「ち、遅刻〜ッ!」  
今池瑞希は走っていた。朝寝坊をし、飯も食わずに家を出たのだが、どうも始業には  
間に合いそうにない。瑞希の通う学校は校則が厳しく、八時半までに校門をくぐらない  
と遅刻扱いになる。そうなると親へ連絡も行き、瑞希は大目玉。お小遣い二十五パー  
セントカットという厳罰が下されかねない状況だった。  
 
「ゆうべ、加奈子と話し込んだのがまずかったか・・・しかし、今そんな事言ってもしょう  
がない」  
昨夜、クラスメイトの加奈子と男性ダンサーのモッコリについて、遅くまで語り合った瑞  
希。年頃の娘ゆえ、そういう事に興味が湧くのも分からぬでもないが、寝坊するまで話  
し込むようなテーマであろうとは思えない。はっきり言って、学生は勉強しろという感じ  
である。  
 
「八時二十五分・・・ここから学校まで十分はかかる・・・やるしかないか」  
交差点の信号につかまった時、瑞希は目を閉じて学校の事を思い浮かべた。すると、  
彼女の周りの景色が歪み始め、薄墨を流したような色合いとなる。  
(学校・・・市立ミシシッピ高校、二年一組の教室・・・む〜ん!)  
瑞希の周りから音が消え、時間の流れも止まった。そして次の瞬間、制服姿の少女が  
交差点から消えたのである。  
「跳べた!」  
柔らかい時計がうずまく亜空空間の中に、瑞希はいた。目を開けた時、たまにこの空間  
で会う猫型ロボットと、メガネをかけた気の弱そうな少年が乗ったタイムマシンとすれ違  
う。彼らはいつ見ても同じ風で、何年も前から年を取っていない感じだった。  
 
実を言うと瑞希は超能力者である。それも一瞬で他の場所へ移動する事が可能な、瞬間  
移動を身につけているのだ。  
 
「出口が見える・・・間に合ったかしら」  
空間に出来たひび割れから眩い明かりが漏れている。瑞希は泳ぐようにそこへ向かい、  
ひび割れから体ごと抜けていった。  
 
「やった!学校に来られた・・・あれ?」  
出た先は校庭。見事、瑞希は場所を一瞬で移動したようである。だが、何故か肌寒い。  
というか、瑞希は服を着ていなかった。  
「あ、あれえ?私、素っ裸!」  
どうやらひび割れの所で服を引っ掛けたらしく、体だけが元の次元へと戻って来たらし  
い。当然、学生カバンも何も無い。文字通り、身ひとつで現れたのだ。  
 
「なんだ、痴女か」  
「マンコ丸出しだぜ。あいつ、二年の今池じゃね?」  
始業直前という事もあり、校庭には生徒が多数いる。そんな場所に、瑞希は生まれたま  
まの姿で来てしまった。遅刻こそ免れたが、それ以上にどえらい事をしでかしているの  
である。  
「いや〜ん!どこでも良いから移動、移動!」  
恥ずかしさに耐え切れず、瑞希は再び亜空間に跳んだ。どこでも良い。人気の無い場  
所へ逃げたかった。  
 
「どこかで服を探さないと」  
泣けてきそうなほどの情けなさをさて置き、瑞希は間近にあったひび割れに飛び込ん  
だ。場所から言って、校庭からそう遠くない感じである。  
「何か服があればいいけど」  
するりとひび割れを抜け、出たのは見覚えのある場所だった。幸いにも校内のようで、  
周りには誰もいない。  
 
「ここ、体育用具室だ。良かった、誰もいなくて」  
少々、かび臭いが、身を隠すにはもってこいの場所である。瑞希はマットの上へ腰を下  
ろし、体育座りになって安堵のため息を漏らす。と、その時、不意に用具室の扉が開い  
た。そう簡単に休ませてはもらえないらしい。  
 
「ん?お、おい、裸の女がいるぞ!」  
「結構、可愛いぞ。おい、やっちまおうぜ!」  
扉を開けて入って来たのは、学内に巣食う不良グループのメンバーたちだった。そう言え  
ば瑞希は誰かから、体育用具室が彼らの喫煙所になっていると言う話を聞いた事がある。  
 
「ヤバイ!輪姦される!い、移動しなきゃ・・・」  
念じようとした瞬間、不良の一人が瑞希の腕を掴んだ。実を言うと、彼女の能力では自分  
ひとりと身の回りのものくらいしか移動する事が出来ない。故に、腕を掴まれれば瞬間移  
動は不可能となる。  
「は、放して!」  
「ハハハ!オマンコ丸出しで、格好つけんじゃねえや」  
瑞希はマットの上へ転がされ、両手足を大の字に引っ張られた。不良達は五人もいて、  
それぞれが瑞希に群がっているので、これでもう瞬間移動は絶望的である。  
 
「いやーッ!誰か助けて!」  
「小うるせえアマッ子だ。おい、誰かハメちまえ」  
「俺が行こう」  
泣き叫ぶ瑞希の前に、ずんぐりとした不良が現れた。確か、相撲部の誰かだったと瑞希  
の記憶にはある。  
 
「俺の名は浣腸のトムって言うんだ。普段から馬用の浣腸器を持ち歩く、豪気な男さ」  
ずんぐり男はそう言って、懐からハナコという名前の書かれた浣腸器を取り出した。  
 
「ま、まさか、私にそれを・・・」  
「そう。実はこれ、ウチで飼ってる馬のやつなんだ。でも、安心してくれ。薬液はちゃんと  
人間用のが入ってる」  
「ひいいッ!そんなの嫌よ!」  
青ざめる瑞希はお通じが良い方で、そんな物に頼らずとも自然な排便を、毎朝してい  
る。今朝だって寝坊しつつも、ちゃんと爆弾を放っているのだ。  
 
「俺たちの女イコール精液便所だから。ケツの穴も使えないと、困るんだ。おい、尻を  
こっちに向けさせろ」  
ずんぐり男の命令で、瑞希はうつぶせにされた。そして無防備な桃尻に浣腸器の嘴  
が迫る。  
 
「やだーッ!他人の前でぶっ放すなんて、嫌よ!お願い、言う事は何でも聞くから、浣  
腸だけは勘弁!」  
「駄目だ。これをやらないと、ケツ輪姦に耐えられないぞ」  
「ああーッ!つッ、冷たい!お願い!液を入れないでぇ・・・」  
シリンダ内の薬液がぐんぐんと減り、瑞希の肛内に満たされていく。彼女にとって、生  
まれて初めての浣腸は、背筋が凍るほどのおぞましさだった。  
 
「結城先生を師と仰ぐ俺たちのアヌス責めは過酷だぞ。覚悟するんだな、お嬢ちゃん」  
「むッ・・・うむむ」  
瑞希は脂汗を流しつつ、懸命に肛門を締めている。すでに薬液の効果は現れ、駆け下  
るような便意が迫っていた。  
 
「ゆ、結城先生・・・という事は、徹底的なアヌス責め?」  
「ああ、アヌス奴隷って所だ」  
「そんなの・・・いやあーッ・・・」  
瑞希は早々と濁流をぶちまけ、泣かされた。こんな事なら、普通に遅刻した方が明らか  
の良い。ビッグベンを垂れ流す開放感に安堵しながら、瑞希は悔やんだ。  
 
「いい垂れっぷりだ。ヒヒヒ、このアヌス、責め甲斐がありそうだぜ」  
ずんぐり男がまず、弛緩した瑞希のアヌスに男根をあてがった。女穴など見向きもせず、  
ただ排泄孔だけに狙いをつけている。  
「初体験がアナルセックスなんて・・・そんなあ・・・」  
嘆く瑞希に対し、僅かな憐憫の情も見せず、ずんぐり男が男根を押し込んだ。  
 
「それが結城流。さあ、いくぞ」  
「ああ───ッ・・・」  
メリメリと生木を裂くように、男根は肛内へ入って来た。瑞希は喘ぎながら、もう男性ダン  
サーのモッコリについて、友人と夜遅くまで語る事無く早く就寝し、明日からは遅刻をせ  
ぬよう早起きをして、学校に来ようと思うのであった。  
 
おしまい  
 

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