私の名前は、千華沢 絵梨(せんか沢 えり)。千華沢財閥のお嬢様と言えばわかるだろうか?  
「……お見合い?ってこの男と?」心底嫌そうに私は目の前の男を睨む。  
顔は平均より鋭すぎ、話し言葉は乱暴そのもの。とても私の相手をつとまるとは思わなかった。  
「耐えてくれ絵梨……彼ら一族は我等千華沢財閥を長年支えてくれた相手なのだ」  
「呪術でですか?とても信じられません!」  
そう言って私は胸を張る。ふくらみの無い胸が今ほど忌々しいと思った事は無い。  
「……欲しい物はあるか?」  
「それを持ってきてくれるの?」  
「ああ、それを持って来たら結婚の件考えてくれないか?」  
「それじゃあねえ……胸!この私の胸を大きくしなさい!」  
そう言って睨みつける。黙り込むあいつ。ふんできるはずが無い。良い気味だ。  
「わかった。だが良いのか?大きくなった後戻すのは年単位の時間が必要だ」  
「良いわよ。どうせできっこないし」  
そう、そいつを挑発する。その時はまだなんとも思っていなかった。  
 
そいつから送られたのはベルのついた首輪だった。  
ひとまずそいつをはったおして、ベルの部分をアクセサリーに変えさせた。  
チリンチリンといい音を立ててベルが鳴る。うん、元はともかく良い音だ。  
不意に胸の辺りが苦しくなり始めた。あうっっ何?何が起こってるの?  
ベルがいやみに音を立て続ける。バチンと服が破裂した。  
えっ、胸からはち切れそうな肉が飛び出ている。  
ベルは嫌みったらしくなり続けその度に胸に刺激が走る。  
倒れて動けない私に誰かが近寄ってくる。あの男だ。  
「確かに、胸を大きくしましたお嬢様。これ以上いりますか?」  
「いらないっ!いらないからぁっ助けてぇぇ……」  
力なく叫ぶ。その男はさっとベルを外すと、私にバッグを渡した。そこには着替えが入っており、  
私は泣きながらその服に着替え、力の抜けたまま、その男に支えられて家へと帰還した。  
 
 
あいつと私が婚約してから、今日で1ヶ月目。まったくもって腹立たしい。  
大きくなった胸は戻せないので、仕方なく服をもう一通り揃える羽目になった。  
 
私は全裸でベッドの上に転がされていた。  
「余り強く動かない方が良い。余計に辛いぞ」  
「誰が貴方の言う事なんてッ!」  
体の動きがままならない。親父が呪術の恐怖を知っていた方が良いと親父が教え込んだのだ。  
「呪術には幾つかの準備が必要だ。そのうち一つでも欠ければ呪術は成り立たない」  
そう言ってあいつは自らの指に噛み付いた。  
「最も重要なのは『対価』。もっぱら血や魔力を込めた石や木や銀などが使われる」  
だが、それは今は関係ない。ねっとりとした血が私のお臍の上に垂らされる。  
「今回使う術は、肉体強化の呪術だが……もうそろそろか」  
「ひっひぃっ!」  
突如として胸の辺りが強く緊張してくる。  
あいつはポンと胸を叩いた。  
「利きが早いな。なんだかんだ言ったって、硬くなってるぜ」  
「そんな。誰がインチキ呪術なんかに……変に触ってるせいでしょ?」  
「じゃあ良いさ。しばらく触らないでいようか、それで本物か偽者か体験してみろ」  
そう言ってあいつは胸から手を離して目で私の胸を睨む。  
「ひやぁっ」  
押さえられてるわけでは無いが体が動かない、胸は更にきつく張り裂けそうになる。  
「たひゅけて……」  
声に力でない。神経が全て胸に集中される。心臓が破裂しそうに高鳴りを上げる。  
パチンと渇いた音を立ててあいつが指を鳴らした。  
「いやあああああああああっ!」  
大きな声を上げて自分の胸から白い液体が火山のように噴き上げられた。  
それが収まった時、あいつも私も白濁液まみれになっていた。  
「まだ、残ってるようだな」  
そう言ってあいつが私の胸に流れてる白い液体をそっと舐める。  
「いやぁぁっ!ごめんなさいごめんなさい。許してぇ」  
泣き喚く私。だが、彼はお構いなく私の体を舐め続ける。不意に胸から白い液が流れ出始めた」  
「ひやぁっ!」  
「おいおい、まだ出るのか……元気だな。良いぜ今夜はたっぷり相手してやる」  
あいつはそう言って、私の体を強く抱きしめた。「夜はまだ長いぜ」  
絶望が私の心を掴んだ。  
 
完  
 
 

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