと息を吐きながら理沙が再び腕を使って上体を起こす。
「こら。まだ終わってないわよ」
「いえ……あの、その注射器、なんですか……?」
わずか10ccほどの小さなプラスチック注射器だが、それが却って理沙の不安を煽った。しかし吉川は意に介するふうもなく至極事務的に答える。
「理沙ちゃんのお尻に塗った薬よ。これを理沙ちゃんの直腸に注入するの」
「……え?」
「理沙ちゃんの直腸にもいくつか痔核がある、って前に言ったわよね。それをこのまま放っておくと、お尻の穴が治ってもすぐに再発するの。だから腸の中にもたっぷり薬を入れて、それを患部に塗るのよ」
「ええ……そんなあ……」
「そんな……なに?」
吸い口をワゴンに戻し、石本が微笑みながら尋ねる。理沙は言葉を飲み込んだ。拗ねたような表情を浮かべ、ベッドに顔をうずめる。吉川が注射器を持ち直した。そして手袋を嵌めた手で理沙の肛門周りの肉を割り広げる。
「……うっ」
注射器の先端が肛門に入ってきた。そのまま細い本体も肛門にめり込んでくる。吉川の指より遥かに細い注射器は痛いというより、むず痒い。
そして吉川がシリンダを押した。直腸に冷たいものが噴出してくるのが微かにわかった。痛みはない。あ、と理沙が息を吐くと同時に注射器が抜かれた。代わりに再び吉川の人差し指が肛門にあてがわれる。
「……じゃあ、今度は根本まで指を入れるからね。力を抜いて」
「は……はい」
言われて理沙は肛門から力を抜いた。しかし指に力が込められると、反射的にぎゅっと肛門を締めてしまう。それでも吉川は遠慮なく指を進めた。ネジのように指を回しながら侵入してくる感覚に、理沙は目をきつく閉じた。
「大丈夫、理沙ちゃん?」
背中に手を添えながら石本が尋ねる。理沙は口を開くことができず、ただ無言で頷いた。口を開いたら甘い吐息が漏れてしまいそうだった。
吉川の指が根本まで入った。一旦動きを止め、それから指を伸ばしたままぐるりと直腸内の広さを測る。
「ふうっ!」
「……あら、指先にウンチが当たるわよ」
「へえ。やっぱり浣腸慣れしてるのかしら。便意を感じる神経が弱っているのかも」
「そ、そんなこと……あっ!」
吉川が指先をぐっと曲げた。そして肛門の裏側を丹念に撫でる。
「痔核の裏側も、やっぱり大きいわねえ。……ほら理沙ちゃん、コリコリしてるのがわかるでしょ?」
「は、はい……やめてぇ……」
「ええと、他の痔核はどこにあるのかしら……っと」
吉川が指先で直腸内壁をこすった。粘膜が刺激され、理沙は便意にも似た痛みを覚える。そのとき、石本がすっと理沙の背中を撫でた。ひゃあ、と理沙は叫び、顔を上げて石本を見る。
「な、なんですかいきなり」
「あら、理沙ちゃんってもしかして、背中も性感帯なの?」
「そうじゃなくて……いきなりだからびっくりしたんですっ」
「あはは、ごめんごめん。でも理沙ちゃん、もの凄く背中が緊張してるわよ? それに久しぶりに運動したから筋肉が張ってるみたいだし、マッサージしてあげようかと思って」
「マッサージって……ひゃあ、やめて石本さん、くすぐったぁい、ひゃあ!」
理沙が短い腕を振って石本に抗議した。しかし石本はベッドの脇から、体重をかけて理沙の背中をほぐし始めた。脊髄にそって親指で壷を刺激し、特に肩から胸の裏にかけて丁寧にマッサージしていく。
「ひ、いた、痛い! 石本さんいた、いたたた!」
「そんなに力をこめてないわよ。凝ってると痛むらしいから、念入りにほぐすわね」
「や、そんな、あ、吉川さんも、そこ痛い、痛いです!」
「ふふ。こっちも大きな痔核を見つけたわよ? 腸壁の向こう側はスキーン腺あたりかしら」
「やあ……ひっ、痛い!」
「ここを刺激されると……ほら、気持ちいいでしょ?」
吉川は丁寧に指先で大きなしこりを刺激し続けた。それにあわせて直腸の肉ごしに膣壁が動き、理沙に今まで感じたことがない感覚を呼び覚ます。
「ほら、背中も結構ほぐれてきたわよ。もう痛くないでしょ?」
「は、はあ……」
理沙は息を吐いた。体温が上がり、全身の血流がよくなっていく。じわりと肛門が弛緩しはじめた。吉川は相変わらず丁寧に直腸をマッサージし続ける。石本が優しく理沙の背中をほぐし、理沙はやがて規則正しい呼吸を始めるようになった。
「ふふ、リラックスして。そんなに気持ちいいの……ってあら?」
石本がふと理沙を覗き込んだ。理沙は目を閉じて、うっとりした表情を浮かべている。規則正しい呼吸は深くゆっくり繰り返され、石本が手を止めても何の反応もない。
「……どうしたの?」
吉川も直腸マッサージをとめて石本に聞いた。すると石本は人差し指を口にあてた。そろりと動いて、部屋の片隅から大きめの毛布を取ってくる。
「寝ちゃったの?」
「ふふ、そうみたい」
呆れたように笑いながら石本がいう。吉川も苦笑して、ゆっくりと肛門から指を抜いた。先端が抜けたときは反動でぎゅっと締まった肛門も、やがてじわりと弛緩してくる。その下にある膣口は大きく開き、透明な液が零れ落ちている。吉川はそれを優しくぬぐった。
「……どうするの」
「しょうがないから、このまま部屋まで抱っこしていくわ。……考えたら、夕べは抜歯の痛みと熱であんまり寝てないみたいだったし。午後は休憩の予定だったからまあいいでしょう」
「ふふ。……エレベータを呼んでおくわね」
「ありがと」
石本は丁寧に理沙に毛布をかけなおした。慎重に体の下に毛布をいれ、ゆっくりと理沙を持ち上げる。胸の前でバランスをとり、石本は理沙の顔を覗き込んだ。無邪気に眠り続ける理沙は、いい夢でも見ているのか笑顔を浮かべていた。
チン、とエレベータの扉が開いた。扉が閉まらないよう吉川がドアに手を掛けて石本を手招く。石本はエレベータに乗ると吉川に無言でウインクした。吉川も無言で笑いかけた。
(続 く)