(……ああ、これは夢だ……)
理沙は気絶している間、夢を見ていた。幼い頃の自分。小学校に入ったばかりの頃の、とうに忘れていた出来事だと気づく。まだママも元気で、私もご主人様の調教を受けはじめる前のこと。
「理沙、理沙……」
ご主人様の声です。ここは当時の私の部屋。私はベッドの中で布団を頭まで被りなおしました。ご主人様は部屋の中に入ってきて、部屋の明かりをつけるとベッドの脇まで歩いてきました。
「どうしたんだ理沙。久しぶりに会うというのに」
「……なんでもない」
「なんでもないことないだろ」
言いながらご主人様は私の布団をめくりました。私はピンク色のパジャマ姿で、横向きに丸くなっています。頬に載せた氷嚢をみて、ご主人様は「虫歯か?」と尋ねました。私はこくりと頷きます。
「……理恵!」
ご主人様がママを呼びました。慌ててママが部屋に走ってきましたが、ご主人様はママの顔を見るなり頬を叩きました。ママはそのままご主人様の足元にうずくまり、許しを請います。
「やめて、ママは悪くないの!」
「娘の健康管理もろくにできない母親が悪くないわけないだろ! 理沙、いつから虫歯に気づいたんだ?」
「え、えっと……十日ほど前」
「つまり十日間も娘の異変に気づかなかったのか」
「ああ……申し訳ありません!」
ママは土下座をして謝り続けますが、ご主人様はママの長い髪を掴んでその顔を持ち上げました。そして怖い顔でママを睨み、スカートとパンツを脱いで四つん這いになれと命じたのです。
「理恵、おしおきだ」
「そんな! どうか理沙の前では……!」
「うるさい、さっさと尻を出せ!」
再びご主人様がママの頬を叩きました。私は怖くなって、布団の上でウサギのぬいぐるみを抱きながらガタガタと震えていました。
「おしおき」という言葉は、それ以前にも時々聞いていました。でも目の前でママがおしおきされるのを見るのは初めてです。もちろん私だって、当時はまだ一度もおしおきされたことなどありませんでした。
ママはちらりと私のことをみたあと、涙を拭って長いスカートを脱ぎ始めます。そしてパンツも脱ぎ、再びご主様の前に正座しました。
「……どうか至らぬわたくしに、罰をお与えくださいませ」
「よし。じゃあ理沙に尻を向けて四つん這いになれ」
ご主人様はズボンのベルトを抜きながらママに命令しました。ママが悲しそうな顔をしながら、おずおずと私にお尻を向けます。やせ型のママのお尻は蛍光灯の灯りの下、ふるふると震えていました。
ご主人様がベルトを振りかぶります。そして勢いをつけてママのお尻に振り下ろしました。
パアンと大きな音がして、ママがひぃと悲鳴を上げます。ママの白いお尻には真っ赤なミミズ腫れが一筋浮かび上がりました。
もう一度ご主人様がベルトを振りかぶります。二発目の鞭がママのお尻に加えられ、ママのお尻の穴がひくひくと窄まりました。さらにご主人様はベルトでママを打ち据えます。三発、四発、五発……。
五発目が振り下ろされたとき、私は泣きながら「もうやめて! ママにひどいことしないで!」と叫びました。しかしご主人様は、ママに方向を変えるよう指示したのです。ママは四つん這いのままもそもそと動きました。今度は私のほうに顔を向けます。
ママの顔は涙で濡れていました。真っ赤に染まった頬と瞳が、お尻の赤と重なります。
「理沙、いつから虫歯に気づいたんだ?」
「……十日ほど前」
「じゃあ理恵には、一日一発であと五発の罰を与えなくちゃな」
ご主人様はにやりと笑い、六発目の鞭を振り下ろしました。パシィンと大きな音がした瞬間、ママが叫び声とともにぎゅっと目を閉じました。荒い息をしながらママが悲しそうに私を見つめます。私はウサギをぬいぐるみを抱きしめながら泣き続けました。
ようやく十発の鞭打ちの罰が終わりました。ママは息を切らしながらご主人様に鞭打ちの罰についてのお礼を述べています。しかしご主人様はその言葉が終わるよりも前に、じろりと私を睨みました。
「ひっ……!」
「さて理沙。ちょっと立ち上がってみなさい」
私はイヤイヤと首を振りました。しかしご主人様は私の肩を掴んで強引に立たせます。
「……お漏らしするとはな。お前にもおしおきが必要かな」
「や、やだぁ!」
私はそのとき、初めてお漏らしをしていたことに気づきました。それほど怖かったのです。しかしご主人様は私の腕を捻ると後ろ手にまとめてしまいました。そしてベッドに腰掛けると、私を膝の上に載せました。
「やめて、ごめんなさい許してぇ!」
「理恵。理沙の足を押さえろ」
「や、やだママ、やめて!」
お尻叩きに対する恐怖と羞恥で暴れる私の足首をママが抑えました。ご主人様は私の腕を片手で掴んだまま、パジャマのスボンのゴムに手を掛けました。そしてずるっと、パンツとまとめて膝まで下ろしました。
「ひ……!」
「まずはお漏らしの罰だ。……初めての罰だから、三発で許してやろう」
「あ……いやぁぁぁ!」
むき出しになった私の小さなお尻をご主人様が優しく撫でます。きゆっと私のお尻の穴が締まりました。そしてお尻から手が離れると、しばらく間をおいてぱあんと手が打ち下ろされました。
「ひ、ひぎゃあ!」
思った以上の痛みがお尻から伝わります。ご主人様とママが私の体を抑えているので逃げることができません。そしてまたしばらくしてから、二発目が振り下ろされました。三発目が加えられたとき、私はひきつけを起こしたようにひっくひっくと泣き続けていました。
「……理沙、明日は歯医者に行きましょうね」
ママが優しく声をかけます。しかし私はこのとき、歯の痛みも忘れてイヤイヤと首を横に振りました。途端、ご主人様がまた手を振り下ろします。
「ひゃあ! い、痛いっ」
「理恵のいうことが聞けないのか? そんな悪い子にはおしおきだ」
「や、やだやめてぇ!」
今から思えばどうしてそこまで歯医者を嫌がったのかわかりません。だって今まで歯医者に行ったことはなかったのですから。しかし私は、何度お尻を叩かれても頑として首を縦に振ることはありませんでした。
「……強情なところは理恵そっくりだな」
「申し訳ありません……」
「ふん、まあいい。今度会うときにまで必ず治療しておけ。それから理恵。今夜はお前に、さらに罰を与えてやる」
「は、はい……」
そう言いながら二人は私の部屋を出て行きました。私はただ泣きながら、痛むお尻をかばってベッドに潜り込んだのです。
……結局あれから虫歯の治療をすることはありませんでした。ご主人様は当時から忙しい方で、一週間に一度お顔をみることができるかどうか、という状態でした。
そして次にご主人様に逢うより前に、ママが事故で亡くなりました。
ママが亡くなってすぐ、ご主人様は私の調教を始めました。虫歯のおしおきがきっかけとなったといえないこともありません。
以来私の虫歯については、学校の定期健診のあとのスパンキング以外には触れられなくなりました。ご主人様も、私の虫歯からママを思い出すのかもしれません。
ちなみに私もママのことを思い出すと、必ずといっていいほど歯が疼くのです。そう、ちょうどこんなふうに鉗子で歯を挟まれたときのような痛みが……。
「……え、あ、あがぁっ!?」
奥歯がくだけるような痛みに、理沙は意識を取り戻した。そして次の瞬間、天野がぐっと鉗子に力をこめる。ごりっと音がして、理沙の奥歯がまた抜かれた。
「あらあら、意識を失っていたままのほうが楽だったのにねぇ」
「は……はぁ……」
理沙の意識は再び遠のきかける。天野は理沙の瞼に手を掛け、焦点がぼやける瞳に今抜いた歯をみせつけた。
「ほら理沙ちゃん、二本目の歯よ」
「は……あ……」
「ほら、これが一本目の歯。二本目の歯の虫歯が進行するとこうなるのよ」
「へ……」
天野が見せた二本の歯に理沙は意識を取り戻した。一本目の虫歯は確かに歯のエナメル質が溶けている。しかし二本目の虫歯はそれと比べても明らかに小さかった。
「これぐらいなら削って詰め物でもなんとかなるんだけどね」
「ほ、ほんな……ひゃあろうして……」
「どうして抜いたのか、って?」
天野が妖艶に笑う。鉗子を脇において胸の前で腕を組み、大きな乳房がさらに強調された。石本が足元でくすくすと笑う。
「まず、どちらにしてもこの虫歯は治療しなくちゃいけなかった。なら削って神経抜いて詰め物して……ってよりは、いっそのことすぱっと抜いちゃったほうがいいでしょ?」
「ふぁ……」
「あと一つは……一本目の歯は下顎第一小臼歯といってね」
下顎第一小臼歯とは、犬歯の奥にある奥歯の一本目の歯である。
「二本目の歯は下顎第二小臼歯、つまり一本目の歯の次にある歯のことなの」
「……」
不安げに見上げる理沙の涙をぬぐいながら、天野が続ける。
「さらにその奥にある下顎第一大臼歯……つまり奥歯の三本目がひどい状態で、それをこれから抜くのよ。その作業に邪魔だから、あらかじめ抜かせてもらったのよ」
「は……!」
そ、そんな理由で……! それに、あと一本抜くって……!?
「あらあら、またオシッコ漏らして。そんなに嬉しいの?」
「ひ、ひがいま……ふぁっ!」
理沙が抗議しようとしたとき、突然尿道に何かがさしこまれた。ぴりっと痺れるような痛みに理沙がのけぞる。理沙が頭を起こすと、石本が尿道に綿棒のようなものを挿入していた。
「ひ、ひた……!」
「痛いの? でもカテーテルとそれほど太さは変わらないわよ」
言いながら石本は綿棒を出し入れしたり、ぐるりと回したりする。その度に理沙は体を仰け反らせた。
「理沙ちゃん。ながいことカテーテルを入れっぱなしにしていたから、軽い尿道炎を起こしてるわよ。薬を塗っておきましょうね」
「やぁ……ひたぁっ!」
理沙が声の限り叫んだ。尿道を太い綿棒が出入りするたび耐え難い激痛が理沙を襲う。薬も鋭い痛みを与え、理沙はまたもや気を失いかけた。
その途端、鼻先につんとする薬瓶がつきつけられた。理沙はその刺激臭に思わずむせ返り、薬瓶を手に持つ天野を睨む。天野は澄ました顔で答えた。
「アンモニアよ。中学生なら、科学の授業で習わなかった?」
「……ひ、ひろい……」
「気付けよ気付け。気を失っていたらつまらないでしょ? ああそれと」
瓶の蓋を閉め、机の上に戻してから天野が言った。振り返るときには手に鉗子を握っている。
「これから下顎第一大臼歯を抜くけど、それで最後じゃないからね」
「ひ……!」
「理沙ちゃん。あなた、よくもまあっていうぐらい虫歯があるわよ。それに、虫歯に挟まれた軽度の虫歯や健康な歯も結構あるしね。……そうね、あと四〜五本は抜かせてもらおうかしら」
「は……あ……ほんなぁ……」
あまりのことに理沙は思わず尿を漏らした。途端に石本から叱責の声が響く。
「こら理沙ちゃん。せっかくのお薬がとれちゃうでしょ!」
「ええ、ほんなほといわれへも……」
「……じゃあ治療が終わったらまた塗りなおしてあげるわ」
言いながら石本は綿棒をするりと抜く。理沙がびくりと跳ねた。石本は代わりにゴム製の手袋を嵌め、理沙に見えるように白い軟膏を指先に塗りつける。嫌な予感がして、理沙はおずおずと石本に尋ねた。
「な、なんれふかほれ……」
「この薬? ああ、痔の薬よ」
「あらあら。理沙ちゃんには虫歯だけじゃなくて痔核もあるの?」
愉快そうに天野が笑う。理沙は一瞬顔を赤くしたが、その薬を指先に塗っている意味に気づき慌てて尋ね返した。
「いひもとはん、もひかひて……」
「言ったでしょ? これからは毎日直腸マッサージをしてあげます、って」
石本が笑いながら理沙の下腹部に手を掛ける。理沙はひっと息を呑んで肛門に力を入れた。が、軟膏を塗った石本の指先はすんなりと理沙の肛門を通過した。石本がぐるぐると直腸をかき回す。
理沙は歯の痛みとは異なる痛み……むしろ快感に近いその感触に呻き声を上げた。
「ふふ、指先に理沙ちゃんのウンチが当たるわよ」
「あらあら。それじゃ今度は、治療中にウンチ漏らしちゃうかもしれないわね」
「ひ、あがぁ……」
理沙が必死に首を振る。石本の指先が直腸内の痔核を探り当てた。小豆のようなそのしこりを石本は丁寧に押し、周りをくすぐり、指先ではじく。その度に理沙は身もだえした。直腸越しに子宮が刺激される。理沙は性欲が高まっていくのを感じていた。
「あらあら。クリちゃんが大きくなってきたわよ?」
意地悪く天野がそれを指摘する。周囲の皮を除去された理沙の陰核は、赤い木の実のように大きく膨らんでいた。つうと、尿とは違う透明な液体が秘裂から垂れる。天野が呆れたように溜息をつきながら、石本に棒状の器具を手渡した。
「石本さん、これ使って」
「はい。……ところで先生、これはなんですか?」
理沙が不安げに首を持ち上げる。白くて細い棒状の器具にはホースがついており、それが足元に或る機械につながれている。石本は器具の根元にあるスイッチを押した。途端、掃除機のような音を立てて器具が空気を吸い込み始めた。
「ひあ……」
「あらあら。心配しなくていいのよ理沙ちゃん。これはね、『バキューム』という器具なの」
「は、はきぃーむ?」
「口の中の唾液や削った歯の欠片なんかを吸い取るためのものなんだけどね、結構強力だから、愛液なんかも楽に吸い取れるわよ」
「ああ、わっかりました」
陽気な声を上げて石本が器具を握りなおす。そしてバキュームの先端を、理沙の陰唇に沿わせてゆっくりと動かした。
「ひ、や、やあめえ……」
「うわ。本当に強力ですね。あんまりやりすぎるとビラビラが伸びちゃいそう」
「う、ほんなぁ……!」
「あらあら。でも後から次々にお露が溢れてくるようじゃ大変ねぇ……。そうだ、ここを吸ってみたら?」
「……ひ、ほこはぁ!」
天野が爪の先で理沙の充血したクリトリスをつついた。理沙はがちゃがちゃと鎖を鳴らして抵抗するが、石本は躊躇せずバキュームをその敏感な器官につきたてた。
「はぁあっ!」
途端、大きな陰核は半分ほどが器具の中に吸い込まれた。石本はそのままバキュームを左右に揺すったり引っ張ったりする。そのたびに理沙は首を振って苦痛と快楽の境界にある感覚に激しく抵抗した。
その様子をうっとりと眺めていた天野が、思い出したように鉗子を持ち直した。一歩理沙に近づき、鉗子を掌でぺんぺんと叩きながら満面の笑みを浮かべる。
「さて、っと。エッチで変態な理沙ちゃんの、三本目の歯を抜かせてもらうとしますか」
「ひ……いや、やめへ……おねがい……」
「わっ。先生、理沙ちゃんの肛門、いま痛いぐらいに窄まりました」
「あらあら。石本さん、私と代わらない? 石本さんが歯を抜いて、私がお尻をマッサージしてあげるの」
「それは無理ですよ。私、鉗子で歯を抜いたことありませんから」
「大丈夫よ。力任せに捻ればそう難しいことじゃないから。……理沙ちゃんの痛みを無視すれば、だけどね」
「ひ!」
理沙の瞳が恐怖に大きく見開かれる。天野はそんな理沙の様子をみながら一度ぺろりと舌で唇を湿らせた。そして理沙の恐怖を高めるように、ゆっくりと鉗子を口の中へ差し込んでいく。
「あ……ああ……あ……」
理沙の瞳は瞬きすることなく大きく見開かれている。こつんと鉗子の先が歯に当たったとき、ずんと疼痛を感じた。理沙の全身から脂汗が流れる。瞳からは涙があふれ、口の端からは血の混じった涎が一筋こぼれ落ちる。
天野が鉗子をぎゅっと握った。歯が砕けるかと思うほどしめつけられ、理沙の顎ががくがくと震える。歯の神経が圧迫される痛みに悲鳴を上げた。理沙がぎゅっと目を閉じる。
「行くわよ。今回は大臼歯だからゆっくり抜いていくわね!」
天野が両手で鉗子を握った。そしてじわりと歯を持ち上げる。ぎっ、と歯が悲鳴を上げた。無理矢理歯茎から歯を抜かれる痛みに、理沙がひぃと悲鳴を上げる。
しかしまだ歯は抜かれていない。天野が力を込めるたび、歯の神経と血管が少しずつ切れていく。なかなか抜けないため、天野は鉗子を左右に揺らした。歯ががくがくと揺れ、理沙はたまらず目を見開く。
大量の尿が、理沙の肛門をマッサージする石本の腕にかかる。石本はバキュームをクリトリスから外し、尿道の入り口に押し当てた。もう片方の手は理沙の肛門をマッサージし続けている。しかし理沙は、既に下半身から湧き上がる快楽を気に留める余裕がなくなっていた。
天野がぐっと一気に力を込める。次の瞬間、ごりっという音を立てて理沙の大臼歯が抜かれた。
「がはぁぁぁぁっ!」
最後にまとめて何本もの神経が切断され、溜まらず理沙は絶叫する。四肢を固定している鎖がきしんだ。肛門がぎゅうっと締まり、石本も思わず「痛い!」と声を上げる。
がくんと理沙の体の緊張が解けた。また気絶したらしい。天野は三本目の歯をうっとりと眺めた後、額に浮かんだ汗を拭いながら石本に尋ねた。
「……痛いって、どうかしたの?」
「はい。歯が抜かれた瞬間の理沙ちゃんの肛門……凄い締め付けで」
「あらあら」
「直腸もきゅうって締まって。もし私が指を入れていなかったら、まちがいなく理沙ちゃんウンチを漏らしていたと思います」
「あらあら。うふふ……」
笑いながら天野は、タオルで理沙の顔面を拭いた。涙と汗と血と涎でぐちょぐちょになった顔。そのまま天野は、理沙の口の中を覗き込んだ。
「んー……あとは上顎部分の虫歯かな。あとは逆側に数本……やっぱりあと四〜五本は抜かなくちゃいけないみたいね」
「……先生、さすがに私、理沙ちゃんがかわいそうになってきました」
「あらあら。……でも、最初のときみたいに抵抗しなくなってきたじゃない」
「それはそうですけど」
言いながら石本はゴム製の手袋を外した。そして新しいタオルで、尿と愛液にまみれた理沙の下半身を拭く。カメラのレンズにも尿の水滴がついているのをみつけ、石本はきゅきゅっとレンズを拭いた。
「んーと、なんだかんだで全体の四分の一は抜歯しちゃうのね。……やっぱり総入歯にしちゃわない?」
「それはまずいですよ。少なくともオーナーの藤原さんの許可をもらわないと」
「そうかな。……聞いた話だけど、総入歯の人にされるフェラって凄く気持ちいいらしいわよ」
「え、そうなんですか?」
「もちろん入れ歯は外してね。歯が一本もないお口の中は、ヴァギナともアナルとも違う何ともいえないぬめりと暖かさがあって、さらに舌が絡み付いてきて……一度やったら忘れられない最高の快楽だって、うちのお客さんから聞いたわ」
「……藤原さんは、どうおっしゃられますかね」
苦笑いをしながら、石本はカメラを見た。カメラはただじっと、気絶した理沙の顔と秘部を写し続けていた。
(続 く)